(9616:東証1部) 共立メンテナンス 2014年3月期業績レポート

2014/06/25

Kyoritsu

今回のポイント

・14/3期は前期比5.8%増収、同21.4%経常増益。寮事業では新規開業による定員増及び前年を0.5ポイント上回る高い期初稼働により増収増益。ホテル事業では前期を上回る稼働率及び単価にて好調に推移し、極めて強い牽引役となった。経常利益は2Q決算発表時の上方修正値を上回っての着地となった。

・15/3期は、前期比6.5%の増収、同4.5%の経常増益を計画する。収益の鍵となる4月の寮事業期初稼働率が97.2%と好調なスタートとなった。14/3期に大きな牽引役となったホテル事業において、当初15/3期に開業を計画していたものが16/3期以降に集中開業となるため、一時的におだやかな伸びにとどまる見通し。配当は48円(うち上期24円)を予定している。

・ホテル事業の躍進著しい。底堅い収益基盤となっている寮事業に、ホテル事業の成長が上乗せされる形で今後も成長が持続するだろう。15/3期会社予想は伸び率が低下するものの、ホテル事業においては足元の稼働率が想定を上回って推移している模様。前期同様当初の見通しを上回る流れとなっている。PKP事業が新たな成長事業として売上・利益に貢献することも期待できる。東京オリンピック開催という大きな支援材料もあり、当面は死角のない成長が持続しそうだ。

会社概要

“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(14/3期)は次の通りである。

【沿革】

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部に指定替えとなった。

【中期計画とホテル事業の推進】

2011年12月に公表した中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan!」(12/3期~16/3期)が進行中である。同計画では、「寮事業の構造改革の仕上げと新たな成長戦略の遂行」、「収穫期入りしたホテル事業の収益拡大の加速」、「第三の柱となる新規事業の育成」、「人材育成と適正配置」を重点施策として掲げ、最終の16/3期に売上高1,377億円、営業利益110億円、経常利益89.5億円の達成を目指している。中期経営計画3年目である14年3月期は主力事業である寮事業の期初稼働率が前年を0.5ポイント上回る好調なスタートから始まり、ホテル事業ではビジネスホテルおよびリゾートホテルともに稼働率と客単価が改善したことから経常利益は計画を上回る進捗となっている。

中期計画の数値目標
ホテル事業の推進

同社の展開するホテルは好評を得ており、今後も積極展開を見込む。オリンピック控えた東京では、都心部の店舗数が少ないとして強化する方針を打ち出している。

2014年3月期決算
前期比5.8%の増収、同21.4%の経常増益

売上高は前期比5.8%増の1,052億16百万円、経常利益は同21.4%増の67億96百万円。寮事業では新規開業による定員増及び前年を0.5ポイント上回る高い期初稼働により増収、ホテル事業では前期を上回る稼働率及び単価にて好調に推移し、極めて強い牽引役となった。その他の事業ではPKP事業の新規案件獲得等により増収となった。利益面では、ホテル事業の高稼働を背景に売上総利益率が0.5ポイント上昇、販管費率は0.2ポイント低下して営業利益率が0.5ポイント改善、営業利益は前年同期比14.9%増の74億90百万円となった。また、支払利息の減少や為替差益の増加により、経常利益が押し上げられ経常利益は前期比21.4%増の67億96百万円、当期純利益は同19.4%増の38億29百万円となった。11月の2Q決算発表時に営業利益が71億円から74億円へ、経常利益は62億円から66億円へ、当期純利益は34億円から36億円へ上方修正したが、それぞれ、修正後の予想を上回っての着地となった。

寮事業

売上高は前期比2.9%増の414億52百万円、営業利益は同1.6%増の61億19百万円。期初稼働率は97.0%と前年同期を0.5ポイント上回る水準でのスタート。事業所数は前期比9ヶ所増の427ヶ所(受託除く)、定員数は同1,268名増の33,681名となり増収。費用面では1棟単位でのコスト管理の徹底を図り増益となった。
学生寮事業の売上高は前期比2.6%増の247億43百万円となった。新たに四年制大学である武蔵野美術大学、獨協大学、東京薬科大学、東京工業大学との提携を実現した。同社の特徴である「食事メニューを通じた健康管理」、「常駐の寮管理人による生活安全性や居住環境確保」のみならず「寮内就活セミナーの実施」等、同社ならではの学生寮・学生会館というサービスシステムをより多くの顧客が利用するよう努めた。これらにより学生寮の契約者数は同1.0%増の19,517名となった。
社員寮事業の売上高は前期比2.7%増の96億73百万円となった。前期に引き続き大手企業が寮の機能を再評価し、新人研修寮として利用するなど幅広く活用した。社員寮の契約数は同10.0%増の8,684名。
ドミール事業の売上高は前期比4.5%増の37億20百万円となった。学生のひとり暮らしの多様化や企業独身寮の個人契約化の流れに対応しワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業からの入居斡旋紹介はもちろんのこと、食事付き寮からの住み替え需要等に対応した。この結果、入居者数は前期比3.4%増の4,366名となった。
受託寮事業は、企業・学校が保有している寮を受託請負により管理運営する事業であり、「日本一の下宿屋としての運営力」により差別化を図って展開、売上高は前期比4.3%増の33億15百万円となった。

ホテル事業

売上高は前期比11.1%増の434億75百万円、営業利益は同34.8%増の38億30百万円。新規3棟がオープンし事業所数は71ヶ所、客室数は前期比317室増の10,612室となった。売上高では寮事業を凌駕する勢いとなった。

ドーミーイン(ビジネスホテル)事業(売上高217億55百万円、前期比13.3%増)
ドーミーイン事業の売上高は前期比13.3%増の217億55百万円。同社の特徴である「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」にこだわりつつ、きめ細やかなサービスの提供だけでなく、語学研修や接遇研修等のスタッフ教育を強化させたことで顧客満足度において高い評価を得ている。これらをバックボーンとしてWEB営業をも積極的に推進したことにより、出張宿泊等の企業ニーズのみならず、家族旅行等でも幅広く利用された。加えて、昨今の円安動向や韓国・アジアからのインバウンド営業を強化したことにより、外国人顧客の利用も着実に伸びている。こういった中、新規オープンした「天然温泉 茶月の湯 ドーミーインEXPRESS掛川」、「天然温泉夕霧の湯 ドーミーインPREMIUMなんば」が売上増に貢献した。既存事業所においても稼働率、単価とも前期はもちろん、当初の予想も大幅に上回った。
リゾート事業(売上高217億19百万円、前期比8.9%増)
リゾート事業の売上高は前期比8.9%増の217億19百万円。「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間を創造し提供する」というテーマを掲げ、全ての顧客が満足できる「癒しの湯宿」を展開する。伊勢神宮における式年遷宮の年に合わせ「いにしえの宿 伊久」が新規オープンし、高稼働にて推移した。既存事業所においては平日の稼働率を高めるなどの商品づくりと販売戦略等、きめ細やかな営業推進の取り組みが功を奏し、一年を通じて前期を上回って高稼働にて推移した。
その他の事業

売上高は前期比2.0%増の327億38百万円、営業損失34百万円(前期は1億57百万円の損失)。
総合ビルマネジメント事業は売上高130億25百万円(前期比5.6%減)、営業利益175百万円(同208.8%増)。ビルメンテナンス業界では首都圏を中心に管理委託会社の集約化による競争激化など、事業環境としては非常に厳しい情勢にある。このような環境下、所有物件売却に伴う賃貸収入の減少等により減収となったものの、よりきめ細やかな外部収益案件の追求とコスト管理を徹底したことにより増益となった。
フーズ事業は売上高51億80百万円(前期比5.2%増)、営業損失43百万億円(前年同期は1億26百万円の損失)。厳しい環境下にはあるものの、個人消費環境の改善を受け、緩やかながらながらも明るい兆しを見せつつある。
デベロップメント事業は売上高75億77百万円(前期比7.4%減)、営業利益3億5百万円(同15.3%減)。急激な開発原価の高騰等により一部で工事の着工が順延となった。
その他事業は売上高69億55百万円(前期比34.0%増)、営業損失4億72百万円。(前期は4億48百万円の損失)。PKP事業拡大に伴い営業費用が増加した。

14/3期末の総資産は現預金、有形固定資産の増加により、前期末比97億35百万円増の1,319億95百万円となった。負債はゼロクーポンにて発行した転換社債型新株予約権付社債の増加などにより同99億28百万円増加し、974億5百万円となった。純資産は自己株式の取得による減少により同1億92百万円減少し、345億90百万円となった。期末自己資本比率は26.2%となり、前期末比2.2ポイント減少した。
尚、昨年12月に第3回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行、150億円を調達した。有利子負債は576億50百万円から675億50万円に増加したものの、現預金を差し引いたネット有利子負債は400億28百万円から428億43百万円に、28億15百万円の増加にとどまっている。

14/3期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比70億85百万円増加し、237億50百万円となった。営業CFは税金等調整前当期純利益の増加による収入及び売掛債権の減少の影響により、前期比26億67百万円収入が増加し、76億92百万円の収入となった。投資CFは有形固定資産の売却による収入及び有形固定資産の取得による支出の影響により同83億72百万円支出が増加し63億33百万円の支出となった。これらにより、フリーCFは同57億5百万円収入が減少し13億59百万円の収入なった。財務CFは長期借入金の返済による支出及び社債の発行による収入の影響により、同139億37百万円収入が増加し、55億35百万円の収入となった。

2015年3月期業績予想
前期比6.5%の増収、同4.5%の経常増益予想

15/3期は、前期比6.5%の増収、同4.5%の経常増益を計画する。収益の鍵となる4月の寮事業期初稼働率が97.2%と好調なスタートとなった。14/3期に大きな牽引役となったホテル事業において当初、15/3期に開業を計画していたものが16/3期以降に集中開業となるため、一時的におだやかな伸びにとどまる見通し。配当は48円(うち上期24円)を予定している。

セグメント別の取り組み

寮事業は売上高が前期比2.3%増の424億21百万円、営業利益は同3.7%増の63億45百万円を見込む。年々拡大する入居者のニーズに応えるよう体制を強化し、戦略的な開発を推進する一方、1棟毎の稼働状況のコントロール強化やコスト抑制等の管理を徹底し収益改善を推し進める。期初稼働率が97.2%と好調なスタート、新規開業による定員増もある。新棟の利益貢献や管理費の見直しにより増益となる見通し。尚、前期に引き続き長期的発展を見据えた大規模改修を先行実施する。
ホテル事業は売上高が前期比6.4%増の462億42百万円、営業利益は同5.5%増の40億41百万円を見込む。ドーミーイン事業においては、顧客から好評を得ている既存事業所を背景に、ブランドの確立と収益の拡大を図る。また、国内のみならず、海外事業1号店として今秋に韓国ソウル江南地区での「ドーミーインPREMIUM SEOUL GAROSGIL(カロスキル)」のオープンを皮切りに成長著しいアジア圏への展開を図り、日本の顧客を海外へ、海外の顧客を日本の同社のホテルへと、双方の架け橋としての役割を果たしながら、成長を加速させる。ただし、海外出店に伴う費用負担により少額ながら減益となる見通し。リゾート事業では、1事業所毎に顧客へのサービスの充実と収益管理の徹底を図りつつ地域一番店として、顧客満足度の高い「癒しの宿」を展開する。また、新規顧客の開拓とリピーター等に対する営業体制を強化するとともに、将来の成長に向け戦略的に開発のピッチをあげる。
その他の事業は売上高が前期比13.7%増の372億29百万円、営業利益は前期34百万円の損失から5億76百万円の利益へと大幅な改善を見込む。PKP事業において次世代事業の柱とすべく、全国地方自治体に向けて官民共同の行政運営提案受託を行ってきたが、ようやく基盤となる売上規模が確保でき、今後は一層の収益の実現を図る。

今後の注目点
ホテル事業の躍進著しい。底堅い収益基盤となっている寮事業に成長するホテル事業が上乗せされる形で今後も成長が持続するだろう。15/3期会社予想は伸び率が低下するものの、ホテル事業の足元は想定を上回る稼働率となっている模様であり、前期同様当初の見通しを上回る流れとなっている。また、ホテル事業躍進の陰に隠れているがPKP事業の収益貢献が見え始めた。新たな成長事業として長期的に売上・利益に貢献することが期待できる。東京オリンピック開催という大きな支援材料もあり、当面は死角のない成長が持続しそうだ。
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