(3836:JASDAQ) アバント 2015年6月期第2四半期業績レポート

2015/04/01

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今回のポイント
・15/6期2Qの売上高は前年同期比6.2%増の41億円。ライセンス販売は低調だったが、コンサルティング、サポートは堅調に推移した。第1四半期に発生した不採算案件が収束したほか、新事務所開設やERP用テンプレート開発に伴う一時的費用が無くなったため収益性は改善。営業利益は同13.0%増の4億円となった。四半期(10-12月)の営業利益率は11.9%に上昇した。・業績予想に変更は無い。第3四半期以降には大型案件の受注が幾つか見込まれてはいるものの、他社との競争の結果次第という案件もあること、顧客の事情により案件の規模が縮小ないしは開始の時期が遅れることなども想定されることに加え、上期に採用した社員の人件費がフルに計上されるため予想は据え置いている。引き続き今期の収益性が著しく低下する事が無いよう、特に下半期で計画していた投資の一部については実施を見合わせる予定だが、来期以降の成長のための投資は引き続き進めて行く。基準配当性向10%に加え業績(当期純利益率)に連動して配当性向を追加する方針で配当額を決定しているが、今期は減益であるため今期の追加配当性向は5.1%にとどまる見込み。配当14円/株、予想配当性向15.1%。・第1四半期に発生した不採算案件は収束に向かい、第2四半期(10-12月)の営業利益率は11.9%と、過去3年遡っても高い水準となった。通期では減益の見通しであるものの、森川社長の言う「世界に通用するプロダクトを生み出せる会社」へと飛躍するための投資のためであり、PER、PBRから見ても投資家は足元の業績よりも中長期的な姿に期待、注目しているようだ。

会社概要

アバント<3836>は連結経営・会計システムのパッケージソフト事業大手である株式会社ディーバの他、その傘下にERP、ビジネスインテリジェンス((BI)、ビッグデータ関連のソリューションサービス、並びに企業開示情報の検索サービス等を提供する4つの主要な事業会社を有する持株会社。事業持株会社であった株式会社ディーバが2013年10月1日付けで新設分割により純粋持株会社へ移行することに伴い、事業を承継する新設事業会社の商号を新たに「ディーバ」とし、持株会社は「アバント」への商号変更を実施。
ディーバは企業の連結会計・グループ経営を支援するためのパッケージソフトウェアDivaSystemを開発、販売。
単に連結財務諸表を作成するだけでなく、「経営情報の大衆化」を掲げ、グループ経営における経営者の意思決定の品質向上に貢献するべく、会計知識が乏しくても自社の状況をわかりやすく把握できる仕組みを提供している。
技術優位性や導入後の高品質なサポート・サービスなどが評価され、上場企業約6社に1社が同社のユーザである他、時価総額上位50社中約半数の25社が同社システムを利用している状況にあり、継続率も高い。
今後は成長がより期待される企業業績の計測や管理という事業領域において国内No.1の地位獲得を目指す。

【事業内容】
『製品紹介』

連結決算を行うためには親会社はグループに属する各会社からそれぞれの個別会計情報を収集し、決算処理を行わなければならないが、グループ会社の数が増え、加えて海外子会社なども加わると、その作業量は増大し、業務効率は著しく低下する。

そこでこうした課題を解決するために、グループ会社からのデータ収集、連結決算処理、データ分析といった連結決算・連結グループ管理に関する各種業務を途切れることなくスムーズに統合し、決算の早期化、業務効率化、制度・管理連結の統合を実現するのが同社の中心製品「DivaSystem」だ。

1997年のバージョン1.0のリリース以来、連結決算、グループ経営管理ニーズに対応してバージョンアップを重ねてきた。
累計販売実績は845社で、時価総額上位50社のうち約半数の25社が、時価総額上位200社中の91社がDivaSystemを利用している。(2014年12月末時点)。
また、中心となるDivaSystemの他に、以下の様な製品ラインアップによって、顧客の連結決算、グループ経営を広範囲に支援している。

<DivaSystem MIPS>

グループ経営におけるパフォーマンス管理並びに意志決定を支援するBI分析ツール&ポータルソリューション

<DivaSystem GEXSUS(ジェクサス)>

グループ内の一般会計システムや各種業務システムのデータを、個別財務指標レベルではなく、仕訳や明細レベルで統合することができる、グループ統合一般会計モジュール

<DivaSystem SMD>

連結会計基盤の主要機能(収集、処理、出力)を発展させ、従来の連結会計では実現が困難であった組織、製品レベルでの連結経営指標を格納し、グループ各社を横断した配賦や、任意設定軸レベルでの連結処理、業績予測シミュレーションを可能にする。

<DivaSystem eRules/DivaSystem dSearch(開示Net)>

膨大な開示情報や法令情報を効率よく活用し、経理部門における開示業務を始め、経営企画部門の事業戦略、営業戦略の立案などを強力にサポートする。

『事業形態』

同社では以下の4事業形態を通じて顧客にソリューションを提供している。

<ライセンス販売>
2014年6月期 売上高 897百万円(売上構成比 10.8%)

連結会計システム、計画・予算策定システム、経営情報活用システムを連結経営の中核ソフトウェア製品と位置付け、DivaSystemを中心として、各種システムを販売している。

<コンサルティング・サービス>
2014年6月期 売上高 4,808百万円(売上構成比57.9%)

ディーバ社が取り扱うDivaSystem導入に際し、より効率的に活用するための導入支援サービスや、顧客固有の問題を解決するためにIT技術を利用した業務課題の改善と効率化を図るソリューションサービスを提供している。
また、ディーバ・ビジネス・イノベーション社では基幹系システムに関するソリューションをERPも含めて提供しており、ジール社は大手海外ベンダーのBIツールの管理連結やビッグデータ関連市場での導入支援を行っている。

<サポート・サービス>
2014年6月期 売上高2,351百万円(売上構成比28.3%)

システム導入後、システムの使い方や、それにとどまらず、様々な業務上の課題に対してサポートを提供している。
また、同社の連結決算業務に関するノウハウを活用し、顧客企業の管理部門における人員不足を補填し、より戦略的な業務に集中してもらうための「連結決算トータルアウトソーシングサービス」も提供している。

<情報検索サービス>
2014年6月期 売上高243百万円(売上構成比 2.9%)

インターネットディスクロージャー社が、開示情報、会計関連法令などを幅広くカバーし、利用目的に応じた効率的な検索を可能とする情報提供サービスを行っている。

同社の場合事業内容からROEが高めになるのは必然的といえるが、売上高当期純利益率の上昇に伴い、ここ2期連続してROEは上昇している。ただ、後述のように2014年6月期は投資活動の遅れが結果的に利益率の上昇に結び付いた点もあり、今2015年6月期も投資を継続する計画であることから当面のROEは前期がピークとなると思われる。2020年度、EBITAマージン20%を実現した際のROEがどの程度となるかを注目したい。

強みと特徴
【高い技術力】

DivaSystemの評価が高い大きな要因の一つが「高い技術力」だ。
同システムリリース当初、従来の他社システムであれば、子会社100社規模の連結財務諸表を作成するにはおおよそ5~6時間を要したが、DivaSystemはこれを5分程度で処理できた。
このDivaSystemを要求水準の極めて高い日本を代表する自動車メーカーや電気機器メーカーが採用していたことから顧客の高い評価を得ることができた。
高い技術力は、その後も多くの顧客ニーズに対応してきた長年の実績の中で更に強化されている。

【高いシェア】

前述のように、2014年12月末現在、DivaSystemは時価総額上位50社中約半数の25社が、上位200社中でも91社が利用している。
また、経験や専門知識が豊富な公認会計士やコンサルタントを豊富に抱えている他、手厚いサポート・サービスにより、15年間のユーザ継続率が約90%という高さとなっていることも同社の大きな特徴となっている。

2015年6月期第2四半期決算概要
不採算案件の収束で増収・増益

売上高は前年同期比6.2%増の41億円。ライセンス販売は低調だったが、前年度に獲得した大型案件や企業グループ内ERP導入支援などで、コンサルティング、サポートは堅調に推移した。既存事業の基盤強化や人材やIT投資を行った一方、第1四半期に発生した不採算案件が収束したほか、新事務所開設やERP用テンプレート開発に伴う一時的費用が無くなったため収益性は改善。営業利益は同13.0%増の4億円となった。四半期(10-12月)の営業利益率は11.9%に上昇した。

<ライセンス販売>

ニーズを捉えた提案営業を進めているが、前年同期に大型受注があった反動もあり減収だった。

<コンサルティング・サービス>

不採算案件の対応に人員を追加投入したため、大幅減収となった子会社があったが、他は堅調な需要に支えられて増収となり、全体でも増収を達成した。

<サポート・サービス>

主力製品であるDivaSystemの継続的なバージョンアップによる製品機能の強化に加え、顧客ニーズへの迅速な対応を通じた顧客満足度の向上を図っている。保守料収入は高い継続利用率に支えられ堅調に増加推移し、アウトソーシング・サービスも継続的な営業努力により大手顧客からの引合いも増加しており、2ケタの増収となった。

<情報検索サービス>

検索機能拡張などで顧客基盤は安定して推移。特定顧客向けに開示情報を利用したレポートを作成するスポット受注により微増収だった。

<コンサルティング・サービス>

多様な顧客ニーズに応えるサービスの提案に努めており、受注残高は前期3Qの655百万円を底に、前4Qの734百万円、当1Qの830百万円を経て、9億円台に回復した。ただサービス提供の人員確保が課題と認識している。

<サポート・サービス>

アウトソーシング事業の拡大により受注残は増加した。

<情報検索サービス>

顧客ニーズに対応した定期的な機能拡張に努めており受注は安定している。

 

前期末に比べ、売上債権は増加したが、現預金が減少したことなどで、流動資産は554百万円減少した。固定資産も35百万円減少し、資産合計は591百万円の減少となった。
受注損失引当金が発生したが、未払法人税、前受収益、賞与引当金等の減少で負債合計は720百万円減少した。
純資産は利益剰余金および円安に伴う為替換算調整勘定の増加等で129百万円増加した。この結果自己資本比率は52.4%と前期末の44.4%から8ポイント上昇した。

賞与引当金の減少などで営業CFのマイナス幅が前年同期に比べ拡大した。敷金及び保証金の差入による支出は減少したが、有形固定資産の取得による支出が拡大したため投資CFのマイナス幅はほぼ前年同期同水準だった。この結果フリーCFのマイナス幅も拡大した。配当金支払額の増加などで財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは104百万円低下した。

◎ROE

資産活用の効率性を測る尺度であるROEに対する投資家の注目が向上していることを考慮し、今期から四半期ベースで自主的に開示することとした。
今第2四半期のROEは30.0%。中長期的に平均20%以上を維持することを目標とする。

2015年6月期通期業績予想
業績予想に変更無し。2ケタ増収も投資積極化で減益へ

業績予想に変更は無い。
第3四半期以降には大型案件の受注が幾つか見込まれてはいるものの、他社との競争の結果次第という案件もあること、顧客の事情により案件の規模が縮小ないしは開始の時期が遅れることなども想定されることに加え、上期に採用した社員の人件費がフルに計上されるため予想は据え置いている。
引き続き今期の収益性が著しく低下する事が無いよう、特に下半期で計画していた投資の一部については実施を見合わせる予定だが、来期以降の成長のための投資は引き続き進めて行く。

2014年度より基準配当性向10%に加え業績(当期純利益率)に連動して配当性向を追加する方針で配当額を決定しているが、今期は減益であるため今期の追加配当性向は5.1%にとどまる見込み。配当14円/株、配当性15.1%。

(2)2020年に向けて ~森川社長に聞く~

同社は中期経営目標として、以下の数字を掲げている。

森川社長に2020年に向けたビジョン、方針などを伺った。

「世界に通用するプロダクトを生み出せる会社」を目指して、様々模索してきたが、2020年に向けたグローバル展開のための道筋が固まり、具体的なイメージが見えてきた。
これからのキーワードは「グローバル、グループ、会計、クラウド」。
当社はこれまで国内マーケットにおいては、DivaSystemを中心とした連結会計および開示に関する製品・サービスを本社に提供し、本社が連結会計を効率的に進めるサポートを提供してきた。
これに対し、これからはグローバル展開を念頭においた「次世代グローバル連結会計システム」を新たに開発して連結会計にドメインを絞り込んだうえで、アウトソーシング・サービスの実行能力をより一層向上させ、本社だけでなくローカルのグループ子会社にも製品・サービスを提供する。
これによって、これまでのターゲットであるグローバルに事業を展開している本社700社に加え、グループ会社5万社が新たな市場として登場することとなり、大きな売上規模を創り出せる可能性が大きく広がってきた。
こうしたビジョンを描くことが出来るようになった大きな要因が「クラウド」の登場だ。クラウドによるビジネス環境の劇的な変化が、当社のグローバル企業に成長する道を開いたといえる。
製品開発に欠かせないヘッドクラスの人材確保は目途がつき、クラウドサービスのパートナー企業もほぼ決定している。今後は各地域のローカライズを進めるためのグローバルパートナーの開拓も進めて行く。
当社は、過去2度の脱皮を繰り返して成長してきた。現在は3度目の脱皮の時期。世界に通用するITベンチャー企業への成長を目指す当社に是非期待していただきたい。
今後の注目点
第1四半期に発生した不採算案件は収束に向かい、第2四半期(10-12月)の営業利益率は11.9%と、過去3年遡っても高い水準となった。通期では減益の見通しであるものの、森川社長の言う「世界に通用するプロダクトを生み出せる会社」へと飛躍するための投資のためであり、PER、PBRから見ても投資家は足元の業績よりも中長期的な姿に期待、注目しているようだ。下の表は、主な企業向け財務・会計関連ソフト開発上場企業の業績及び株価関連指標を比較したもの。
前回レポート時点と大きな変化は無いが、ROEに関しては頭一つ抜けた存在となっている点が注目される。

<参考>
◎アバントグループとは?

以下、4つの特長を武器として売上高年率20%の持続的成長を目指している。

①.お客様
「大規模グローバルグループ企業がメインの顧客層」

現在、時価総額トップ50社中25社、時価総額トップ200社中の91社が顧客となっており、同社にとって最大の資産と認識している。
多くの顧客が多数の子会社を有している大規模なグローバルグループ企業で、透明性と説明責任を重視した事業成長を志向する企業群であり、IT活用に対する理解やニーズが高く予算も取りやすい。
これらの顧客に徹底的に貢献してその成長を支えていく。
顧客が世界レベルまで成長すれば、同社のプロダクトやサービスも世界に通用する事になると考えている。

②.ストーリー
「グループ企業向けソリューションにフォーカスし、お客様に最大限に貢献することでユーザ数100万人を目指す」
③.ビジネスモデル
「世界に通用するITサービス産業の実現」

ソフトウェア・製品を軸としてコンサルティング、アウトソーシング、受託、人材派遣サービスを自ら手掛け提供することで品質と収益性の向上を図る。
現在の収益率10%を20%まで引き上げる。
現在独自のプロダクトを有するDIVA単体の営業利益率は約20%。これを活用、実践する。
「製品をいかにして増やすか?そのための人材を確保できるか?」が課題となるが、人材確保に関しては各社が個別で行うのでなく持株会社による集中採用で効率的に進めて行く。
またすべてを自前で開発することはリスクも大きくなるため、アライアンスによる導入も進める。そのために新たに外国人をボードに加えた。

④.ソリューション
「投資額以上に売上増加、経費削減へ具体的に貢献するソリューションの提供」

対象業種及び対象業務を拡張し、カバーする領域を拡大する。

◎グループビジョンと戦略、目標

100年後も持続発展可能な顧客の価値創造に「全員が燃える」クリエイティブな世界企業を創る。

「迅速性:20%成長」、「柔軟性:連結経営」、「独自性:領域特化」を特長とする「世界に通用するITベンチャーを造る」ことを目指している。
そのためには以下の様な3ステップで成長を続けていく。

現在はProduct Outのステージ。1st Priorityによって創出された収益を生産性、成長のために投資するフェーズ。
戦略としては「戦略1:事業拡大」、「戦略2:HPS(※)実現のための投資」、「戦略3:事業モデルの変換」の3つを推進する。

※HPS:High Performance Service。全ての企業に専門性や深い経験が求められる領域のプロフェッショナルサービスを高品質、低価格で提供するサービス。
戦略1:事業拡大
「水平・垂直・専門特化ソリューションを拡大」

顧客にとっての貢献価値を高めることを目指し、ソリューションの幅を拡大し現在の顧客に展開すると共に、業務特化ソリューションを展開し対象業種を順次拡大する。
具体的には新たなソリューションとして、連結原価会計ソリューション、PMI(※)ソリューションなどに力を入れている。

※PMI:Post Merger Integration。M&Aによる統合効果を確実にするために、M&A初期段階より統合阻害要因等に対し事前検証を行い、統合後にそれを反映させた組織統合マネジメントを推進すること。
戦略2:HPS実現のための投資
「High Performance Service実現のために人財、製品および方法論の開発に投資」
戦略3:事業モデルの変換
「フロー型からストック型へ」

現在クラウド事業モデルの実現に取り組んでおり、保守、アウトソーシングなど売上構成は約2割であるが、今後はクラウド事業に注力してフロー型からストック型への事業モデル変換を進め、クラウド事業の構成比を5割まで引き上げる。また並行してプロダクトシフトも進め自社製品による高収益を実現する。

③中長期経営目標

世界に通用するITベンチャーを造ることを目指す同社は、2020年6月期において以下のような経営目標を掲げている。

◎【沿革】
1997年05月 東京都大田区大森に株式会社ディーバ(資本金11,000千円)を設立
1997年10月 DivaSystemの販売を開始
2001年09月 本社を東京都大田区蒲田に移転
2002年06月 連結会計業務支援の一環として連結会計実務講座を開始
2004年01月 連結決算業務のアウトソーシングサービスを開始
2005年11月 大阪支社を大阪府大阪市北区堂島に移転
2007年02月 株式会社大阪証券取引所ニッポン・ニュー・マーケット-「ヘラクレス(現JASDAQ)」に上場
2008年10月 DIVA CORPORATION OF AMERICAを設立
2009年11月 株式会社インターネットディスクロージャーを子会社化
2010年11月 本社を品川(現所在地)に移転
2011年08月 株式会社ディーバ・ビジネス・イノベーション設立
2012年07月 ジール分割準備株式会社を設立
2012年10月 ジール分割準備株式会社を株式会社ジールに商号変更し、情報システム事業を株式会社DHI(旧 株式会社ジール)から承継
2013年10月 持株会社体制へ移行し、(株)アバントへ社名変更
◎【社長プロフィール】

森川社長は1966年2月生まれの現在49歳。
大学卒業後、1990年4月大手外資系コンサルティング会社「プライスウォーターハウスコンサルタント(株)」に入社した。数多くの企業に対するコンサルティング業務を経験する中で、体得したノウハウをソフトウェアに転写し提供することで、より多くの企業の役に立ちたいと感じていた。
なかでも、時代のニーズが急速に高まっていた「連結会計」は、企業の様々な会計情報を収集・整理・レポートすることで経営者の意志決定の品質向上につながると確信。
ミッションである「経営情報の大衆化」を実現するために「連結会計のパッケージソフトウェア」を事業化し、また学生時代から持ち続けていた理想の会社を自ら作りたいとの想いもあり、同志数名とともに1997年5月に同社を設立した。
コンサルティング会社時代の人脈を徹底的に活用して営業を展開。同年10月に東証1部上場の大手製薬会社が第1号顧客となった後も、1年目7社、2年目20社と顧客数は順調に増大した。
販売パートナー企業とのアライアンスを構築しながら毎年ほぼ倍々ペースで顧客を拡大し、2007年2月に株式を大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場した。

◎【ミッション&ビジョン】
ミッション:「プロフェッショナルサービスの大衆化」

財務情報のみならず多様な企業活動の情報の価値転換というニーズに応えるためにこのミッションを掲げ、「プロフェッショナルサービスをハイクオリティ&ローコストで提供」、「サービス生産性を世界最高水準まで高め、サービスビジネスをイノベート」、「多くのエッジの効いたブランド企業による企業連合の実現」を目指している。

ビジョン:「100年企業の創造」

「他者貢献」を通して誰よりも発展する理想企業の創造に向け、「社員全員が燃える会社」を目指している。
顧客に対する長期的な貢献を果たすことに最大の意義をもって事業活動に取り組んでいる。

バリュー:「OPEN」、「VALUE」、「STRECH」
OPEN:透明性の高い組織

組織のありかたを示す。率直かつ誠実な人間関係を大切にする組織風土を大切にしている。

VALUE:徹底した顧客志向

顧客志向のありかたを示す。常に新たな価値創造に取り組み、最高の顧客満足を追求する姿勢を大切にしている。

STRETCH:人間としての成長を楽しむ人々の集団

個人のありかたを示す。変化を楽しみ成長を追求することが、一人ひとりにとっての活力を促すという考え方。

◎【市場環境】

同社が設立から現在まで急成長してきた大きな時代的背景の一つが「連結決算制度」の導入だ。
日本では2000年3月期より、新連結決算制度が導入され、従来の個別中心から連結決算中心へと変化した。
これに伴い上場企業を中心に、制度会計としての連結決算をスムーズに且つ正確・確実に行うためのパッケージソフトウェアなどソリューション・ビジネスに対する需要は急拡大した。
ただ、連結決算の定着、新規公開企業数の減少などから同ビジネスは成熟市場となっている。
一方、企業を取り巻く事業環境が不透明さを増し競争も激しく、経営の効率化が求められる中、会計情報を外部への開示だけでなく、内部の経営管理にも活用する動きやニーズが年々強まっている。
こうした企業ニーズに対応するソリューションの一つがCPM(Corporate Performance Management)と呼ばれる手法であり、CPM市場は今後の成長が期待されている。

同社は、これまで「連結会計と連結経営」にフォーカスして培ってきた製品やサービスにおける強みを、加速化する国際化の中でも発揮することが顧客にニーズに対応することと考えており、CPM市場をターゲットとして事業展開を進めている。

◎『CPMについて』

連結会計のパッケージソフトウェア「DivaSystem」で大きく成長してきた同社だが、前述のように同関連市場が成熟した現在、新たな成長市場である「CPM」における事業展開を進めている。
そこで、以下CPMの基本的な概要について整理しておく。

◎CPMとは?

CPMの定義は様々だが、市場調査大手の米国ガートナー社は
「企業がビジネス・パフォーマンスを測定、監視、管理するためのプロセス、方法論、評価尺度、テクノロジを包含した概念」
と定義している。

企業が戦略やビジョンに基づいてあらかじめ定めた指標を通じて、業績(パフォーマンス)を常に監視し、異常や問題を発見して対策を講じることができるようにするため仕組みと考えれば良いだろう。

◎CPMのプロセス

CPMを進めるには、KPIと呼ばれる指標を設定することが不可欠で、経営者はその指標を常時ウォッチし、企業の現状を把握する。また、自社の過去のデータと比較するだけでなく、同業他社や業界平均等とも比較し「自分の会社が現在どういう状況にあるのか?」をリアルタイムで把握する。
仮に、あるべきKPI目標値とのギャップが生まれた場合には、企業行動が当初想定の方向に向かっていないことを意味するので、原因を究明し、対策を取り、修正を加えなければならない。

◎具体的なCPMの運用例

現在ROE(株主資本利益率)が5%であるA社が、株式市場での評価を高めるために「株主価値の更なる向上」をビジョンに掲げ、KPIとしてROEを選択し、10%達成を目標に掲げたとする。

ROEは「当期純利益÷株主資本×100」で表されるもので、事後的に財務諸表から計算できるが、経営者が結果としてのROEを日常的にモニターしてもCPMにおいては意味がない。仮にROEが目標より低下してもどこに原因があるのかすぐにわからないからである。
また、「ROE 10%」という目標を掲げても、一般の事務職員や工場スタッフに、「株主のために資本効率を改善させろ。」と指示しても、理解させることは全く難しいだろう。
「ROE 10%の実現」という目標を全社的に理解させ、真剣に取り組むためには、各従業員が日常業務の中で具体的に取り組むべき目標や指標を、経営者は設定しなければならない。

そこで、通常ROEは「売上高当期純利益率」×「総資産回転率」×「財務レバレッジ(自己資本比率の逆数)」に分解されるが、それぞれの指標を更に分解するなどして、企業の各セクション毎に適した指標、目標を設定しモニタリングする必要がある。
例えば、小売り企業であれば、店舗開発の部隊には、全社目標のROEではなく、特定の投資に対するリターンである「ROI(投下資本利益率)」にブレークダウンして具体的な水準を目標として指示する。また、販売の現場では「売上高粗利益率を何ポイント上昇させる。」といった具体的な目標を設定するという風に。

こうして設定した指標を日次、週次、月次でウォッチすることで、国内外のどこの販売拠点や工場で問題が発生しているかを経営者は把握することができる。

このように、企業を取り巻く膨大なデータ(ビッグデータ)から経営者が自社の経営にとって重要と考えるデータを抽出、加工の上、直感的に理解できるよう可視化し、変化のスピードが極めて速い現在のビジネス環境下で会社を目指すべきGoalに辿り着かせるためには経営者にとって無くてはならない仕組みがCPMである。

◎近年CPMが注目を集めている背景
1.企業活動のグローバル化

工場や拠点が日本国内に限られていれば、現場に行くことが比較的容易だが、例えば海外に生産拠点を構え、販売は別の国でという状況になれば、KPIを使って現場の状況を把握せざるを得なくなる。

2.タイムリーな業績管理の必要性

企業活動が複雑化し、日々の活動と業績の間に時間的な遅れが生じ、財務的数字だけの管理では対応が手遅れになりかねない。B/SやP/Lはあくまでも結果に過ぎず、結果を見て対応しても効果が表れるまで時間がかかってしまうため、結果ではなく経過の数値管理が必要で、日々の活動をKPIで管理することが不可欠になっている。

3.IT技術の発達

膨大なデータをスピーディに集計、分析してレポーティングするには、高度なIT技術が不可欠である。

◎CPM市場の市場規模および市場環境

現在の日本におけるCPM市場の規模は凡そ20~30億円と言われているが、グローバルマーケットはその100倍の2,000億円(約25億ドル)程度と同社では考えている。

ITグローバル市場に占める日本市場の比率は約10%となっていることから、今後日本におけるCPM市場も現在の約10倍程度の200億円まで拡大すると見込まれる。またグローバルマーケットは現在でも年率10%で成長しており、日本市場もなお大きく拡大することが期待できると会社側は見ている。
グローバル市場のプレーヤーを概観してみると、オラクル(米国)、SAP(ドイツ)、IBM(米国)、SAS(米国)など上位5社のグローバル・メガベンダーが70%のシェアを握っている。

◎用語
『ビッグデータ』

情報通信、とくにインターネットの発達にともなって爆発的に増大したため、既存の技術では管理するのが困難な大量の構造化されていないデータ。
様々な局面に発生したこの巨大なデータの集まりを分析することで、例えば、「消費者のWeb上でのアクセス履歴を分析し最適な広告打ち出す。」、「ユーザの行動履歴から退会しそうな会員を発見し対応する。」といったアクションを取ることが可能になる。
企業経営者の意志決定の場面においても、企業を取り巻くビッグデータの活用・分析は不可欠なものとなっている。
ビッグデータの有用性と、関連するビジネスの将来性・成長性については、世界中の多くの企業が強い関心を持つ。
BIもCPMも「企業経営」という一局面におけるビッグデータの活用となる。

『BI(ビジネスインテリジェンス)』

企業内外の事実に基づくデータを組織的かつ系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工して、ビジネス上の各種の意思決定に有用な知識や洞察を生み出すという概念や仕組み、活動のこと。また、そうした活動を支えるシステムやテクノロジを含む場合もある。
BIとCPMはビジネスにおける意志決定を支援するという意味では同義であるが、BIは、ビジネスに関連したデータに対するアクセス、分析、リポーティングなどに使用する技術やツール全般を指す。
一方、CPMというのはBIの技術やツールを用い、主に企業内に蓄積された様々な会計や財務データを活用することで、企業活動の成果を客観的に監視・測定・管理することや、将来の計画や予測を立てるなどの意思決定に資する一連の行為である。

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