(6745:東証1部) ホーチキ 2015年3月期第2四半期業績レポート

2014/12/24

HOCHIKI

今回のポイント
・火災報知システムを中心に、消火設備、セキィリティシステムなども手掛ける総合防災企業。1920年、日本で初めて火災報知機を設置するなど、日本の防災業界を常にリードしてきた。安定したキャッシュを創出するビジネスモデル「お客様循環サイクル」が強み。海外市場開拓に注力中。アライアンスを積極展開。

・15/3期2Qの売上高は前年同期比8.3%増収の296億90百万円。主力の国内火災報知設備及び消火設備が好調で、海外事業も順調に進捗。営業利益は249百万円。増収効果に加え、積極的に経費削減に取組んだ結果黒字転換した。第2四半期業績見通しを上方修正。その業態から下期偏重の傾向が強い同社が、上期において黒字転換、上方修正となったことは評価されよう。

・通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比1.1%増の685億円。国内は同微減だが、アジア・パシフィック中心に海外各地域が2ケタの成長。粗利率が前期に比べ0.3%上昇する一方、販管費は前期を下回り、営業利益は同16.6%増の31億円。配当は13.00円/株を計画。予想配当性向は21.0%。

・2018年4月に創業100周年を迎える同社は、2017年度に向けた成長戦略「VISION2017」の2ndステージが進行中。国内防災事業の基盤強化とグローバル化の加速により「2018年3月期連結売上高800億円以上、営業利益率5%以上」を目標としている。

・収益性の向上は同社に期待したい課題である。会社側はその取組みとして「リニューアルへの注力」と「海外を中心に機器販売比率の向上」を上げている。「お客様循環サイクル」という安定した収益構造に、収益性向上が加われば同社の企業価値はさらに一段と向上する事となろう。取組み及び実績を注目していきたい。

会社概要

火災報知システムを中心に、消火設備、セキィリティシステムなども手掛ける総合防災企業。1920年、日本で初めて火災報知機を設置するなど、日本の防災業界を常にリードしてきた。安定したキャッシュを創出するビジネスモデル「お客様循環サイクル」が強み。海外市場開拓に注力中。ALSOK、BOSCH、三和シヤツター工業などとのアライアンスにも積極的。

【沿革】

大正時代に入り日本の近代化が急速に進行する中、首都・東京における適切な防災システムが必要となった。当時欧米には既に火災報知システムがあったが高価で十分な数を輸入する事は難しかったため、国産化することとなり、東京市が主導し、損害保険会社13社が出資して1918年(大正7年)に設立されたのが同社である。1920年(大正9年)には日本で初めての公衆用火災報知機を日本橋に設置した日本の防災業界の草分け的存在である。その後、関東大震災や第2次世界大戦時に設置されていた公衆用火災報知器が殆ど焼失するなど大きな被害を受けるなど多難の時代もあったが、人命と財産を守ることをミッションとして、その時々の防災需要に対応した製品を開発してきた。2018年4月に設立100周年を迎える。

【経営理念】

こうした、防災・安心・安全に対する意識は社員一人一人にDNAとして浸透しているという。
創業100周年に向け、企業理念の再確認と今後の事業展開や経営方針など「新ビジョン」を伝えるため、金森 賢治社長自らが約2カ月かけて全国の拠点に足を運んでいる。
今後はグローバル化の進展に伴い海外子会社での理念の共有が課題であると認識しており、英語版社内報の作成にも取組んでいる。

【市場環境】

同社の主力製品である火災報知システムは、主としてオフィスビル、倉庫、工場などに導入される。
建設経済研究所の調査によれば、民間非住宅分野の建築着工床面積はリーマンショックによって大きく落ち込んだものの、その後緩やかながらも回復傾向にある。特に直近では倉庫や工場への投資が活発化しているという。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け首都圏を中心とした建設ブームも予想される。

ただもう少し長いスパンでは、建設市場は縮小傾向にあると言われているが、一方で、「リニューアル需要」も同社にとって重要なターゲットとなる。
国土交通省の調べによると、2013年度の非住宅を対象としたリニューアル市場の市場規模は約6.2兆円でここ数年増加傾向にある。建設バブル期に同社が納入した機器もリニューアル需要が今後顕在化してくるため、事業環境は比較的良好と見られる。(詳しくは「成長戦略」を参照)

また、消防法の改正も市場に与える影響が極めて大きい。
直近では2006年6月の改正により住宅用火災警報器設置が義務化された。新築住宅のみでなく既存住宅でも、戸建住宅や、自動火災報知設備が付いていない共同住宅は最短で2008年5月中まで、遅くても2011年5月中までに設置する事が義務付けられ、この結果設置率は約75%まで高まっている。
こうした機器のリニューアルも有望市場である。

◎シェアおよび同業他社比較
火災報知システムに関するシェアを見ると、同社はトップの能美防災株式会社(6744、東証1部)に次ぐ第2位となっており、その後にニッタン株式会社(非上場)、パナソニック(6752、東証1部)が続く。
2013年において、火災報知システムの受信機市場を見ると、大規模ビル市場においては、同社は38%のトップシェアを有し、マンション市場、小・中規模ビル市場においてはそれぞれ34%、21%で第2位となっている。

火災報知機市場における参入障壁は高い。理由の一つは日本の消防法。日本独自の規格や仕様が求められており、海外からの新規参入は難しい。また新規参入企業が市場シェアを奪うには、製品の販売のみにとどまらず、実際の設置・施工、その後の点検までを全国レベルで行うことのできる体制が必要であり、投資対効果という観点からは極めて難しいと考えられる。

下記は防災関連の上場企業である。今期営業利益は唯一2桁増益であるが、売上高営業利益率、ROEは最も低い。収益率向上が課題といえよう。

【事業内容】

火災報知システムを中心に、消火システム、情報通信システム、セキュリティシステム、など、人命と財産を守るための各種製品やシステムを開発・製造・販売している。
また、コンサルティング、エンジニアリング、設計・施工、メンテナンスも手掛けている。
事業セグメントとしては防災事業と情報通信事業等の2つ。2014年3月期の売上高、セグメント利益は以下の通りである。

◎主な製品・システム
<火災報知システム>

同社の主力分野。火災やガス漏れの発生を確実に発見し、ビルの管理センター、消防署、住民、施設の利用者等に迅速に報知する。
下記のような各種機器設備を開発・製造・販売している。

「火災感知器」

火災の発生をいち早く感知するセンサーが、火災感知器。代表的な自動火災感知器は、温度の上昇により火災の発生を感知する「熱感知器」と煙の粒子に光を反射させて煙の発生を感知する「煙感知器」。その他、火災を発見した人が発生を知らせるための発信機もある。また、同社は業界に先駆けて、無線式自動火災報知設備を商品化している。

「受信機」

建物の火災において、感知器や発信器から火災が発生したという火災信号を受け、管理センターの担当者に火災の場所を示し、警報ベルを鳴らすのが受信機。火災報知システムの心臓部と言われている。
建物の構造や大きさによって、設置された感知器など構成機器の接続数が異なるため、「P型」と「R型」の2種類がある。

◎P型受信機(Proprietary Type)

火災発生の感知をある一定区域(警戒区域)ごとに1回線で区別している。このため、火災発生の信号を受ける受信機は発生区域が分かるように全回線分の表示窓を設けている。回線が増えると配線本数・表示窓スペースも増えるため、小規模な建物に適している。

◎R型受信機(Record Type)

感知器などからの火災信号を個別に配線した伝送路で一度中継器に送り込む。中継器と受信機に間は共通の伝送路を使用して信号を送り、受信器に入ってきた信号の記録符号を見ればどこからの火災信号であるかがわかる。
受信機からは「呼び出しパルス」という信号が短時間内に繰り返し発信されており、中継器の番号と一致したときに
必要な情報を短い時間で受信機に送り返す。
このため、少ない配線数で多くの情報を通信できるとともに、将来増改築が予想される場合でも変更が必要な箇所のみの配線改修工事をすれば済むといったメリットがある。全回線分の表示窓を設置する必要が無いため、大規模な建物に適している。前述のように、R型が使用される大規模市場では同社がトップシェアを有している。

<消火システム>

各種スプリンクラー、屋内・屋外消火栓設備、泡消火設備、ガス系消火設備、その他大規模空間向け放水銃など。

<情報通信システム>

地上デジタル放送受信システムやIP防災集中監視システムなどのデジタル共同受信設備、ネットワークカメラシステムなど。

<セキュリティシステム>

出入管理システム、防犯設備など。

◎国内ネットワークおよび営業体制

2014年3月末現在、グループ会社4社および36の営業拠点を有して全国をカバーしている。
ビル建築にあたっては、通常、発注者である施主、ゼネコン、サブコン、建築設計事務所、各種代理店など様々なプレーヤーが関与する。最終的な発注は、サブコンからなされることが多いが、確実に受注を獲得するには各階層全般に営業を行う必要があり、各階層毎に担当営業が情報収集や提案を行っている。

国内には以下3か所の生産工場を有している。

◎アライアンス

顧客ニーズへの対応、収益機会拡大のために、各企業とのアライアンスを積極的に展開している。

*綜合警備保障株式会社(ALSOK、2331、東証1部)
2003年、資本業務提携契約を締結。ALSOKが手掛けるビル総合管理案件における防災部門をホーチキが請負ったり、ホーチキがメンテナンス契約を締結しているビルにALSOKのセキュリティシステム導入を提案する。2014年3月末現在、ホーチキ株式4,380株を保有。保有比率15.01%。

*Robert Bosch(ドイツ)
2006年、資本業務提携を締結。ドイツを本拠とする自動車部品と電動工具のメーカーであるRobert Boschの中国工場でホーチキの住宅用火災報知機が生産を行っている。またホーチキ製品を米国市場でOEM供給しているほか、世界シェア第3位であるRobert Bosch製ネットワークカメラの日本における販売代理店の1社ともなっている。
2014年3月末現在、ホーチキ株式3,963株を保有。保有比率13.58%。株主名は、ロバートボッシュインベストメントネーデルランドビーブイ。

*三和ホールディングス株式会社(旧 三和シヤツター工業株式会社、5929、東証1部)
2005年、資本業務提携を締結。営業面で双方の営業情報を活かした協働営業を行っている他、開発面でも商品の協働開発を行っている。2014年3月末現在、ホーチキ株式2,274株を保有。保有比率7.80%。

◎海外展開

2014年3月末現在、海外グループ会社8社(北中米3社、アジア・パシフィック3社、欧州2社、中東1社)、営業所・駐在員事務所5拠点(アジア・パシフィック4)を有している。
全売上高に占める海外比率は下記のように1割程度とまだ低い。

海外の防災マーケットでは、センサーメーカーと受信機メーカーが棲み分けされており、同社はセンサーメーカーとして認知され、その品質の高さを評価されている。
海外各市場におけるセンサー販売のシェアは、英国2位(20%)、東南アジア3位(10%)、オーストラリア4位(10%)など一定のシェアを有しているが、北米7位(1%)、メキシコ5位(5%)など、全般的にはまだ大きいとは言えず、今後は販売を加速させる考えだ。(「成長戦略」を参照)

*東証HP「決算短信集計」より
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。

同社のROEは前期で7.4%と上昇傾向にあるが、電気機器平均を上回ってはいるものの、東証1部平均や一般的に目安と言われている8%には達しておらず、一段の向上が望まれる。

特徴と強み
◎安定した収益を獲得するビジネスモデル

2020年の東京オリンピックというイベントはあるものの、中長期的に日本の建設市場は縮小傾向にあり、同社ビジネスにとっては決して追い風ではないものの、同社は、長年に亘って蓄積してきた「顧客資産」、「ブランド力」、「製品開発力」を活かして安定した収益を確保することができる独自のビジネスモデルを有している。
同社はこれを「お客様循環サイクル」と呼んでいる。

<お客様循環サイクルの流れ>

①「新築ビルにおいて火災報知システムを受注・施工」

②「メンテナンス契約を締結」
*同社がトップシェアを有し、得意とする「R型受信機」は、その機能の高さのためメーカーによるメンテナンスが必要で、納入先のメンテナンス契約成約率は6~7割と高い。
*消防法の規定により、年間2回の法定点検が義務付けられており、自然と顧客との接点が出来上がり、密着度も高まる。
*またメンテナンス契約は収益性の高さも大きな特徴となっている。

「営業」
*ALSOKとの防災・防犯複合システム、BOSCHのネットワークカメラ、三和シヤツター工業の防火シャッターを始めとして、顧客ニーズに合わせた様々な提案を行う。

「リニューアル工事の受注・施工」
*建物のライフサイクルに合わせて、その時々でリニューアル工事を受注する。

このように、建設市場が縮小傾向にある中でも蓄積されたストックを活かしてアライアンスを活用した同社ならではの提案を行い、付加価値および収益力を高めることができるのが同社のビジネスモデルの大きな特徴である。
この安定した収益構造から獲得したキャッシュを、今後の注力分野の海外市場開拓に投入していく。

◎業界をリードする研究開発体制

1920年に日本で初めての公衆火災報知機を自社開発して設置したことから始まり、受信器、無線式自動火災報知機、放水銃など、日本の防災システム業界をリードする新製品を常に開発してきた。
火災の発生をいち早く確実に感知する「センシング技術」、火災信号を的確に伝える「伝送・表示技術」、確実に消火を行うための「放水技術」を基盤の技術とし、総合防災実験場(宮城県)、開発研究所(東京都)、グローバルR&Dセンター(英国)で、既存製品の改良や、海外市場開拓のための新製品の開発などを積極的に進めている。
研究開発スタッフや、国内約100名、海外約20名。

宮城県角田市の世界最大規模を誇る総合防災実験場では、様々な状況を想定して、火災感知、消火を始めとした防災に関する実験を行っている。

2015年3月期第2四半期決算概要
国内外共に堅調で増収・黒字転換

売上高は前年同期比8.3%増収の296億90百万円。主力の国内火災報知設備及び消火設備が好調で、海外事業も順調に進捗した。前年同期は180百万円の損失だった営業利益は249百万円。増収効果に加え、積極的に経費削減に取組んだ結果、黒字転換した。為替差益が前年同期に比べ23百万円増加したことなどから経常利益は298百万円となった。(前年同期は150百万円の損失。)
第2四半期業績見通しを上方修正した。
その業態から下期偏重の傾向が強い同社が、上期において黒字転換、上方修正となったことは評価されよう。

現預金、売上債権減少等で流動資産は42億76百万円減少し、318億29百万円。無形固定資産の減少等で固定資産も2億22百万円減少し145億2百万円となり、総資産は44億98百万円減少の463億31百万円。
仕入債務の減少等で流動負債は43億82百万円減少し、174億43百万円。固定負債は退職給付に係る負債の減少等で996百万円減少し、66億35百万円。負債合計は53億79百万円減少の240億78百万円となった。
純資産は利益剰余金の増加で8億81百万円増加の222億53百万円。
この結果自己資本比率は前期末より6%上昇し、47.9%となった。

営業CFは利益の改善などでプラス幅拡大。投資CFは有形固定資産の取得による支出の減少などでマイナス幅が縮小し、フリーCFはプラスに転じた。
財務CFは短期借入金の返済による支出減少などでマイナス幅が縮小。キャッシュポジションは11億円上昇した。

2015年3月期通期業績見通し
業績予想に変更無し。海外事業貢献もあり2期連続の増収増益。

通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比1.1%増の685億円。国内は同微減だが、アジア・パシフィック中心に海外各地域が2ケタの成長。
粗利率が前期に比べ0.3%上昇する一方、コストコントロールが奏功して販管費は前期を下回り、営業利益は同16.6%増の31億円。
第2四半期業績予想を上方修正したが、通期は為替も含め不透明要因も多いため、現時点では慎重に見ている。
同社の業態においては第4四半期(1-3月)に完成する工事の割合が大きいため、第4四半期の売上高と他の四半期の売上高との間に著しい相違があり、業績に季節的変動がある点は留意しておく必要がある。
配当は13.00円/株を計画。予想配当性向は21.0%。

成長戦略

2018年4月に創業100周年を迎える同社は、2017年度(2018年3月期)に向けた成長戦略「VISION2017」策定し、現在は2ndステージが進行中。「2018年3月期連結売上高800億円以上、営業利益率5%以上」を目標としている。

「ホーチキグループとして100年を超えてなお成長できる基盤の構築」を目指し、2つの重点施策を推進している。

◎重点施策1
「リニューアル事業及びメンテナンス事業の強化、アライアンスの有効活用を通じ国内防災事業の収益基盤を強化」
①火災報知システムリニューアル市場の取り込み

1980年代後半から1990年代初頭の建設バブル期に竣工された建築物に設置された火災報知システムの多くは20~25年のリニューアル時期を迎えている。この更新需要を確実に取り込み、過去4年で年率19.5%と順調に拡大している火災報知設備報リニューアル売上高を更に拡大させていく。

同社の火災報知システムが既に設置されメンテナンス契約を結んでいる案件を確実に取り込むのはもちろんだが、同時に、メンテナンス契約が結ばれていない先や同社システムが導入されていない案件にも積極的なアプローチを行い、リニューアル売上と共に、過去4年で年率7.1%と堅調に拡大しているメンテナンス売上の拡大を図る。

②放水銃リニューアル需要の獲得

放水銃は主としてドーム施設、大規模展示場、空港などで採用・設置されている消火設備で、100メートル程度水を飛ばしで消火を行う。採用第1号案件である1988年竣工の東京ドーム以降、2013年までに約98施設、294台の納入実績がある。
放水銃のリニューアルサイクルも15~20年であり、今後数年で順次更新需要が顕在化してくる。
放水銃の国内シェアは約8割と高いため競合登場の可能性もあるが、火災を感知するセンサー技術や、火元に的確水を飛ばすノズル技術を中心に研究開発を進めて更なる機能向上を図り、更新需要の取り込みを進める。

③住宅用火災警報器需要の獲得

改正消防法により既存住宅でも2006年から2011年までに住宅用火災警報器の設置が義務づけられた。
同期間における同社の累計販売個数は1,250万個。
住宅用火災警報器の交換時期は10年であるため、こちらも2016年から本格的な交換サイクルがスタートする。

④お客様循環サイクルの確立と事業基盤の強化

特徴と強み」の項目で触れた「お客様循環サイクル」を、より強固なものとして確立し、国内防災事業のキャッシュ創出力を更に強化する。

◎重点施策2
「海外事業に積極投資し、グローバル化を加速」
①戦略製品の投入

2012年に子会社化した英国ケンテック社(※)と共に開発した新型海外用受信パネル「Taktis」のヨーロッパでの販売を2015年初旬よりスタートさせる予定。以降、オーストラリア、北米それぞれの地域の規格品を販売する予定だ。
「Taktsi」は、1台のパネルで多様性を実現、ユーザーフレンドリーな操作性、遠隔管理システムに対応などが特長で、展示会出展時の引合いは強く、顧客の関心は極めて高いという。
防災システムの中心となるパネル製品の投入によって、同社の主力製品であるセンサーやその他周辺機器の販売拡大を目指している。

※ケンテック社は1985年設立。事業主体を火災受信盤やガス消火制御盤等の開発・製造・販売に特化した防災専業メーカーで、全世界に顧客を持ち高い評価を得ている。子会社化以前より同社受信盤のOEM供給を受ける等、連携関係にあった
②開発体制の整備

2014年4月、英国にグローバルR&Dセンター(GRDC)を開設した。
今後は日本の開発研究所と英国GRDCの連携を強め、各国の市場ニーズに応じたセンサーや周辺機器の開発体制を強化する。
また、GRDCにおける開発を強化する事で、受信パネル、センサー、周辺機器全てをHOCHIKIブランドで供給することができるようになるため、ブランド力の強化にも繋がると考えている。

③センサーグローバルブランドの確立

同社ではセンサーのグローバル供給を以下の様に計画し、各市場とも販売拡大に意欲的である。

特に米国を含めた巨大な北米市場は海外戦略の中で大きな位置を占めている。
これまではOEM中心であったが、今後は「HOCHIKI」ブランドの確立を目指す。OEMとはいえ、同社センサ―の品質に対するユーザーの評価は既にある程度確立されていることから、プロモーション、マーケティングを強化していく。

こうしたグローバル展開を誌進めるに際しての課題としては人材の確保を上げている。中途を含めた外部人材の採用に加え、国内人員の海外シフトなど、ここ数年、グローバル人材の育成も積極的に行っている。
そうした人材の確保・投入により、東南アジア、インド、中国における代理店網の構築を進める。
また、当面はセンサーを中心とした火災報知システムの基盤固めを進めるが、その後は、放水銃など消火設備など事業範囲を拡大する事も検討している。

投資家へのメッセージ
当社の手掛ける防災業界は人命や財産を守る重要な役割を担っているが、あまり業界や会社の事を知って貰えていないと強く感じる。ニッチな業界、市場ではあるが是非当社の事も含めて知っていただきたい。
加えて、当社はニッチではあるが豊富な実績、ストックの厚みによって安定成長の絵が描ける企業である。
利益動向を勘案しながら株主還元にも積極的に取組んでいきたい。
100周年を契機にし、社内で「上場企業である意味」、「企業価値とは?」、「IR活動の重要性」などを徹底的に議論した。IR活動は今後一段と強化していく考えだ。
IR活動の強化とともに、100周年からさらに次のステージに向け企業価値の向上に積極的に取組んでいく方針であるので、是非中長期の視点で当社を応援していただきたい。
今後の注目点
本文中で触れたように、収益性の向上は同社に期待したい課題である。これに対し、会社側は取組みとして2点を挙げている。1つは「リニューアルへの注力」。蓄積されたストックを活かし、主力の火災報知システムにとどまらず、アライアンス先の商材を含めてトータルのボリュームを伸ばしていく。もう一つは、「海外を中心とした機器販売比率の向上」を上げている。大きく営業コストを増加させずに優良な代理店を開拓し、センサーを中心に拡販を進める。そのためにはR&Dを今後も積極的に推進して有望製品を開発する。
「お客様循環サイクル」という安定した収益構造に、収益性向上が加われば同社の企業価値はさらに一段と向上する事となろう。取組み及び実績を注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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