(4341:東証2部) 西菱電機 2015年3月期第3四半期業レポート

2015/04/30

SEIRYO

今回のポイント
・携帯情報通信端末の販売及び修理再生などを手掛ける「情報通信端末事業」と、防災無線・IP無線・車両動態管理・インフラ監視等の分野における情報通信機器及びシステムの開発、販売、保守、運用を手掛ける「情報通信システム事業」の2事業を展開。高いソリューション力、質の高いトータルサービス提供が強み。三菱電機(株)が筆頭株主。・15/3期3Qの売上高は前年同期比13.5%減の129億円。前期の周波数帯再編特需の終了、IP無線機器の販売台数減少、携帯端末修理再生事業における受付台数の減少等により減収となった。IP無線を始めとする各種システム開発、展示会出展などの販売促進活動、社内体制の強化などの投資を積極的に進めた結果、営業利益は144百万円の損失。

・2015年2月16日、通期業績予想の下方修正を発表した。予想売上高は前期比17.1%減少の215億円。携帯端末修理台数やIP無線機器販売が想定以上に低迷している事が主な要因。公共事業案件も競争が激化している。一方で、安定したサービス供給体制の構築、IP無線を中心としたシステム開発、展示会出展などの販促活動を積極的に実施しているため、減益幅は拡大する見込み。配当予想には変更が無い。前期に比べ10円増配の45円/株を予定しており、過去最高の一株当たり配当額となる。

・前期から一転して減収・減益が見込まれるが、利益は確保できる体質であると会社側は認識していること、当第3四半期末は411百万円のネットキャッシュがあること等から、現在PBR1倍割れの株価について下値リスクは限定的と見る投資家も多数いるだろう。IP無線通信を軸にしたソリューションの提案や優良な顧客資産の有効活用による業績再浮上のキッカケがいつ頃見えてくるかを注視したい。

会社概要

「情報通信端末事業」と「情報通信システム事業」の2事業分野を展開するICTソリューション企業で、筆頭株主は三菱電機(株)。
「情報通信端末事業」では、携帯情報通信端末の販売を目的として、関西圏に携帯ショップ11店舗、パソコン量販店1店舗を展開。また、独自のノウハウを活かした、携帯情報通信端末の修理再生業務や、お客様窓口ご案内システム(発券機システム)も強み。
「情報通信システム事業」では、防災インフラならびに社会インフラに関する無線システムおよび監視システム等に関する開発・販売・システム構築から、保守・運用のアフターサービスまでの一貫した業務を、官公庁、全国の自治体および公共団体などに展開。さらに、業務の効率化やコストダウンにつながるクラウド技術を利用した新サービスを積極的に提案中。民需向けでは、タクシー会社や運送会社などで使用されるIP無線市場でシェアトップ。また、創業以来阪神・京都の2競馬場の映像放映業務を請け負っている。
2015年4月には連結子会社3社の商号を変更し、グループ一体経営の推進を図り、グループのブランド力の強化、事業領域の拡大および付加価値向上を目指す。

【沿革】

同社創業者で現在相談役の西岡 孝氏が三菱電機系商社に在職中の1966年、三菱電機(株)から競馬場内の映像放映案件が持ち込まれた。映像放映のみならず、放送機器の保守・点検まで行うというもので、会社としては案件の受注を躊躇していた中、同氏を始め4名がスピンアウトし、同社を創業してその案件を請負った。自らカメラマンとして撮影も行わなければならない等、苦労も多かったようだが問題なく運営を軌道に乗せたことで、三菱電機(株)などからの評価も高まった。それ以降、今に続く三菱電機(株)からの様々な仕事を引き受けることとなった。現在同社の筆頭株主は三菱電機(株)であるが、株主となったのは後の事であり、創業はまさにベンチャーである。
もう一つの成長の契機は1970年に大阪で開催された万国博覧会だった。ここで、大規模な無線や監視カメラネットワークの運営、保守・点検業務を請け負ったことで事業が飛躍的に拡大した。また、1980~90年代にかけて、自動車電話や携帯電話が急速に普及する中、携帯電話販売業務に参入。販売のみならず、無線機器の修理技術を活かし三菱電機㈱製の携帯電話の修理を一手に引き受ける修理再生業務も着実に成長した。2008年に三菱電機(株)は携帯電話の製造から撤退したが、その技術力を活かして、現在では他メーカー製携帯情報通信端末の修理再生を行っており、2012年には東日本端末修理センターを開設している。
西岡社長は、営業、総務などを経験後1993年取締役を経て、2008年4月に代表取締役社長に就任した。就任後の三菱電機(株)の携帯電話撤退、リーマンショックという困難な局面を切り抜け、IP無線サービス等、新たな市場開拓を意欲的に進めている。

【経営理念など】

経営の原点として「西菱電機はいついかなる時にも絶対に生き抜き、且つ発展を続ける」を掲げている。
また、『優れた「ビフォア」サービス・「イン」サービス・「アフター」サービスを通して、社会に貢献し、顧客・株主・従業員をはじめ会社に係るすべての人々に喜びを与えることを目指す。』を経営理念としている。

同社は決算短信内「目標とする経営指標」で、ROEの向上を基本的な目標とし具体的目標として10%を掲げている。
2012年3月期は財務体質改善を目的とした特別損失を計上したため損失だったものの、以降は回復し2014年3月期は13.5%と目標を上回るROEを実現しており、東証2部の集計値も上回っている点は評価できる。
ただ、要因分析を見ると、レバレッジが2.73倍と比較的高いことがわかる。今後は売上高当期純利益率の更なる向上によるROEの上昇という道筋が期待される。

【事業内容】
◎情報通信端末事業
「売上高 8,850百万円 営業利益 716百万円(2014年3月期実績)」

同事業はさらに以下の4つに分類される。

①携帯電話販売業務

ドコモ、au、ソフトバンクの各店舗を近畿各地に2014年9月末現在、11店舗展開している。(ドコモ 6店舗、au 4店舗、ソフトバンク 1店舗)
商品の販売だけでなく高機能化が進む情報端末を快適に使用してもらうためにコンサルティングサービスやユーザー教室など、顧客の様々なニーズに対応することで地域の顧客に選ばれる店創りを進めている。

②パソコン販売業務

(株)ピーシーデポ(JASDAQ上場)のFC店としてロードサイド型PC総合専門店「PC DEPOT」を1店舗展開している。
パソコンや周辺機器の販売と、ユーザーからの様々な相談や修理を受け付ける「パソコンクリニック」を併設し、地域密着型パソコン総合専門店を目指している。2014年11月にはオープン10周年を迎えた。

③携帯情報通信端末修理再生業務

創業以来無線機器の修理を手掛けてきたノウハウ、経験を活かし、故障した携帯電話の修理、再生を行っている。
ほぼ新品同様に再生するノウハウを独自に開発しており、浸水した携帯通信機器からデータを復旧させる技術については実用新案を取得している。
前述の通り、三菱電機(株)が携帯電話の生産を中止した後も、その技術が高く評価され、現在では海外メーカー製スマートフォンの修理再生を行っている。修理拠点である東京都江戸川区の東日本端末修理センターでは毎月数万台の修理を手掛けている。

④お客様窓口ご案内システム(発券機システム)

店内での顧客の待ち時間を軽減する事を目的に、「お客様窓口ご案内システム(発券機システム)」を自社で開発し、販売している。
本システムは、店頭タッチパネルでの順番予約機能、来店前の携帯電話・スマートフォンからの事前予約機能の他、店舗スタッフの現在の業務状況を一覧で確認できる店舗スタッフ管理機能も有している。
また、「クラウド」技術を用いて、順番が近づけば自動的にメールや電話で通知する機能を実装している。
本システムは、同社が運営する携帯販売店の声に基づいて、業務効率化のために自社で開発されたが、本システムを有効活用した顧客満足度の向上・業務効率化が高く評価され2012年2月に開催された「NTTドコモグループ全国改善事例発表大会」において、全国約2,700チームエントリーの中、「最優秀賞」を受賞した。このことがきっかけとなり、現在では、関西地区に327あるドコモショップ全店舗のほか、他地域のドコモショップでも多数導入され、累計販売台数は570台を突破している。
採用店舗数の拡大を目指すのと同時に、銀行や官公庁を始めとした他業種への展開にも力を入れており、神奈川県の自治体で納入が決定するなど、着々と実績を積み上げている。

◎情報通信システム事業
「売上高 17,076百万円 営業利益 1,817百万円(2014年3月期実績)」

顧客により、民需分野と公共分野に分類され、売上高としては公共分野が上回る。
代理店、協力会社を擁し全国で営業展開している。

①民需分野

創業以来手掛けてきた無線や映像技術を活かし、タクシー会社や運送会社において車両の位置や状態を一目で把握でき、顧客情報との連携が可能で、より効率的な配車業務が実現できる「車両動態管理(AVM)システム」、コンビニ、店舗、大型商業施設、オフィス、マンションなどを中心に利用されている「監視カメラシステム(CCTVシステム)」、免許・基地局不要で複数同時通話が可能な「特定小電力トランシーバー『G-TALK』」等の他、「IP無線サービス」などの移動無線通信システムを手掛けている。2013年2月からはソフトバンクモバイル(株)の回線を使用したIP無線サービスの販売をソフトバンクテレコム(株)と共に開始し、同社が製造したIP無線機をソフトバンクモバイル(株)に提供している。
また、沿革で触れた、日本中央競馬会の「競馬場内映像放映業務」を、阪神・京都の2競馬場で、創業以来取り組んでいる。

◎IP無線サービス

IP無線サービスは、携帯電話網を活用したシステムのため、無線基地局の設置が不要であることなどから、導入コストの大幅削減を図ることができる。また、携帯電話網であるため日本全国をサービスエリアとすることができ、無線電波が届かない不感地帯の解消につながるほか、通話品質の大幅な改善、無線従事者の配置が不要となるなどメリットが大きい。
加えて、大量のデータのやり取りも可能なため、電話受付・配車・運行支援・業務支援といった機能もより一層充実させることができる。

さらに、同社では、長年、タクシー無線に携わってきており、IP無線サービス以外の業務用無線サービスやクラウド型の車両動態管理(AVM)システムなど、顧客の要望に応じた無線サービスを1つのソリューションとして提案することが可能。
現在、同社製車両動態管理(AVM)システムおよびIP無線サービスは、東京のコンドルタクシーグループや大阪の阪急タクシー(株)などの大手タクシー会社や運送会社など導入されており、タクシー向けIP無線サービス市場ではシェアトップとなっている。タクシー会社は、2016年5月をもってアナログ無線の利用が出来なくなることや、IT化による業務効率性のアップと顧客サービスの品質向上に対応するため、同システムに対するニーズは大きいと同社では考えており、タクシー会社を対象としたセミナーや配車システム視察ツアーの開催などを通じて、全国タクシー会社への積極的な開拓を続けている。

2013年2月1日からソフトバンクモバイルの回線を使用した車載型IP無線機「SoftBank 201SJ」(西菱電機製)を日本で初めて、ソフトバンクテレコム(株)と連携して、タクシー業・運輸業向けに販売し、同社IP無線サービス事業のシェアを開拓した。
また、ハンディ型の業務用IP無線機「SoftBank 301SJ」(西菱電機製)の販売を、2014年2月12日からソフトバンクテレコム(株)と連携して開始した。本製品は、屋外での使用を想定して、手袋をした状態でも操作可能な感圧式タッチパネルや防水・防塵性能を有している。今後は、全国の工事業、製造業、運輸業および警備業など、これまでより広い範囲をユーザーとして想定して、需要を開拓していくとのことである。

②公共分野

防災・減災を目的とした社会インフラ構築に寄与する各種機器・システムの企画・設計、開発・導入、運用・保守に至るまでのトータルソリューションを提供している。
通信・映像分野で蓄積した信頼と実績、エンジニアリング力と迅速な対応力により、安心・安全・快適な環境づくりに貢献する事を目的としており、関西を中心に国土交通省、消防庁、全国多数の自治体、公共団体に納入実績を持つ。
空港内車両の位置情報を車両と管制局で共有することで安全で効率的な車両運行を実現する東京国際空港をはじめとした複数の空港へ導入している「空港内車両位置情報システム」、駐車場に設置したカメラ映像を画像処理することで駐車場の混雑状況を自動判定し、駐車場利用者を表示板により空きスペースに誘導する「パーキングエリア駐車場誘導システム」、遠隔で水門・樋門等の開閉操作や水位等の情報収集を可能にする「水門・樋門制御システム」などの特色あるソリューション提供も意欲的に行っている。
なお、公共分野の売上高は、通常、同社の第4四半期となる1-3月に完成する割合が大きいため、業績に季節的変動がある。

<主な取扱いシステム>

同社が取り扱っている防災・減災用システムはきわめて多岐に渉っている。以下は主なものである。

◎映像監視システム

同社が長年培ってきた映像配信技術を利用して施設等を遠隔監視し、災害等の発生を映像などを介して事前に警告するシステム。河川、ダム、道路及び空港などの公共施設で利用されており、国土交通省や地方自治体などに多くの納入実績がある。近年では、異常豪雨の対策を目的とした河川や地下道路の監視、大規模災害に備えた広域監視や津波監視などに注目が集まっている。

*クラウド型雨量・水位テレメータシステム

同社のクラウド技術を利用した雨量・水位観測システム。同社が培ってきたテレメータの技術ノウハウを活かすことで、安価で使いやすい監視制御設備を提供している。携帯電話網を通じて同社のクラウドサーバに収集された情報は、パソコンに加え、スマートフォンやタブレット端末でも監視データの閲覧が可能である。また、災害発生時に担当者へメール及び電話で自動通報することも可能である。
クラウドサーバは、関東/関西に分けて二重化しているほか、24時間体制で同社がシステム監視を行うため、広域災害時の停電/障害リスクを最小限にし、障害時は迅速な復旧対応が可能となる。

*冠水監視警報システム

ゲリラ豪雨などによって地下通路(アンダーパス道路)で冠水が発生した際、その状態を遠隔監視するシステム。冠水が注意水位や危険水位に達したときには、地下通路に設置した冠水センサーに連動して、警報装置(表示板・回転灯)にて通行車両への注意喚起を行うとともに、電話・電子メールにて、管理者に冠水情報を配信する。また、地下通路に設置したカメラ映像をインターネット等を通じて事務所に伝送し、事務所にて現場の映像を見ることも出来る。

*防災情報収集用カメラシステム

大災害発生時に迅速な初動体制が確保できるように、高地より周囲の状況を広く監視するシステム。大阪府に納品し、生駒山に設置しているものは、監視映像をインターネットを通じて一般公開することで、防災情報を広く提供している。(公開サイト(おおさか防災ネット):http://www.osaka-bousai.net/pref/index.html

◎MCA防災無線システム

通信回線に(財)移動無線センターが運営するmcAccess e(エムシーアクセス・イー)を活用した、安価で使い易い拡声放送システム。防災行政無線と異なり無線従事者の資格が不要であり、総務省の法定点検も免除、免許申請手続きも簡易で済むことなどから、自治体担当者の維持管理の負担を大きく軽減する事が出来る点が評価されている。
地域振興波による再送信を活用することで、不感地域の改善やラジオ付きの戸別受信機を導入することが可能であり、国の施策として各自治体の防災無線のデジタル化を促進していることや東日本大震災以降の防災・減災予算が重点化されたことなどもあって、全国の地方自治体で導入が進んでいる。
同社のシステムは、タッチパネルで操作しやすく、操作画面から入力した文章を音声合成で放送したり、文字表示盤に表示させたりすることが出来るなどの特徴がある。

◎防災情報多様化サーバ

大規模災害などの発生時に総務省消防庁から配信されるJ-ALERT情報に連携して、携帯メールなどの複数の情報伝達手段に対し一斉に情報を配信することを可能とするシステム。従来だと、防災行政無線による音声配信のみだった住民への災害情報提供を、メール配信やホームページへの情報掲載などをたった一つの操作で確実かつ迅速に行うことができる。

◎津波情報配信システム

海岸利用者に津波などの情報を自動的に伝達するシステム。津波や高潮などの気象情報が発令された際、巨大な表示板にその内容を表示し、迅速な避難を促す。また、表示板の近くにはライブカメラを設置し、管理者などが現地の状況を把握することができる。また、神奈川県への本システム納入時は、同社の工程管理が高く評価され、神奈川県知事表彰を受賞している。

◎カスタマーサービスセンターによる24時間監視サービス

顧客が運用している同社製システムおよびクラウドサーバーを24時間365日、同社のカスタマーサービスセンターから遠隔で常時監視・診断し、緊急時には技術者を緊急出動させるなどの充実した保守サポート体制で、社会インフラを支える様々なシステムの安定運用を支援している。

特長と強み
◎高いソリューション力

創業当初から培ってきた無線や映像に関するノウハウを活かして、民需分野か公共分野かを問わず設計から保守・運用までを一括して請け負うことが出来るソリューション力が同社の強み。
同社の営業部門は技術的なソリューション提案も行うことが出来る高いスキルを有しており、タクシー会社向けIP無線サービスにおいては同社がシェアトップである。
また、同社の開発部門は、顧客の市場ニーズを発掘し、お客様窓口ご案内システム(発券機システム)のような市場価値の高い製品を一から現実化する技術力を有している。
加えて、同社のカスタマーサービスセンターは、クオリティーの高い保守サポートを常に提供する事のできる支援体制を有している。

◎携帯情報通信端末の修理再生に関するノウハウ

日本では数少ない、携帯情報通信端末の故障解析・修理再生に関する独自ノウハウを約30年間蓄積している。

◎優良な携帯販売店舗

好立地の携帯販売店舗を全キャリア有しており、販売実績や顧客満足度などから、たびたび通信キャリアから表彰を受けている。

2015年3月期第3四半期決算概要
特需終了、IP無線機器の販売不振、積極的な投資の実施等で減収・減益

売上高は前年同期比13.5%減の129億円。
前期の周波数帯再編特需の終了、IP無線機器の販売台数減少、携帯端末修理再生事業における受付台数の減少等により減収となった。
IP無線を始めとする各種システム開発、展示会出展などの販売促進活動、社内体制強化などの投資を積極的に進めた結果、営業利益は144百万円の損失となった。(前年同期は506百万円の営業利益)

◎情報通信端末事業

携帯販売の販売台数は堅調に推移し、パソコン販売もWindows XPのリプレイス需要や消費税増税の反動がある中、売上高は前年並みを確保したものの、携帯端末修理再生事業は、メーカーシェアの低下に伴う修理出荷台数の減少により、前年同期比減収となり、コストをカバーしきれず減収減益となった。
携帯電話ショップ向け店舗運営システムは、異業種向け発券機システムとして拡販に注力している。

◎情報通信システム事業

公共向けの防災・減災案件は堅調に推移したが、周波数帯再編需要の終息やIP無線機器の販売台数減により、前年同期に比べ減収となり、利益も大幅に減少した。京都・阪神競馬場の映像配信運営をはじめとする、既存の各種システム保守業務などのストックビジネスは引き続き堅調に推移した。

減収による現預金、売上債権の減少等で流動資産は前期末に比べ50億円減少の78億円。固定資産に大きな変動は無く、資産合計は同50億円減少の97億円となった。
仕入債務の減少により流動負債は同46億円減少の43億円。固定負債は長期借入金の減少等で同75百万円減少し6億円となった。
純資産は、四半期純損失による利益剰余金の減少等で同2億円減少の48億円となった。
この結果、自己資本比率は前期末の34.1%から14.8%上昇し48.9%となった。

(4)トピックス
◎タクシー配車システム視察ツアーを開催

タクシー会社向け自動配車システムの更なる拡販を目指し、「タクシー配車システム視察ツアー」を2014年夏、初めて開催した。
既に同システムを導入したタクシー会社の協力の下、未導入のタクシー会社に実際の配車状況を見てもらうと共に、配車件数のアップや業務の効率化など、導入後の効果をユーザーから語ってもらうことで、システム採用のきっかけとなった。

◎積極的な展示会への出展

様々な展示会へ積極的に出展し、販売促進活動を推進している。
2014年5月には運輸EXPOへIP無線機やタクシー配車システムなどを出展。タクシー配車システム導入事例セミナーを実施するなど、輸送分野の企業を中心に多くの関心を集めた。
また、2014年11月に開催された国際放送機器展(InterBEE)ではIP無線機や特定小電力トランシーバー「G-TALK」等を出展。取引実績の多くない放送業界の企業を中心に新規顧客の開拓を図った。

◎営業力強化のため大阪支社を移転

同社は長年の実績から多くの地方公共団体を始めとして優良な顧客資産を有している。
この資産をより有効に活用すべく、大阪支社を大阪市北区に移転し、これまで別々のフロアとなっていた中央省庁や自治体などの官公庁向けと民需向け営業部門をワンフロア化した。
新オフィスには、映像主体のショールームを新たに開設。大型タッチパネルスクリーンを設置し、プレゼン環境を充実させたほか、実機の展示やデジタルサイネージ映像により顧客の商品理解の促進を図るといった工夫をこらし、営業情報の共有も含めて営業力の強化を狙っている。

◎PCデポ箕面店が2014年11月で10周年

同社がフランチャイズ加盟店として運営するPCデポ箕面店は2014年11月で開店10周年を迎えた。
お客様の困りごとを解決するクリニックサービスを主軸に地域の信頼を積み重ねており、今後も継続的な地域への貢献が期待される。

2015年3月期業績予想
携帯端末修理台数やIP無線機器販売が低迷し下方修正。

2015年2月16日、通期業績予想の下方修正を発表した。
予想売上高は前期比7.4%減少の215億円。携帯端末修理台数やIP無線機器販売が想定以上に低迷している事が主な要因。公共事業案件も競争が激化している。
一方で、信頼の確立を第一と考え、最も重視する顧客に対する安定したサービス供給体制の構築、クラウド化の進展、社内体制強化といった将来に向けた投資は従来通り実施していくため、減益幅は拡大する見込み。

配当予想には変更が無い。株主に対する利益配分を経営の最重要政策の一つと考えており、会社の競争力を維持・強化して株主資本の拡充と同利益率の向上を図るとともに、配当水準の向上と安定化に努める方針。
前期に比べ10円増配の45円/株を予定しており、過去最高の一株当たり配当額となる。

(2)トピックス
◎役員報酬の減額

今回の業績予想下方修正を受け、その経営責任を明確化するため、以下の様に役員報酬の減額を決議した。

早期の業績回復に向け、一丸となって営業強化に邁進して行く考えだ。

◎子会社の商号を変更

2010年度に株式会社スズキエンジニアリングを、2013年度にはコーナン電子株式会社及び鳥取ケーイーシー株式会社を新たにグループに加え、事業領域を拡大させてきたが、グループ一体経営の推進を図り、グループのブランド力の更なる強化、事業領域の更なる拡大を目的とし、子会社の商号を「西菱電機」を冠した商号に変更することとした。商号変更日は3社とも2015年4月1日。

今回の商号変更も含め、人事制度、情報管理システム、退職金制度の統合、生産管理システムの導入などあらゆる面において基盤整備を進めている。
人事交流を積極的に行い、『優れた「ビフォア」サービス・「イン」サービス・「アフター」サービスを通して、社会に貢献し、顧客・株主・従業員をはじめ会社に係るすべての人々に喜びを与えることを目指す。』という「西菱イズム」を浸透させ、グループ力の向上を目指す。

西岡社長に聞く

足元の状況、今後の注力点等を西岡社長に伺った。

◎IP無線機器販売の現状と今後
IP無線通信は、広範囲をカバー、ローコストでの導入が可能など、その優れた性能から今後も活躍の場が広がっていくと予想しているが、足元の動向は想定を下回ったものとなっている。同業他社も積極的な動きを見せていること等から、市場がシュリンクしている訳ではなく、一時的な端境期と考えている。
当社においても、日本を代表する大手企業において採用が進んでいる等、既存の無線通信需要を代替する製品・サービスが広がり始めている。
当社としては、IP無線通信の特性を活かした使い方を積極的に考案、提案して新市場の創造に挑戦していく。
◎投資方針
残念ながら足元の業績は芳しいものではないが、利益を捻出するために投資を抑制・先送りするという事は考えていない。
IP無線通信は立ち上がったばかりの事業であるため、細かい点で不具合の発生があることも事実だが、この解決・対応が最優先だ。経営理念にあるように「ビフォア・イン・アフター」全ての局面で顧客に安心感を覚えていただき、信頼を確立する事が第一と考えている。
同時に、人材育成のための投資、グループ会社の事業基盤整備のための投資に加え、もう少し先を見据え、IP無線通信事業を海外で展開するための調査なども今・来期から進めて行く。
◎西菱グループの社員について
当社社員の素晴らしいところは何と言っても真面目さ。「お客様の困り事を何とか解決したい。」「お客様に喜んでいただきたい。」と真剣に考え、行動する意識が浸透している。
また、当社は大阪の企業であることから以前は関西志向の強い社員が多かったが、近年は海外を志向する社員も増えて来るなど、真面目さに加え積極性も強まってきたと感じる。
経営の視点や未来へのビジョンや展開力をより一層意識して仕事に取り組み、もっと勉強を重ねてよりレベルアップを図って欲しいと考えている。
◎経営理念の浸透について
「西菱イズム」の浸透は重要な取り組みだ。中途・新卒含めた新たな当社のメンバーには、まず私自らが当社の歴史や理念を丁寧に説明することとしている。
その後は各部門の長や責任者が日常的な仕事の場やコミュニケーションの中で、経営理念の理解・浸透を進めている。
また、当社は代理店を始めとして多くの協力会社との協業によって事業を展開しており、これらのパートナーに当社の経営理念を理解してもらうことも極めて重要であると考えている。
今後の注目点
今期は前期から一転して減収・減益が見込まれるが、投資を行いつつも利益は確保できる体質であると会社側は認識していること、当第3四半期末の現預金1,213百万円に対し、長短借入金合計は802百万円と、411百万円のネットキャッシュがあること等から、現在PBR1倍割れの株価について下値リスクは限定的と見る投資家も多数いるだろう。
IP無線通信を軸にしたソリューションの提案や優良な顧客資産の有効活用による業績再浮上のキッカケがいつ頃見えてくるかを注視したい。
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