(2154:東証1部) トラスト・テック 2015年6月期上期業績レポート

2015/04/01

trusttech

今回のポイント
・15/6期上期は前年同期比17.8%の増収、同4.3%の経常増益。自動車関連向けや半導体関連を含む電気機器向けを中心に技術者派遣・請負・委託の売上が同27.9%増と伸びた他、製造請負・受託・派遣事業の売上も、業界全体がマイナス成長となる中で同6.0%増加。事業拡大に向けた営業・採用拠点開設に伴う人件費や不動産費用等の増加を吸収して営業利益が同4.9%増加した。・通期業績予想に変更はなく、通期で前期比24.7%の増収、同36.5%の経常増益。技術者派遣・請負・委託事業が同35.9%増、製造請負・受託・派遣事業が同11.3%増と共に二桁の増収を見込む。営業・採用拠点の拡充等による営業費用の増加を吸収して営業利益が同37.8%増加する見込み。期末配当は記念配10円を落とし、普通配を15円増配の35円を予定(年60円)。・技術者派遣・請負・委託事業が好調だ。稼働技術者数は、この1年間で415名増加と驚異的な伸びを示した。「需要は旺盛だが、人材確保が思うに任せない」と言うのが、この業界の悩みだが、人材を確保できたところで、職場が自分に合わなければ技術者はすぐに辞めてしまうし、要求したスキルが無ければ派遣した社員が顧客から突き返されてしまう。稼働技術者数を増やしていくには、営業活動における顧客ニーズ(必要とするスキル)の正確な把握と、採用活動における応募者のスキルと適正の見極めが必要となる。営業力と採用力、そしてその結果としてのマッチング力が同社の強みである。

会社概要

メーカーの技術開発部門や製造部門を対象とした人材派遣及び業務の請負・受託を中心に事業展開。製造部門向け派遣・業務請負・受託の(株)TTM、香港を拠点に中国で事業展開する日系企業向けに人材サービスを提供する香港虎斯科技有限公司(HKTT)及び、障がい者雇用を目的とした特例子会社の共生産業(株)の連結子会社3社と共にグループを形成し、メーカー向けのトータルソリューションの提供を特長としている。

【事業内容 - 開発/設計(上流)から製造/流通(下流)まで一気通貫の人材サービスを提供 -】

事業は、研究開発における技術分野の派遣、請負、業務委託を手掛ける技術者派遣・請負・委託事業、子会社の事業領域で製造工程業務等の請負・受託を手掛ける製造請負・受託・派遣事業、障がい者雇用促進事業、及び神奈川県相模原市に保有する不動産の賃貸を手掛ける不動産賃貸事業の4セグメント。開発・設計(上流)から製造・流通(下流)まで一気通貫のサービスを提供する事で「技術」と「製造」の事業間シナジーを追求している。

技術者派遣・請負・委託事業(15/6期第2四半期 売上構成比58.4%) 事業主体:(株)トラスト・テック、香港虎斯科技有限公司(HKTT)

売上の約8割を占める技術者派遣と業務請負・委託を中心に、技術者の人材紹介、紹介予定派遣にも対応している。技術者派遣では、同社の技術社員が研究・開発、設計・解析、試作・実験、生産技術等の業務に従事しており、派遣期間に制限がない。また、香港虎斯科技有限公司(HKTT)が、中国で事業展開する日系企業向けに人材サービスを行っており、ベトナム、インドネシア等、東南アジアへ進出する企業への対応も進めている。尚、当事業に就業する技術社員は「常用雇用者」であり、期間の定めのない雇用契約を締結している。
15/6期第2四半期の業種別売上構成比は、輸送用機器51%、電気機器27%、機械11%、精密機器2%、その他7%。

製造請負・受託・派遣事業(同 売上構成比41.3%) 事業主体:(株)TTM

請負は主に顧客企業の構内において、同社が業務遂行指示や管理業務を含めて、加工・組み立て、仕上げ、検査、梱包・出荷等の作業を行うもので、一般の製造業同様に労働基準法等の関係法令の規制を受ける。売上の約4割が請負・受託で、約6割が派遣。
15/6期第2四半期の業種別売上構成比は、電気機器20%、輸送用機器17%、機械14%、建材・住宅設備機器11%、印刷関連9%、食料品5%、その他製品3%、その他21%。

障がい者雇用促進事業  事業主体:特例子会社 共生産業(株)

特例子会社 共生産業(株)が、重度の知的障がい者を主体に雇用し、梱包業務・クリーニング業務等の軽作業や(株)トラスト・テックが神奈川県相模原市に所有する不動産の保全業務を手掛けている。障がい者が健常者と同じ職場で役割分担をしながら安心して働ける職場の提供を目的としたCSRの一環としての事業である(障がい者雇用率は法定の2%を上回る水準を維持している)。

【トラスト・テックの特長・強み - 営業力、採用力、教育・研修、請負化の実績、及び国際化対応力 -】

同社の強みとして、営業力、採用力、技術者への教育・研修、請負化の実績、及び国際化対応力の5点を挙げる事ができる。全国へ展開する拠点ネットワークとグループの総合力を源泉とし、全国の拠点に配置された採用担当者と営業担当者が連携する事で即戦力の人材を機動的に採用でき、顧客企業のニーズにタイムリーにマッチングできることが同社の強みであり、顧客企業からも評価されている。

入社後には、教育・研修のカリキュラムが用意されており、技術者一人一人が目標設定を行うスキルアップ計画を立て、技術者、当社担当者、顧客企業の三者で進捗管理を行うことで、個々のスキルアップ推進を行っている。また、企業によっては、「派遣」から「請負」へ人材サービスの利用を切り替える場合もあるが、自己完結で結果責任(生産量、品質、コスト)が求められる「請負」は、「派遣」のノウハウしかない人材サービス会社にはハードルが高い。同社は業務請負で豊富な実績を有し、自社の開発センターでの受託業務にも対応が可能だ。更に、香港の現地法人(HKTT)は、人材紹介などにより日系企業の中国進出支援や中国現地企業向けサービスで実績を有し、人材サービス会社の海外展開では先頭集団を走る。東南アジアへの展開を視野に入れ、事業を進めている。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

東証発表の「決算短信集計」によると、14年8月15日現在の東証1部上場企業の13年度のROEは、金融を除く全産業8.66%(前期は5.33%)、製造業8.55%(同4.81%)、非製造業8.81%(同6.07%)。
同社は正社員による収益性の高い技術者派遣・請負・委託事業と有期雇用契約社員による機動力と資産効率を特徴とする製造請負・受託・派遣事業のハイブリッド経営により、高い利益率と優れた資産効率を実現すると共に健全な財務体質を維持する事で上場企業の平均を大きく上回るROEを実現している。

中期経営計画

同社の中期経営計画は、その時節の経済動向や市場環境を踏まえて3ヵ年の経営目標数値を毎年設定するローリング方式を採用している。直近の中期経営計画(15/6期~17/6期)では、顧客企業の人材需要が今後も継続する事を前提として、高い成長率を見込んでおり、2年目以降の売上高及び経常利益の目標値をレンジで設定した。

(1)基本方針と戦略
基本方針 「技術者派遣・請負・委託事業」を軸に業容拡大に注力し、利益率の向上と安定的な株主還元を行う

上記基本方針の下、技術系業務にフォーカスして、営業(需要の取り込み)と採用(供給力の強化)の両面から強化を図ると共に、社員のスキルアップを支援して全社的な技術の底上げを図り、顧客ニーズに応えていく考え。具体的な戦略として、「技術系営業拠点の全国展開強化」、「技術者の中途採用の活動拠点拡大と社員教育強化」、及び「新卒採用の本格化」、という3つの戦略を挙げている(これまで同社は圧倒的な強みを有する中途採用での戦力補強に注力していたが、新たに新卒採用にも本格的に参加し、事業規模の拡大を図る)。

「技術系営業拠点の全国展開強化」

全国に営業ネットワークを広げ、既存顧客の深耕と新規顧客開拓を加速する。14/6期末に14拠点だった営業拠点を、15/6期末までに20拠点に増やし、更に17/6期末までに30拠点に拡大させる。

「技術者の中途採用の活動拠点拡大と社員教育強化」、「新卒採用の本格化」

採用担当者の増強と採用エリアの拡大で強みである中途採用力に磨きをかけると共に、新卒採用による技術社員の自社育成にも取り組み技術社員数の増員ペースを上げていく。中途採用の拠点については、14/6期末に15拠点だった採用拠点を、15/6期末までに22拠点に増やし、更に17/6期末までに40拠点に拡大させる計画。
一方、新卒採用による技術社員の自社育成では、新卒採用を本格的に開始すると共に、新卒の早期戦力化に向け教育体制の充実を図る。教育体制の充実では、CAD研修のための施設及び機器を拡充する他、1ヶ月を超える独自の研修プログラムを導入。入社前及び入社後の研修の充実も図る。また、ひとりひとりのキャリアアッププランに基づき配属先の業務内容をステップアップさせる等、社員のキャリアアップも支援する。

16/6期計画及び17/6期計画はレンジでの設定となった。下限値は、輸送用機器関連を軸に全国展開を強化し、新卒採用の増強で必要な人員を確保したケースを想定している。一方、上限値は、電機メーカー等の人材ニーズも回復し、このニーズの取り込みによる上積みを図ったケースを想定している。

2015年6月期上期決算
前年同期比17.8%の増収、同4.3%の経常増益

売上高は前年同期比17.8%増の99億18百万円。自動車関連向けや半導体関連を含む電気機器向け等が増加した技術者派遣・請負・委託事業の売上が同27.9%増と伸長。業界全体がマイナス成長となる中で複数の解約案件が発生した製造請負・受託・派遣事業の売上も同6.0%増加した。

経常利益は同4.3%増の6億70百万円。事業拡大に向け、営業拠点6拠点、採用拠点7拠点を開設した事に伴う人件費や不動産費用等の増加で販管費が16億67百万円と同15.9%増加したものの、増収効果で吸収。税負担の減少で四半期純利益は4億23百万円と同9.5%増加した。

技術者派遣・請負・委託事業

売上高57億90百万円(前年同期比27.9%)、経常利益5億60百万円(同14.9%増)。技術者のニーズは強く、自動車関連企業向けが、設計開発、生産技術、試験等の分野を中心に伸びた他、半導体製造装置メーカーを含む電気機器業界向けも生産設備関係等で配属人員が増加。利益面では、営業拠点の増設による営業費用(人件費や不動産費用等)の増加を吸収して増益基調を維持した。
上期末の技術者員数は前年同期末に比べて415名増の1,817名(前期末に比べて205名増)。

製造請負・受託・派遣事業

売上高40億96百万円(前年同期比6.0%増)、経常利益1億08百万円(同25.2%減)。業界全体がマイナス成長となる中、同社も一部の大口顧客の減産の影響を受けた結果、売上が想定したほどには伸びなかった。利益面では、上記の解約に伴う社員寮負担や有給消化に伴う負担増に加え、技能社員の手当等を強化した事もあり、経常利益が減少した。
上期末の技能社員数は前年同期末に比べて94名減の2,169名(前期末に比べて199名減)。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

配当や法人税等の支払いで上期末の総資産は63億24百万円と前期末に比べて1億31百万円減少した。流動比率223.9%(前期末204.4%)、固定比率29.7%(同30.5%)、自己資本比率63.2%(同59.4%)と、財務内容は良好。流動性に富む一方で、長期的な安定性も有する。

2015年6月期業績予想
技術者派遣・請負・委託事業がけん引。製造請負・受託・派遣事業も増収・増益へ

技術者派遣・請負・委託事業は引き続き旺盛な人材需要が見込まれ、自動車関連企業向けに加え、半導体を含む電気、機械、医療機器向け等の売上も増加する。4月入社の新卒社員約300名の大半が5月末までには稼働する見込みで、第4四半期(4-6月)には配属人数が大幅に増加する見込み。製造請負・受託・派遣事業は、上期は減少傾向にあった技能者数が下期は増勢に転じており、当面、大口解約のリスクも低い。売上の増加と解約の影響一巡で、経常利益率が前年同期及び上期に比べて大幅に改善する見込み。

通期業績予想に変更はなく、6期連続の経常増益を見込む

セグメント別の予想は、業績拡大をけん引する技術者派遣・請負・委託事業が売上高130億36百万円(前期比35.9%増)、経常利益14億50百万円(同40.9%増)。技能者数が増加に転じた製造請負・受託・派遣事業が売上高89億円(同11.3%増)、経常利益3億50百万円(同30.1%増)。両事業で増収・増益が見込まれるが、製造請負・受託・派遣事業は上期の苦戦をカバーできず、売上・利益が下振れする可能性があるが、採用が順調に進み、新卒の早期稼働も見込まれる技術者派遣・請負・委託事業の上振れでカバーできる見込み。

期末配当は1株当たり35円を予定。記念配10円を落とし、普通配を15円増配する考え。通期では記念配20円を落とし、普通配を30円増配の60円となる。尚、同社は安定配当を重視しつつ、業績に連動した配当を実施していく考え。

(2)採用と営業の強化で更なる拡大が見込まれる技術者派遣・請負・委託事業

人材ビジネスの売上高を決める要素は、①社員数、②稼働日数、及び③一人1日当たりの売上の3つ。計算式は次のようになる。

月商=①社員数(技術者数又は技能者数)×②稼働日数×③一人1日あたりの売上

製造請負・受託・派遣事業は顧客業種毎に温度差があるが、自動車関連の好調に加え、他の業種でも需要が回復してきた技術者派遣・請負・委託事業は採用と営業の強化及びマッチング率の向上で下期以降も大幅な増員が見込まれる(上記計算式の①の増加)。

新卒採用の大幅増強と全国規模での新卒内定者向け研修

2015年4月入社の新卒技術者は約300名を予定しているが、新卒採用を大幅増強し、2016年4月450名、2017年4月600名と、毎年150名の増員を図る考え。また、早期戦力化に向け、全国に展開するパソコンスクールと連携して全国規模での新卒内定者に対する3次元CADのCATIA研修を2014年12月から開始した。この4月入社の300名の大半が5月末までに稼働する見込み。通期で寄与する16/6期は20~30億円の売上貢献が期待できる。尚、足元では新卒でも受け入れてくれる案件等、若手でも対応できる案件が増えている。企業との積極的な単価交渉により、受注単価も上昇傾向にあると言う。

採用エリア、採用担当社員を増強・増員した中途採用の拡大

上期は北海道(札幌)と四国(高松)に採用活動を専門に行う採用センターを開設する等、採用拠点を前期の15拠点から22拠点へ拡大した。中途採用の更なる拡大と新卒社員の稼働で下期の技術社員数は大幅に増加する見込み。

営業強化により技術者の就業先を増やしマッチング率を向上

営業担当社員の増員に加え、営業拠点を前期の14拠点から20拠点へ拡大して技術者派遣領域での新規案件の獲得を推進した。多様な案件を取り込むとともに、技術者の採用時には、営業所長や、メーカー出身の顧問が積極的に面接に参加することで、技術力の見極めを行い更なるマッチング率の向上につなげていく。また、新規分野の開拓として、ITや組込みソフトの分野を強化したい考え。現在、この分野の売上構成比は1%程度だが、早期に20~30%へ引き上げたい考え。

子会社HKTTがインドネシア駐在員事務所を設立(4月1日予定)

インドネシア市場での人材ビジネスに関する情報収集等を目的に、子会社の香港虎斯科技有限公司(HKTT)が、4月にジャカルタに駐在員事務所を設立する。今後、年1か所程度のペースで拠点を開設していく計画で、台湾、タイ、韓国が市場調査対象。

今後の注目点
技術者派遣・請負・委託事業が好調だ。稼働技術者数は、この1年間で415名増加と驚異的な伸びを示した。「需要は旺盛だが、人材確保が思うに任せない」と言うのが、この業界の悩みだが、人材を確保できたところで、職場が自分に合わなければ技術者はすぐに辞めてしまうし、要求したスキルが無ければ派遣した社員が顧客から突き返されてしまう。稼働技術者数を増やしていくには、営業活動における顧客ニーズ(必要とするスキル)の正確な把握と、採用活動における応募者のスキルと適正の見極めが必要となる。営業力と採用力、そしてその結果としてのマッチング力が同社の強みであり、15/6期上期は営業拠点及び採用拠点を増設し営業力・採用力に磨きをかけた。尚、現在の中途採用の状況を考えると、今期中途採用した社員がフルに稼働する来期は40~50億円の売上押し上げ効果が期待でき、2015年4月入社の新卒の寄与も20~30億円見込めると言う。これらを合算すると、70~90億円の増収が見込まれる。また、ハイエンドなスキルを持った人材に対するニーズが強い事は言うまでもないが、昨今では、経験の浅い社員や新卒社員でも配属が可能な案件が増えており、新卒社員(技術者)の時給単価も上昇している模様で、収益性の改善も期待できる。この結果、来期は中期経営計画の上限である売上高300億円、経常利益30億円を超える可能性が高いと思われる。
株式会社インベストメントブリッジ
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個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
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