(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2015年3月期第3四半期業績レポート

2015/03/04

enjapan

今回のポイント
・15/3期第3四半期は売上高が前年同期比15.7%の増収、経常利益が同8.3%の減益。売上面は、新卒サイト終了による減収要因があったものの、旺盛な企業の求人ニーズから全求人サイトが前年同期を上回った他、子会社のエンワールド・ジャパンが好調に推移したことに加え、ベトナムとタイとインドの子会社の連結化により海外子会社の売上高が増加した。一方、利益面では、人件費等の費用が増加し、減益となった。・15/3期の会社計画は、前期比14.6%の増収、同5.9%の経常増益の期初予想から変更なし。売上面は、新卒サイトの運営終了に伴う減少があるものの、求人広告(エン転職)、エン・ジャパンの中途採用領域及びエンワールド・ジャパンを中心に拡大を目指す。海外はベトナムの子会社が通期で寄与するほか、タイに加えインドの子会社の連結がスタートする。利益面は、人件費、広告宣伝費を中心に費用が増加するものの、増収効果と海外子会社の収益改善を見込む。15/3期の1株当たりの配当も、前期末から4円増配の28.5円の予定を据え置き。

・同社の今第3四半期決算は、経常利益が8.3%減少と若干物足りない内容となった。これは、人材採用に伴う人件費の増加など先行投資を積極化させたことと、新卒サイトの終了が影響した。今後の成長に向けた施策による一時的な端境期と思われるものの、こうした業績動向がここ数ヵ月間の株価調整の原因の一つと推測される。

会社概要

「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。

ビジネスモデル

<求人情報サイト>
企業に対して求人広告を企画・提案。同社の営業員が求人企業を取材し、その情報をもとに同社のコピーライターが求人原稿を制作した後、求人サイトに求人原稿を掲載。
掲載課金型求人広告:求人広告を掲載した際に「広告掲載料」が発生。
成功報酬型求人広告:求人広告を掲載し、同社求人サイトを通じて人材採用できた際に「成功報酬料」が発生。

<人材紹介>
求職者のこれまでのキャリアや転職意向を確認し、今後のキャリアプランに沿った求人を紹介。企業に対しては採用ニーズにマッチしていると思われる人材を紹介。紹介した人材が入社した際に「成功報酬料」が発生。報酬料は概ね年収の30%。

今後の成長戦略

今後の強化ポイントとして、①人材紹介サービスの強化、②アジアにおいて海外展開の推進を掲げている。

(1)人材紹介サービスの強化

国内の景気回復に伴い、企業の人材採用ニーズは高い状況が続いており、基幹ビジネスである求人サイトの受注も順調に改善している。その一方で、企業の人材採用ニーズは多様化しており、求める人材によって採用手法の使い分けが進んでいる。このため、同社はグローバル人材領域で強みを持つエンワールド・ジャパンを2010年に子会社化し、グループとして人材紹介領域に参入。また、エン・ジャパンにおいても、保有する国内トップクラスの求職者データベースを活かし、2013年から人材紹介「エン エージェント」を展開中。エン・ジャパングループとして若年層からスペシャリスト、マネジメント層まで、求職者・求人企業双方の多様なニーズに対応できるサービス及び体制が構築できたことから、今後はこれらを活用し更なる業績拡大を図る方針。

(2)アジアにおいて海外展開を推進

2011年9月のシンガポールへの進出後、香港、韓国において「en world」ブランドで人材紹介サービスを開始。またM&Aでは、2012年のcalibrate(現社名:en world Australia、オーストラリア)買収後、Navigos Group(ベトナム)、Capstone Group(現社名:en world Recruitment Thairand 、タイ)、New Era(インド)と、アジアを中心に展開を広げている。今後、アジア地域の経済成長に伴い、人材採用ニーズの高まりと採用活動のボーダーレス化が予想される。今後も、中長期的な観点に立った、人材紹介を中心とする海外ビジネスの拡大を図る方針。

2015年3月期第3四半期決算
売上高は15.7%増収、経常利益は8.3%減益

売上高は前年同期比15.7%増の139億77百万円(約18.9億円増)。売上面は、新卒サイトのサービス終了に伴うマイナスのインパクト(約7.4億円)があったものの、企業の求人ニーズが旺盛であったことから、全求人サイトが前年同期を上回った他、子会社のエンワールド・ジャパンが好調に推移したことに加え、ベトナムとタイの子会社の連結化により海外子会社が増加した。また、昨年6月に買収したインド(NEW ERA)の業績が第3四半期より加わった。
利益面では、人員の増加や積極的なプロモーション活動により費用(売上原価+販管費)が同23.0%増加したことから、営業利益が同8.7%減少した。売上総利益率が同1.0ポイント上昇したものの、売上高対販管比率が5.9ポイント悪化した。また、前年同期に投資有価証券売却益20億30百万を計上した反動減により純利益は同44.5%減少した。
その他、2014年8月に[en]社会人の転職情報をリニューアルし、サイト名を変更した「エン転職」は、応募効果が順調に推移した。

採用事業

当事業には、求人サイトの運営、人材紹介、海外子会社等が属している。求人サイトは、主力のエン転職が、サイトリニューアル後の応募効果が堅調に推移したこと、新規顧客への販売を強化したこと等から前年同期比の掲載件数及び売上高が増加した。その他の求人サイトでも堅調に販売が進み、全サイトで前年同期を上回る売上となった。人材紹介は、グローバル企業の採用意欲が高かったこと、人員の増加及び戦力化が進んだこと等から、子会社のエンワールド・ジャパンが好調な結果となった。前期から開始したエン・ジャパンの人材紹介サービスであるエン エージェントは進捗に遅れがあるものの、前四半期を上回る売上高となった。また、海外子会社は、ベトナムとタイの子会社が期初から、更に、インドの子会社が当第3四半期から連結業績に加わったことから、売上高は前年同期比で大幅な増加となった。
以上の結果から、採用事業セグメントの売上高は、134億93百万円と前年同期比15.6%増加した。一方、人件費、プロモーション費用、オフィス拡張のための移転関連費用などを中心とした販管費が増加したことにより営業利益は25億64百万円と同5.3%減少した。
なお、同社は2015年3月末をもって大学生向けの就活サイトである「[en]学生の就職情報」の運営を終了する。例年、大学生の就職活動期間に合わせて、12月にサイトをオープンし、翌々年の3月まで運営。このため、同サイトの売上高の計上は、サイトオープン時期である第3四半期連結会計期間に偏重しており、同期間に占める売上高及び利益の割合が大きくなっていた。当期は、2016年3月卒業生向けのサイトを昨年12月にオープンしていないため、当第3四半期連結会計期間と前年同期間の業績比較において、売上高及び利益の減少要因となる。前期の第3四半期(10-12月)は、新卒関連事業で、6.9億円の売上高と3.1億円の営業利益があった。

15/3期3四半期累計期間のエン転職の売上高は、前年同期比約17%増加した。8月に実施したサイトの全面リニューアル後の応募効果が堅調に推移したこと、新規顧客への販売を強化したこと等から前年同期比の掲載件数及び売上高が増加した。

15/3期3四半期累計期間のエンワールド・ジャパン株式会社は、売上高が前年同期比34.4%の増加、営業利益が同28.9%の増加となった。国内グローバル企業の高い人材採用ニーズが継続していることに加え、積極的な人員の増加と戦力化が寄与した。一方で、業容拡大により8月にオフィスを拡張のため移転した関連費用などを含めコストが増加した。

15/3期3四半期累計期間の海外子会社は、売上高が前年同期比141.3%の増加、営業利益が1億53百万円の改善となった。売上高は、今第1四半期にタイの子会社が、今第3四半期にインドの子会社のP/Lが新たに連結に加わり、ベトナムの子会社も通期でP/Lに寄与したことなどから前年同期比で大幅に増加した。また、営業利益も黒字化した。今期海外全体での黒字化に向け順調に推移している。

教育・評価事業

当事業には、定額制研修サービスの実施、採用・人事関連システムの提供等が属している。定額制研修サービスでは、「エンカレッジ」が昨年10月に4拠点目となる名古屋会場をオープンするとともに、新講座の開発や既存講座の内容改定を行うなど、受講者の満足度向上に向けた取り組みを強化した。また、採用・人事関連システムでは、子会社のシーベースにおいてリピート受注及び新規受注が進んだこと等から、前年同期を上回る売上となった。
以上の結果から、15/3期3四半期累計期間の教育・評価事業の売上高は前年同期比19.6%増の5億29百万円となった。一方、営業利益は、業容拡大に伴う人員の増加等、先行コストが発生したことから11百万円の営業損失となった(前年同期は86百万円の営業利益)。

14/12月末の総資産は前期末比1億5百万円減の226億28百万円。資産サイドでは、未払法人税の納付や有価証券の取得により現預金が減少したものの、のれんや投資有価証券が増加した。一方、負債・純資産サイドでは、未払法人税が減少したものの、当四半期純利益の計上で株主資本が増加した。総資産の約54%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約82%と、高水準を維持している。

2015年3月期業績予想
前期比14.6%の増収、同5.9%の経常増益予想

第3四半期の終了時点で、15/3期の会社計画は、売上高が前期比14.6%増の192億円、経常利益が同5.9%増の39億70百万円の期初予想から修正なし。
消費増税による国内経済への影響や新興国の経済成長鈍化が懸念されるものの、企業の人材採用ニーズは引き続き堅調に推移すると同社では見ている。こうした中、売上面では、新卒サイト終了に伴う減少があるものの、エン・ジャパンの中途採用領域及びEWJ社を中心に拡大を目指す。また、海外はベトナムとタイとインドの子会社のP/Lへの連結が寄与する。
利益面では、人件費、広告宣伝費・販売促進費を中心にコストが増加するものの、売上高の増加による吸収や海外子会社の収益改善等による増益を目指す。売上総利益率は、1.9ポイント上昇の90.4%、売上高販管費率は1.8ポイント悪化の69.8%の前提で、営業利益は前期比14.8%増の39億50百万円となる予想。また、経常利益の増益率が低下するのは前期に為替差益が発生した反動であり、当期純利益が減益となるのは前期に投資有価証券売却益を計上した反動。
1株当たりの配当も、前期末から4円増配の28.5円の計画から変更なし。

15/3期より、掲載課金型求人広告及びSH広告を「求人広告」へ、「エン エージェント」及び「SSS」を「人材紹介」へ区分変更となった。

今後の注目点
14年12月の雇用データを見ると、厚生労働省発表の国内有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.03ポイント上昇の1.15倍と3ヵ月連続上昇するとともに、22年9ヵ月ぶりの高水準となった。また、総務省発表の12月の完全失業率(季節調整値)も前月から0.1%低下した3.4%となった。景気の先行きに一部不透明感が見られるものの、引き続き企業の人材採用意欲は旺盛であることが明らかとなった。こうした好調な雇用環境の中、求人サイトとエンワールド・ジャパンなどの拡大により、同社の業績も拡大が継続するものと期待される。
しかし、同社の今第3四半期決算を振り返ると、売上高が前年同期比15.7%増加したものの、経常利益が8.3%減少と若干物足りない内容となった。これは、人材採用に伴う人件費やプロモーション費用の増加など先行投資を積極化させたことと、新卒サイトが終了したことが影響した。今後の成長に向けた施策による一時的な端境期と思われるものの、こうした業績動向が好調な業界環境にもかかわらずここ数ヵ月間の株価調整の原因の一つと推測される。
一方、同社の今第4四半期(1-3月)の会社計画は大幅に利益が拡大する計画となっている。好調な業界環境の中、来期以降の成長再加速の礎を築けるのか、今後の利益動向が注目される。費用対効果の高さを示し、株式市場の評価を取り戻すものと期待したい。
株式会社インベストメントブリッジ
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