(8275:東証2部) フォーバル 2014年3月期業績レポート

2014/06/25

Forval

今回のポイント

・14/3期は、前期比12.1%の増収、同20.6%の経常増益。売上面はアイコン事業やそれに伴う周辺事業が拡大したフォーバルビジネスグループ、保険関連の子会社が好調に推移したフォーバルテレコムビジネスグループ、スマートフォン等の携帯販売台数が増加したモバイルショップビジネスグループなどが増加した。利益面は、収益性の高いアイコン事業などが増加したフォーバルビジネスグループの利益寄与が大きかった。14/3期末の配当は、好調な業績を受け5月13日に1株当たり年間22.5円(2月12日に20円へ修正)の予想に上方修正された。

・15/3期の会社計画は、前期比11.6%の増収、同7.7%の経常増益。売上面は、アイコンサービスなどの経営コンサルティング分野の増加に加え、14/3期中に子会社化した2社が通年で寄与するなどを見込んでいる。利益面も、主としてフォーバルビジネスグループにおける増収効果と、総合環境コンサルティンググループが通年で寄与する影響が大きい。配当は、前期と同じ1株当たり年間22.5円の予想。

・前期に、既存事業である情報通信コンサルティングと海外コンサルティングに、新規事業である人材・教育コンサルティングと環境コンサルティングが加わり、同社の事業ポートフォリオは強化された。強化されたインフラを活用して、業績拡大につなげていけるのか、今後の同社の事業ポートフォリオを横断した連携と収益化の取り組みが注目される。

会社概要

中小・中堅企業を対象とした経営コンサルティングサービスや海外進出支援サービスの他、ITを活用し経営を高度化・効率化する手段として、オフィス向けの光ファイバー対応IP電話サービスやFMCサービス(固定通信と移動体通信を融合したサービス)、ならびにそれらとネットワークセキュリティを融合したIP統合ソリューションなどの通信・インターネット関連サービスを提供するほか、OA・ネットワーク機器の販売・工事、携帯端末の取次ぎ、Web構築、太陽光システムやオール電化製品の販売・工事などのサービスを提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業を目指す」という経営理念が込められている。

事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップを中心にモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、14/3期に新たに子会社化した(株)アップルツリーがオール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む総合環境コンサルティングビジネスグループの4セグメントに分かれる。 加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメントとして人材・教育コンサルティングがある。

近年のハード販売における付加価値の低下を踏まえ、現在、差別化が可能で付加価値も高いコンサルティングサービスへのシフトを進めており、08年4月にサービスを開始したITコンサルティングサービス「アイコン」がその中核となっている。また、コンサルティングサービスの一環として、中小企業の情報化の支援やASEAN展開の支援にも取り組んでおり、前者ではIP統合ソリューションを展開。後者では、10年5月にFORVAL(CAMBODIA)CO.,LTD.(カンボジア・プノンペン)を設立し、以後、11年7月のPT FORVAL INDONESIA(インドネシア・ジャカルタ)及び同年8月のFORVAL VIETNAM CO., LTD.(ベトナム・ホーチミン)の設立、更には12年3月のミャンマー駐在員事務所(ミャンマー・ヤンゴン)、その他ベトナム2番目の拠点となるハノイ支店の開設とネットワークの拡充を進めている。
平成26年1月24日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から市場第二部へ市場変更となった。

成長戦略

同社は、「『情報通信コンサルタント』として企業経営を支援する集団となり、中小・中堅企業の利益に貢献する」というグループのビジョンを掲げ、機器販売からコンサルティングを中心にした経営支援へビジネスモデルの転換を進めている。機器販売を中心とした保守・サポートビジネスは参入障壁が低く、周辺事業へのビジネスチャンスも限られてしまう。そこで、同社グループが取り組んでいるのは、ARPUの上昇とビジネス範囲の拡大が期待できる、ITコンサルティングサービス「アイコン」を通しての進化であり、企業経営そのものを支援する。「アイコン」においては様々なサービスを提供しているが、特に情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルと強みである独自の海外進出ノウハウを活用した経営コンサルに注力し顧客企業の経営支援をしながら関係強化に取り組んでいる。
更に、M&Aを通じて、新規事業である人材・教育コンサルティングと環境コンサルティングを事業ポートフォリオに加えたことで、経営コンサルティングカンパニーへの基盤が強化された。

同社は国内の中小・中堅企業経営者に対し、下記の経営コンサルを提供している。
・情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサル
・総合的な経営コンサル
・独自の海外進出ノウハウによる経営コンサル
・社内の人材問題に対応する経営コンサル
・環境に対応する経営コンサル

(1)情報通信コンサルティング(アイコンサービス)

「アイコンサービス」開始以降、利用する顧客数やアイコン関連の売上高は順調に拡大している。また、よろず経営相談の件数も増加しており、情報通信コンサルタントとしての同社の認知度も高まっている。アイコンサービスの増加は、よろず経営相談の増加につながり、更には、本格的な経営コンサルの増加へつながり、差別化、顧客囲い込み、高付加価値化などにつながる可能性が高い。

よろず経営相談件数は14/3期に2,000件を超えるまで増加。

また、同社では、アイコン事業の更なる拡大・強化のためBRMC(Business Restructuring & Management Consulting)というアイコンのOEMによるネットワーク作りに注力している。同社の差別化された新しいビジネスモデルのノウハウの提供を通じて、パートナー数とアイコンユーザー数の拡大を目指す。14/3月末時点のBRMC経由のアイコン導入件数は、前期末比3.7倍と大幅に増加した。更に、情報処理技術者試験対策を中心としたIT教育サービスを提供する株式会社アイテックを買収するなど、アイコンに足りないコンテンツは今後も積極的にM&Aを活用し補完する方針である。

(2)海外コンサルティング(グローバルアイコンサービス)

同社の大久保会長は、十分な教育の機会が無いカンボジアにおいて、自らが設立し理事長を務める公益財団法人CIESF(シーセフ)を通して、教育インフラの構築から人材教育に至る広範な支援活動に取り組んできた。
ASEAN進出支援事業は、このCIESFの活動を通じて培った経験や人脈が活きている。「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」と言う考えの下、既に、カンボジア(10年5月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月と12年8月)に現地法人を設立しており、12年3月にはミャンマーに駐在員事務所を開設した。
更に、現地での支援体制の更なる充実・強化を図るために13年2月に現地法人の認可を取得し準備を進めてきたミャンマーでは、14年4月より事業活動が本格化した。

同社のASEAN進出支援事業である「グローバルアイコンサービス」は、海外進出前と進出後の様々な問題や障害を、ワンストップでサポートするビジネスモデルである。現在はカンボジアとベトナム、インドネシア、ミャンマーの4ヶ国で展開。情報提供から始まり、FS支援、現地法人の設立代行、人財採用・人財教育支援、バックオフィス整備支援、ネットワーク環境支援、現地パートナー開拓支援等をトータルサポートすることで、同社が最も得意とする情報通信技術を活用した日本と変わらない快適なオフィス空間を提供するビジネスヘつなげていく。日本と現地の両国で、トータルサポートを実施。
また、同社は、国内の行政機関、地域金融機関や海外の行政機関、各国工業団地などとのアライアンスを積極的に拡大することで、「グローバルアイコンサービス」の潜在顧客を発掘・育成している。

(3)人材・教育コンサルティング

子会社である(株)クリエイティブソリューションズは、IPネットワーク及びセキュリティ分野の管理者や技術者を通信キャリアやメーカーへ派遣している。加えて、東南アジアへ進出予定の企業に対する在日留学生の人材紹介を行っている。また、13年10月に子会社化した(株)アイテックは、情報処理技術者試験対策を中心にIT教育サービスを提供している。今後は、東南アジア進出日系企業や現地企業に対しアジア共通統一試験(ITPE)合格者の紹介を手始めに、現地で枯渇しているIT人材の育成を行う。今後、これら2社とフォーバル海外グループとの連携を図りシナジー効果を追求する。

(4)環境コンサルティング

13年12月に子会社化した(株)アップルツリーは、販売店約400社、その顧客(推計)約12万戸に対して、太陽光システムやオール電化製品の卸・工事請負業を行っている。今後は、フォーバルグループの顧客層への働きかけを強化し、代替エネルギー問題など経営者の環境に対する様々な悩みに応えていく。

2014年3月期決算
前期比12.1%の増収、同20.6%の経常増益

売上高は前期比12.1%増の394億43百万円。経常利益は、同20.6%増の14億86百万円。売上面は、アイコンが順調に拡大したことに加え、その相乗効果でビジネスフォンやパソコン、顧客の売上拡大を目的としたホームページ制作等が順調に推移したことや、ビジネスフォンやパソコンの施工保守ならびに光ファイバーやLAN工事を手掛ける子会社の外部向け売上が拡大したことなどにより、フォーバルビジネスグループが同6.3%の増収となった。通信サービスが減少したものの、保険関連の子会社が順調に推移したフォーバルテレコムビジネスグループが同2.2%の増収となった。また、スマートフォン等の携帯販売が好調に推移したことにより、モバイルショップビジネスグループも同18.3%の増収となった。更に、オール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む(株)アップルツリーを新たに子会社化した総合環境コンサルティングビジネスグループの売上寄与もあった。加えて、IT教育サービス事業を営む(株)アイテックを新たに子会社化した、その他事業グループも同80.5%の増収となった。

利益面は、収益性の高いアイコン事業などが増加したフォーバルビジネスグループが前年同期比39.7%の増益となった他、収益性の高いスマートフォンの販売が増加したモバイルショップビジネスグループも同16.9%増加した。一方、通信サービス減少の影響が大きかったフォーバルテレコムビジネスグループは同3.4%の減益となった。また、総合環境コンサルティングビジネスグループのセグメント利益が12百万円、その他事業グループのセグメント損失が7百万円となった。アイコン等が順調に拡大したものの、新たに子会社化した企業の影響などにより売上総利益率は、前期末の29.1%から今期末は28.2%と悪化した。一方、事業拡大に伴う人件費の増加等があったものの、その他の経費の抑制に努めたことにより、販管費の伸び率が同6.3%増に抑制され、営業利益は同25.5%増加した。その他、持分法による投資損失85百万円の計上などにより経常利益は同20.6%の増益にとどまったが、投資有価証券売却益1億79百万円、子会社株式売却益1億30百万円を計上したことなどにより当期純利益は同40.2%増加した。

その他事業セグメントは、IT教育サービスを提供している企業を子会社化したことにより、増収になったものの、セグメント損失へ転じた。

第4四半期(1-3期)の売上・営業利益の推移

収益性の高いアイコン事業の増加や経費の削減により、第4四半期(1-3月期)の業績は過去と比較し高い水準となった。

(2)アイコンサービスの推移

アイコンサービスは、事業所数、売上高とも順調に増加。

14/3期末の総資産は13/4期末比12億8百万円増の178億4百万円。資産の増加は、現預金と売上債権の増加が主なもの。負債純資産の増加は、仕入債務と当期純利益の増加が主なもの。当期末の自己資本比率は35.5%と前期末から1.0ポイント上昇し、財務体質の健全性が高まった。また、今期末の有利子負債(リース債務含む)も4億93百万円と前期末の10億15百万円から減少した。同社は、無借金かつ自己資本比率50%を目標に、財務体質の強化を進めている。

CFの面では、法人税の支払い増加などから、営業CFのプラス幅が縮小し、フリーCFのプラス幅も縮小した。引き続き有利子負債の削減に努めたものの、自己株式取得による支出の減少により、財務CFのマイナス幅が縮小した。

2015年3月期業績予想
前期比11.6%の増収、同7.7%の経常増益予想

15/3期の会社計画は、売上高が前期比11.6%増の440億円、経常利益が同7.7%増の16億円。企業経営を支援する「情報通信コンサルタント」集団として、IP統合商品の更なる普及促進、ビックデータ活用による新サービスの創出、スマートフォンなどの情報通信の活用促進、太陽光発電などの総合環境コンサルティングの提案や東南アジア諸国への進出支援を通じて、売上の拡大を目指す。
売上面は、14/3期中に子会社化した2社が通年で寄与する他、フォーバルビジネスグループにおいてもアイコンサービスなどの経営コンサルティング分野の売上が増加する見込み。モバイルショップビジネスグループは、消費税増税前の駆け込み需要の反動により若干の減収を予想。
利益面は、主としてフォーバルビジネスグループにおける売上高増加による営業利益と経常利益の増加を見込んでいることに加え、総合環境コンサルティンググループも通年で寄与する。利益率の高い「アイコン」の売上構成比が上昇することや、更なる効率化による販管費抑制により営業利益率が若干改善する計画で、営業利益は17億円と同14.8%の増益。当期純利益は、前期に投資有価証券売却益や子会社株式売却益などを中心に特別利益を3億17百万円計上した反動。
配当は、前期と同じ1株当たり年間22.5円の予想。

今後の注目点
新たなビジネスモデルの中核をなすITコンサルティングサービス「アイコン」が順調に拡大している。経営者の様々な悩みを解決するよろず経営相談の増加が、「アイコン」の拡大につながっているものと思われる。また、よろず経営相談の増加は、「アイコン」を中心とするIT領域の拡大のみならず、各種領域のコンサルティングの拡大にも波及しており、同社のビジネスチャンスが拡大している。経営者の各種の悩みに応えるため、同社は前期にM&Aにより事業ポートフォリオの拡張を行った。これにより中小企業の経営者は、同社に経営相談すれば、ワンストップで解決してもらえるという利便性向上とコストダウンの機会を得ることが可能となった。前期に、既存事業である情報通信コンサルティングと海外コンサルティングに、新規事業である人材・教育コンサルティングと環境コンサルティングが加わり、同社の事業ポートフォリオは強化された。しかし、拡大するビジネスチャンスの中で、事業ポートフォリオ間の連携強化により、シナジー効果を最大限発揮できるのかは、今後の同社の取り組みが鍵を握るといえよう。強化されたインフラを活用して、業績拡大につなげていけるのか、今後の同社の事業ポートフォリオを横断した連携と収益化の取り組みが注目される。
また、中小企業の経営者の様々な悩みをワンストップで解決するためには、現在の事業ポートフォリオが最終的な形ではないものと推測される。前期に同社はM&Aを通じて、事業ポートフォリオの拡張を図ったが、総資産や有利子負債の増加など、特段経営効率の悪化を招いていない点、評価が高い。既存事業とのシナジーが発揮できる新しいコンサルティング領域開拓の動きにも注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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