(6908:JASDAQ) イリソ電子工業 2015年3月期第2四半期業績レポート

2014/12/10

IRISO

今回のポイント
・15/3期2Qの売上高は前年同期比17. 2%増収の181億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。コンシューマー、インダストリアルも好調で全市場で同2ケタの増収。円安効果もあり、上半期での最高売上を更新した。売価低下、労務費や原材料費の増加はあったが、売上増、合理化効果、円安効果で吸収し、営業利益は同36.0%増益の34億円となった。

・15/3期通期業績予想を上方修正した。売上高は前期比9.6%増加の360億円と10億円の修正。ただ、期初において売上高は、「上期170億円、下期180億円」と下期にかけ10億円増販する計画であったが、修正後は上下フラットとなっており、実質的に10億円の計画未達を見込む。要因は中華・韓国圏、日本における日系自動車メーカーにおける生産台数変更等やゲーム機向けの上期前倒しよるもの。ただ、従来通り、駆動系や安全系のコネクタにおいて開発を進めており、先頭グループを走っている。一方、車載が好調なうちに車載以外の柱を打ち立てることが必要と改めて認識し対応を進めている。配当は前期と変わらず40円/株の予定。予想配当性向は9.5%。

・株価は11月以降JASDAQ指数をアンダーパフォームしているが、ただ、前期の大幅増益との比較感という側面も大きいのだろう。2年間という期間で見れば依然として市場を大きく上回っている。今後は殆ど全ての車種でミリ波レーダーやカメラ搭載台数の増大が進む見込みで、先頭グループを走る同社にとって今後もフォローの風は続くだろう。短期的には下期業績の巻き返しを、中期的には車載分野と並ぶ収益の柱の立ち上がりに注目したい。

会社概要

配線基板同士を接続するコネクタを開発、製造、販売。顧客の作業効率を格段に向上させる主力製品「可動 B to B®」コネクタを始め、高付加価値商品を有する。売上の約80%が車載向けで、国産自動車メーカー及び海外の主要メーカー全てに同社コネクタは搭載されている。電気自動車、ハイブリッド自動車の普及でビジネスチャンス拡大。早期から海外進出に積極的で、売上、生産共に海外が中心。

【沿革】

1966年に、佐藤 定雄 会長が創業。TVや音響製品などの普及に伴い、ハンダで接続するのではなく、着脱が自由なコネクタの需要が増大し、付加価値機能を備えたピン製品を開発し、コネクタ分野へ本格進出。1980年代には現在の主力事業である車載分野に参入し、高付加価値製品「B to B®」を投入。セット時の芯ズレを吸収するという独自の機構が評価され、高いシェアを獲得。
顧客ニーズに対応し、早期より海外進出を積極化。
社名の「イリソ」は『初めて受注をいただいたお客様が埼玉県入間郡「入曽村」(現在の埼玉県狭山市)にあったことから、そのご恩と感動を忘れないために入曽(イリソ)の地名を当社の社名と致しました。』(同社WEBサイトより)との由来による。

【経営理念】

-未来に続く架け橋として- 人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める。

【事業内容】
<コネクタとは?>

電子回路や光通信において配線基板同士を接続するために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。

同社は、用途に応じた様々なコネクタを製造しているが、その中でも代表的な製品が、同社が登録商標を持っている「B to B®コネクタ」(ボード・トゥ・ボード コネクタ)。

B to Bコネクタとは、基板と基板を直接接続することができるコネクタで、垂直接続、平行接続、水平接続などの組み合わせで、様々な接続が可能となる。
そのB to Bコネクタの中でも、接続部分が数ミリ可動する「遊び」が設定されている「可動 B to B®」コネクタは同社の独自性が発揮されている製品。

通常のコネクタは遊びが無いため、接続する際にソケット側とプラグ側にズレが無いよう作業しないと接続できないため、作業効率が悪くなる。
これに対して可動コネクタは、遊びがあるため、ある程度ずれた状態で接続作業を行っても問題なく接続できる。

また、可動コネクタは、通常片側のみが可動することが常識だったが、同社では顧客からの「両側が動けば、より作業効率が向上する」との声に基づき、ソケットとプラグの両方が可動する両側可動(ダブルフローティング)コネクタも開発した。衝撃に強く、顧客の組み立て作業の効率化が図れる製品として高い評価を受けている。
加えて、組み立て作業時のみでなく、可動部分が自動車走行中の振動、衝撃を吸収するため、自動車搭載時にもその性能が大いに発揮される製品だ。

この他にも、以下の様なコネクタをラインアップしている。

○FPC/FFCコネクタ

FPC基板やFFCケーブルの接続に開発されたコネクタの総称。コネクタの挿入時にほとんど力を加えずにFPC/FFCのロックが可能なタイプや、軽い力で挿入可能なタイプがある。

○I/Fコネクタ

I/Fとはインターフェースの略。機器間の信号の接続を行うコネクタの事で、I/O(インプット/アウトプット)コネクタとも呼ばれる。カーナビ、PCなど様々な機器の側面(裏・表面)に装着され、機器への電源供給、音声・映像信号データ等の入出力を行う。

○P/H

線材をカット加工したピン(電導体)をハウジング(樹脂材でできた絶縁体)で支えたプラグ(オス側)コネクタの基本形であり、様々な分野・機器の内部接続(基板間接続)に使用されている。横から見ると、生け花の花止め「けんざん」のように見えるのが特長。メス側はソケットと呼ばれる。

○コンプレッションコネクタ

コンタクトのスプリング圧を利用した脱着コンセプトを採用したコネクタ。省スペース化にも貢献。モバイル機器の内部接続、クレドール等に使用されている。

<事業分野別動向>
主力の車載分野における同社の主要な直接顧客は、Tier 1と呼ばれる自動車メーカーに部品を納入する大手自動車部品メーカー。顧客を通じ、全ての国産メーカー及び、主要な海外メーカーの殆どに同社の製品は搭載されている。
車載分野は、顧客の要望に基づいて製造するカスタム品が多く、高い付加価値を生んでいる。
また自動車メーカー各社は、品質や安全性に対し極めて高い基準を部品メーカーに要求している。同社では早い段階から車載分野に進出しており、永年に渡る納入実績は同社製品の優秀さを証明している。
今後、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)の普及に伴い、電気系統の重要性が増す。また安全性ニーズの高まりを受けて、車間距離を測るミリ波レーダーやカメラの搭載も進み、使用される電子部品数およびコネクタ数は飛躍的に増加することが確実。
加えて、これまではどちらかといえばカーAV、カーナビ等、車室周りの電子部品に使用されるコネクタが多数だったが、これからは、駆動部分(モーター等)に使われる高電圧、高出力に対応する電子部品への進出も期待でき、ビジネスチャンスが拡大すると、同社では考えている。
コンシューマー分野は汎用品が多く、構造もそう複雑ではないため価格競争になりやすい。
インダストリアル分野は、車載分野で培ってきた技術力、ノウハウを活かすことができるため、まだ規模は小さいが今後の成長が見込まれる。
【今後の販売及び生産戦略】

沿革にあるように、創業12年後の1978年にはシンガポールに子会社を設立し、海外での生産、販売をスタートさせている。
まだ実績もさほど大きくない段階ではあったが、顧客企業の海外展開に伴い進出することで顧客との関係を強化することを目的として投資を行った。その狙い通り順調に事業は拡大し、結果として、その後の国内における取引拡大にも結び付けることができた。長年に渡って蓄積したマネジメントノウハウ、実績をベースに、今後も業績拡大のためにはより一段の海外展開強化が必要と考えている。

現在、売上高の約70%、生産の約80%を海外で行っているが、今後の販売および生産に関し以下の様な戦略を進めていく。

◎販売戦略

日本、欧米、中華、ASEANの四極体制での販売を更に強化する。
現在、ドイツおよびアメリカに技術者が駐在しているが、新たに、韓国およびシンガポールにも技術者を駐在させるほか、今はアメリカ拠点がカバーしている南米地域には将来的に拠点設立を視野に、ASEAN、インドにも注力し、新興国需要の取り込みを図る。
技術と販売が一体となってのグローバル販売体制を構築する。

課題としては、海外現地企業との取引拡大。そのためには優秀なローカルスタッフの採用、育成が必要であり、Global規模での人事交流、研修にも着手している。

◎生産戦略

現在、以下4つのプロジェクトを進行させている。

①原価低減プロジェクト

コスト競争力を強化する。

②BCP構築プロジェクト

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、日本語では、事業継続計画。
災害や事故など不測の事態を想定して、事業継続の視点から対応策をまとめたもので、危機発生の際、重要業務への影響を最小限に抑え、仮に中断しても可及的速やかに復旧・再開できるようにあらかじめ策定しておく行動計画のことを言う。
茨城、上海、ベトナム、フィリピンの4工場での生産体制にBCPを組み込んでいく。

③ベトナム拡大プロジェクト

上記4工場の内、2017年をめどにベトナム工場の生産比率をアップさせる。
限界利益率の極大化を図る。

④生産合理化プロジェクト

材料費、固定費の内容を見直し、コスト構造の低減を図る。

これらのプロジェクトを通じて、
「原価低減の実現を通じたモノ作り競争力の確保」
「生産品質の同一化を通じたモノ作り量産体制の維持」
「顧客クレームの撲滅を通じたモノ作りの信頼性の向上」
を実現する。

同社の14/3期のROEは16.1%と高水準。大きな特別利益の計上があった訳でもなく、レバレッジも低く、本業の収益性が高まった事が要因だ。
総資産回転率のもう一段の改善(1倍台)があればさらにROEという観点からの魅力が高まると考えられる。

2015年3月期第2四半期決算概要
車載市場中心に全市場2桁増収。期初計画を上回り利益も2桁増加。

売上高は前年同期比17.2%増収の181億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。コンシューマー、インダストリアルも好調で全市場で同2ケタの増収。円安効果もあり、上半期での最高売上を更新した。
売価低下、労務費や原材料費の増加はあったが、売上増、合理化効果、円安効果で吸収し、営業利益は同36.0%増益の34億円となった。

車載市場は米国を中心に引き続き好調で、欧州も順調で海外は20.3%の増収。国内も同4.4%増と堅調。
製品別では車載市場において主力のカーナビ、カーオーディオ、クラスター向けの他に、カメラやミリ波レーダーなど安全性を高める製品向けが伸びた。
コンシューマー市場は、昨年発売されたゲーム機向けが好調だった。ゲーム機向けを除くと微減にとどまった。
インダストリアルは、産業機器向けが拡大した。

現預金、売上債権増等で流動資産は前期末比26億円増加。固定資産も同11億円増加し、資産合計は同37億円増加した。
仕入債務の増加などで流動負債は同3億円増加。固定負債は長期借入金の減少で19百万円減少し、負債合計は同3億円増加した。
純資産は、利益準備金および為替換算調整勘定の増加などで同34億円増加。この結果、自己資本比率は81.1%と前期末より0.9%上昇した。

利益増などで営業CFのプラス幅は前年同期に比べ13億円拡大し、有形固定資産の取得額拡大で投資CFのマイナス幅は同6億円拡大した結果、フリーCFのプラス幅は同7億円拡大した。配当金の支払い額は同2億円拡大したが、短期借入金の純減額は同7億円拡大したため、財務CFのマイナス幅は同5億円縮小した。
キャッシュポジションは前年同期末に比べ32億円の増加。

(4)為替変動リスクへの対応

同社は為替変動の影響を受ける資産をドル建てで12百万ドル、ユーロ建てで14百万ユーロ保有している。
下記のような為替変動により、この第2四半期は、ドルで78百万円の為替差益、ユーロで39百万円の為替差損、関連会社分で31百万円の為替差損の合計13百万円の為替差益を営業外収益に計上した。

年間1円の各為替レート変動による売上、利益の影響は以上の通りで、USDに換算すると、1円の変動により売上高(年間)で274百万円、営業利益(年間)では75百万円変動する。

2015年3月期業績見通し
為替効果などにより通期業績予想を上方修正。増収・増益を計画

売上高は前期比9.6%増加の360億円と10億円の上方修正を行った。営業利益も4.7億円増額された。
ただ、下の表にあるように、期初予想の売上高は、「上期170億円、下期180億円」で下期にかけ10億円増販する計画であったが、修正後は上下フラットとなっており、10億円の計画未達の見込みとなっている。

説明会における今津社長の説明は以下の通り。

未達の要因は中華・韓国圏、日本、シンガポールにおける日系自動車メーカーにおける生産台数変更、量産開始の遅れ、モデルチェンジの中止・遅れによるもので、米国、欧州は堅調。
好調だった車載関連のうちAVNにおいて、ディスプレイオーディオ(※)の普及等で流れが変わりつつあり、端境期を迎えている。
ただ、あくまで大きな流れでの話であり、従来から主力のカーナビ向けも増加しており、加えて、駆動系や安全系のコネクタにおいて開発を進めており、先頭グループを走っている。
車載が好調なうちに車載以外の柱を打ち立てることが必要と改めて認識し対応を進めている。

配当は前期と変わらず40円/株の予定。予想配当性向は9.5%

※ディスプレイオーディオ:タッチパネルディスプレイを搭載したカーオーディオ。スマートフォンとの接続機能を持ちスマートフォン側のソフトを使ってカーナビやメール、情報表示を行うことができる。スマートフォンの普及とカーナビ機能の強化により車載カーナビがディスプレイオーディオに置き換わるとの見方もある。
今後の注目点

円安の効果により第2四半期決算は好調で、通期見通しを上方修正したものの、会社側からすればビジネスの実態としては決して満足できるものではなかったようだ。
株価も、11月以降はJASDAQ指数をアンダーパフォームする結果となっている。

ただ、前期の大幅増益との比較感という側面も大きいのだろう。もう少し長く、2年間という期間で見れば依然として市場を大きく上回っている。 安全性向上や運転しやすさといったニーズから、今後は殆ど全ての車種でミリ波レーダーやカメラ搭載台数の増大が進む見込みで、売価低下圧力は続くものの先頭グループを走る同社にとって今後もフォローの風は続くだろう。 短期的には下期業績の巻き返しを、中期的には車載と並ぶ収益の柱の立ち上がりに注目したい。

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