(6072:東証マザーズ) 地盤ネットホールディングス 2015年3月期第2四半期業績レポート

2015/02/12

jibannet

今回のポイント

・15/3期2Qの売上高は前年同期比21.6%増加の12億98百万円。FC展開が順調に推移し、2ケタの増収。取引先企業数、サービス利用件数とも過去最高を更新。大手ビルダーの構成比上昇により平均売上単価が低下したことなどで粗利率が低下し、販管費が増加したため営業利益は同13.3%減少した。増収とはなったが、消費税増税の反動減で新築住宅着工戸数が減少した影響が大きく、2Q及び通期の期初予想を下方修正した。

・下方修正した15/3期通期は増収・減益の見通し。上期低調だった新規開拓に取り組むとともに、FC展開、グラウンド・プロの拡大にも注力する。配当は前期比2円増配の6.00円/株を予定。予想配当性向は30.8%。

・高成長を続けて来た同社だが上場以来初の下方修正となってしまった。株価も大きく下落したが、5月に付けた安値を下回ることなく推移しており、市場は当面の悪材料は織り込んだようだ。まずは今期業績を最低キープしながらどれだけ上積みを行うことができるかを注目したい。そうした観点からは今回開示された補償件数と新規開拓の推移を今後もウォッチしたいところだ。また来期にかけては、FCおよびグラウンド・プロの展開動向と共に、M&Aが想定通り進捗するのかも重要なポイントとなるだろう。
「消費者の不利益解消」という社会的意義を追求する同社の、市場の信頼回復に向けた動きに注目したい。

会社概要

住宅建築の際に行われる地盤調査を、発注者である施主、住宅メーカー等にとって透明性の高いものとするために地盤の調査・解析・補償に特化し、改良工事は行わない地盤会社。地盤改良工事の要・不要に関する情報を第三者の立場から提供する「地盤セカンドオピニオン®」、地盤改良工事を除く地盤に関する一貫したサービスを提供する「地盤安心住宅®システム」が主力サービス。生活者の利益を守る「住生活エージェント」として新商品開発、多角化に積極的に取組み、地盤業界ナンバーワンを目指している。

【沿革】

山本強社長は1966年6月生まれの現在47歳。大学卒業後、証券会社、住宅メーカーを経て1997年7月に大手地盤会社に入社した。地盤業界の構造を知る中で、施主である一般消費者にとって不透明な仕組みに疑問を抱く。
この問題を解決する事に社会的意義の大きさとビジネスチャンスを見出し、2008年6月地盤ネット株式会社を設立、代表取締役社長に就任。「地盤セカンドオピニオン®」が潜在ニーズを掘り起こし業績は急スピードで拡大。2012年12月東証マザーズに上場した。2014年1月にはベトナムに子会社を設立し海外展開にも着手。経営のスピードアップを図るため、2014年10月に持株会社体制へ移行。

【経営理念など】

専門知識を持たない生活者と、専門的な知識・経験を持つ供給者との「情報の非対称性」に起因する生活者の不利益は様々な分野で生じている。
同社はこうした情報格差を埋める「住生活エージェント」という立場で、
「生活者の不利益解消という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造を目指します。」
を経営理念として掲げている。

*住生活エージェントとは?

住生活エージェントとは、経済産業省がガイドラインを定める、
「生活者と供給者との情報格差を埋める役割を担い、生活者が適切な住環境を選択できるように、専門的な知見を基礎として公正中立な立場からサービスを行う事業者」のことをいう。

経済産業省では住生活エージェントの理念として以下の3点を掲げている。

1. 生活者の豊かな住生活を実現するため、専門的な知見を基礎として公正中立な立場から生活者の住環境の選択を支援する。
2. サービスの提供を通じて、生活者と供給者のより対等かつ円滑な取引環境の実現を目指す。
3. 社会全体に豊かな住生活を創造することを目指す。
【事業内容】

消費者と地盤改良工事を施工する地盤業者との間に存在する情報格差を解消することにより、より低コスト・短納期の住宅建築を実現するために、消費者の視点に立った地盤解析事業を展開している。

◎地盤業界のしくみ

住宅の建築に当たっては、建築基準法により、工務店、住宅設計事務所やハウスメーカーは、地盤調査を実施したうえで、住宅基礎仕様を決定する義務を負っている。
地盤調査を行った結果、現状のままでは住宅を支持するために十分な強度がない状態の地盤であると地盤業者が判断した場合は、地盤改良工事を実施する必要が生じる。

一般的に、地盤業界においては、「地盤調査」、「地盤解析」、「地盤改良工事」が同一の事業者により行われているケースが多い。
地盤調査及び解析費用は2~3万円程度だが、地盤改良工事は50万円から、場合によっては200万円程度かかる場合もあり、施主にとっては改良工事が必要となれば、大きなコストとなる。
同一会社が調査・解析と改良工事を手掛けていると、売上拡大のために不要な改良工事を行うという事にも繋がりかねないが、その詳細・過程・背景は生活者である施主にとっては不透明で知ることが出来ず、施主は「建築費が予算をオーバーしてしまう懸念」、「本当に必要な改良工事なのか否かが不明」といった不安・不満を抱えることとなる。

こうした施主や住宅会社の不満に対し、同社は地盤調査・解析専門会社として改良工事は行わず、住宅会社や工務店から調査の依頼を受けて第三者的立場かつ専門家としての見地から地盤改良工事の要・不要についての判定情報(セカンドオピニオン)を住宅建築業者に提供している。

◎事業の内容

現在の同社の中心サービスは「地盤セカンドオピニオン®」と「地盤安心住宅®システム」の2つとなっている。

「地盤セカンドオピニオン®

住宅会社や工務店等、施主を顧客とし、他の地盤調査会社等から「地盤改良工事が必要である」と判定された住宅の地盤調査結果について、これまでに蓄積した約20万件以上の膨大なデータの分析に基づいて、適正な住宅基礎仕様を判定し、地盤改良工事の要・不要に関する情報を第三者の立場から提供するサービス。顧客の依頼があれば地盤解析報告書及び地盤品質証明書を発行する。

適正な住宅基礎仕様の判定結果の提供までは「無償」だが、顧客の依頼による地盤解析報告書及び地盤品質証明書の提供は「有償」サービスであり、同社の収益源の一つとなっている。
地盤品質証明書を発行した住宅で、後日住宅が傾く不同沈下等の地盤事故が発生した場合は、住宅引渡日から10年間もしくは20年間、最大5,000万円の地盤修復工事費用及び住宅の損害等を同社が工務店等に対し賠償することとなっている。

これまでのセカンドオピニオンの実績では30%が工事必要、70%が工事不要という調査結果となっているが、工事が必要な場合は依頼者は納得して地盤改良工事に進むことが出来る。また、不要という結果の場合でも上記のような補償が付いているため、安心を得ることが出来る。

*同社の地盤解析基準

同社では膨大な地盤データを基に、住宅が傾く不同沈下事故例が生じた地盤事故事例をパターン化し、国土交通省令を始めとする関係法令や、日本建築学会等の各種団体が示す指針及び住宅瑕疵担保責任保険法人による設計施工基準に基づいて、独自に構築した解析手法・判定プログラムを用いて、住宅の地盤調査データから地盤の強度や沈下の可能性等を解析し、それぞれの住宅に適した基礎仕様を判定している。
判定の際には、工務店等からFAXや電子メールで送られてくる解析対象の地盤調査データ以外にも、現場写真による周辺状況や造成状況等のロケーションが重要な判断材料となる

*安心の補償体制

前述のように、同社が解析を行い、「地盤品質証明書」を発行した案件に関しては、引渡日より「10年間、最高5,000万円まで」建物の損害等を賠償する。
一般的な地盤保証が地盤会社のみを被保険者とし、限度額を年度合計1億円としている一方、同社のPL保険は、同社が設立した「一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構」を同社と連名での地盤品質証明書の発行主体としているほか、対象業務の発注者(同社の顧客である住宅メーカー等)に加え、同社団法人も保険契約上の連名被保険者としているため、万一同社が損害賠償義務の履行ができなくなった場合でも、工務店等へ損害賠償金の支払いが行われる体制を構築している。限度額も年度合計10億円以上と一般的な地盤補償の範囲を大きく上回っている。

2008年のサービス開始以来、毎月100社前後、累計6,400社以上の住宅会社がユーザー登録し、約8.2万棟以上が「地盤セカンドオピニオン®」を利用している。同サービス単体による地盤改良工事削減件数は累計で2万棟を突破した。1棟当たりの改良工事費を100万円とすると、生活者の負担を200億円削減したこととなる。

「地盤安心住宅®システム」

地盤調査の段階から同社が請負い、適正な住宅基礎仕様の判定、地盤解析報告書及び地盤品質証明書の発行に至るまで、地盤改良工事の施工を除いた地盤に関する一貫したサービスを提供するもの。
「地盤セカンドオピニオン」と同様に適正な住宅基礎仕様の判定結果の提供は「無償」のサービスだが、地盤解析報告書及び地盤品質証明書の提供は「有償」。同社が実施した地盤調査についても、「有償」となる。
以下の4つのSTEPにより、「地盤業界の見える化」を進めている。

STEP1「地盤調査の見える化」 ~地盤調査データのバラつき解消~

現在戸建住宅の地盤調査で一般的に用いられている方法が「スウェーデン式サウンディング試験」というものだが、それも手動、半自動、全自動と3つあり、この他にも別な調査方法がある。
地盤調査会社によって調査方法や機械はそれぞれ異なったものが採用されているため、調査データにバラつきが生じてしまう。加えて、この調査結果をそうしたバラつきを考慮せず、JIS規格を中心とした関係法令や指針にそのまま照合して検討するため、解析結果にもバラつきが生じ、適正な判定が困難という問題が発生している。

この問題に対し同社では、半自動地盤測定器「グラウンド・プロ」を伊藤忠建機(株)と(株)フューチャーアンドスペースと共に共同開発し、調査データの差異解消を進めている。
半自動地盤測定器「グラウンド・プロ」は、手動式調査の利点である「おもりによる荷量方式」を採用し、JIS規格と原理的に整合性ある高精度な調査を半自動式で実現したもので、特に軟弱地盤に対して適切な評価が可能。また作業員の負担を軽減し、作業時間も従来の半分に短縮されるなどその優れた性能が高く評価されている。
地盤に精通した人材(地盤インスペクター®資格保有者であるグラウンド・プロマスター)が同機械を使用して調査を行うという相乗効果により、日本最高水準の地盤調査を提供することが出来ると同社では考えている。

2012年9月のリリース以降「グラウンド・プロ」に対するニーズは急速に高まっており、これまでの利用累計は2014年10月末で35,000棟を突破した。現在全国で約120台が稼働しているが、1,000台を目標としている。
同社は今後も受注増加が見込まれる中、顧客へより一層の安心を提供すると共に、多様化するニーズへの対応を実現する為に、2014年2月、「グラウンド・プロ」の知的財産権特許、登録商標、意匠を(株) フューチャーアンドスペースより事業譲受した。
また、住宅地盤調査技術の底上げと平準化を目指し、「グラウンド・プロ マスター」講習会を開催している。

加えて、東北大震災を契機に関心度合いが高まっている「液状化対策」についても、その調査精度向上に取組んでいる。従来のサウンディング試験機では液状化となるか否かは推定にとどまっていたが、グラウンド・プロに土壌サンプラーを装着し、深度5mまでの実際の土質を採取して判定するグラインド・プロソイルサンプリング(GSS)という調査方法によって、土質を実際に確認して判定できるようになった。

STEP2「地盤解析の見える化」 ~地盤解析基準の明確化~

国土交通省告示、日本建築学会が示す指針や瑕疵担保保険設計施工基準にも基づいた各種関係法令等を遵守した高度な解析プロセスを提供し、過剰な地盤改良工事を削減している。
地盤と地盤測定器の特性を加味し、地盤調査報告書と膨大なバックデータから検証解析を行っている。

STEP3「地盤改良の見える化」 ~地盤改良の安全性向上~

改良工事現場では、現場に設計時とのずれが無いか?、設計通りに施工が行われているか?、施工過程に問題は無いか?など確認すべき重要項目が多数あり、確認を怠ると沈下事故、施工不良に繋がる可能性があるため第三者による確認が極めて重要である。
同社では、業界初の取組みとして、顧客からの希望により有償で、専門の教育を受けた地盤改良工事検査の専門家「地盤インスペクター®」(一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構認定。全国に約1500名在籍)を第三者として現場に派遣して検査に立ち会わせ、欠陥工事の恐れはないか?をチェックし、適切な改良工事が行われるように指摘・助言を行っている。また検査を行った全物件に「地盤改良工事検査済証」を発行し、顧客に安心感、信頼感を与えている。

STEP4「地盤補償の見える化」 ~地盤補償の信頼性向上~

同社では「地盤ロングライフ補償®制度」を設けている。
これは、同社で解析を行った物件に「地盤品質証明書」を発行するもので、引渡し日から「最高20年間、5,000万円まで」建物の損害等を賠償する。
以降、10年毎の「地盤インスペクター®」による定期点検・更新(有料)により、補償を生涯に亘って更新し続けることができる。定期検査では、最新の地盤リスクを把握できる「スクリーニングレポート」が提供されるため、経年による地盤リスクの変化に対応し、最適な対策を講じることも可能となっている。

◎「スマート地盤システム」の導入

「地盤安全住宅®システム」や「地盤セカンドオピニオン®」の認知度が向上し、ニーズを着実に掘り起こす中、現在月間受注件数は約3,000件にも達し、受注体制の効率化が同社においては急務だった。
こうした状況に対応し開発・導入したのが「スマート地盤システム」だ。
これはWEB上で地盤解析サービスの申込みや調査予約をはじめ、地盤品質証明書発行の申込み、進捗履歴管理などもできるシステムで、これまでよりもスピーディーな受発注体制を実現した。
システム利用料金は無料で、スマートフォンからの発注にも対応するなどユーザビリティーは大幅に向上した結果、現在では同システム経由の受注が急増している。
今後もバージョンアップや新サービスの追加を予定しており、更なるスピードアップを目指している。

◎同社のビジネスモデル「セカンドオピニオン・ビジネスモデル」

一般的なセカンドオピニオンは、成果の有無にかかわらずサービス提供に対する費用が発生し、補償はされない場合が多い。
これに対し同社では、「地盤セカンドオピニオン®」のように、サービスは無償提供とし、成果があった後に保証依頼があって初めて費用が発生するというビジネスモデルを採用している。
これによって生活者は納得できる最良のサービスを受けることが出来るのに加え、供給者側もサービスや技術の品質が向上し、結果的には業界全体の信頼性が向上することとなる。

同社のROEは2期連続して40%を超え、高水準で推移している。東証1部及びマザーズ上場企業の集計値と比較してもその高さは際立っている。レバレッジが低水準な一方、高い売上高当期純利益率が高ROEにつながっている。今期は減益の結果低下が見込まれるが高水準は維持しよう。

2015年3月期第2四半期決算概要
2ケタの増収もコスト増、新規開拓低調で営業利益は減益。

売上高は前年同期比21.6%増加の12億98百万円。
FC展開が順調に推移し、2ケタの増収となり、取引先企業数、サービス利用件数とも過去最高を更新した。
一方、顧客中、大手ビルダーの構成比上昇により平均売上単価が低下したことに加え、2013年より販売を開始した20年補償商品の構成比上昇に伴い、粗利率は5%弱低下した。加えて、前年同期に比べ人件費増(26百万円)、広告宣伝費増(44百万円)などにより販管費が同約4割増加したため売上総利益で吸収できず、営業利益は同13.3%減少した。

対前年同期比で増収とはなったが、消費税増税の反動減で新築住宅着工戸数が減少した影響が大きく、第2四半期及び通期の期初予想を下方修正した。
売上未達の要因は、新規開拓が低調だったことに起因した地盤補償サービスの補償件数のショート。

新規顧客開拓は、大手約100件、中小約300社をターゲットとして取り組んできた。
ただ体制整備が不十分であったことに加え、M&Aに注力したことにより経営資源が分散したこと等から上記のような低水準の達成率となった。上期の補償件数のうち、新規開拓で約3割をカバーする計画するであったが、実際は7.2%にとどまった。(既存顧客はほぼ計画通りの98.1%の達成であった。)

現預金の減少および売上債権の増加で流動資産は前期末比40百万円減少。無形固定資産の増加等で固定資産は同42百万円増加し、総資産は同3百万円増加の1,808百万円となった。
負債は、未払法人税等の減少などで同111百万円減少の483百万円となった。
純資産は同113百万円増加の1,324百万円。この結果、自己資本比率は73.0%と、前期末の66.9%から6.1%上昇した。

(3)トピックス
◎アライアンス解消へ

2014年8月6日に一般社団法人ハウスワランティ及びシールドエージェンシー株式会社との間で合意した資本業務提携に関する基本合意を一旦解消すると、2014年10月31日に発表した。
検討事項が多岐に渉り、統合スキームの多様性から、短期的な合意に至ることが極めて困難であり、長期的かつより詳細な検討が必要との共通認識に至ったのが要因。
ただ、完全に話し合いが終了した訳ではなく、住宅地盤補償業界ナンバーワンを目指して、今後も定期的な協議を続けていくということだ。

◎様々な賞を受賞

*「第12回デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast50」で第13位を受賞
企業の成長性や成功を知るベンチマークの一つとし世界的に認知されている「テクノロジー50」で、直近3年間の売上高成長率が259%を記録したことを評価され、2012年、2013年に続き3年連続で受賞した。

*「Asia’s 200 Best Under A Billion」を受賞
米国の経済誌Forbesアジア版「フォーブス・アジア」が選出する「Asia’s 200 Best Under A Billion」に選ばれた。
「Asia’s 200 Best Under A Billion」は、アジア太平洋地域を代表する売上高10億USドル未満の上場企業の中からForbesが選定する、過去3年間に渡り堅実な収益性と成長性を維持している優良企業200社に贈られる賞。
アジア展開を目指す同社にとっては、ビジネス拡大の絶好の機会と言えるだろう。

2015年3月期業績予想
業績予想を下方修正。2ケタ増収も微増益へ。

前述の通り通期予想を下方修正した。
上期低調だった大手新規開拓に取り組むとともに、FC展開、グラウンド・プロの拡大にも注力する。
配当は前期比2円増配の6.00円/株を予定。予想配当性向は30.8%。

(2)今後の取組み

上場後初の業績下方修正を受け、特に内部環境要因に関しては顧客満足度の更なる向上を目指し、「本業原点回帰」を掲げ下記のような取り組みを進める。

①新商品開発のスピードアップ

差別化要因として新商品の開発に引き続き取り組んでいく。
まず、地盤と基礎・構造躯体設計の一本化を進める。
これまで住宅を建てる際、地盤設計と基礎・構造躯体設計は別々で行われることが殆どであった。
これを、同社が有する地盤解析データを元に住宅の構造設計との連動を図り、一体で設計できれば個々の土地・住宅に適した耐震設計が可能になる。耐震力向上により住宅所有者にとってメリットが大きいと同時に、豊富な地盤データを有する同社が、住宅基礎から建築資材、工程管理まで住宅建築に係わる全ての業務をワンストップで取りまとめることも可能で、事業機会の拡大が期待できる。スケールメリットを活かしたM&AやFC展開に繋げていく考えだ。
この他にも、地盤液状化見舞金制度、地震デリバティブを利用した震度6以上時の見舞金支給、災害全般のリスクヘッジ商品など、サービス向上のための保険・金融商品の開発にも注力する。

②WEBサービス「スマート地盤システム」の進化

前述の通り、作業件数の急速な拡大と共に、受発注業務の効率化が不可欠になり導入したのが、「スマート地盤システム」だが、NTTデータグループの「intra-mart」を基盤として利用した業界最高水準のシステムインフラを新たに構築した。2014年10月より一部リリースされ、下期中に全面切り替えを完了する計画。
同社内のみで利用するのではなく、工務店や地盤会社など、IT化が遅れてきた地盤業界における共通プラットフォームを構築し、住宅業界のIT化を促進する。

③FC展開の推進

前期より取組みを開始したFC開拓は概ね計画通りだった。
売上全体に占めるFC売上の構成比は上昇傾向にあり、補償件数ベースでは半年間で倍化している。

現在、本社正社員営業マン20名に対し、全国に100名のFC営業マンが在籍している。累計加盟店数は70社まで増加し、受注件数(依頼ベース)は約1,000件にまで拡大している。
ただ、23の府・県には加盟店が不在であり、さらに加盟店開拓を強化する考えだ。
同社本体は全国規模で展開する大手ハウスメーカー等を担当し、FCは地元業者を顧客とするという形での棲み分けが出来ている。

④グラウンド・プロの配置台数拡大とバージョンアップ

高精度な地盤調査を効率的に実施できる半自動地盤測定器「グラウンド・プロ」は現在全国に120台配置されているが、今上期は20台を販売した。

より使い易く省エネも考慮しバージョンアップした「グラウンド・プロII」は開発が完了し、下期から投入する。価格はほぼ同程度ということだ。
設置がまだ無い17県を中心に、早期に全国設置台数1,000台を目指している。

さらに、引き続きM&A戦略及び海外展開には積極的に取組んでいく。
住宅建築の最初の作業である地盤調査に係わる同社は、戸建住宅の物件情報を川上で入手できるというメリットを有している。
そこでそのメリットを有効に活用し、顧客データベースを核として住宅に関するあらゆるシーン(リフォーム、メンテナンス、住宅ローン、家具・家電、外溝・エクステリア、インテリア、火災・地震保険、住宅流通など)をビジネスとする「住生活グループ」を創り上げることを目指しており、そこにおいてM&Aは極めて重要な手段となる。

また、全アジアで新築住宅着工戸数年間500万戸とも言われる急成長市場に、耐震性など高品質な日本の住宅建築と住宅地盤の技術を輸出することも引き続き重要な経営戦略としている。

加えて、アクセス数が75万件を突破した「地震安心マップ」を、消費者の不利益解消の重要なツールとしてその利用を促進していく。

東日本大震災時の千葉県・浦安地区での液状化現象、今夏の広島県での土砂災害、活断層など、ある特定の場所がそうした災害に対し安全か否かを判定することは従来から現存するデータを使用すれば容易なことであるのだが、一般の人の目に触れることは殆どないという。

その理由としては、不動産取引や地権関係整理の障害になり得るからということであり、一般消費者にとっては極めて不利な状況になりかねない。
そこで同社では、そうした利害から離れた立ち位置にあることを活かし、この「地震安心マップ」を戦略的ツールとして下期からより一段と積極的に取り扱うこととしている。

今後の注目点
高成長を続けて来た同社だが上場以来初の下方修正となってしまった。株価も大きく下落したが、5月に付けた安値を下回ることなく推移しており、市場は当面の悪材料は織り込んだようだ。
まずは今期業績を最低キープしながらどれだけ上積みを行うことができるかを注目したい。そうした観点からは今回開示された補償件数と新規開拓の推移を今後もウォッチしたいところだ。また来期にかけては、FCおよびグラウンド・プロの展開動向と共に、M&Aが想定通り進捗するのかも重要なポイントとなるだろう。
「消費者の不利益解消」という社会的意義を追求する同社の、市場の信頼回復に向けた動きに注目したい。
<参考:成長戦略>

同社では今期(2015年3月期)を含めた今後2年間の中期経営計画目標を以下の様に掲げている。

サービス(解析・調査)のマーケットシェア拡大に伴う、売上、利益の大幅の伸びを見込んでおり、この計画を達成するために、市場と商品をベースに、以下のような戦略を推進していく。

「住宅会社・工務店に対し、地盤関連ビジネスを徹底して展開し、地盤業界ナンバーワンの地位を獲得する。同時に、海外市場開拓や住生活エージェントの拡大といった新たなビジネスの芽を育成する。」
① 市場浸透「FC・代理店・取次店網の構築」
全国に広がる戸建住宅を対象とするには現在の自社7つの営業拠点では不十分。
全国ネットワーク構築のため、FC制度の導入、代理店・取次店制度の拡充を推進する。
2014年3月末現在のFC加盟店は51社、営業スタッフは75名。今後も本社の手の届かない地方を中心に開拓を続ける。
FC加盟店の業種は、不動産、司法書士、通信、住宅メーカー、ライフプランナー、広告代理店、旅客運送など多岐に渉っている。これは、戸建住宅建築の情報はまず地盤会社に入る事が多いため、情報の上流を押えることで、以降の長期にわたる幅広いビジネスチャンスを掴むことに繋がるというメリットを各社考えているため。
また、異業種FC加盟店とのコラボレーションとして、加盟店の本業商材をクロスセルすることも進めていく。
② 市場開拓「施主向けの新たな販促・PR」
「地盤セカンドオピニオン®」の受注は現在、住宅会社からの依頼が中心だが、上場に伴う認知度の向上もあり、今後は施主からの依頼ルートを確立する。
このためにTVCMを制作し随時放映を戸なっているほか、業界紙・一般雑誌への広告出稿、地域に限定したエリア広告(名古屋ミッドランドスクエア)、女子プロゴルフ協賛など、様々な販促・PRを展開している。また、前述の「地盤安心マップ」も認知度向上の大きなきっかけと考えている。
③ 新商品開発「既存住宅向け地盤ロングライフ補償SM
日本の新築戸建て住宅市場は年間約45万棟。これに対し、既存の住宅市場である総住宅数は平成20年で5,759万棟と極めて大きい。(同社資料より)
しかし、2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」以前の既存住宅は、地盤調査による安全性が確保されておらず、地盤に対する不安を抱える消費者ニーズに応えられる商品が求められていた。
そこで、同社では既存住宅にも適用できる地盤品質証明サービスの提供を開始した。
「引渡し」を条件としないことにより、今後増加が見込まれる「リフォーム」を中心に広く既存物件を補償することが可能となった。
「既存住宅向け地盤ロングライフ補償SM サービス概要」

1.地盤品質証明サービス対象
・新耐震基準に適合している住宅
・中古木造一戸建て住宅、併用住宅及び共同住宅
・中古鉄骨造一戸建て住宅、併用住宅及び共同住宅
・中古鉄筋コンクリート造一戸建て住宅、併用住宅及び共同住宅

2.地盤品質証明サービス内容
サービス対象 : リフォーム会社、不動産会社(宅地建物取引業)等
調査 : 地盤調査・傾斜レベル確認・地盤スクリーニングによる確認
結果 : 「地盤スクリーニングレポート(有料)」による報告
提供品 : 「地盤品質証明書(有料)」
補償金額 : 最高5,000万円 補償期間 : 10年間
(「地盤インスペクター®」による点検・更新(有料)を実施することにより、品質証明対象期間を更に10年間延長可能。最長で建物の解体まで生涯に亘り品質証明を更新し続け「地盤ロングライフ補償SM 制度」の対象とすることが可能)

④ 多角化

多角化は、① 国内から海外への展開、② 住生活全般への展開、の2つを推進していく。この多角化を進めるにあたってはM&A戦略が大きなカギを握る。そこで前述のように、2014年10月より持株会社体制へ移行する。

① 国内から海外への展開
東南アジア市場への進出を進めている。地震プレートが重なり、日本同様地震や津波に対する関心が高いことに加え、地下水くみ上げによる都市部での地盤沈下、小規模住宅地における地盤改良需要の拡大等がその背景にある。
同社では2013年7月より、業界で初めて海外向け「地盤ロングライフ補償SM制度」の発売を開始した。(引渡し日から10年間、最高1,000万円を補償)
これに加え、2014年1月、ベトナム・ホーチミン市に100%子会社JIBANNET ASIA CO., LTD.を設立した。半径2時間圏内をマーケットとしている。
ベトナム子会社はまずは社内向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)として収益を安定させ、次に社外向けBPOや建設の人材紹介等に事業範囲を広げ、その後、検査・施工管理、調査、補償、新規事業へと段階的に収益性の高いビジネスに移行していく方針。
ベトナムを皮切りに、アジア圏での住宅地盤関連情報収集、各種マーケティング活動ならびに地盤調査請負・補償事業を行いながら地震大国日本で蓄積された地盤および住宅に関するノウハウと技術をアジア全域に展開、移転する考えだ。
② 住生活全般への展開
同社は情報格差を解消するため「地盤セカンドオピニオン®」サービスを展開してきたが、このような情報格差は、地盤にとどまらず、住宅全体に及ぶ。
そこで今後は、住宅全般に亘り、消費者(生活者)と供給者の情報格差を埋める役割を担う「住生活エージェント」として、消費者目線の優良な住宅会社と家を建てたい消費者を結びつけるサービスへと展開していく。
具体的には「安心・安全な住まいづくり」をテーマとしたセミナーを開催し、認知度の向上を図っている。
株式会社インベストメントブリッジ
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