(4282:東証1部) イーピーエス 2014年9月期第3四半期業績レポート

2014/09/24

EPS

今回のポイント
・14/9期3Q(累計)は前年同期比13.0%の増収、同84.9%の経常増益。体制整備の途上にある海外事業が損失を計上したものの、人員増強等の先行投資負担を吸収して国内CRO事業の利益が増加した他、国内SMO事業及び国内CSO事業の収益性も大幅に改善。受注高は国内CRO事業や国内SMO事業を中心に同25.0%増、受注残高は前年同期末比15.9%増。

・通期業績予想に変更はなく、前期比9.0%の増収、同17.2%の経常増益。先行投資とのれん償却で海外事業が損失を計上するものの、国内3事業の回復で吸収。SMO事業の利益は同2.2倍に、CSO事業の利益は同3.5倍に、それぞれ拡大する。配当は1株当たり10円の期末配当を予定。13年4月及び14年4月の株式分割を考慮した配当金は、13/9期、14/9期共に年18円(上期末8円、期末10円)となる。

・今後の事業展開のテーマは5つ。①国内CROとSMOで「No.1」を確実に目指す、②国内CSOではリーディングカンパニーを目指す、③GR事業はアジア・パシフィックでのリーディングカンパニーを目指す、④中国の益新事業を新たな成長エンジンとする、そして⑤BPOにより効率化の推進を図る。この5つのテーマに取り組む事で年率10%の売上成長を実現して、18/9期に連結売上高600~750億円をあげ、12~13%の利益率を確保したい考え。

会社概要

「価値あるソリューションの創出を通じて、健康産業の発展に貢献します」を企業理念に掲げ、医薬品や医療機器等の開発に関わる業務を様々な角度からサポートしている。国内で展開する、CRO(Contract Research Organization:臨床試験に関連して製薬会社を支援)、SMO(Site Management Organization:臨床試験に関連して医療機関を支援)、及びCSO(MR派遣)の3事業を収益基盤に、医薬品メーカーのグローバル治験(治験:新薬開発のための臨床試験)に対応するべくGlobal Research(グローバル・リサーチ、以下GR)事業を育成中。また、日中のヘルスケア産業の懸け橋としての機能を担う新規事業(益新事業)の育成にも取り組んでいる。

【事業セグメントとイーピーエス・グループ】

事業セグメントは、CRO(医薬品開発業務受託機関)事業、SMO(治療施設支援機関)事業、CSO(医薬品販売業務受託機関)事業の国内3事業と、海外の臨床試験に関わるGR事業及び日中のヘルスケア産業の懸け橋としての機能を担う益新事業の海外2事業に分かれる。

2014年9月期第3四半期決算
前年同期比13.0%の増収、同84.9%の経常増益

売上高は前年同期比13.0%増の301億88百万円。モニタリング業務を中心に国内CRO事業の売上が同17.1%増加した他、大型案件の寄与で国内SMO事業の売上も同13.9%増加。海外事業も、M&A効果でGlobal Research事業が同26.1%増、医療機器販売をけん引役に益新事業が同56.4%増と順調に拡大した。

営業利益は同60.3%増の28億72百万円。M&A実施後の体制整備の途上にあり、為替の影響等も受けたGlobal Research事業の損失が増加したものの、人員増強等の先行投資負担を吸収して国内CRO事業の利益が同28.9%増加した他、大型案件の寄与とコスト削減で国内SMO事業の利益が同4.1倍に、医薬品関連コールセンター業務の効率化で国内CSO事業の利益が同13倍弱に、それぞれ拡大。利益計上に至らなかったものの、益新事業の損益も改善した。
為替差損の減少(2憶07百万円 → 0.3百万円)による営業外損益の改善や特別損失の計上が減少した事等で四半期純利益は11億76百万円と同3倍に拡大した(前年同期は、投資有価証券評価損2億82百万円や事業構造改革費用78百万円を特別損失に計上した)。

国内CRO事業  売上高176億11百万円(同17.1%増)、営業利益25億13百万円(同28.9%増)

国内CRO事業は、同社、派遣型CRO業務の(株)イーピーメイト、医薬・医療系IT関連業務のイートライアル(株)、及び期中に株式を取得した(株)EPSアソシエイトの4社で事業を展開している。
国内CRO事業を業務別でみると、前期から引き続き受託している低採算プロジェクトの利益率向上に注力したデータマネジメント業務の売上が減少したものの、モニタリング業務の売上が大きく伸びた他、臨床研究、医師主導治験及び医療機器の支援業務も順調に拡大。派遣型CRO業務も想定通り売上が増加した。

国内SMO事業  売上高48億03百万円(同13.9%増)、営業利益7億40百万円(同316.9%増)

国内SMO事業は、(株)イーピーミントが事業を展開している。優良な医療機関との提携拡大及び治験体制の整備、プロジェクト管理体制の強化、提案型営業の全面展開等の営業体制強化等に努めた結果、大型案件が順調に進捗し売上に寄与。増収効果に加え、経費の適正使用の推進や採用の効率化等の取り組みが成果をあげ、営業利益率が大幅に改善した。

国内CSO事業  売上高43億50百万円(同3.1%増)、営業利益1億68百万円(同1,139.0%増)

国内CSO事業は、(株)EPファーマラインが事業を展開している。医薬向けコールセンター部門が増収をけん引。増収効果に加え、採用機能の強化に重点を置いた拠点整備の成果が顕在化してきた事で収益性が大幅に改善した。また、PMS部門においても、人件費の変動費化や業務効率向上のための標準化等、事業再構築の成果が現れてきた。

Global Research 事業  売上高14億63百万円(同26.1%増)、営業損失2億91百万円(前年同期は73百万円の損失)

Global Research 事業は、EPSインターナショナル(株)とその海外グループ会社が事業を展開している。前期に子会社化したGCRC(現:EPS Global Research,Pte.Ltd.)及びその子会社の寄与で売上が増加したものの、コスト削減策が実施途中にある上、為替レートの変動もマイナスに働き、損失が増加した。

益新事業  売上高24億67百万円(同56.4%増)、営業損失1億88百万円(前年同期は2億99百万円の損失)

益新事業は、EPS益新(株)と益新(中国)有限公司及びその海外グループ会社の事業領域であり、日本国内から益新事業全体の管理及びサポートを行うEPS益新(株)と、現地における事業の統括を行う益新(中国)有限公司が連携して事業を展開している。
事業は、医療機器事業、医薬品事業、周辺サポート事業の3つの事業に分かれるが、この第3四半期累計期間では、益通(蘇州)医療技術有限公司が扱うデジタルレントゲン検査機や画像フィルム等の医療機器の販売が好調に推移した。

モニタリング業務の受注好調がデータマネジメント業務の受注に反映されてきた事で、上期時点では前年同期比6.3%の減少だったデータマネジメントの受注が同19.5%の増加に転じた。通常、同社がモニタリング業務を行った案件はデータマネジメント業務も同社が実施する。
一方、国内CSOは合併後の体制整備を優先した結果、受注が減少。Global Research 事業も、エリアカバレッジの充実と組織固め段階にある。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて17億80百万円増の321億04百万円。主に(株)EPSアソシエイト(日揮ファーマサービス(株))の子会社化に伴うのれんの増加(9億83百万円→15億25百万円)や投資有価証券の増加が総資産増加の主な要因。自己資本比率は55.1%。

CF面では、営業CFはおもに利益の増加により21百万円から3,051百万円へと大幅な増加、投資CFは事業拡大に向けた連結子会社株式の取得や子会社出資金、投資有価証券の取得等、将来の利益獲得や資金運用のための投資として2,287百万円の支出(前年同期は2,445百万円の支出)、財務CFは短期借入金が増加する一方で配当金の支払い687百万円等により463百万円の支出となった。
なお、当第3四半期は利益の増加に伴い764百万円のFCFを確保した。

2014年9月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比9.0%の増収、同17.2%の経常増益

大型案件の受注による収益性の改善で国内CRO事業の売上・利益が増加する他、国内SMO事業も提案型営業の推進や生産性の向上により成長路線へ回帰。国内CSO事業は2社の合併による業務効率化等で収益性が改善する。一方、海外事業は売上が増加するものの、先行投資に加え、のれん償却費(Global Research 40百万円、益新80百万円)も負担となり、損失計上が見込まれる。

配当は1株当たり10円の期末配当を予定している。13年4月に1株を2株に、14年4月に1株を100株に分割しており、これを考慮した1株当たり配当金は、13/9期、14/9期共に年18円(上期末8円、期末10円)となる。

(2)セグメント別の見通しと取り組み
国内CRO事業

売上高232億33百万円(前期比11.0%増)、セグメント利益34億69百万円(同17.1%増)。モニタリング業務で手掛ける大型案件の寄与等で売上高・利益が増加する見込み。
課題は、モニタリング業務における更なるリソースの確保とデータマネジメント業務におけるプロジェクト管理の強化による不採算プロジェクト削減。また、子会社化した (株)EPSアソシエイトについては、損益の改善ペースを上げて収益化の早期実現を目指す。

国内SMO事業

売上高65億円(前期比14.0%増)、セグメント利益9億円(同125.0%増)。提案型営業の推進で大型案件の受注拡大に取り組む一方、プロジェクトの進捗管理を強化して、品質を確保しつつ、症例登録のスピードアップを図る。また、大学病院やがんセンター等、支援要請を受けているがん領域施設への支援を拡大すると共に、がん領域経験CRCの育成強化で、強みであるがん領域への対応力に磨きをかける。

国内CSO事業

売上高57億円(前期比0.6%増)、セグメント利益1億07百万円(同256.7%増)。合併効果による業務効率化等で収益性が改善する。
2社合併の特徴を活かしたコールセンターサービスとMR活動を融合させた新サービスの提案により、高付加価値化や他社との差別化を図る。また、事業基盤を強化するべく、組織固めと効率的な業務体制の整備を進めると共に、リソースが不足しているCMRや医療機器向け事業拡大のための要員を確保するべく採用を強化する。

Global Research 事業

売上高25億円(前期比41.3%増)、セグメント損失40百万円。M&A効果で売上が増加するものの、拠点拡充等の先行投資負担やのれんの償却で利益計上には至らない見込み。M&Aに機動的に対応しつつエリアカバレッジの充実と組織固めを進めると共に、日本及びアジアでの営業を強化する。

益新事業

売上高36億円(前期比17.1%増)、セグメント損失51百万円。先行的投資負担やのれんの償却に加え、開発権売却等の一時的な要因がなくなるため損失が見込まれる。医療機器事業において販売強化と現地生産体制の立ち上げを進めると共に、医薬品事業におけるJV(ジョイント・ベンチャー)によるプラットフォーム化を進める。また、投資とリターンの管理を強化して専門商社モデルの確立に取り組む。

今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高73.7%(実績ベースの前年同期の進捗率70.6%)、営業利益69.9%(同51.2%)、経常利益71.8%(同47.4%)。売上高・利益共に実績ベースの前年同期の進捗率を上回っている事から、業績は順調に推移しているものと思われる。
今後の事業展開のテーマは、①国内CROとSMOで「No.1」を確実に目指す、②国内CSOではリーディングカンパニーを目指す、③GR事業はアジア・パシフィックでのリーディングカンパニーを目指、④中国の益新事業を新たな成長エンジンとする、及び⑤BPOにより効率化の推進を図る、の5つ。将来展望としては、この5つのテーマに取り組む事で、18/9期に600~750億円の売上高を達成し(平均売上高成長率10%)、12~13%の利益率を確保したい考え。
株式会社インベストメントブリッジ
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