(4282:東証1部) EPSホールディングス 2015年9月期第1四半期業績レポート

2015/04/30

EPSHD

今回のポイント
・モニタリング業務とデータマネジメント業務が伸びた国内CRO事業が同17.3%増、コールセンター業務とPMS(市販後調査)業務を中心に国内CSO事業が同15.1%増、円安も追い風となったGlobal Research事業が同46.8%増、医療機器販売事業が伸びた益新事業が同29.5%増と、国内SMO事業を除く全てのセグメントで売上が増加。収益性の改善も進み、営業利益が同83.4%増加した。・「各事業セグメントの自立・自律経営体制の確立」、「ホールディングスとしてのグループマネジメント機能の明確化と強化」、及び「(株)イーピービズのシェアードサービスによる管理事務機能の効率化」の3点を目的に2015年1月1日付けで持株会社体制へ移行した。2Q(1-3月)以降、持株会社体制への移行費用や事業再編費用(貸倒引当金6億円等)等を計上するため、15/9期は例年に比べて営業費用が7~10億円増加する見込み。

・通期業績予想は前期比5.6%の増収、同2.0%の経常増益。通期では国内SMO事業も増収・増益が見込まれ、持株会社体制への移行に伴うコスト増を吸収。営業利益が同3.0%増加する見込み。配当は、上期末8円、期末10円の年18円を予定(14年4月の1:100の株式分割を考慮すると前期と同額)。

会社概要

「価値あるソリューションの創出を通じて、健康産業の発展に貢献します」を企業理念に掲げ、医薬品や医療機器等の開発に関わる業務を様々な角度からサポートしている。国内で展開する、CRO(Contract Research Organization:臨床試験に関連して製薬会社を支援)、SMO(Site Management Organization:臨床試験に関連して医療機関を支援)、及びCSO(MR派遣)の3事業を収益基盤に、医薬品メーカーのグローバル治験(治験:新薬開発のための臨床試験)に対応するべくGlobal Research(グローバル・リサーチ)事業を育成中。また、日中のヘルスケア産業の懸け橋としての機能を担う益新事業の育成にも取り組んでいる。

【持株会社体制への移行と中期目標】

「各事業セグメントの自立・自律経営体制の確立」、「ホールディングスとしてのグループマネジメント機能の明確化と強化」、及び「(株)イーピービズのシェアードサービスによる管理事務機能の効率化」の3点を目的に2015年1月1日付けで持株会社体制へ移行した。

事業セグメントは、CRO(医薬品開発業務受託機関)事業、SMO(治療施設支援機関)事業、CSO(医薬品販売業務受託機関)事業の国内3事業と、海外の臨床試験に関わるGlobal Research事業及び「日中のヘルスケア産業の懸け橋」と位置付ける益新事業の海外2事業に分かれ、この他、(株)イーピービズがグループ企業に対してシェアードサービスを提供する事で、グループ全体の間接部門のスリム化とコスト削減も進めていく。

持株会社体制への移行に先立ち、2014年10月1日付けで簡易吸収分割の手法を用いて、中国事業の管理機能を有するEPS益新(株)を中間持株会社化した。また、2015年1月1日付けで、国内SMO事業を手掛けるイーピーミント(株)の株式交換による完全子会社化(12月26日付けでJASDAQ上場廃止)及び完全子会社イーピーエス分割準備(株)へのCRO事業に関する権利義務の承継を実施すると共に、グローバル臨床開発支援を行うGlobal Research 事業を実施・管理するEPSインターナショナル(株)を中間持株会社化する(事業セグメントと主要グループ会社については次項参照)。

(1)中期経営戦略

3年後に目指す姿として、“日本国内における持続的成長可能な事業基盤の確立”、“日本発のアジア・グローバルCROへ”、“日本と中国、東南アジアを繋ぐヘルスケア専門商社へ” の3項目を挙げており、経費削減による収益力の強化を含めてビジネスモデルを再構築してく考え。この方針の下、事業セグメント別の経営戦略テーマを次のように定めている。

事業セグメント別中期経営戦略のテーマ

国内CRO事業     :確固たる業界 “No.1”へ
国内SMO事業     :確固たる業界 “No.1”へ
国内CSO事業     :独自性を持ったリーディングカンパニーへ
Global Research事業 :日本発のアジア・グローバルCROへ
益新事業      :日本と中国、東南アジアを繋ぐヘルスケア専門商社へ
グループ全体    :グループ経営の確立、管理部門の効率化

15/9期は売上高441億12百万円(前期比5.6%増)、営業利益46億25百万円(同3.0%増)。パススルー案件(外注活用案件。14/9期は売上ベースで10億円程度あった)の減少を見込む国内CRO事業の売上が前期比2.7%の増加にとどまる事に加え、受注を抑制して利益重視の姿勢で臨むGlobal Research事業の売上も同1.6%にとどまる見込み。一方、国内SMO事業及び国内CSO事業は潜在成長力に見合った売上の伸びを予想しており、益新事業も、益新(中国)有限公司が子会社を通して展開する画像処理関連の医療機器販売が増加する他、EPS益新(株)が手掛ける非臨床基礎研究用資材の商社事業も寄与してくる。
利益面では、持株会社体制への移行費用や事業再編コスト等が負担となり営業利益の伸びが同3.0%にとどまる。

16/9期以降は、市場の成長を取り込み、国内3事業の売上が順調に拡大。また、海外事業も、Global Research事業が売上拡大に向けて攻めの経営に転じる他、益新事業においては、医療機器販売や非臨床基礎研究用資材の拡大に加え、現在、立ち上げ中の医療機器製造の軌道化で、製造と販売の一体化効果も顕在化してくる見込み。
利益面では、再編の一巡とグループシナジーの発揮により収益性の改善が進む。

2015年9月期第1四半期決算
前年同期比16.4%の増収、同110.9%の経常増益

売上高は前年同期比16.4%増の105億11百万円。新規受注と実施中のプロジェクトの順調な進捗でモニタリング業務とデータマネジメント業務が伸びた国内CRO事業が同17.3%増、コールセンター業務とPMS(市販後調査)業務を中心に売上が増加した国内CSO事業が同15.1%増、円安も追い風となったGlobal Research事業が同46.8%増、医療機器販売事業が伸びた益新事業が同29.5%増と、実施中のプロジェクトの進捗の遅れで減収となった国内SMO事業を除く全てのセグメントで売上が増加した。

利益面では、国内CRO事業はデータマネジメント業務の収益性改善で、国内CSO事業は効率的な人員配置や経費の抑制等で、それぞれ利益率が改善。Global Research事業や益新事業の損失も減少し営業利益が8億49百万円と同83.4%増加。契約違約金収入70百万円の計上等による営業外収益の増加や法人税等調整額の影響が前年同期よりも少なかった事等で四半期純利益は3億66百万円と同3.6倍に拡大した。

国内CRO事業

国内CRO事業は、イーピーエス(株)、派遣型CRO業務の(株)イーピーメイト、医薬・医療系IT関連業務のイートライアル(株)、及び前期に株式を取得した(株)EPSアソシエイトの4社が事業を展開している。
この第1四半期は売上高57億56百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益9億17百万円(同89.5%増)。新規受注と実施中のプロジェクトの順調な進捗で既存受託案件の進捗が共に順調だったモニタリング業務とデータマネジメント業務が増収をけん引。派遣型CRO業務の売上も増加した。一方、受注高は臨床研究、医師主導治験、医療機器の支援業務、及び医薬・医療系IT関連業務等のCROその他業務の苦戦で50億59百万円と前年同期比0.5%減少したものの、モニタリング業務が同23.0%増、データマネジメント業務が同28.2%増と、主力業務は順調。受注残高は334億78百万円と前年同期末比10.2%増加した。

国内SMO事業

国内SMO事業は、(株)イーピーミントが事業を展開している。
この第1四半期は売上高14億58百万円(同2.8%減)、営業利益28百万円(同80.6%減)。実施中のプロジェクトの進捗の遅れで売上が減少する中、採用強化、本社移転、及び新規出店に伴う人件費や経費の増加が負担となった。受注高は前年同期の水準が高かった反動で16億21百万円と前年同期比14.8%減少したものの概ね期初計画通り。受注残高は82億11百万円と前年同期末比6.5%増加した。

国内CSO事業

国内CSO事業は、(株)EPファーマラインが事業を展開している。
この第1四半期は売上高16億80百万円(同15.1%増)、営業利益1億20百万円(同103.7%増)。受注が好調に推移したコールセンター業務と実施中のプロジェクトが順調に進捗したPMS(市販後調査)業務をけん引役に売上が増加する中、効率的な人員配置や経費の抑制等が成果をあげ利益率が改善した。受注高は前年同期比20.5%増の14億26百万円、受注残高は前年同期末比17.5%増の45億18百万円。

Global Research 事業

Global Research 事業は、EPSインターナショナル(株)と海外グループ会社で構成されており、中国を含む東アジア及び東南アジアを中心に事業を展開している。
この第1四半期は売上高5億64百万円(前年同期比46.8%増)、営業損失1億03百万円(前年同期は1億22百万円の損失)。大型のアジア治験の受注や海外グループ会社によるプロジェクト獲得など新規受注の好調に加え、実施中のプロジェクトが順調に進捗した事で売上が増加し、営業損失が減少した。受注高は前年同期比150.8%増の24億08百万円、受注残高は前年同期末比33.0%増の57億87百万円。

益新事業

益新事業は、EPS 益新(株)と益新(中国)有限公司及びその海外グループ会社で構成されており、EPS益新(株)は日本国内からの益新事業全体の管理及びサポート、益新(中国)有限公司は現地における事業の統括を、それぞれ行っている。
この第1四半期は売上高10億13百万円(前年同期比29.5%増)、営業損失84百万円(前年同期は1億18百万円)。デジタルレントゲン検査機や医用画像フィルム等の販売が好調に推移した事等で売上が増加し、営業損失が減少した。受注高は前年同期比24.2%増の10億58百万円、受注残高は前年同期末比33.1%減の1億円(医療機器販売は受注から売上までの期間が短い)。

第1四半期末の総資産は税金や配当金の支払い等で334億11百万円と前期末に比べて12億78百万円減少した。流動比率316.3%固定比率58.3%、自己資本比率58.7%。

2015年9月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比5.6%の増収、同2.0%の経常増益

15年1月1日付けで持株会社体制へ移行した。持株会社体制への移行費用や事業再編費用(貸倒引当金等で6億円程度見込む)等の一時的な費用が7~10億円発生する見込み。国内CRO・国内CSO事業の収益性改善と海外事業の損失減少が見込まれるが、体制移行費用等に余裕を持たせている事もあり、営業利益は46億25百万円と3.0%の増加にとどまる見込み。

セグメント別では、CRO事業、SMO事業、及びCSO事業の国内3セグメントで増収・増益を見込んでいる。一方、海外セグメントでは、医療機器販売事業の拡大に加え、前期に期ずれした開発権のライセンスアウトもあり、益新事業の損益が均衡。受注を抑制して利益重視(赤字削減)で臨むGlobal Research事業の損失も大幅に縮小する見込み。

配当は、上期末8円、期末10円の年18円を予定(14年4月の1:100の株式分割を考慮すると前期と同額)。

今後の注目点
上期予想に対する進捗率は、売上高49.1%、営業利益49.1%、経常利益59.1%、純利益56.2%、と順調。受注の好調と、国内CRO事業及び国内CSO事業の収益性が改善すると共に、海外事業の損失も減少した。国内CRO事業では、赤字案件の整理が進んだデータマネジメント業務において順調な案件処理が次の受注につながる好循環が生まれており、13年10月に子会社2社が合併して再スタートを切った国内CSO事業は合併後のマネジメントが軌道に乗ってきたようだ。海外事業は医療機器販売をけん引役に益新事業が順調だ。一方、Global Research事業は売上が増加し、損失が縮小したものの、売上が想定を下回り課題を残した。同事業は、EPSインターナショナル(株)を中間持株会社化して、中国、シンガポール、韓国、台湾等の現地法人を統括する体制に改めたが、第1四半期の3か月間では、その効果を十分に発揮できなかったようだ。今後の巻き返しに期待したい。
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