(8912:東証2部) エリアクエスト 2015年6月期第2四半期業績レポート

2015/02/25

areaquest

今回のポイント

・テナント誘致力、問題解決力、そしてビル管理能力の三拍子揃ったPM(プロパティマネジメント:不動産の維持・管理を行う業務) サービスを提供。「テナントの繁栄なくして、ビルの繁栄なし」と言う清原社長のリーダーシップの下、借主・貸主の双方へ徹底サービスを提供。サブリース(物件を借り上げて転貸)やビル管理・メンテナンス等のストック収入型ビジネスを中心とする収益構造の確立とテナント誘致等の成功報酬型ビジネスの立て直しに取り組んでいる。11月1日付けで東証2部に市場変更となった。

・15/6期上期は前年同期比30.8%の増収、同105.5%の経常増益。前期までの契約の積み上げ効果に加え、今期もサブリース物件を中心に新規獲得が順調に進み、ストック収入型ビジネスの売上が増加。同ビジネスのスケールメリットが顕在化しつつあり、人材投資等の先行投資負担を吸収して営業利益が同2.2倍に拡大した。

・通期予想は前期比24.7%の増収、同80.2%の経常増益。サブリース物件の獲得が想定を上回るペースで進んでいる事を踏まえ、売上予想を上方修正。利益の上振れ分は人材投資など事業拡大に向けた先行投資に充当する考えのため利益予想を据え置いたが、営業利益は同82.4%増と高い伸びが見込まれる。

会社概要

“ビルコンシェルジェ”を標榜。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前商業地において、サブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に売買仲介や契約更新・契約管理等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。

国道16号線内でテナント誘致に強いビル管理サービスを提供!貸主・借主に徹底サービス
【沿革】

創業者である清原雅人氏(1991年4月、明治大学法学部卒業)が野村證券(株)を経て、1998年4月に友人と起業。2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立し、01年3月に社名を(株)エリアクエストに変更した。

2000年1月 会社設立テナント誘致事業開始
2003年2月 東京証券取引所マザーズ上場
2003年3月 ビル管理事業開始
2006年6月 赤字転落
2007年7月 更新及び契約管理事業開始
2011年5月 サブリース事業、パノラマクリーニング開始
2012年6月 黒字化
【業績回復への転機となったパノラマクリーニング】

会社設立から3年で東証マザーズに上場した同社だが、当時はトラブル防止・解決やテナントとの各種折衝を含めたテナント誘致等(現在の成功報酬型ビジネス)が売上のほぼ100%を占めており、現在、ストック収入型ビジネスとして力を入れているビル管理・サブリースや更新及び契約管理は積極的な営業を行っていなかった。しかし、リーマン・ショック以降の景気悪化で仲介等の市場が急速にシュリンクし、同社の業績も悪化。このため、事業の軸足をストック収入型ビジネスに移し経営の立て直しを図った。
持ち前の営業力に加え、11/6期下期に導入した「パノラマクリーニング」がビルオーナー等から高評価を得で契約獲得が加速。損益分岐点の引き下げに向けた取り組みも成果をあげ、12/6期には通期の営業損益が黒字転換した。「パノラマクリーニング」とは、清原社長が自ら作成したビル清掃業務における作業指示と結果報告のシステム。「パノラマクリーニング」に基づく丁寧な清掃作業と詳細な業務報告がビルオーナー等から高い評価を得ている。

パノラマスケッチ

建物共用部全体のスケッチを作成し、清掃箇所を明記。これを利用する事により、オーナー、清掃員、同社が何処を清掃するかひと目で理解できる。

項目指示書

清掃箇所毎に作業項目(何処を、何曜日に作業するか)を設定し一覧化。

抜き打ちチェック

同社社員が不定期に清掃チェックを実施。チェック箇所を写真に撮り毎月提出。

月次報告書の提出

パノラマスケッチ、項目指示書で明確にした清掃箇所について、抜き打ちチェック時に撮影した写真を添付して毎月、月次報告書を提出します。共用部の使用状況も報告。

また、清掃にとどまらず、消防法上問題となる共用部分の不正使用等、貸主側共通の悩み事の解決や対応した事に加え、漏水を含む水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面でのトラブル等に対しても、連絡を受ければ即時対応(問題が発生すればいち早く駆けつけ)で臨んだ事がビルオーナー等の更なる評価につながり、同社が物件を借り上げて転貸するサブリース物件の獲得につながっていった。

下請工事会社の対応を一本化し、漏水含む水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面でのトラブル等への即時対応
営業面での支障など2次的被害の発生を防ぎ、借主の満足度向上はもちろん、貸主の満足度も向上
サブリース物件の獲得とテナントの確保
同社の収益基盤の安定化
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

東証発表の「決算短信集計」によると、14年8月15日現在の東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の13年度のROEは、金融を除く全産業8.58%(前期は5.30%)、製造業8.47%(同4.78%)、非製造業8.74%(同6.04%)。また、東証2部上場企業の13年度のROEは、金融を除く全産業5.67%(前期は4.23%)、製造業5.53%(同4.14%)、非製造業5.84%(同4.36%)。同社は繰越損失の影響で税負担が軽い上、14/6期は特別利益の計上による利益の押し上げもあり、ROEが25.40%となったが、特別利益の計上がなくても、10%以上のROEを確保できたものと思われる。同社ビジネスの成否を左右するのは人材である。このため、大きな設備投資を必要としない一方で、限界利益率が高い。加えて、サブリースの拡大によるファイナンス効果(他人資本である長期預り保証金の獲得)で、業容拡大による資金需要の一部を賄う事ができており、この結果、12/6期以降、ROEの改善が続いている。

サブリースやビル管理等を手掛ける上場企業と比較すると、同社の利益率(税負担がほとんど発生していない事を考慮した上で)や資産効率の高さと共に、厳しい外部環境に負けない業績モーメンタムの強さを感じる。倉庫、住宅、店舗等の建物一棟をサブリースするロジコム(8938)は、12/3期以降、中規模倉庫の中途解約が続き空室率が下がらず苦戦が続いている(当期純利益が経常利益を上回る状態が続いているためROEは実態を表していないが)。このため、空室リスクの低い主要駅の駅前立地のビルの1階にターゲットを絞ってサブリースを拡大させているエリアクエストとはROEを構成する3要素の差が顕著だ。

ビル管理の分野では、(株)サンシャインシティを筆頭株主とし、警備、清掃、設備管理を結合した総合管理サービスを志向するアール・エス・シー(4664)及び大丸・松坂屋の店舗管理を主力とする白青舎(9736)の中堅2社と比べてみたが、エリアクエストのROEが期を追う毎に改善しているのに対して、2社は顧客の価格引き下げ要求と受注競争の激化でROEが低下化傾向にある(アール・エス・シーの13/3期及び14/3期は、ほとんど税負担が発生していない)。

中期事業計画

順調に拡大しているサブリースをけん引役に業容を拡大させていく考えで、当面の目標として18/6期に売上高19億61百万円、経常利益4億49百万円の達成を掲げている。具体的には、パノラマクリーニングとトラブルに対してリーズナブルな価格で迅速に対応できる強みを生かしてメンテナンス物件を獲得し、これをサブリースにつなげ、ストック収入型ビジネスを拡大させていく。一方、成功報酬型ビジネスについては徐々に収益の拡大ペースが加速していくとみているが、マンパワーの制約に加え、足元、マクロの景況感の改善が成功報酬型ビジネスの事業環境の改善につながっていない事を踏まえて慎重な見通しだ。

事業環境

80年代後半から90年代初めにかけてのバブル期に竣工したビルが20年を経過し、エアコンの故障や水漏れ等、トラブルが増えてくる築年数に入ってきた。しかし、「トラブルに対して、リーズナブルな価格で迅速に対応してくれるサービス会社が少ない」と言うのが、ビルオーナー等の悩み。この悩みこそ、同社にとって、大きなビジネスチャンスだ。

(3)ストック収入型ビジネス拡大に向けた取り組み

けん引役として期待のかかるサブリースの特徴は、ターゲットを1日の乗降客数が3万人以上の駅に絞り、駅周辺の物件で1階部分に限定している事。サブリースは空室リスクを伴うが、同社は、人の流れが多い一等地(乗降客の多い駅周辺)に絞り込む事と、客付けで同社が強みを持つ小売業等に人気の1階部分に限定する事で、リスクの顕在化確率を極小化している。解約が発生しても、概ね1カ月程度で次のテナントが決まっていると言う(テナントが解約する場合は、6か月前までに同社に連絡する必要がある)。

サブリース物件を18/6期末までに300件規模に

サブリースは、14/6期売上高の約1/2、同売上総利益の1/3以上を稼ぎ出す規模に成長しており、足元のサブリース件数は約90件。営業力の強さを背景に、14/6期の新規獲得件数は過去2期間の累計獲得件数を上回る実績を上げており、1件当たりの規模も拡大しており、中期事業計画の18/6期末までに300件規模に拡大させたい考えだ。

ちなみに、90件のサブリース物件は、ほとんどが主要駅の駅前一等地に立地するビルの1階で、他社がうらやむような質の高さだ。ビルコンシェルジュとして、誠心誠意で取り組んだ成果でビルオーナー等との信頼関係構築が進んでいる事がその背景にある。ポイントは、営業マンの努力、上場企業としての信用力、実質無借金経営の健全な財務体質、そして案件毎にきめ細かく実施される清原社長のトップセールスの4点である。

また、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案を合わせ行っている事もサブリース物件の獲得につながっている。その際に必要となるリフォーム費用、或いは高熱水道関係の修繕や新たな敷設費用は同社が負担する(同社は先行投資を織り込んだ収益性を基に提案を行っている)。このため、オーナー等は初期投資をする事無く安定的に収益を売る事ができる。

2015年6月期上期決算
ストック収入型ビジネスの拡大で経常利益が倍増

売上高は前年同期比30.8%増の7億11百万円。前期までの契約の積み上げ効果に加え、今期もサブリース物件を中心に新規獲得が順調に進み、ストック収入型ビジネスの売上が増加した。

利益面では、相対的に利益率の高い成功報酬型ビジネスの売上構成比の低下につれて売上総利益率が低下傾向にあったが、ストック収入型ビジネスが一定規模に達した事で上昇に転じた。人材投資等に伴う人件費を中心にした販管費の増加を吸収して、営業利益が96百万円と同2.2倍に拡大。支払利息や支払手数料の増加で営業外費用が増加したものの、経常利益も倍増した。四半期純利益が減少したのは、前年同期は投資有価証券売却益84百万円を特別利益に計上したため。尚、11月1日付けで東京証券取引所2部市場に市場変更となった。

業容の拡大と自己株式の売却等で上期末の総資産は16億82百万円と前期末に比べて4億21百万円増加した。借方では、自己株式の売却で現預金が、サブリースの拡大に伴い有形固定資産(初期設備投資)及び敷金・保証金が、投資有価証券の増加で投資その他が、それぞれ増加。一方、(株)まや商会の株式売却で無形固定資産(借地権)が減少。貸方では、長期預り保証金、有利子負債、純資産が増加した。
営業力を強みとする同社だが、流動性と長期の安定性共に優れた財務体質も強みの一つ。100%超であれば短期的な支払い能力は安全とされる流動比率は176.7%(前期末159.7%)。一方、100%未満であれば良好、50~80%であれば理想的とされるが、現実的には難しい固定長期適合率が87.1%(同90.7%)。自己資本比率は51.8%(同47.3%)。

尚、14年10月末に、自己株式1,502,900 株(発行済の持株比率6.7%)を、同社の役員、顧問及び従業員に第三者割当方式で割り当てた(約1億75百万円を調達)。保有する自己株式を有効活用して経営執行責任の明確化や更なる業績貢献の意欲向上を図ると共に、将来にわたる安定株主の確保につなげる事が目的だ。

サブリースの拡大に伴う前受金の増加等による資金効率の改善で営業CFが前年同期の36百万円から90百万円に増加した。有家固定資産(初期設備投資)の取得等で投資CFが2億14百万円のマイナスとなったため、フリーCFは1億23百万円のマイナスとなったが、自己株式の処分等による資金調達で賄い、現金及び現金同等物期末残高は前年同期末に比べて1億22百万円増加した(前期末との比較では1億36百万円の増加)。

2015年6月期業績予想
前期比24.7%の増収、同80.2%の経常増益予想

サブリース物件の獲得が順調に進んでおり、売上高が期初予想を上回る見込み。利益の上振れ分は人材投資など事業拡大に向けた先行投資に充当するため、営業利益以下の各利益の予想は据え置いたが、営業利益・経常利益共に前期比80%を超える高い伸びが見込まれる(当期純利益が減少するのは、前期は投資有価証券売却益84百万円等を特別利益に計上したため)。

今後の注目点
売上・利益のグラフはきれいな右肩上がりを描いており、まさにストック収入型ビジネス効果といえる。同ビジネスが一定規模に達した事で、低下傾向にあった売上総利益率が上昇に転じた事も今上期の特徴である。今後は、増益ピッチが加速するものと思われる。また、キャッシュ・フローに優れる事もストック収入型ビジネスの特徴であり、同ビジネスの拡大で財務の健全化も進んでいる。不動産ビジネスは財務リスクと裏腹だけに、同社も同じように見られがちだが、実は高い流動性と安定性に優れた財務体質を有する。加えて、昨今注目度が高まっているROEも上場企業の平均を大きく上回っている。有利子負債依存度が高く、過小資本のためROEが高い不動産会社は多いが、同社に関しては既に説明した通りだ。
財務基盤にはより厚みが必要だし、成長速度を上げるためには成功報酬型ビジネスの立て直しも必要等、確かに課題もあるが、いずれも前向きな課題である。同社は隠れた優良企業であり、業績だけでなく、認知度の面でも伸び代が大きい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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