(4793:JASDAQ) 富士通ビー・エス・シー 2015年3月期第2四半期業績レポート

2014/12/24

fujitsuBSC

今回のポイント
・15/3期上期の売上高は前期比2.1%減の153億26百万円。注力しているスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上(全事業区分を総計)が22億45百万円と同21.1%減少したが、SI関連が順調に推移した。不採算プロジェクトの減少とプロジェクトアシュアランスの効果により原価率改善があったものの、棚卸資産の評価減による減益を補えず、経常利益は同11.3%減少した。

・15/3期通期は前期比5.6%の増収、同11.3%の経常増益を予想。成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドの上期の状況は厳しかったが、下期にかけて回復していることやSI開発が堅調にしている.上期同様に、売上の増加と不採算プロジェクトの減少により利益率の改善を目指す。

・特に、安定的な収益源であるSI 開発案系が増加しており、エンベデッドのマイナスも補っている。また、ソリューションベンダー等の富士通グループ以外の一般顧客向けの業績を伸ばしている。今後は、成長が著しいクラウドサービスと当社が培ったスマートデバイスによる拡大が期待できよう。

会社概要

通信キャリア向けの顧客管理システムや基幹システム、民間事業者向け等の業務システム、中央官庁向け各種システム、携帯端末や自動車関連等でのエンベデッドシステム(組込みシステム)、更には、データセンター運営やモバイルを中心にしたセキュリティシステム等、多面的に事業を展開。ソフトウエア開発の外注先でもある連結子会社 北京思元軟件有限公司(以下、BCL)、とグループを形成。親会社である富士通(6702)の持株比率は14年3月末で56.4%。富士通にソフトウエア製品や開発等のサービスを提供する一方、富士通(株)からシステム機器等を仕入れており、14/3期通期の富士通グループ向けの売上高は全体の71.3%を占めた。

【事業内容】

14/3期通期の売上高構成比は社会基盤システム32.8%、産業・流通・ヘルスケアシステム17.2%、金融・官公庁・行政システム15.6%、エンベデッドシステム19.1%、サービス15.2%。また、力を入れているスマートデバイス関連の売上が17.7%を占めた(全事業区分に含まれるスマートデバイス関連売上高の総計)。なお、2014年7月より、事業区分の見直しを行い、名称も変更している。
(通信キャリアシステム → 社会基盤システム、民需システム → 産業・流通・ヘルスケアシステム、公共・金融システム → 金融・官公庁・行政システム)

社会基盤システム

大手通信キャリアを中心に、企業情報システムや顧客管理システム、ビリング(課金)システムといった各種システムを提供。また、ネットワークや通信制御、基盤技術をベースにインフラ構築等の社会基盤システムや情報メディア、エネルギー事業者向けのシステムも提供している。

産業・流通・ヘルスケアシステム

製造業(電機、組立、精密、自動車、化学等)、建設、流通、運輸などの民間事業会社や医療機関向けに、生産管理システム、販売管理システム、勘定系システム、基盤構築等、さまざまな分野のソフトウェアを提供。PLMソリューションや医療・製薬ソリューション、ERPソリューション(クラウド環境でのサービスも提供)等も手掛け、近年ではスマートフォンを活用したソリューションに力を入れている。

金融・官公庁・行政システム

中央官庁や自治体等の公的機関向けに、人事・給与システムの構築や運用支援等、銀行や証券会社等の金融機関向けに営業支援システム、インフラ構築、運用支援等のシステムやサービスを提供している。

エンベデッドシステム

カメラ、カーエレクトロニクス、携帯電話といった各種システム機器に組込まれた機能をコントロールするエンベデッド(組込み)システムについて、企画支援から設計・開発、評価・検証に至るまで、一貫したサービスを各種機器メーカーへ提供している。デジタルカメラ向けでは、09年7月に設立したニコングループとの合弁会社が寄与している。

サービス他

データセンターを活用したアウトソーシングサービスをはじめ、コンサルティング、ネットワーク構築、システムの運用支援・保守といった各種ソフトウェアサービスやIT分野を広くサポートする技術スタッフの人材派遣サービスを提供している。またスマートデバイスのMDM製品「FENCE-Mobile RemoteManager」、スマートフォン利用業務構築ツール「WebUnity-Plus」等のスマートデバイス向けソリューションも提供している。

2015年3月期上期決算
前期比2.1%の減収、同11.3%の経常減益

売上高は前期比2.1%減の153億26百万円。富士通及び同グループ会社向けの売上比率が70.3%と2.4ポイント低下した。また、注力しているスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上(全事業区分を総計)が22億45百万円と同21.1%減少した。
営業利益は同16.5%減の379百万円。不採算プロジェクトの減少とプロジェクトアシュアランスの効果により原価率改善があったものの、将来回収できない可能性がある仕掛を保守的に減額した棚卸資産の評価減による減益を補えなかった。中長期的なビジネスを見据えた投資等により営業費用も増加し、売上高営業利益率が2.5%と同0.4ポイント低下した。同社従業員による不正行為に係る過年度決算訂正関連費用174百万円を特別損失として計上したことにより、当期純利益も同67.3%の減の79百万円。

社会基盤システム

売上高は前年同期比0.7%増の52億59百万円。ネットワークソリューション、通信キャリア向けSI開発、次世代郵政システムが増加したものの、昨年増加した情報メディア向けSIは減少、今後はエネルギー電力分野へ展開していく。

産業・流通・ヘルスケアシステム

売上高は前年同期比4.2%増の31億25百万円。昨年堅調に推移したソリューションが減少したが、製造業向けを中心としたSI開発が増加し、富士通向け社内システムの売上高も増加したことで増収を確保できた。今後はPLM(後述)、CAPに集中し、富士通との連携により拡販を目指す。尚、PLM(Product Lifecycle Management)とは、コスト削減、市場投入までの期間の短縮、品質の更なる向上等を目的に、企画から、設計、開発、販売・サポートに至るまでを一貫して管理する事。

金融・官公庁・行政システム

売上高は前年同期比28.6%増の23億09百万円。メガバンク向け勘定系基幹システムを中心にSI開発が増加しており、スマートデバイスを活用した金融機関向けソリューションが活性化しており、今後の売上貢献に期待。

エンベデッドシステム

売上高は前年同期比28.2%減の24億47百万円。フォトイメージング(デジカメ等の映像機器関連)が開発の見直し、延伸等により減少したことに加え、カーナビ開発を中心にしたカーエレクロトニクスが開発規模の縮小により減少した。

サービス他

売上高は前年同期比2.0%減の21億83百万円。概ね前年同期水準を確保した。

上記の他、全事業区分を総計したスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上高は、車載端末向けエンベデッドシステム及び通信キャリア向けSI開発が減少し、22億45百万円と同21.1%減少した。

富士通グループ会社は、エンベデッドシステムのカーエレクトロニクスが減少した。一般顧客は、ソリューションベンダーを中心に堅調だった。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

現預金や売上債権の減少で流動資産は前期末に比べ14億円減少。固定資産は投資その他の資産減少等で同569百万円減少し、資産合計は20億円減少した。未払金、退職給付に係る債務の減少等で負債合計は同22億円減少。純資産はほぼ前期末同水準だった。この結果、自己資本比率は70.2%と前期末に比べ6.2%上昇した。

営業CFは、売上債権の回収は進んだが、未払金の支払のタイミングが重なりマイナスに転じた。財務CFは配当の支払でマイナス幅は前年同期とほぼ同水準だった。

(4)トピックス
◎「FENCE-G」スマホ経由の情報漏洩に対応

近年、スマートフォンによる大規模な情報漏洩事件が発生し社会的な問題になっており、新たなデジタルメディア向け対策が急務となっている。
同社のデバイス制御ソフト「FENCE-G」は社内からの情報漏洩を防ぐために、流出経路となる「外部デバイス」、「共有フォルダ」、「印刷」等のアクセスをコントロールするもの。USB接続の新デバイスにも対応しており、同社では今後新たなデバイスが登場し続ける背景を踏まえたソリューション提案も行っている。

◎幼稚園ポータルサイトPoruru「ぽるる」

スマートデバイスの普及や進化に伴い、ビジネスのみでなく様々なシーンにおける活用が拡大している。
そうした中同社は、幼稚園ポータルサイトPoruru「ぽるる」を開発した。

これは、幼稚園と保護者をつなぐクラウドサービスで、下記のような効果、機能を有している。

現在、複数の幼稚園でトライアルが始まり、幼稚園と保護者の新しいコミュニケーション手段として利用拡大に取り組んでいる。

◎広告賞を受賞

同社はB to Bビジネスを展開しているが、ブランド力アップなどを目的として、同社ならではの広告制作にも積極的だ、
今回、2013年度制作広告「その夢の数だけ、特殊能力がある」シリーズが、「第49回日本産業広告賞」(日刊工業新聞主催)のシリーズ第2部 第3隻を受賞したほか、2014年度制作広告の「プロジェクト最前線!」シリーズが、「第53回ビジネス広告大賞」(フジサンケイビジネスアイ)の雑誌広告部門 佳作を受賞した。

2015年3月期業績予想
通期業績予想を下方修正。前期比5.6%の増収、同11.3%の経常増益

上期業績を受け、利益を下方修正した。ただ、成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドの上期の状況は厳しかったものの、下期にかけて回復していることやSI開発が堅調にしていることから、売上高は前期比5.6%増の330億円と予想している。上期同様に、売上の増加と不採算プロジェクトの減少により利益率の改善を目指す。営業利益は13億円と同15.8%増加を見込んでいる。配当は1株当たり年27円を予定している(上期末13.5円、期末13.5円)。

(2)15/3期の取り組み

7月に当社従業員による不正行為が行われたことが判明し、外部専門家で構成する「第三者調査委員会」を設置し、過年度(5期分)の決算を訂正したことにより、売上高、営業利益等の見直しと特別損失を計上したことで、当初計画を下回った。このような不正行為の発生がないよう、11月には常設委員会を設置、あわせてFUJITSU Wayの徹底を図っていく。FUJITSU Wayは、富士通グループの存在意義、大切にすべき価値観、および日々の活動において社員一人ひとりがどのように行動するべきかの原理原則のこと。現状では、同社が得意としているSI系開発案件が安定的に増加しており、以上のような一過性による収益のマイナスの影響を補いつつ成長が期待できよう。今後の同社のキーワードは、スマートデバイス、自社技術を活用した新規事業である。それぞれの取り組みは次の通り。

スマートデバイス

スマートデバイス(スマートフォンとタブレット型デバイス)の市場は急拡大しており、特に2016年にはタブレットが全体の21.9%を占めるまで拡大するといわれている。また、個人向けにスマートデバイスが拡大していたが、今後はキャリア各社も法人向け取り組みを強化しており、法人利用が拡大するものと考えられる。同社はスマートデバイスの応用できる独自の技術やノウハウを多数保有している。これらの資産を活かしてスマートデバイスの成長を取り込んでいく考え。また、今後はクラウドの積極的な活用策として、当社が培ってきたスマートデバイスとの融合による、自社アプリの開発が考えられる。例えば、前述のデバイス制御ソフト「FENCE-G」を活用することで、スマートフォンによる大規模な情報漏えい事件に対するソリューションを提供していく。

新規事業

同社が培ったスマートデバイスの技術と今後需要が高まるクラウドサービスとの融合していく事業である。特に、スマートデバイスの普及や進化に伴い、企業のみならず、個人でのスマートデバイスを活用したイノベーションが拡大していく。これも前述の通り、幼稚園と保護者を結ぶクラウドサービスである幼稚園ポータルサイトPoruruを開発した。収益貢献はこれからであるが、当社が培ったスマートデバイスの技術をクラウドサービスを活用していくことで、中長期的な事業拡大が期待できよう。

今後の注目点
富士通グループとして今後の成長が期待できるモバイルデバイス製品・サービスに取り組んでいる「Fujitsu Mobile Initiative」の一員としてグループ間のシナジーが期待できる。特に、安定的な収益源であるSI 開発案件が増加しており、エンベデッドのマイナスも補っている。また、ソリューションベンダーとしても、富士通グループ以外の一般顧客向けの業績を伸ばしている。今後は、成長が著しいクラウドサービスと同社が培ったスマートデバイスによる拡大が期待できよう。
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