(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2015年3月期第2四半期業績レポート

2014/12/17

enjapan

今回のポイント
・15/3期第2四半期は売上高が前年同期比23.0%の増収、経常利益が同5.1%の増益。売上面は、企業の求人ニーズが旺盛であったことから全求人サイトが前年同期を上回った他、子会社のエンワールド・ジャパンが好調に推移したことに加え、ベトナムとタイの子会社の連結化により海外子会社の売上高が増加した。利益面では、人件費及び広告宣伝費を中心に費用が増加したものの、増収により吸収し、増益となった。・15/3期の会社計画は、前期比14.6%の増収、同5.9%の経常増益の期初予想から変更なし。売上面は、新卒サイトの運営終了に伴う減少があるものの、求人広告(エン転職)、エン・ジャパンの中途採用領域及びエンワールド・ジャパンを中心に拡大を目指す。海外はベトナムの子会社が通期で寄与するほか、タイの子会社の連結がスタートする。利益面は、人件費、広告宣伝費を中心に費用が増加するものの、増収効果と海外子会社の収益改善を見込む。15/3期の1株当たりの配当も、前期末から4円増配の28.5円の予定を据え置き。

・今後、雇用環境の改善が一服した場合、これまでの企業努力や戦略の変更が同業他社との業績格差にどのような形で反映されていくのか注目される。また、同社は、2014年8月に[en]社会人の転職情報をリニューアルし、「エン転職」へサイト名を変更した。主力サイトのリニューアルがリピート・新規顧客の拡充につながり、下期の掲載件数の増加に結びつくのかについても注目していきたい。

会社概要

「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。

ビジネスモデル

<求人情報サイト>
企業に対して求人広告を企画・提案。同社の営業員が求人企業を取材し、その情報をもとに同社のコピーライターが求人原稿を制作した後、求人サイトに求人原稿を掲載。
掲載課金型求人広告:求人広告を掲載した際に「広告掲載料」が発生。
成功報酬型求人広告:求人広告を掲載し、同社求人サイトを通じて人材採用できた際に「成功報酬料」が発生。
(同社HPより)

<人材紹介>
求職者のこれまでのキャリアや転職意向を確認し、今後のキャリアプランに沿った求人を紹介。企業に対しては採用ニーズにマッチしていると思われる人材を紹介。紹介した人材が入社した際に「成功報酬料」が発生。報酬料は概ね年収の30%。
(同社HPより)

今後の成長戦略

今後の強化ポイントとして、①求人広告の強化 ②人材紹介サービスの強化、③アジアにおいて海外展開を推進の3つを掲げている。

(1)求人広告の強化、人材紹介サービスの強化

国内の景気回復に伴い、企業の人材採用ニーズは高い状況が続いており、基幹ビジネスである求人サイトの受注も順調に改善している。同社はここ数年、成功報酬型求人広告に注力していたが、採用需要の増加に伴う掲載課金型求人広告へのニーズの高まりを受け、戦略を転換。営業体制も変更し、掲載課金型求人広告を伸ばせるようになった。今後は同商品を中心に拡販を進めていく考え。その一方で、企業の人材採用ニーズは多様化しており、求める人材によって採用手法の使い分けが進んでいる。
このため、同社はグローバル人材領域で強みを持つエンワールド・ジャパンを2010年に子会社化し、グループとして人材紹介領域に参入。また、エン・ジャパンにおいても、保有する国内トップクラスの求職者データベースを活かし、2013年から人材紹介「エン エージェント」を展開中。 エン・ジャパングループとして若年層からスペシャリスト、マネジメント層まで、求職者・求人企業双方の多様なニーズに対応できるサービス及び体制が構築できたことから、今後はこれらを活用し更なる業績拡大を図る方針。

(2)アジアにおいて海外展開を推進

2011年9月のシンガポールへの進出後、香港、韓国において「en world」ブランドで人材紹介サービスを開始。またM&Aでは、2012年のcalibrate(オーストラリア)買収後、Navigos Group(ベトナム)、Capstone Group(現社名:en world Recruitment Thairand 、タイ)、New Era(インド)と、アジアを中心に展開を広げている。今後、アジア地域の経済成長に伴い、人材採用ニーズの高まりと採用活動のボーダーレス化が予想される。今後も、中長期的な観点に立った、人材紹介を中心とする海外ビジネスの拡大を図る方針。

2015年3月期第2四半期決算
売上高は23.0%増、経常利益は5.1%増益

売上高は前年同期比23.0%増の92億5百万円(約17.2億円増)。売上面は、企業の求人ニーズが旺盛であったことから、全求人サイトが前年同期を上回った他、子会社のエンワールド・ジャパンが好調に推移したことに加え、ベトナムとタイの子会社の連結化により海外子会社が増加した。
利益面では、人員の増加や積極的なプロモーション活動により費用(売上原価+販管費)が同27.2%増加したものの、売上高の増加により吸収し、営業利益が同7.5%増加した。売上総利益率が同1.5ポイント上昇したものの、売上高対販管比率が4.3ポイント悪化した。また、為替差益が同46百万円減少したことなどにより、経常利益は同5.1%の増加にとどまった。また、前年同期に投資有価証券売却益19億98百万を計上した反動減により純利益は同49.2%減少した。
その他、今第2四半期のトピックスとして、2014年8月に[en]社会人の転職情報をリニューアルし、「エン転職」へサイト名を変更したことがあげられる。リニューアル後の効果は好調で、下期に向け順調なスタートを切った模様。

採用事業

当事業には、求人サイトの運営、人材紹介、海外子会社等が属している。求人サイトは、主力のエン転職は、新規顧客への販売を強化したこと等から前年同期比の掲載件数が増加した。その他のサイトでも順調に販売が進み、全サイトで前年同期を上回る売上となった。人材紹介は、グローバル企業の旺盛な採用ニーズを受けて、子会社のエンワールド・ジャパンが好調な結果となった。前期から開始したエン・ジャパンの人材紹介サービスであるエン エージェントは四半期毎の入社人数・売上高が着実に増加した。また、海外子会社は、ベトナムとタイの子会社が期初から連結業績に加わったため、前年同期比の売上が大幅に増加した。
以上の結果から、採用事業セグメントの売上高は、89億14百万円と前年同期比23.2%増加した。人件費やプロモーション費用などを中心に販管費が同29.6%の増加したもののセグメント利益は17億60百万円と同12.0%増加した。

15/3期2Q累計のエン転職の売上高は、前年同期比約17%増加した。8月に実施したサイトの全面リニューアルの影響で会社計画を若干下回ったものの、掲載件数が順調に拡大したことから掲載課金広告が増加した。リニューアル後の効果は順調で、下期に向け順調なスタートを切った模様。

15/3期2Q累計の人材紹介の売上高は、前年同期比約25%増加した。下記のエンワールド・ジャパンに加え、エンエージェントが増加した。エンエージェントは、入社基準の売上が遅れ気味であるものの、成約基準の売上は通期計画に対し、堅調に推移している模様。非面談紹介は、面談紹介に切り替え中であることから減少した。

15/3期2Q累計のエンワールド・ジャパン株式会社は、売上高が前年同期比39.9%の増加、営業利益が同41.6%の増加となった。国内グローバル企業の高い人材採用ニーズが継続していることに加え、積極的な人員の増加と戦力化が寄与した。

15/3期2Q累計の海外子会社は、売上高が前年同期比260.3%の増加、営業利益が1億39百万円の改善となった。売上高は、前期の第1四半期にP/Lが非連結であったベトナムとタイの子会社が加わったなどから前年同期比で大幅に増加した。また、営業利益も黒字化した。今期海外全体での黒字化に向け堅調に推移している。また、エン・ジャパングループとして7カ国目の進出先のインドにて子会社化した人材紹介会社のNEW ERA INDIA CONSULTANCYは、今第3四半期よりP/Lに連結の予定。

教育・評価事業

当事業には、定額制研修サービスの実施、採用・人事関連システムの提供等が属している。定額制研修サービスは、「エンカレッジ」を5月にリニューアルし、より個々の受講者に合った講座の提供を行ったこと、更にリニューアルに合わせて新規顧客の販売を強化したこと等から前年同期を上回る売上となった。また、採用・人事関連システムも子会社のシーベースにおいてリピート受注が進んだこと、新規顧客への販売を強化したこと等から、前年同期を上回る売上となった。
以上の結果から、教育・評価事業の売上高は前年同期比17.0%増の3億17百万円となった。一方、営業利益は、業容拡大に伴う人員増により人件費が増加したこと等から、同151.0%減の22百万円の赤字となった。

14/9月末の総資産は前期末比7億73百万円減の219億60百万円。これは、未払法人税等の納付等により現預金が減少したことが主な要因。総資産の約44%を現預金が、約61%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約80.5%と、高水準を維持している。

CFの面から見ると、法人税等の支払額の増加などにより営業CFがマイナスとなったことに加え、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得や無形固定資産の取得などにより投資CFがマイナスとなったことから、フリーCFもマイナスへ転じた。また、配当金の支払額増加などにより財務CFもマイナスとなった。

2015年3月期業績予想
前期比14.6%の増収、同5.9%の経常増益予想

第2四半期の終了時点で、15/3期の会社計画は、売上高が前期比14.6%増の192億円、経常利益が同5.9%増の39億70百万円の期初予想から修正なし。
消費増税による国内経済への影響や新興国の経済成長鈍化が懸念されるものの、企業の人材採用ニーズは引き続き堅調に推移すると同社では見ている。こうした中、売上面では、新卒サイト終了に伴う減少があるものの、エン・ジャパンの中途採用領域及びEWJ社を中心に拡大を目指す。また、海外はベトナム子会社の通期寄与に加え、新規にタイの子会社の連結が開始される他、インドにて子会社化した人材紹介会社のNEW ERA INDIA CONSULTANCYも、今第3四半期よりP/Lに連結の予定。
利益面では、人件費、広告宣伝費・販売促進費を中心にコストが増加するものの、売上高の増加による吸収や海外子会社の収益改善等による増益を目指す。売上総利益率は、1.9ポイント上昇の90.4%、売上高販管費率は1.8ポイント悪化の69.8%の前提で、営業利益は前期比14.8%増の39億50百万円となる予想。また、経常利益の増益率が低下するのは前期に為替差益が発生した反動であり、当期純利益が減益となるのは前期に投資有価証券売却益を計上した反動。
1株当たりの配当も、前期末から4円増配の28.5円の計画から変更なし。

新卒サイトの運営終了に伴い、15/3期より旧採用関連の2事業を統合し、「採用事業」に変更。

15/3期より、掲載課金型求人広告及びSH広告を「求人広告」へ、「エン エージェント」及び「SSS」を「人材紹介」へ区分する。

今後の注目点
内閣府は11月17日に7-9月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質GDPは4-6月期と比べて0.4%減(年率換算では1.6%減)と2四半期連続のマイナス成長になるなど、消費税増税による国内景気の一時的な落ち込みが継続していることが確認された。14年9月の雇用データを見ると、厚生労働省発表の国内有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイント低下の1.09倍と2011年5月以来、3年4カ月ぶりに前月比で低下した。また、9月の完全失業率(季節調整値)も3.6%となり、前月の3.5%から小幅上昇した。企業業績の回復から引き続き企業の人材採用意欲は旺盛であるが、今後国内景気の低迷が雇用市場に悪影響を与えることがないか注視する必要がある。一方で、弱い経済データにより、消費税10%へ増税の先送りや経済対策の実施が期待されることから、国内景気と労働環境の大幅な悪化も想定できない。
近年同社は、国内景気に影響を受けることのない中長期的な成長持続を目指し、求人広告の強化と人材紹介サービスの強化、更には、アジアにおける海外拠点の整備を推し進めてきた。同社の第2四半期の業績動向を振り返ると、掲載課金型求人広告件数の増加、エンワールド・ジャパンを中心とする人材紹介の拡大、海外子会社の黒字転換など、経営努力が成果につながっていることが確認できた。
今後、雇用環境の改善が一服した場合、これまでの企業努力や戦略の変更が同業他社との業績格差に今後どのような形で反映されていくのか注目される。また、同社は、2014年8月に[en]社会人の転職情報をリニューアルし、「エン転職」へサイト名を変更した。主力サイトのリニューアルがリピート・新規顧客の拡充につながり、下期の掲載件数の増加に結びつくのかについても注目していきたい。
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