(6890:JASDAQ) フェローテック 2015年3月期第3四半期業績レポート

2015/03/25

ferrotec

今回のポイント
・15/3期3Q(累計)は前年同期比38.5%の増収、同267.4%の経常増益。自動車温調シート向けサーモモジュールを中心に電子デバイス事業の売上が同45.6%増加した他、スマートフォン用LSIの生産増が追い風となった石英製品やセラミックス製品を中心に装置関連事業の売上も同25.4%増加。シリコン結晶製造装置の寄与やシリコン製品(インゴッド、ウエーハ)の数量増で太陽電池関連事業の売上も同54.5%増と高い伸びを示した。・通期予想は前期比25.2%の増収、同18.9%の経常増益。進捗率は、売上高78.1%、営業利益80.1%、経常利益109.5%、当期純利益110.8%。業績予想に変更はなかったが、3Qまでの推移を考えると、通期の売上高が上振れする可能性は高く、そうなれば営業利益も影響を受ける。経常利益、当期純利益は営業利益以上に為替の影響を受けやすいため期末の為替相場次第の面はあるが、既に通期予想を上回っている。配当は1株当たり2円増配の期末8円を予定。

・上振れ期待が高まっている15/3期業績だが、16/3期の見通しも明るい。装置関連事業では日米の半導体製造装置メーカーや日・台・中のデバイスメーカーとの関係強化が進んでおり、太陽電池関連事業では銀川工場へシリコン製品の結晶製造工程を移管するため収益性の改善が進む。また、電子デバイス事業は、車載機器でサーモモジュールの用途が広がっている事に加え、パワー半導体用基板の認定取得も進んでいる。

会社概要

消耗品を含めた半導体・FPD製造装置部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴だ。

【事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウエーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、14/3期の売上構成比は、それぞれ48.3%、14.8%、29.5%、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他7.4%。

装置関連事業

同社が最も力を入れている事業であり、エンジニアリング・サービスをトータルに提供。装置部品、消耗品、スペアパーツの生産に加え、装置洗浄(中国でシェア50%)も手掛ける。主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置に不可欠。その内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。

一方、石英製品とセラミックス製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体の製造工程に不可欠な高温作業や活性ガスとの化学変化に耐える高純度のシリカガラス製品。同社はLEDメーカー向けで高いシェアを有する。太陽電池の製造プロセスで使われる石英坩堝(太陽電池関連事業)でも高いシェアを有し、この技術を活かして半導体向け高純度坩堝を育成中である。また、材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを顧客とし、半導体検査プローブカード用マシナブルセラッミックスがフラッシュメモリ向けで伸びている。

この他、ディスクリート半導体向けの小口径ウエーハ加工(インゴットのスライス)も月産30万枚規模に達しており、小口径ウエーハの加工分野で一定の存在感を有する。

電子デバイス事業

事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。また、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の販売も当セグメントに含まれる。

太陽電池関連事業

2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及びシリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池の基板となるシリコンインゴットとウエーハの受託生産や、インゴットとの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。消耗品である坩堝については、多様なラインナップを揃えると共にカスタマイズにも対応し、高い市場シェアを有する。

【新たな取り組み】

中期的には、食料、水、エネルギー、コミュニケーション、医療といった市場拡大が見込まれる分野で、強みである真空技術や精密加工技術を活かしていく考え。医療分野では、CTスキャンやMRIで真空チャンバー、真空シール、真空パーツ等の需要があり、足元、中国メーカーとの商談が進んでいる。また、欧州のパワーデバイスメーカーとの間で、サーモモジュールの技術を使ったパワー半導体用基板の商談も進んでいるようだ。
尚、長寿命と温度制御の正確さを強みに、同社は血液検査装置やDNAのPCR法増殖装置向けのサーモモジュールで90%以上のシェアを有する。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

過去5期間、業績の変動でROEも大きく振れた。具体的には、主要3セグメントがそろって好調だった11/3期は売上・利益(売上高578億円、営業利益69億円)が過去最高を更新したが、12/3期第2四半期後半から太陽電池関連事業の各製品の需要が急減し、その後、製品価格にも波及した。また、半導体等の生産や設備投資がピークアウトしたのもこの頃だった。12/3期は第1四半期から第2四半期前半にかけての好調で下期の落ち込みをカバーできたが、13/3期は事業環境が一段と悪化し営業損益以下の各利益段階で損失を計上した(太陽電池関連の多額の在庫評価減を売上原価に計上した他、販管費や特別損失もリストラ費用で膨らんだ)。
この時期は太陽電池関連を中心に巨額の設備投資を実施した時期でもある。10/3期の投資キャッシュ・フロー(CF)は15億円のマイナスだったが、11/3期はマイナス幅が約3.5倍の44億円に拡大し、更に12/3期はマイナス幅が倍増し85億円弱のマイナス。この結果、13/3期は売上の減少と資産の増加で総資産回転率が0.55回に低下した。

12年11月から、事業構造改革に着手し、コアコンピタンスである真空技術や精密加工を用いたエンジニアリング・サービスの拡大に注力すると共に、採算性の観点から全ての事業を厳しく峻別し、不採算分野からは撤退する等、いわゆる“選択と集中”による経営の見直しを行った。この結果、14/3期は営業損益が8億円弱の黒字に転換。加えて、投資有価証券売却益13億60百万円など特別利益13億78百万円を計上したため当期純利益が営業利益を大幅に上回る14億円弱となった。ただ、総資産回転率は0.63回にとどまり、設備の過剰感は否めなかった。

過去20年間の売上高と総資産の推移をみてみると、00/3期から12/3期にかけて、売上高が79億円から600億円へ、総資産が179億円から725億円に拡大した。00/3期から12/3期までの平均営業CFは20.8億円と、営業利益の平均16.9億円を20%強上回る等、確かにキャッシュを稼ぐ力は強かったが、この間、フリーCFはほぼ一貫してマイナス。安定した営業CFを背景に強い資金調達力を有していた事もあるが、同社の経営は売上高の拡大ばかりに目が行き、資産効率やフリーCFの視点が欠けていたと言わざるを得ない。時には思い切った投資が必要だが、「身の丈に合った経営」を頭の片隅に置いておく必要もあっただろう。設備の過剰感解消には時間を要するものと思われるが、現在は“選択と集中”による経営の下、収益力の強化と共に有利子負債の圧縮による財務体質の改善や財務基盤の強化にも力を入れている。こうした取り組みの進捗と共に、ROEの改善が進むものと思われる。

2015年3月期第3四半期決算
前年同期比38.5%の増収、同267.4%の経常増益

売上高は前年同期比38.5%増の437億38百万円。自動車温調シート向けを中心にサーモモジュールが伸びた電子デバイス事業の売上が同45.6%増した他、スマートフォン用メモリやロジックの生産増が追い風となった石英製品やセラミックス製品を中心に装置関連事業の売上もが同25.4%増加。シリコン製品(インゴッド、ウエーハ)の数量増で太陽電池関連事業の売上も同54.5%増と高い伸びを示した。

利益面では、売上構成の変化で原価率が1.3ポイント上昇する中、円安による円ベースの子会社経費増等で販管費も増加したが、構造改革プランの推進による固定費削減と増収効果で営業利益率が改善。前年同期は2億47百万円にとどまった営業利益が16億02百万円に拡大した。四半期純利益が8億86百万円と同58.1%の増加にとどまったのは、為替差益の減少(10億61百万円→4億78百万円)や前年同期に投資有価証券売却益6億45百万円を特別利益に計上した反動が要因。

装置関連事業

売上高194億87百万円(前年同期比25.4%増)、営業利益14億69百万円(同938.1%増)。下期に入り、小口径のシリコンウエーハ加工が減速したものの、半導体の製造プロセスに使用される石英製品やセラミックス製品等がスマートフォン用メモリやロジック向けに増加した他、各種製造装置に使われる真空シールも、主力の半導体・FPDの設備投資が一巡したが、高水準の売上を維持した。

太陽電池関連事業

売上高139億76百万円(前年同期比54.5%増)、営業損失8億51百万円(前年同期は4億05百万円の営業損失)。大型太陽光発電所に使用される多結晶型太陽電池パネルは日米市場で設置量が増えているものの、厳しい価格競争にさらされ販売価格が下落し低位での推移が続いている。この影響がシリコン製品(インゴッド、ウエーハ)への価格要請となり同社にも及び、シリコン製品は出荷数量が増加したものの、価格下落で収益性が大幅に悪化した。また、太陽電池パネルにおける米国・中国・台湾間の貿易摩擦が続いており、顧客の一部が生産調整を強いられた。この影響で、同社は利益率の高い消耗品(石英坩堝、角槽)の売上が減少した。
一方、シリコン製品の出荷数量の増加や受注残の消化によるシリコン結晶製造装置の寄与で売上は増加した。

電子デバイス事業

売上高68億28百万円(前年同期比45.6%増)、営業利益9億90百万円(同101.5%増)。サーモモジュールは、主力の自動車温調シート向けが伸びる中、医療検査装置向けやバイオ関連機器で使われる高機能製品の売上が増加。国内の民生分野向けや中国の光通信分野向けも堅調に推移した。この他、サーモモジュールを応用するパワー半導体用基板が増加した他、磁性流体も、4Kテレビやスマートフォン向けをけん引役に堅調に推移した。

第2四半期比では減収・減益

上期の決算説明会において、装置関連事業でウエーハ加工の調整等が予想される事、太陽電池関連事業で米中間の貿易摩擦の不透明感が強い事、更には全般に価格の戻りが鈍い事を理由に、下期は減速するとみていた。実際、シリコン製品の価格下落による太陽電池関連事業の苦戦は想定以上で売上・利益共に大きな影響を受けたが、装置関連事業は真空シール、石英製品、セラミックス製品が想定以上に堅調に推移。電子デバイス事業は引き続き好調を維持した。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて29億86百万円増の777億10百万円。資金効率の改善によるキャッシュ・フローの増加を背景に借入金が減少する一方で現預金が増加。財務の健全化が一段と進んだ。自己資本比率は前期末と同水準の50.2%。

2015年3月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比25.2%の増収、同18.9%の経常増益予想

進捗率は、売上高78.1%、営業利益80.1%、経常利益109.5%、当期純利益110.8%。業績予想に変更はなかったが、3Qまでの推移を考えると、通期の売上高が上振れする可能性は高く、そうなれば営業利益も影響を受ける。経常利益、当期純利益は営業利益以上に為替の影響を受けやすいため期末の為替相場次第の面はあるが、既に通期予想を上回っている。着地が業績予想通りであれば、1株当たり当期純利益は25.97円となる見込み(前期は有価証券売却益の計上もあり45.18円)。

配当は1株当たり2円増配の期末8円を予定している。

今後の注目点
太陽電池関連事業に不透明感があるものの、装置関連事業及び電子デバイス事業は想定した以上に好調なようだ。このため、15/3期業績には上振れ期待が高まっている。続く16/3期の見通しも明るく、装置関連事業では、日米の半導体製造装置メーカーや、台湾、中国、及び日本のデバイスメーカーとの関係強化が進んでいる他、チャンバー関係でMOCVDメーカーの開拓も進んでいる(来期は10~15%の増収が見込まれる)。また、太陽電池関連事業では、電力コスト等を中心にコストダウンが可能な中国内陸部の銀川工場へシリコン製品の結晶製造工程の移管を進めており、赤字幅の縮小から黒字化につなげる事が鍵になりそうだ。一方、自動車温調シート向けサーモモジュールを中心に足元も好調な電子デバイス事業は、車載機器でサーモモジュールの用途が広がっている事に加え、標準タイプの形状サイズで高い吸熱量を誇り、冷却性能に寄与するハイパワーサーモモジュールやパワー半導体用基板の認定取得も進んでいる。
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