(2675:東証2部) ダイナック 2014年12月期業績レポート

2015/03/11

dynac

今回のポイント
・14/12期は前期比3.2%の増収、同12.3%の経常増益となり、3期連続の増収増益。天候要因による客足の落ち込みでゴルフクラブレストランが苦戦したものの、バー・レストランの既存店が堅調に推移する中、新店が寄与。食材共通化等による原材料コストの抑制やシフトコントロールの徹底による生産性の向上で収益性も改善し、営業利益が同11.0%増加した。

・15/12期は前期比3.5%の増収、同40.1%の経常増益予想。引き続き原材料価格の上昇や採用関連諸費用の増加が見込まれるものの、食材共通化やシフトコントロールの徹底等、仕組みの改善を一段と進め吸収。例年並みの天候を前提としたゴルフクラブレストランの稼働率改善もあり、営業利益が11億50百万円と同41.5%増加する見込み。

・アベノミクス効果はまだ地方には行き渡らないが、都市部ではその効果が顕在化しつつあり、また所得層では、ミドルから上の層の消費が活発化している。一方、同社においては、全店舗の62.5%を占めるバー・レストラン業態の店舗が、東京、大阪の都市部に集中しており、しかも、既存店の多くがミドルアッパー層をターゲットにしている。「お客様感動満足の追求」や「ドリンク品質最高ランク」を目指す全社的な取り組みとサントリーグループの一員としての社員の意識の高さが同社の強さの源泉だが、出店エリアとターゲットとする客層がアベノミクスにジャストミートしている事は確かだ。

会社概要
【事業の特徴】

形態別の売上構成は(14/12期実績)、レストラン・バー事業90.0%、ケータリング事業2.6%、及びその他事業7.4%。切り口を変えると、約50業態に及ぶ都心部飲食店(レストラン・バー)の直営ビジネスが約70%、ゴルフ場レストランやレジャー施設・文化施設・サービスエリア内の飲食店の運営受託及びパーティ・ケータリングの受託ビジネスが約30%。

また、レストラン・バー事業では、「倶楽部ダイナック(会員カード)」による顧客の囲い込みにも取り組んでいる。「倶楽部ダイナック」は入会金・年会費無料で、入会すると飲食100 円毎に10 ポイントが付与され、3,000 ポイントで3,000 円分の食事券と交換できる等の特典がある。ちなみに、14/12期の会員向け売上高は75億円と売上高全体の22%弱を占めた(14/12期末の会員数は23万人)。

【ダイナックの強み】
・巨大な外食市場において「多彩な業態+受託事業」を展開する優良な“事業ポートフォリオ
・「おいしい料理と最高のドリンク」を軸に「高付加価値空間の提供」を行う“信用力とブランド力”
・「業態開発力」、「機敏な業態転換力」を背景とした“業容拡大力・出店力”
【CSR(Corporate Social Responsibility)への取り組み】

同社は、品質管理と環境を中心にCSR活動にも取り組んでいる。「飲食業にとって最も重要なことは、品質管理」との考えの下、本社、大阪オフィスに衛生検査室を設け、定期的に仕入れ食材の検査・店舗衛生管理のチェックを行うと共に、衛生講習会による従業員への教育・指導を行う事で、品質管理、衛生管理の徹底を行っている。また、「環境委員会」を設置すると共に「環境方針」を掲げ、様々な環境活動にも取り組んでいる他、従業員の環境意識を向上させるため、eーラーニングやセミナーを実施している。

店舗紹介
(1)ブランドを推進する戦略業態(顧客ニーズに沿って継続的にブラッシュアップ)

素材を活かした料理をハイグレードな空間の中で提供する和風業態の「響」、「燦」。色々な鳥料理をオシャレな雰囲気の中で堪能できる「鳥どり」、自店製生パスタが好評の本格的かつカジュアルなイタリアンレストラン「パパミラノ」、英国伝統の本場パブを再現した「ザ・ローズ&クラウン」の4業態がブランド推進のための戦略業態。顧客ニーズに沿って継続的にブラッシュアップしている。

(2)ブランド化を念頭に店舗展開を進める個性ある業態

ブランド化を念頭に店舗展開を進めている業態として、和風業態では鮮度抜群の魚介類を毎日提供している海鮮酒場「魚盛」、高付加価値小型新業態店「とりやき 源氣(げんき)」、バーボンの魅力を追及する熟成肉バル「THE AGINGHOUSE 1795」、“高品質のハイボールが気軽に味わえるバル”「HIGHBALL’S ハイボールズ」、ワインバル&ビストロ「ワイン倶楽部」等を展開している。

海鮮酒場「魚盛」
成長ドライバーとして期待される戦略業態。「新鮮。安い。旨い」漁港直送の鮮魚酒場で、漁場直送の刺身盛は人気の看板アイテム。その他、魚介の旨味がギュッと詰まったボリューム満点の自家製海鮮シューマイなど美味しくてリーズナブルな海鮮料理を堪能できる。カジュアルタイプ、ゆったり居酒屋タイプ、地産地消タイプと、業態の強みを活かしつつ、ロケーションに応じてタイプも色々。
関東10店舗、関西1店舗

高付加価値小型新業態店「とりやき 源氣(げんき)」
新鮮な丸鶏を捌いて、そのまま焼き上げた串に刺さないやきとり「とりやき」と、特製サングリアやワイン、或いは各種の日本酒を楽しむ事ができる。サングリアとはワインに果実を漬け込んだアルコール飲料。
関東3店舗
熟成肉バル「THE AGINGHOUSE 1795」
「ジムビーム」のフラッグシップ店として、ビーム社創業の年である1975年が店名の由来。また、”熟成”を経て生まれるバーボンと、同店おすすめの”熟成肉”を表現するため「AGING HOUSE」と命名した。「ジムビーム」の貯蔵庫をイメージした店内は、レンガや実際にバーボンの熟成に使われた樽を使い、落ち着いた雰囲気。
関西2店舗(堂島店、大阪マルビル店)
“高品質のハイボールが気軽に味わえるバル”「HIGHBALL’S ハイボールズ」
コンセプトは“高品質のハイボールが気軽に味わえるバル”。ハイボール専用ディスペンサー「ゼウス」を導入し、超強力炭酸でよく冷えたハイボールを提供する。人気の「角ハイボール」をはじめ「響」「山崎」や「メーカーズマーク」「ザ・マッカラン」等、多彩なウイスキーを使った高品質なハイボールを楽む事ができる。スッキリとしたハイボールと相性抜群の「おつまみチキン」もご一緒にどうぞ!
関東2店舗(うえのステーション店、浜松町店)
(3)コラボレーションや個性を活かした特徴ある業態
世界的に有名な“ふわふわオムレツ”のカジュアルフレンチレストラン「ラ・メール・プラール」
フランス西海岸サンマロ湾上に浮かぶ小島に築かれた世界遺産「モン・サン=ミッシェル」。「ラ・メール・プラール」の創業者である“プラールおばさん(Madame Annette Poulard)”は、1888年に「モン・サン=ミッシェルに宿屋を開き、およそ700ものレシピを完成させた。その中でも有名な看板メニューが、メレンゲを食べているかのような味わいの「ふわふわオムレツ」である。13年6月に「横浜みなとみらい店」をオープンし、14年2月に2号店「イオンモール岡山店」を、年間2千万人の集客を見込む新商業施設「イオンモール岡山」内にオープンした。2号店は「ラ・メール・プラール」の可能性を追求した実験店でもある。立地を見極めつつ、店舗数を拡大させていく考え。
「近大卒の魚と紀州の恵み近畿大学水産研究所」
近畿大学とダイナックのコラボレーションレストラン。近畿大学が長年にわたり研究を重ねた安心安全で美味しい近大マグロ等、様々な養殖魚の料理を提供。手塩にかけて育てた養殖魚の魅力をたくさんの方に体感していただく事がコンセプト。海をイメージした店内には、料理に使われている魚の生産履歴等を楽しく知る事ができるタブレットを常設。
関東:銀座店、関西:グランフロント大阪店
2014年12月期決算
前期比3.2%の増収、同12.3%の経常増益

売上高は前期比3.2%増の347億91百万円。天候要因による客足の落ち込みでゴルフクラブレストランが苦戦したものの、既存店の堅調な推移と新店の順調な立ち上がりで市場全体のトレンドを上回ったバー・レストランの好調で吸収。切り口を変えると、10店舗の閉店が10億04百万円の減収要因となった事に加え、ゴルフクラブレストランの苦戦が響いた既存店売上高もわずかに減少(68百万円減)したが、17店舗の新規出店が21億62百万円の増収要因となった。

営業利益は同11.0%増の8億12百万円。原材料価格の上昇に加え、社員やパート・バイトの採用関連諸費用の増加、社会保険料の引き上げによる法定福利費の増加等、利益確保の面でも厳しい事業環境となったが、食材共通化等による原材料仕入単価の抑制やシフトコントロールの徹底による生産性の向上で原価率が87.5%と0.1ポイント改善。本社のスリム化や諸経費の抑制で販管費の伸びを抑え、販管費率も0.1ポイント改善した。店舗等撤退損失1億54百万円など特別損失2億18百万円を計上したものの、当期純利益も2億77百万円と同16.3%増加した。1株当たり利益は39.44円(13/12期33.92円)。

期初予想との比較

2月の2度の大雪、秋口の週末の台風や豪雨、更には全国的に寒い日が多く衆院選もあった12月等、天候要因に特に敏感なゴルフクラブレストランやケータリングの客足の落ち込みが響いた。尚、期末現在の店舗数251店舗のうち、約1/4の66店舗がゴルフクラブレストランである。

期末店舗数は前期末に比べて7店舗増の251店舗。新規出店は、専門性を高めた小型で新感覚の鶏業態「とりやき源氣」、熟成肉と自家製スモークが楽しめるアーリーアメリカン調の肉PUB「THE AGING HOUSE 1795」、東京駅・北町ダイニングで限定醸造ビールが味わえる「THE OLD STATION」、ビストロ・イタリアン「Cafeet Bar FORET」、鮮魚酒場「魚盛」、世界的に有名な“ふわふわオムレツ”のカジュアルフレンチレストラン「ラ・メール・プラール」と言った直営ビジネス店舗と、ゴルフ場や文化施設内のレストラン及び寺院敷地内にある飲食施設の運営受託等、計17店舗。また、既存の6店舗を「MALTBAR WHISKY VOICE」、「ワイン倶楽部」、「鳥どり総本家」、「虎連坊」、及び新業態の「HIGHBALL’S」に業態変更。一方、不採算店舗や契約先の事由により10店舗を閉店した。

2月の2度の大雪、秋口の週末の台風や豪雨、更には12月の天候不順等で集客には厳しい1年となったが、各業態で前期を上回る客単価を維持した。業態別では、ゴルフクラブレストランやサービスエリア運営等のその他が荒天の影響を受けたが、バー・レストラン業態は、「倶楽部ダイナック」を軸に消費環境の変化や年末商戦に向けた様々な販売促進策が成果をあげ、前期を上回る客単価を維持しつつ、客数を増やした。

期末総資産は前期末に比べて75百万円減の138億12百万円。潤沢なキャッシュ・フロー(フリー・キャッシュ・フロー11億62百万円)を活かして借入金の返済を進めたため、借入金残高が前期末の32億80百万円から21億95百万円に減少した。調達した資金でどれだけ効率的に利益を上げたかを示す投下資本利益率は前期の13.5%から14.2%に改善。自己資本比率も前期末の24.2%から25.9%に上昇した。

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

11年9月末には60億円を超えていた有利子負債が、14年12月末には22億円弱に減少する等、財務の健全化が進んでいる。このためレバレッジが低下傾向にあるが、食材共通化等による原材料仕入単価の抑制やシフトコントロールの徹底による生産性の向上で原価率を改善すると共に本社のスリム化や諸経費の抑制で販管費の伸びを抑えて利益率を改善させる事で、レバレッジ低下の影響を吸収している。言い換えると、財務の健全化と資本効率の向上を両立して、継続的なROEの向上を実現している。事業規模が近い同業のWDI(3068)やダイヤモンドダイニング(3073)と比べると、売上高当期純利益率、総資産回転率、レバレッジのバランスの良さがわかる。

尚、同社のビジネスは、店舗のスクラップ&ビルドや業態変更により店舗ネットワークの新陳代謝を継続的に行っていく必要があり、その際、固定資産除却損等の特別損失が発生するし、状況によっては減損処理も必要になる。このため、当期純利益の水準が低くなりがちで、経常損益段階で利益を計上しても、当期損益段階で損失となる決算期もある事も頭に入れておく必要がある(11/9期、11/12期は当期純損失となったが、経常損益段階では利益を計上している)。

2015年12月期業績予想と取り組み
前期比3.5%の増収、同40.1%の経常増益予想

新規出店は、バー・レストラン11店舗、ゴルフクラブレストラン5店舗、その他受託2店舗の計18店舗だが、業績予想には見えている分だけを織り込んだ。この他、バー・レストランで業態変更3店舗、閉店5店舗を計画しており、期末店舗数は264店舗となる見込み。既存店売上高の前提は100.9%(バー・レストラン100.3%、ゴルフクラブレストラン101.5%、その他受託101.9%)。増収要因として、既存店で2億82百万円、新店で16億51百万円(14年出店8億52百万円、15年出店7億99百万円)を見込む一方、閉店による減収7億24百万円を織り込んだ。

利益面では、引き続き原材料価格の上昇や社員や採用難に伴うパート・バイトの採用関連諸費用の増加が見込まれるものの、食材共通化やシフトコントロールの徹底等の仕組みの改善を一段と進め吸収すると共に、一部は価格に転嫁する。例年並みの天候を前提にゴルフクラブレストランの稼働率改善も見込まれ、営業利益率が3.2%と0.9ポイント改善する見込み。当期純利益は同47.8%増の4億10百万円が予想され、1株当たり利益は前期の39.44円から58.30円に増加する見込み。

配当は、1株当たり上期末(中間配当)5円、期末5円の年10円を予定。同社は、安定的な配当の維持と、将来に備えた内部留保の充実を念頭に利益配分を実施していく考え。

(2)15/12期の取り組み

中期経営方針に沿って取り組みを進めていく。具体的には、優良な事業ポートフォリオを活かし、付加価値の高い分野の業容拡大と店舗数拡大に取り組むと共に、スケールメリットの追求とブランド強化により高収益構造への変革を進めていく。
中期経営方針の柱は、「受託ビジネスの拡大」と「直営ビジネスの収益力強化」。受託ビジネスでは、優良な事業ポートフォリオを活かして付加価値の高い分野での業容拡大と店舗数拡大に取り組む。また、直営ビジネスにおいては、更なるスケールメリットの追求とブランドの強化に取り組む事で高収益構造への変革を図る考えで、高付加価値業態の強化と業態シフトを加速させると共に基盤となる機能・サービスを革新する。この他、商品開発力・アレンジ力、現場力・オペレーション力、飲用時品質・飲み方提案力、及び評判と信頼、といった同社の強みの源泉のブラッシュアップにも取り組んでいく。

ポイント 1  受託ビジネスの着実な受注

ブランド力とスケールメリットを活かして受託ビジネスの強化拡大を図る。14/12期は新たに、レストラン、ゴルフクラブレストラン、文化施設など9施設の運営を受託した。具体的には、これまでに積み上げてきた豊富な実績とノウハウが高い評価を受けているゴルフクラブレストランでは、吉野カントリークラブ(奈良県吉野郡)、アイランドゴルフガーデン上石津(岐阜県大垣市)、福島カントリークラブ(福島県福島市)、及び姫路書写ハートフルゴルフクラブ(兵庫県姫路市)のレストラン運営を受託。同じく強みを有する文化施設の飲食店運営では、すみだトリフォニーホール内の軽飲食施設「北斎カフェ」(東京都墨田区)と尼崎市総合文化センター内「カフェブラヴォー」(兵庫県尼崎市)の運営を受託した。
また、商品開発力やオペレーション力を活かした新たな展開として、日蓮宗大本山池上本門寺敷地内の飲食施設「ガーデンレストラン 松濤園 櫻(しょうとうえん さくら)」(東京都大田区)、伊勢丹府中店「グルメダイニング」(東京都府中市)、及び竹芝客船ターミナル内の伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップ「東京愛らんど」(東京都港区)の運営を受託した。

ポイント 2  高付加価値業態の強化・業態シフト加速

業態カテゴリーを、主力業態、戦略業態、コラボ業態、3つにセグメントし、次項に示す基本方針の下で店舗展開を進めていく。

14/12期の新規出店
・立地・物件を厳選した確実な出店 「THE OLD STATION Tokyo Beer&Grill」
14年3月19日、36年の歴史を持つ同社の老舗店舗が“今の時代のビアホール”をコンセプトに新しく生まれ変わった(改修のため1年間休業)。東京駅八重洲北口 北町ダイニング内にオープンした「THE OLD STATION Tokyo Beer&Grill」である。最高品質で提供するドラフトビールと食べ応え満点の牛ハラミのグリル「パペットステーキ」等、オススメのメニューは数多い。
92坪、150席、客単価3,300円、14年12月月商28百万円。

・戦略業態の出店加速

売上好調の「魚盛(うおもり)」ブランドを堂島(大阪市北区)、浦和(埼玉県さいたま市)という新規エリアに2店舗続けて出店した。「魚盛」は“気軽に美味しい魚料理をリーズナブルに楽しみたい”との顧客ニーズに対応したもので、食の流行に左右され難く、安定した売上・利益確保が期待できる業態である。
・集客力のある好立地店舗を戦略業態へ業態変更更 八重洲ワイン倶楽部、丸の内ワイン倶楽部
本格的なビストロ・イタリアン料理に気軽な小皿料理。ワインを片手に語らい、自然と笑みがこぼれる。ワイン倶楽部は、そんなワイン好きのバル。14年2月10日に八重洲ワイン倶楽部(旧 卯乃家 八重洲店)を、同年6月2日に丸の内ワイン倶楽部(旧 パパミラノ 丸の内東京海上日動ビル店)を、それぞれリニューアルオープンした。14年12月の売上高は前年同月との比較で、八重洲ワイン倶楽部が117%、丸の内ワイン倶楽部が132%、と共に好調。
・低投資・小型業態の出店 「とりやき 源氣」、「HIGHBALL’S うえのステーション」
14/12期上期に、新業態「とりやき 源氣」2店舗を元気にオープンした(1月:町田店、2月:大森店)。「とりやき 源氣」は、新鮮な丸鶏を捌いて、そのまま焼き上げた串に刺さないやきとり「とりやき」と、特製サングリアやワイン、或いは各種の日本酒を楽しむ事ができる。サングリアとはワインに果実を漬け込んだアルコール飲料の事で、同社の特製サングリアは、“ほんのり甘くさっぱり”を特徴とし、とりやき料理の邪魔をせず、とりやきの美味しさをしっかり受け止めてくれる。15年2月3日に3号店となる網島店(14坪、54席)をオープンした。消費動向や評価を踏まえつつ、出店を加速していく考え。

“高品質のハイボールが気軽に味わえるバル”をコンセプトに開発した新業態。ハイボール専用ディスペンサー「ゼウス」を導入し、超強力炭酸と極冷えソーダで、さらにおいしい高品質ハイボールを提供する。1号店「HIGHBALL’S うえのステーション」(8.9坪、17席)を14年7月12日に上野駅構内にオープンし、15年1月26日には、2号店となる浜松町店(8坪、16席)をオープンした。低コスト・低単価だが、数年前に他社が積極出店した価格訴求型店舗とは一線を画し、ダイナックらしさを残している事が特徴。

・業容拡大のチャレンジを継続
14年12月、大型商業施設「イオンモール岡山」内に「ラ・メール・プラール」(51坪、86席、14年12月月商23百万円)をオープン(西日本初出店)。同社初の海外飲食ブランドとのライセンス契約により、13年6月にオープンした「横浜みなとみらい店」に続くもので、今回、同業態の可能性を追求するべくショッピングモール内への出店となった。立地を見極めつつ、更なる出店を目指している。
・出店スピードアップ、強化・拡大 「THE AGING HOUSE 1795 大阪マルビル店」
バーボンの魅力を追及した塾生肉パブの2号店として大阪マルビル内(大阪市北区)に14年3月12日にオープン。主役はBEAM(ビーム)社こだわりのバーボン「メーカーズマーク」。BEAM社創業の年である1795年を店名の由来とし、店内の装飾は「ジムビーム」の貯蔵庫をイメージし、レンガや実際にバーボンの熟成に使われた樽を使い落ち着いた雰囲気。24坪、42席、客単価は昼1,000円、夜3,200円、月商は70百万円。
ポイント 3  基盤となる機能・サービスの革新

「常連客づくりの徹底」と「コスト改善・収益性向上への取り組み」を推進する。「常連客づくりの徹底(再来店の促進)」では、成果を上げている「倶楽部ダイナック」を軸にダイナックブランドのマーケティングを強化する事で、ブランディング強化と他業態店への誘導につなげていく。会員売上比率を高める事で販促も効率化するため収益性も向上する。

また、「コスト改善・収益性向上への取り組み」では、人時売上高を指標にしたシフトコントロールを強化すると共に、仕入コストダウンを図るべく共通食材の拡大やグループ外企業との共同購買も検討している。

倶楽部ダイナックでは、現在、春のポイント大キャンペーンを実施して集客を強化している。
通常の会員還元率は10%だが、第1弾(2月1日~3月15日)では15%、第2弾(3月16日~4月30日)では18%の還元率で、還元を受ける事ができる。
ポイント 4  商品・サービスのレベルアップと人材パワーの最大化

商品・サービスのレベルアップに向けた取り組みのポイントは、「お客様感動満足の追求」と「最高品質のドリンクの提供」の二つ。サービス面では、お客様感動満足を追求するべく、サービスコンテスト「D1 グランプリ」を開催して相互研鑽を図っており、商品面では、最高品質のドリンクを提供するべく、パートナーも対象としたビール工場見学(直近1年間で約300名が参加)や各店舗のドリンクチームを対象にした「飲用時品質BEST」研修(14/12期は約800名が受講)を実施している。

また、人材パワーの最大化では、店舗運営の原点となる人材パワーの最大化に向け、企業理念実践マインドを醸成するべく「新人パートナー集合教育」を必須化(14/12期は1,600名が受講)した他、顧客接点を担うパートナー(約5,000名)の力の最大化を図るべく、13/12期にパートナー育成評価システムとして「ファイブスター制度」を全社で導入した。パートナーの定着率向上と育成・戦力化を推進し、コストの抑制はもちろんサービス力の向上、ひいては売上の増加につなげていく考え。

今後の注目点
14/12期は、バー・レストラン業態の既存店の堅調な推移が業績の下支えとなる中、順調な立ち上げりを見せた同業態の新店が増収をけん引した。アベノミクス効果はまだ地方には行き渡らないが、都市部ではその効果が顕在化しつつあり、また所得層では、ミドルから上の層の消費が活発化している。一方、同社においては、全店舗の62.5%を占めるバー・レストラン業態の店舗が、東京、大阪の都市部に集中しており、しかも、既存店の多くがミドルアッパー層をターゲットにしている。出店エリアとターゲットとする客層がアベノミクスにジャストミートと言ったところだ。もちろん、倶楽部ダイナックによる顧客囲い込みの成果が上がっている事、「お客様感動満足の追求」や「ドリンク品質最高ランク」を目指す全社的な取り組みとサントリーグループの一員としての社員の意識の高さがその背景にある事も忘れてはならない。近年では、ダイナックらしさを維持しつつ、個性のある小型店の開発にも力を入れており、その成果も含めて今後の展開に期待したい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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