(4573:JASDAQ) アールテック・ウエノ 2014年3月期業績レポート

2014/06/25

RtechU

今回のポイント
・14/3期は前期比23.4%の増収、同65.9%の経常増益。前期の反動による米国での落ち込みで「レスキュラR点眼液(以下、レスキュラ)」の売上が減少したものの、国内外で「アミティーザRカプセル(以下、アミティーザ)」の売上が増加。開発費を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益が同89.1%増加した。期末配当は実質10円増配の25円を予定。

・15/3期予想は前期比2.6%の増収、同2.9%の経常減益。薬価改定の影響(△1.62%)を織り込む一方で米国分の受注を見込んでいないレスキュラの売上が減少するものの、国内を中心にアミティーザの売上増でカバー。網膜色素変性の第3相臨床試験及び重症ドライアイの第1/2相臨床試験等による研究開発費の増加を吸収して営業利益が同0.8%増加する見込み。経常利益が減少するのは為替差益を見込んでいないため。配当は25円を予定。

・医薬品の製造販売事業と医薬品開発支援および受託製造サービス事業による安定収益に創薬事業の収益を上乗せする事で業容の拡大を図っていく考え。創薬事業では、網膜色素変性治療薬として開発中の「UF-021」、日本発・世界初の生物製剤でドライアイを適応疾患とする「RU-101」等、早ければ15/3期以降に収益貢献が始まるパイプライン(開発案件)を有する他、上記パイプラインに比べると収益化に時間を要するが、より大きなポテンシャルの抗炎症作用を持つ「RTU-1096」といったパイプラインも有する。

会社概要

医師目線での医薬品開発を志向する分野特化型(眼科・皮膚科)の創薬ベンチャー。網膜色素変性治療薬としてウノプロストン点眼液(UF-021)や重症ドライアイ治療薬として遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU-101)等の開発を進めている。経営トップを務める眞島行彦氏(臨床医、医学博士)は、慶應義塾大学医学部眼科学教室の元助教授で臨床医としても豊富な経験を有し、今も非常勤講師として同大学で眼科学の研究指導に当たっている。
他の創薬ベンチャーとの大きな違いは、多様なパイプラインを持つ一方で、緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ」の製造販売と慢性特発性便秘症・便秘型過敏性腸症候群・オピオイド誘発性便秘症治療薬「アミティーザ」の受託製造により既に利益体質が定着している事(このため強固な財務基盤を有する)。社名のアールテック ウエノ(R-Tech Ueno, Ltd)は、Research and Technology(研究と技術)と創業者であり「レスキュラ」の開発者でもある上野隆司博士に由来する。

基本経営方針
・使命(Mission) 生活の質を向上させる医薬品の開発、株主還元(安定と成長)
・価値(Value) 豊富なパイプライン(開発品)、強い産学連携、財務基盤の強固な創薬ベンチャー
・基本戦略(Strategy) ニーズに合った医薬品開発(医師目線)、ミドルリスク・ハイリターンの追及
【沿革】

1989年9月、プロストン(医薬品として局所的に有効な生理作用を有しながら、副作用の少ない化合物)及び関連化合物に関する薬理学の第一人者として国際的に知られる上野隆司博士(発行済株式の16.5%を直接保有)が保有する特許の管理会社として設立された。同社の収益源の一つである「レスキュラ」は上野製薬(株)の医薬品事業部において、上野博士と久能祐子博士(同10.3%保有)によって開発されたもので、1994年7月に製造承認を受け、同年10月に上市(発売)された。
同社が製薬メーカーとしてスタートを切ったのは、上野製薬(株)から「レスキュラ」の製造販売業務を継承し事業を開始した2001年4月(当時は藤沢薬品工業(株)を通じて販売。現在は参天製薬(株)を通じて販売)。2004年10月には「アミティーザ」の開発元であるスキャンポ・グループ(米国、後述)と米国での販売権を有する武田薬品工業(株)の3社間で製造供給契約を締結(2005年9月には三田工場が米国食品医薬品局(FDA)よりアミティーザの製造工場の認可を取得)。2005年4月には本来の目的である自社での新薬開発に向けた取り組みを本格化するべく慶應義塾大学医学部助教授だった眞島行彦医学博士(2009年6月、代表取締役社長就任)を迎えてトランスレーショナル・リサーチ推進室(現研究開発部)を設置。2008年4月に大証ヘラクレス市場(現JASDAQ市場)に株式を上場した。

※スキャンポ・グループ(以下、スキャンポ社)とは

創業者の上野博士と久野博士が創業した企業グループで、スイスに拠点がある特許の維持管理会社(Sucampo AG)と米国に拠点を置く臨床開発会社(Sucampo Pharmaceuticals, Inc.:以下、SPI)の2社が中心。SPI.は、プロストンをベースにした医薬品の研究開発と販売に特化し、傘下に、Sucampo Pharma Americas, Inc.(南北アメリカ地域での臨床開発。)、(株)スキャンポファーマ(日本、アジア、オセアニアでの臨床開発)、及びSucampo Pharma Europe Ltd.(ヨーロッパ、中東、北アフリカでの臨床開発。)の臨床開発会社を有する(いずれも100%子会社)。

【既に利益体質が定着 -「レスキュラ」の製造販売と「アミティーザ」の受託製造で研究開発投資を吸収-】

同社は緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ」の製造販売(医薬品の製造販売)と慢性特発性便秘症・便秘型過敏性腸症候群・オピオイド誘発性便秘症治療薬「アミティーザ」の受託製造(医薬品の開発支援及び受託製造サービス)による収益で、新規医薬品の研究開発(創薬)にかかる年間10億円以上の研究開発費を吸収して利益をあげている。

新規医薬品の研究開発(創薬)

新規医薬品の研究開発では、医師の目線で医薬品の開発を行う分野特化型(眼科・皮膚科)の医薬品会社を目指しており、医師でもある眞島代表取締役社長を中心に、「アンメット・メディカル・ニーズ領域」(満足のゆく治療法が無い医療領域)、オーファンドラッグ領域(希少疾病医薬品領域)、及びアンチエイジング領域(生活改善薬領域)の3領域にフォーカスして、ミドルリスク・ハイリターンを追求している。

医薬品の製造販売

世界初のプロストン系緑内障治療薬「レスキュラ」の製造販売を手掛けている。「レスキュラ」は、緑内障・高眼圧症治療薬として1994年に厚生省(現厚生労働省)より製造販売承認を取得。眼局所及び全身性の副作用が少なく、1日2回の投与で安定した眼圧下降をもたらすと共に、視神経保護と眼血流増加の作用メカニズムにより、緑内障及び高眼圧症患者の視野を長期的に維持する。1994年の発売以来、世界45か国・50万人以上の処方実績を有するロングセラーであり、日本においては、参天製薬(株)を通じて医療機関へ提供。海外は、米国及びカナダにおいて、2009年4月にスキャンポ社とのライセンス及び製造供給契約を締結し、韓国では東亜製薬(株)を、台湾では台湾アステラスを、それぞれ通して販売。その他の地域についても、スキャンポ社に、開発、製造及び商業化権をライセンス譲渡した(2011年3月)。尚、緑内障は視神経の病気で、放置すると視野欠損を生じ重症例では失明する可能性がある。

医薬品の開発支援及び受託製造サービス

「アミティーザ」の受託製造を中心にプロスタグランジン(組織が損傷を受けた時、痛み、熱、腫れの原因となる物質)関連医薬品の開発支援等を手掛けている。スキャンポ社が開発した「アミティーザ」は小腸のクロライドチャネルを活性化する事で腸液の分泌を促進し、便の水分含有量を増やして柔軟化し、腸管内輸送を高め、排便を促進させる。2006年1月に米国で慢性特発性便秘症の承認を取得し、その後、スイス(承認取得2009年11月)、日本(同2012年6月)、イギリス(同2012年9月)へと市場を拡大。米国では、便秘型過敏性腸症候群(同2008年8月)及びオピオイド誘発性便秘症(同2013年4月)の治療薬としての承認も取得した(⇒ スキャンポ社のグローバル展開に伴い、全世界向けの独占的製造供給権を有する同社の受託製造売上も増加する)。米国では武田薬品工業(株)が、日本ではアボット・ジャパン(株)が、それぞれ販売権を有し、欧州での販売はこれから。ちなみに、日本では32年振りの便秘の新薬。薬価収載日(2012年11月22日)の関係で、2013年11月30日までは1回14日分の処方が限度だったが、2013年12月1日以降、長期投与が可能になった。安全性確認のため1年間は処方を見送る病院が多い事もあり、15/3期以降の売上拡大期待は大きい。

成長戦略

収益基盤である医薬品の製造販売事業と医薬品開発支援および受託製造サービス事業については、既に発売から20年以上が経過するレスキュラの売上減少が避けられないが、スキャンポ社のグローバル展開を背景とするアミティーザの売上増によりカバーする事で緩やかな収益の拡大が見込まれる。同社は、この2事業による安定収益に創薬事業(新規医薬品の研究開発)の収益を上乗せする事で業容の拡大を図っていく考え。

創薬事業では、網膜色素変性や加齢黄斑変性を適応疾患(共にオーファン疾患)とする「UF-021(ウノプロストン点眼液)」、重症ドライアイを適応疾患とする「RU-101(遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液)」、及び男性型脱毛症、睫毛貧毛症を適応疾患とする「RK-023(ノビプロストラン)」といった、早ければ15/3期以降に収益貢献が見込まれるパイプライン(開発案件)を有する他、上記パイプラインに比べると収益化に時間を要するが、より大きなポテンシャルがあり抗炎症作用を持つ「RTU-1096(VAP-1阻害剤)」といったパイプラインも有する。

尚、各パイプラインについては、グローバルに大手メガファーマへライセンスアウトしていく考え。ライセンスアウトとは、自社で開発した化合物の開発権または商業化権等を製薬会社等に譲渡し、ライセンスアウト収入や販売開始後のロイヤリティー収入等を得る事。臨床試験は数百億円単位の資金を必要とするため製造承認取得まで手掛ける事は創薬ベンチャーにとってハードルが高い。このため、新薬候補化合物を大手製薬会社にライセンスアウトする事でマイルストーン収入を得て早期に投下資金の回収を図るケースが多い(大手製薬会社はライセンスインする事で開発期間とコストを抑える事ができる)。ライセンスアウトする時期は様々だが、同社は前期第2相臨床試験で有効性や安全性を確認し、証明(POC:Proof of Concept)した後を想定している。

網膜色素変性治療薬「UF-021」:ウノプロストン点眼液

網膜色素変性とは進行性の夜盲で、視野狭窄を主な症状とし、失明に至る事がある遺伝性の網膜脈絡膜変性疾患。日本では視覚障害原因の第3位だが(60歳以下では第1位)、未だ有効な治療法が確立されていない。「UF-021」は、産学連携の希少疾患治療薬開発として、2013年2月に科学技術振興機構(JST)から資金援助(最大20億円)を受け、2013年3月に治験(新薬開発を目的とした臨床試験)を開始した。現在、第3相臨床試験が進行中で、13年10月に症例登録が完了。1年間の有効性試験を経て、16/3期中の承認申請と安全性試験を予定しており、早ければ、17/3期に承認を受け発売できる。薬価については、治療薬がない事から高薬価が期待されている(競合となる商品はない → 市場の独占)。また、希少疾病(オーファン疾患)用医薬品指定申請の準備も進めており、オーファン指定になれば、再審査期間10年間は独占的に販売できる(再審査が終了するまではジェネリック医薬品の承認申請が実質的にできない)。

ちなみに、網膜色素変性の日本国内の患者数は約3万人だが、グローバルでは100万人超。現在、有効な治療薬はないため、眼科学会はもちろん、患者団体等も、日本発・世界初の網膜色素変性治療薬となる「UF-021」の開発動向に注目している。希少疾患に対する治療薬ゆえに競合する製品もないため、同社は疾患患者の80%程度に継続投与されるとみており、20億円前後の売上を想定している。

適応拡大の可能性

「UF-021」は加齢黄斑変性治療薬としての適応拡大の可能性も有し、同社は2014年4月にパイプラインとしての検討を開始した。同社が「UF-021」を薬剤提供した香川大学医学部眼科の自主臨床研究において、「滲出型加齢黄斑変性患者の治療後の地図状萎縮に対する「UF-021」の臨床的有効性」が発表されている(第118回日本眼科学会総会(東京)において、当該研究により「UF-021」が抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬治療後の地図状萎縮の拡大に対して抑制効果を有する事が示された。滲出型加齢黄斑変性の治療では、抗血管内皮増殖因子薬を眼球に注射する事で病状(視力が低下)の進行を遅らせる治療法が用いられているが、治療後に地図状萎縮が出現、拡大し、長期で経過をみると視力が低下することが様々なエビデンスから明らかになっている。これに対して、「UF-021」は点眼で、地図状萎縮拡大の抑制が確認できたと言う(オーファン疾患、アンメット・メディカル・ニーズ疾患)。

ドライアイ治療薬「RU-101」:遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液

重症ドライアイ治療薬として開発中の「RU-101」は、日本発・世界初の生物製剤によるドライアイ治療薬であり(米国では、生物製剤の独占販売期間は12年間と長い)、ドライアイ市場は、グローバルで1,500億円と推定される(ドライアイ市場は過去5年間で2倍に拡大しており、今後も年率10%の成長が見込まれると言う)。2013年5月に米国で第1/2相臨床試験を開始。同年10月から前期第2相臨床試験に相当するステージ2を開始している。

ドライアイの治療薬としては、抗炎症薬、保湿・水分補給薬、ムチン/水分分泌促進点眼液等がある。米国では抗炎症薬が承認されており(日本や欧州では未承認)、米国でドライアイの治療薬として抗炎症薬「Restasis(レスターシス)」(シクロスポリン、免疫抑制剤)を製造・販売しているアラガン社のプレスリリースによると、2013年の「Restasis」の売上は$ 940 million (約940億円)。一方、日本で処方箋薬として扱われている保湿・水分補給薬(ヒアルロン酸ナトリウム、メチルセルロース等)やムチン/水分分泌促進点眼液は大衆薬として店頭で販売されている。アルブミン製剤である「RU-101」は保湿やムチン分泌による上皮保護効果と軽度の抗炎症作用を有する事から、既に普及している抗炎症薬との併用が想定される。このため、抗炎症薬との併用を念頭に、重症型ドライアイをターゲットに開発が進められている。

※アルブミンとは

アルブミンは涙液に含まれているタンパクの60~70%を占める物質で、重要な生理作用を担っている。アルブミン自体、血清タンパクが 60%を占め、体内で生成されるため、言うまでもなく、人体に馴染みやすい(⇒安全性が高い)。
遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液「RU-101」は、人のアルブミンを産生する遺伝子を酵母に組み込み、酵母で生成したアルブミンを使用している。このため、献血アルブミン製剤のように感染症リスクもない。

炎症を抑える効果が確認されているVAP-1阻害剤「RTU-1096」(詳細は後述)は、眼科や皮膚科に限らず、様々な領域での適応が期待されており、そのポテンシャルは極めて大きい。眼科・皮膚科領域でない急性GVHD(移植片対宿主病)予防については慶應大学と、糖尿病黄斑症に対する抗VEGF薬治療後の再発抑制を目的とした併用薬開発については九州医療センターと、それぞれ共同研究を進めている。並行して、同社では現在、アトピー性皮膚炎向けに非臨床試験を実施しているが、今秋にも第1相臨床試験(健康な方を対象に安全性を確認)を開始する。第1相臨床試験の結果、安全性が確認された場合、そのデータを他の適応疾患でも利用する。現在実施中の2つの共同研究(非臨床の段階)について、有効性が確認された場合、アトピー性皮膚炎の第1相臨床試験データを利用し、引き続き共同研究にてPOC(Proof-of-Concept:有効性の実証)試験(前期第2相臨床試験にあたる)に入る。同社がターゲットとするアンメット・メディカル・ニーズ(未だ満足のゆく治療法がない医療)領域において、専門の研究機関(対象疾患の患者がいる研究機関)と産学連携することで、開発の効率化、迅速化を図る考え。

抗炎症作用を持つ「RTU-1096」:VAP-1阻害剤(内服剤)

炎症は、白血球が血管内皮と接着した後に血管外に誘導され活性化する事が原因で、更なる接着・血管外へ誘導・血管外での遊走を引き起こす。VAP-1(Vascular Adhesion Protein-1)は、白血球と血管内皮の接着を阻害する事で炎症を抑える効果があり、アトピー性皮膚炎や乾癬等の皮膚疾患、滲出型加齢黄斑変性や糖尿病網膜症等の眼科疾患、更には血清中または体のいろいろな組織でVAP-1活性の増加がみられる糖尿病、肥満、動脈硬化、心疾患等への適応可能性を秘めている。

アトピー性皮膚炎への適応に向けた取り組み

アトピー性皮膚炎に対する有効性が期待できる経口剤であるVAP-1阻害剤「RTU-1096」の開発を進めている。アトピー性皮膚炎は、白血球が血管内皮と接着した後に血管外に誘導され、血管外で遊走し活性化する事で炎症を引き起こす疾患。「RTU-1096」は、VAP-1の活性化を抑制し炎症を抑える効能が期待されており(阻害剤として、過剰になったVAP-1の機能を抑制し、炎症を抑制)、マウスを使った動物実験で一定の効能が確認されている。

アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質により皮膚のバリアー機能が低下し、様々な刺激が加わる事で、かゆみを伴う慢性の湿疹や皮膚炎を生じ、症状の悪化と改善を繰り返す。現在の治療は薬物による対処治療にとどまり、ステロイド剤の外用、免疫抑制剤の外用、抗ヒスタミン薬の内服、保湿剤の塗布を行っている。重症化した際には、強いステロイド剤の外用に加え、免疫抑制剤やステロイド剤の内服を短期間行うが、副作用を伴うため、より安全性の高い薬剤の開発が求められている。

また、VAP-1阻害剤は、アトピー性皮膚炎、乾癬等の皮膚疾患の他、角膜血管新生、滲出型加齢黄斑変性などの眼科疾患や、肝炎、炎症性大腸炎、糖尿病神経障害等への適応も期待できるため、「RTU-1096」については、第1相臨床試験で安全性を確認した後、他疾患への応用の可能性も追求していく考え(すでに、急性GVHD予防や糖尿病黄斑症の抗VEGF薬治療後の再発抑制を目的とした併用薬として大学との共同研究を開始している)。

2014年3月期決算
前期比23.4%の増収、同65.9%の経常増益

売上高は前期比23.4%増の56億18百万円。前期の反動減による北米での落ち込みでレスキュラの売上が同18.1%減少したものの、米国・国内共に伸びたアミティーザの売上が同54.1%増加した。

利益面では、売上の増加と米国でのアミティーザの納入価格変更等で売上総利益が同26.1%増加。研究開発費(12億79百万円 → 13億72百万円)を中心にした販管費の増加を吸収して、営業利益が13億19百万円と同80.9%増加した。為替差益の減少(94百万円 → 52百万円)で営業外収益が減少したものの、税負担率の低下で当期純利益は10億62百万円と同89.1%増加した。

期末配当は1株当たり10円増配の25円を予定している(13年7月に1株を200株に分割しており、これを考慮すると、実質10円の増配)。

レスキュラ 売上高14億83百万円(前期比18.1%減)

販売先との共同プロモーション(眼底読影勉強会・製品説明会等の開催や製品特性等の情報提供)の成果で国内が13億82百万円と同2.6%増加したものの、受注残のみの出荷となった米国分が1億01百万円と同78.2%減少した(米国分の前期は、スキャンポ社 がレスキュラの販売を再開した事で4億64百万円の売上を計上した)。

アミティーザ 売上高39億96百万円(前期比54.1%増)

スキャンポ社が慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)治療薬の製造販売承認を取得した事に伴い、2012年11月に販売を開始した国内が8億52百万円と同222.2%増加。米国市場は、数量増に加え、販売提携先の武田薬品工業(株)との納入価格の変更もあり、31億43百万円と同35.0%増加した。
また、スキャンポ社は、スイスや英国において慢性特発性便秘症治療薬としてアミティーザの販売承認を取得しており、米国市場においては、非癌性疼痛患者を対象としたオピオイド誘発性便秘症治療薬として、追加新薬承認を取得している(同社は各地域での独占的製造供給権を有する)。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

期末総資産は前期末に比べて14億79百万円増の113億99百万円。利益の増加と売上債権の回収が進んだ事で前期は2億67百万円だった営業CFの黒字が14億28百万円に増加した事で増加した。現預金は66億15百万円と潤沢で実質無借金経営。流動性に富んだ優れた財務体質を誇り、業容が拡大する中で自己資本比率も80.2%と高水準を維持している。
尚、ROE(自己資本利益率)は12.3%となった。同社は中期経営目標として、16/3期にROE10%以上を目指していたが、2期前倒しで達成した事になる。今後もROE10%以上を念頭に経営を進めていく考え。

2015年3月期業績予想
前期比2.6%の増収、同2.9%の経常減益予想

売上高は前期比2.6%増の57億63百万円。薬価改定の影響(△1.62%)を織り込む一方で北米での受注を見込んでいないレスキュラの売上が12億70百万円と同14.4%減少するものの、国内を中心にアミティーザの売上が43億42百万円と前期比8.7%増加する。
営業利益は同0.8%増の14億31百万円。網膜色素変性の第3相臨床試験及びドライアイ治療薬の第1/2相臨床試験等で研究開発費が15億45百万円と同12.6%増加する見込み。経常利益が減少するのは為替差益を見込んでいないため。

(2)配当は1株当たり25円を予定

同社は、経営基盤強化のための内部留保に配慮しつつ、株主へ適切な利益還元を実施していく考え。このため、内部留保資金については、成長に不可欠な研究開発投資及び新規化合物の導入など、競争力向上のために必要な事業への投資に活用していく方針。一方、配当については、業績や配当性向等を総合的に考慮し、中長期的に安定した配当を継続していく事を基本方針としている。
15/3期の配当は前期と同額の1株当たり25円を予定しており、連結ベースの配当性向は48.1%となる見込み(13/3期:52.2%、14/3期:45.4%)。

社会・環境への取り組み

同社は、医薬品会社として患者のQOL(quality of life:生活の質)の向上に貢献するべく、「もうまく基金(特定非営利活動法人網膜変性研究基金)」、「ドナーファミリーへの集い/ランフォービジョン」、及び「ワールド・ドクターズ・オーケストラ」を支援している。また、株主にも病気や健康について理解を深めてもらおうと、株主総会終了後に株主優待講演会を開催している。

(1)関連団体の支援
もうまく基金(特定非営利活動法人網膜変性研究基金)

「もうまく基金」は、不治の眼病である網膜色素変性症をはじめとした網膜変性疾患の治療法確立に向け研究に取組んでいる研究者(市民や企業・団体等からの寄付によって研究を続けている)の支援活動を行なっている。

ドナーファミリーへの集い/ランフォービジョン

角膜移植医療における移植技術は目覚しい発展を遂げているが、角膜移植医療は角膜の提供を受けて成り立つ医療であり、角膜の提供は未だに十分ではない。「ドナーファミリーへの集い/ランフォービジョン」は、“一般市民への啓発活動こそが現状打開への道である”との考えの下、アイバンク活動及び移植医療への理解と啓発を目的にチャリティマラソンを開催しており、大会への参加費の一部は、共催者であるアイバンクに分配され、アイバンク活動に活用されている。

ワールド・ドクターズ・オーケストラ

ワールド・ドクターズ・オーケストラ(以下、WDO)は、グローバルな「医師団大使」として、1年に2~3回、30カ国以上から集まった医師たちによるコンサートを世界各地で行っている。使命は、質の高い音楽とグローバルな医療、医学との融合により “癒し”をもたらし、人々の人生をより良いものにする事。会場に来られない患者のために病院で行うコンサートも大切にしている。コンサートの収益は国際的な支援団体や地元の慈善団体等を通しての寄付金とされ、演奏者である全医師の交通費、宿泊費は自己負担である。

(2)株主優待講演会
・2010年7月10日 「高齢化社会と目の健康 -老いてもよく見えるために-」
(同社代表取締役社長 眞島行彦/眼科専門医)
・2011年7月23日 「健康長寿社会と眼 -緑内障-」
(同社代表取締役社長 眞島行彦/眼科専門医)
「中高年の目の病気 -糖尿病網膜症-」
(近畿大学医学部堺病院 眼科教授 日下俊次先生)
・2012年6月22日 「知らないと怖い現代病 -ドライアイ- ~瞳に輝きを~」
(同社代表取締役社長 眞島行彦/眼科専門医)
・2013年6月25日 「Happy People Live Longer 幸せな人は10年長生きする」
(慶應大学医学部 眼科学教室 教授 坪田一男先生)
・2014年6月24日 「長寿社会における健康管理 ~長生きのこつ~」
(医療法人財団 立川中央病院 院長 谷口正幸先生)
今後の注目点
同社の第1の成長エンジンは開発元のスキャンポ社が進めるグローバル展開に伴い受託製造の増加が見込まれるアミティーザ。第2の成長エンジンは世界初の網膜色素変性治療薬として開発を進める「UF-021」、そして第3の成長エンジンは日本発・世界初の生物製剤によるドライアイ治療薬として開発を進める「RU-101(遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液)」。加えて、上記パイプラインに比べると収益化に時間を要するが、より大きなポテンシャルを持つVAP-1阻害剤「RTU-1096」(抗炎症作用を持つ)といったパイプラインも有する。
新薬候補化合物から実際に新薬として世に出る確率は25,000分の1(0.004%)と言われ、その多くが基礎研究段階で姿を消すが、非臨床段階に到達すると、新薬として世に出る確率が12%程度に高まると言われている。上記のパイプラインは、いずれも非臨床段階以降にある上、同社は、(1)リスクマネーの供給に頼らない堅実な収益基盤と優れた財務基盤と、(2)アンメット・メディカル・ニーズ領域、オーファンドラッグ領域、及びアンチエイジング領域での新薬開発においてアカデミア(大学)と産業界との連携の重要性が高まる中、眞島社長を介したアカデミアとの太いパイプ、という2つの大きな強みも持つ。「成長のための必要条件が揃っている」と言い換えてもいいだろう。今後の事業の進捗をじっくりと見守りたいところだ。
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