(4709:東証1部) インフォメーション・ディベロプメント 2015年3月期第3四半期業績レポート

2015/03/25

ID

今回のポイント
・15/3期3Qは売上高は前年同期比6.2%増の138億18百万円。システム運営管理、ソフトウエア開発共に好調。増収効果に加え、生産性向上の結果、労務費率が減少し営業利益は同28.0%増の7億10百万円。経常利益、四半期純利益ともに大きく増加。・通期予想に修正はなく、売上高は前期比6.5%増の187億30百万円、経常利益は同22.8%増の9億40百万円を予想。金融機関の統合化案件等、今後も顧客のIT投資は拡大することが期待される。今期の配当は普通配当28円/株、記念配当2円/株の合計30円/株の予定。予想配当性向は39.9%。普通配当のみでは37.2%。

・今期の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率を見ると、過去数年と比較しても売上、利益とも順調に推移しているようだ。そうした意味で投資家の関心は今期の数字というよりも、「2017年3期 売上高210億円、営業利益率7.5%」を実現するための前段階となる来期の数値、施策ということになろう。特に営業利益率向上にどう取り組むのかに注目したい。

会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。

システム運営管理  (14/3期売上構成比60.7%)

1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。

ソフトウエア開発・保守 (14/3期売上構成比35.8%)

500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。

その他 (14/3期売上構成比3.5%)

セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が51.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.2%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.6%。

【IDグループ】

グループは、同社の他、国内外の連結子会社7社。このうち国内(4社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。2015年7月にはインドネシアに子会社設立の予定。

【IDグループのサービスの特徴  - i-Bos24®(ID’s Business
Operations-Outsourcing Service 24)-】

同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。

【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向

内閣府が3月9日に発表した14年10-12月の国内総生産(GDP)第2次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.5%増と、消費税増税の反動減でマイナスとなった4-6月、7-9月から3期ぶりにプラスとなった。一方、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)の前期比は、0.1%減と、4-6月4.7%減、7-9月0.4%減から減少幅は縮小したものの、プラスとはならなかった。また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(15年3月11日発表。1月速報値)を見ると、情報サービス全体および受注ソフトウエア売上高は、7-9月に消費税増税後の反動で前年同月比伸び率は低下したものの、以降は再び上向いている。また、システム等管理運営受託売上高は好調に推移している。事業環境は引き続き良好のようだ。

(2)同社の取り組み

キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した14企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携に加え、2015年2月にミャンマーに合弁会社を設立、同年7月にはインドネシアに子会社を設立予定など、グローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す考えだ。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセスを掲げる。17/3期に売上高210億円、営業利益率7.5%を目指す。

これまでの業績推移と今後のイメージ
2015年3月期第3四半期決算
前年同期比6.2%の増収、同25.3%の経常増益

売上高は前年同期比6.2%増の138億18百万円。システム運営管理、ソフトウエア開発共に好調だった。
増収効果に加え、要員配置の最適化による生産性向上の結果、労務費率が減少したことにより営業利益は同28.0%増の7億10百万円。経常利益、四半期純利益ともに大きく増加した。

システム運営管理事業の売上高は前年同期比4.9%増の83億33百万円。金融系の大型案件、既存案件が順調に推移した。また、企業のIT投資回復を背景に、プラットフォーム系開発業務や、顧客先でのクラウド導入の支援案件も好調だった。

ソフトウエア開発・保守事業の売上高は前年同期比8.8%増の50億94百万円。引き続き金融系の案件が好調に推移し、オフショアを活用した一括受託サービスの提供等でも売上を伸ばした。また、公共系も制度改正、法改正対応等によって受注案件が増加して好調だった。

その他事業の売上高は前年同期比1.6%増の3億89百万円。製品販売の売上が減少したものの、コンサルティングがこれを補った。

今3Q(10-12月)は売上、営業利益共に前期比、前年同期比でプラスとなっており、粗利率も20%台に乗せる等、足元は大変好調だ。

15/3期3Q末の総資産は前期末比1億1百万円減の95億69百万円。現預金が2億1百万円減少した。負債は前期末比4億61百万円減の31億23百万円。有利子負債が1億95百万円減少し、賞与・役員賞与引当金が退職関連引当金が4億58百万円減少した。純資産は前期末比3億60百万円増の64億46百万円。利益剰余金が2億28百万円増加した。自己資本比率は66.1%で前期末比5.0ポイント改善した。

(3)トピックス
◎経営資源集約のため子会社を吸収合併

2015年2月、株式会社ソフトウエア・ディベロプメント(SD)の株式を全株取得し、完全子会社した。
また、同じく子会社当社の100%子会社である株式会社日本カルチャソフトサービス(CS)とともに両社を吸収合併する事とした。合併の効力発生日は2015年7月1日の予定。

SDは、1982年9月に金融分野のソフトウェア開発業務の拡大を目的として、日本ユニシス株式会社との共同出資により設立。「技術レベルの高い会社」との理念を掲げて、32 年間にわたりサービスを提供してきた。
一方、CSは1977年4月、農協・漁協(信用事業分野)におけるシステム開発・運用業務の受託を目的に設立され、日本各地の農協・漁協系電算センターのシステム運用を中心に事業を展開。2006年12月、IDが連結子会社化した

中期経営計画方針の実行に向けて、サービス品質の向上、戦略的資源配分、およびコーポレートガバナンス強化を進めるために、経営資源を集約することが目的。
日本ユニシス株式会社とは金融機関向け等の開発において、良好な関係を継続していく。

◎ミャンマーで合弁会社を設立

2015年2月、子会社 INFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE.LTD.(.IDシンガポール、IDS)を通じて、ミャンマーに合弁会社を設立。
ミャンマーは、民主化以降の著しい経済発展により、今後ITインフラに関する旺盛な需要が見込まれるが、実践的なITインフラ構築の経験者が少ないことが課題となっている。
そこでIDは、ITトレーニングアカデミー運営を通じたミャンマー人技術者のITインフラ構築技術の習得支援、およびミャンマー国内外に向けたITスタッフのアウトソーシングサービスを提供することを、2014年12月に合弁相手であるIGS社と基本合意し、ミャンマーを中心とするITインフラ技術者の育成と需要増に対応することとした。
2015年5月にサービスを開始する予定。

◎インドネシア子会社の設立

IDはこれまで日本および中国で、企業の基幹系システムにおける24時間365日のシステム運営管理サービスを提供してきた。
インドネシアでは政府の方針を受け、国外への顧客情報の持出を規制しようとする動きが出るなど、情報管理統制が厳しくなっており、今後さらに国内での厳格なシステム運営管理が求められる見込みある。
そこで同社は現地法人を設立し、これまで培ったノウハウを活かして、インドネシア国内におけるシステム運営管理のコンサルティング、および現地リソースを使った運営管理サービスの提供をする。2015年7月設立、同年10月サービス開始の予定。

◎開発の工数削減および品質向上ツールを有するZeroTurnaround社と国内総代理店契約を締結

2015年2月、ZeroTurnaround AS(本社:エストニア、活動拠点:米国ボストン)と国内総代理店契約を締結した。
IDがZeroTurnaround社の製品である「JRebel」、「XRebel」を日本国内で販売・サポートする。ZeroTurnaroundはIDの販売・導入を、おもに技術面から支援する。

ZeroTurnaroundの製品は高品質なソフトウェアをよりスピーディーに開発するための革新的なツールで、「JRebel」はJava開発の工数削減ツール。開発時間の大幅な短縮が可能で、開発者一人当たり年間約100万円のコスト削減が可能。
「XRebel」はJava開発の品質向上ツール。プログラミング作業中、開発画面を操作しながらの問題点の発見が容易になり、プログラム内で問題を引き起こしやすい部分をウィジェット形式で通知し、品質の向上を強力に支援する。

ZeroTurnaround社のソリューションは欧米でも最先端のものであり、開発スピードの劇的な短縮によって、顧客企業に大きなメリットを生み出す。
今回の契約によって、IDグループはこの世界最新のソリューションを日本の顧客に初めて提供することができるようになる。今後、両社が連携を推進し、それぞれのノウハウを相互に提供することで、最新の技術とサービスを国内に展開する考え。

3年後年間10億円の売上を目標としている。

2015年3月期業績予想
業績予想に変更無し。営業利益、経常利益ベースで3期連続の増収増益を見込む

通期予想に修正はなく、売上高は前期比6.5%増の187億30百万円、経常利益は同22.8%増の9億40百万円を予想する。金融機関の統合化案件等、今後も顧客のIT投資は拡大することが期待される。一方、顧客側の人手不足により案件によっては遅れが出る可能性もあるということだ。
このような状況のもと、同社グループは、主力のシステム運営管理事業をさらに強化すると同時に、中期経営計画で掲げる「ダイバーシティの推進」、「BOO戦略の推進」、「クラウドサービスの推進」、「グローバル推進」、「グループ経営の効率化と業務プロセスの改善」に注力する。
今期の配当は普通配当28円/株、記念配当2円/株の合計30円/株の予定。予想配当性向は39.9%。普通配当のみでは37.2%。

今後の注目点
下のグラフにあるように、今期の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率を見ると、過去数年と比較しても売上、利益とも業績は順調に推移しているようだ。

そうした意味で投資家の関心は今期の数字というよりも、「2017年3期 売上高210億円、営業利益率7.5%」を実現するための前段階となる来期の数値、施策ということになろう。特に営業利益率向上にどう取り組むのかに注目したい。

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