(2708:JASDAQ) 久世 2014年3月期業績レポート

2014/06/25

Kuze

今回のポイント

・14/3期は前期比11.1%の増収ながら、同65.8%の経常減益。新規顧客の開拓と既存顧客との取引拡大で売上が増加したものの、仕入価格上昇で原価率が上昇する中、遠隔地への配送や細かな配送需要等、新規顧客や新たな配荷店への対応で運賃が大幅に増加した。

・15/3期は前期比9.2%の増収、同67.6%の経常増益予想。引き続き新規開拓と既存顧客との取引拡大に取り組み、新規開拓で2,300店、23億円(前期は35億円)の売上上積みを目指しており、既存顧客は取引拡大で35億円(同27億円)の増収を見込んでいる。ただ、14/3期の反省を踏まえ、攻めの営業に徹しつつも採算を重視。物流の精度向上にも取り組む。配当は12円を予定。

・リーマンショック以降、国内景気が低迷する中で業績を拡大させてきた同社だが、売上高1,000億円の達成に向け、一旦踊り場を作り足元を固め直す時期に来ていたようだ。しかし、迅速な対応がなされ、足元では「採算性を重視した攻めの営業」を実現するべく意識改革が進んでおり、この上期には物流の採算改善と精度向上に向けた取り組みが全社レベルで実行に移される。また、14/3期の業績悪化について経営責任を明確にするべく、役員報酬の減額を実施して襟も正した。15/3期は期初の業績予想を確実に達成して、売上高1,000億円体制の構築が進んでいる事を示したいところだ。

会社概要

外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループでソース、ブイヨン、スープ及び調理食品など食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。
グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社4社、及び中国での業務用食材卸売事業を目的に12年5月に設立した久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社1社(この他、14年4月に水産物仲卸会社 旭水産(株)を100%子会社化)。

【沿革】

1934年4月現在本社を置く池袋にてトマトケチャップやソースの製造を開始した。50年1月に(株)久世商店として法人組織に改組し、67年7月に現商号の(株)久世に変更。直販(中間流通を通さず飲食店等に直接販売)を特徴とするケチャップやソースのメーカーとして経営基盤を確立した。

しかし、70年代に入り、トマト加工品の輸入自由化への対応を迫られた事やその後の勃興期を迎えていたファミリーレストランが業務用食材をフルラインで取り扱う米国型ディストリビューター機能を必要としていた事を踏まえ、食材の卸事業に事業をシフトさせた。元来、直販メーカーとして飲食店等のユーザーと直接取引していた強みに加え、外食チェーン等の市場拡大も追い風となり事業が順調に拡大。77年4月には神奈川県横浜市に神奈川営業所を開設し、千葉、埼玉、東京都下にネットワークを広げた。

食材関連ビジネスに限定しつつも多角化を進め、79年8月には結婚式利用の増加で繁忙を極めたホテル厨房を支援するべく連結子会社キスコフーズ(株)を設立し、業務用高級スープやソースの製造を開始。89年7月には、トリュフ、フォアグラ等、高級食材の輸入・販売を目的に連結子会社アクロス(株)を設立した(その後、吸収)。90年代には、中京地区、関西地区への拠点展開も進め、2001年9月にJASDAQに株式を上場。上場を機に国内の強化はもちろん、海外展開も進めた。

2009年7月 生鮮品の取扱い強化の一環として、生鮮野菜類の卸に特化した(株)久世フレッシュ・ワンを設立
2011年5月 ソース類の製造強化を目的にキスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)をニュージーランド、クライストチャーチ市に設立
   9月 海外戦略の拠点として、久世(香港)有限公司を設立
2012年5月 久華世(成都)商貿有限公司を設立し、中国での業務用食材卸事業を開始
   6月 中部地区の営業力強化を目的に(株)サカツ コーポレーションと業務提携
2013年4月 資材や消耗品等、ノンフードPB「キッチンサポート」ブランドを立上げ
   8月 ISO22000認証取得
【事業内容】

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、14/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.4%、7.4%、0.2%。また、販売チャンネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ29.2%、ディナーレストラン・ホテル・会館20.7%、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリング14.8%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ35.3%。

食材卸売事業

取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。

食材製造事業

連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を加えたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉のホワイトソース)の製造を行っている。

外食産業専門商社の役割 - 商品のデリバリーに加え、メニュー提案やノウハウ・トレンド等の情報を提供 -

食のシーンは、家庭内の食事(スーパー等)である内食、惣菜・弁当等の中食(同:約7兆円)、及びレストラン・ホテル・給食等の外食(同:約23兆円)の3シーンに分ける事ができ、市場規模(同社推計)は、内食40挑円、中食7兆円、外食23兆円。外食は自動車産業(約49兆円)ほどではないものの、設備を除く住宅産業(約19兆円)や家電産業(約9兆円)よりも大きい巨大な市場だ。また、業務用食材卸は専門的な調理の知識が要求され、扱う食材の使い勝手を含めた特徴、納入先の店舗がアルバイト・パート中心の店舗なのか、専門の調理人がいるのか、更には客単価等も頭に入れて食材の提案を行う必要がある。
このため、外食産業には、機動力に優れ、専門性をもった専門商社(専門卸)の存在が不可欠となっている。

【フードサービスソリューションカンパニーを標榜 - 運ぶ・つくる・考える -】

同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、仕入・物流、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フードサービス・ソリューション・カンパニー」である。

「運ぶ」

365日24時間の受注体制を敷き、あらゆるフードサービス産業に、加工食品や生鮮3品、キッチンウェア、専門性の高い商品から汎用食材まで多様なニーズに応えている(フルラインサプライヤー)。配送は、「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2と通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、時間指定や配送頻度、納品場所等、顧客の多様な要望に合わせたきめ細かい配送を行っている。一方、「チェーン店向け配送」は、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から沖縄まで、全国にチェーン展開している顧客に対応した配送を行っている(チェーン店独自の品揃えに対応)。

「つくる」

厨房での手間やコスト削減を念頭に、新しいメニューやプライベート商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。

「考える」

「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客個々のオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案を行っている他、同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報等も提供している。また、食材セミナー(毎月1回)やプロ向け展示会「Food Service Solution」(年2回)を定期的に開催して、「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。

三大都市圏No.1 お客様満足度No.1企業の実現と海外事業の基盤確立を目指して

同社の推計では、国内の業務用食材市場は約4兆円で、同社のシェアは未だ1.3%に過ぎない(首都圏に限っても、約3.2%のシェアにとどまる)。成熟した国内業務用食材市場ではあるが、同社にとって広大な市場であり、「三大都市圏NO.1」と「お客様満足度NO.1」を目指す事で業容拡大を図っていく考え。また、キスコフーズ インターナショナル リミテッド(ニュージーランド)製品の、東南アジア、中国、中近東等への展開(日本を経由せず直接輸出)や中国での業務用食材卸事業の育成により、海外事業の基盤づくりにも取り組んでいく。

同社は、創業85周年を迎える20/3期に売上高1,000億円の達成を目指しており、目標達成に向けた基本戦略として、国内外での攻めの営業体制の確立、商品開発を軸とした戦略推進、及び1,000億企業への体制構築の4項目を挙げている。

基本戦略
基本戦略.1 攻めの営業体制(国内)の確立

・首都圏、中部圏、関西圏の地域別戦略の構築と推進
・営業戦略に連動した商品、物流の戦略(KZNの完成)

基本戦略.2 攻めの営業体制(海外)の確立

・中国、東南アジアでの業務用食材卸売業の展開
・NZを拠点に「世界の味の洋風化」に対応する製造事業を推進

基本戦略.3 商品開発を軸とした戦略推進

・お客様に支持される商品の開発推進(商品の差別化)
・キスコ機能を伸ばし、グループで「製造」と「販売」の連携をした成長戦略

基本戦略.4 1,000億企業への体制構築

・人財育成(営業・管理・海外)
・すべての業務品質の向上
・次世代情報システムの導入
・M&Aやアライアンスの推進

【14/3期レビュー】

20/3期に売上高1,000億円を達成するにあたって、そのプロセスとして3年毎の「C&G(challenge and Grow for The Good Company)中期経営計画」が策定され、現在、「第2次C&G中期経営計画(13/3期~15/3期)」が進行中であり、その2年目となる14/3期は、(1)徹底的な攻めの営業、(2)すべての業務の品質向上、(3)海外事業展開の促進、及び(4)グループ力の強化の4項目を重点施策として取り組んだ。
(2)すべての業務の品質向上については、同社、キスコフーズ、及び久世フレッシュ・ワンが食品安全マネジメントシステムの国際規格である「ISO22000」の認証を取得した他、品質管理部の機能強化等でも成果を上げた。また、(3)海外事業展開の促進では、ニュージーランドにおいて、一部の生産設備を更新して生産能力を増強した他、東南アジアへの輸出を開始した(シンガポールの五つ星レストラン・宴会場にフォンドヴォーの輸出を開始しており、高い評価を得ているようだ)。一方、中国では、2期目を迎えた非連結子会社久華世(成都)が順調に売上を伸ばした。(4)グループ力の強化では、キスコフーズがPB商品及び既存取引先拡大で売上を伸ばし、久世フレッシュ・ワンも都内5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)で新規取引先獲得に注力した結果、一定の成果を上げた。一方、(1)徹底的な攻めの営業では、新規顧客獲得が進み(約2,800店舗を開拓)、既存顧客との取引も拡大した。また、売筋メニューの提案による粗利の改善や顧客ニーズにマッチした物流網の整備にも取り組んだが、円高修正や原料高による仕入価格上昇分の価格転嫁が遅れた事に加え、物流費のコントロールに課題が残った。

【15/3期の施策】

15/3期は14/3期の反省を踏まえて、採算重視を徹底すると共に、顧客増に対応した物流システムの改革を進めつつ営業を強化していく考え。重点施策として、(1)採算性を重視した攻めの営業、(2)物流の採算改善と精度向上、(3)すべての業務の品質向上、(4)海外事業展開の促進、及び(5) グループ力の強化、の5項目を挙げている。

(1)採算性を重視した攻めの営業では、既存顧客の底上げ(インストアシェアアップ)、物流を意識した新規開拓、個別採算管理の徹底、及び新商材の提案及び価格転嫁による粗利改善(仕入価格高騰への対応)がポイント。また、PB商品の拡販にも力を入れ、新商品及びリニューアル商品40アイテム(上期20・下期20)投入する予定。併せて、顧客毎、車両毎の採算管理を徹底する事で、個別ベースの売上総利益率を14/3期の16.6%から16.9%に引き上げる。

(2)物流の採算改善と精度向上では、委託先会社との連携を強化して採算性を考えた配送コースの実現に取組むと共に、イレギュラー配送の抑制で委託配送費の削減に努める(委託配送費を約2億円削減する)。14/3期は広範囲に店舗展開しているチェーンの地方店舗への配送やイレギュラー配送(臨時便)への対応増等、定期配送以外の臨時配送の増加で運賃が大幅に増加した。また、顧客からの信頼性向上にもつながるため、誤配の撲滅や定時出発の徹底(時限管理)による物流精度の向上にも努める。この一環として、ボイスピッキング(ピッキング精度向上、時間短縮)、新発注システム(発注業務の時間短縮と精度向上、在庫の圧縮)導入とGPSと連動した配送運行管理システム(配送の効率化)を特徴とする約1億円の物流効率化投資(システム投資)を実施した。テスト導入した物流センターでは、ピッキングの作業時間が15~20%、発注業務の時間が30~50%短縮できたと言う。この6月に全社レベルで新システムが正式稼働する。

(3)すべての業務の品質向上では、ISO22000の水準維持と更なる向上を図る。具体的には、品質管理部と営業部門との連携を強化して、顧客への調理上・保管上の品質留意点や食品表示等の情報提供を行うと共に品質検査体制を強化する。
尚、同社グループは、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタートさせている。「お客様満足度No.1」の達成に向け、商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注などサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進している。

(4)海外事業展開の促進では、ニュージーランドでの製造事業及び中国での食材卸売事業の基盤固めを図る。ニュージーランドでの製造事業では、キスコフーズインターナショナルが、東南アジアへの販路拡大と中国への直接販売でフォンドヴォーとベシャメルソースを拡大させ収益基盤の確立を図る。また、新製品の開発と市場への投入や必要に応じた新規設備導入による安定的・効率的な生産体制の構築にも努める。一方、中国での食材卸売事業では、久華世(成都)が個店政策の実施で日本食ターゲット店の開拓・取引拡大を図る。また、ベーカリー市場へ新規参入する他、今期中に業務用のキャッシュアンドキャリーを開設してデリバリーとの両建てで事業基盤の構築に取り組む。また、商品の品揃え強化で西洋食市場の開拓も進める。

(5)グループ力の強化では、2014年4月1日に久世グループの新戦力として、水産物仲卸会社 旭水産を100%子会社化した。水産物仲卸事業をグループに取り込む事で、ワンストップサービスと品揃えによる利便性を図る考え。一方、旭水産は、久世との相互顧客紹介により取引先間口の拡大を図ると共に青果事業とのコラボレーションを進める他(情報共有と共同配送)、海外事業(輸出)の拡大にも取り組む(既に、シンガポール、米国への輸出実績がある)。
既存の国内グループ会社では、キスコフーズがスープ&ソースのソリューションカンパニーとして、顧客ニーズに応じた新商品の開発による商品力の強化と既存顧客との関係強化に努めると共に、子会社キスコフーズインターナショナルとのグループシナジーを追求する。久世フレッシュ・ワンは特長ある鮮度の良い商品を扱う元気な「八百屋」を目指して、引き続き、重点エリアでの新規開拓及び既存顧客との取引拡大に取り組む。大口ユーザー獲得、生産農家との連携と商品開拓力強化による特長ある商品の品揃え、鮮魚事業(旭水産)との得意先情報共有と共同配送によるシナジーの追及がポイントである。

2014年3月期決算
前期比11.1%の増収ながら、同65.8%の経常減益

新規顧客の開拓及び既存顧客との取引拡大で売上高は622億68百万円と前期比11.1%増加した。金額ベースでは約62億円の増収となり、内訳は、新規顧客の開拓による売上の増加が35億円、既存顧客との取引拡大が27億円。

ただ、主力の食材卸売事業における原材料高の価格転嫁の遅れと配荷先の増加に伴う運賃の大幅な増加が響き、営業利益が41百万円と同92.4%減少した。具体的には、円安や原料高による仕入価格上昇分の一部(2億円弱)が価格転嫁できず、原価率が前期の83%から83.3%に悪化。遠隔地への配送の増加や細かな配送需要等、新規顧客や新たな配荷店への対応で運賃の増加(9億20百万円増)に加え、拠点の増設等に伴う賃借料の増加や貸倒れの発生(60百万円)等もあり、販管費も103億32百万円と同14.8%増加した。
協賛金収入の増加(1億17百万円→1億22百万円)等で営業外損益が改善し、経常利益は同65.8%の減少にとどまったものの、税効果会計の影響等で当期純利益は1億円と同72.8%減少した。

食材卸売事業

売上高576億23百万円(前期比11.0%増)、セグメント利益4億38百万円(同57.1%減)。首都圏での広域チェーン顧客の開拓、中部圏での提携先である酒類販売業の(株)サカツ コーポレーション(愛知県名古屋市)と販路の拡大、更には関西圏でのエリア顧客を中心にした新規取引先の開拓と、三大都市圏でそれぞれの事業環境に応じた営業を展開。関西圏では、神戸地区の営業強化に向け、神戸営業所を開設致した。

日本フードサービス協会のデータによると、2013年(暦年)の業態別売上高は、居酒屋パブが前年比3.5%減、ディナーレストラン同2.1%増、ファーストフード同0.7%増、ファミリーレストラン同3.3%増。同社は各販売チャネルにおいて、各業態の売上の伸びを上回る販売実績を上げる事ができた。

食材製造事業

売上高46億32百万円(前期比12.0%増)、セグメント利益3億44百万円(同6.8%増)。引き続き自社ブランド商品の販売強化に努めた事で売上が増加。継続的な品質向上及びコストダウンの成果で利益率も改善した。また、一部の生産設備更新で生産能力を増強したKISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITEDの生産も順調に伸びた。

期末総資産は前期末に比べて2億20百万円減の190億02百万円。一時的なキャッシュ・フロー(CF)の悪化に伴う現預金の減少が主な要因。ただ、仕入債務や未払金の決済が進む中で純資産が増加したため、自己資本比率は25.2%と前期末に比べて1.3ポイント上昇した。

CFの悪化は、利益の減少、業容の拡大に伴うたな卸資産の増加、及び期末の曜日の関係による売上債権の増加等が重なった事が要因。前期は8億06百万円の黒字を確保した営業CFが10億82百万円のマイナス(流出)となったが、期末の曜日要因を除けば約3億円程度の黒字になる。なお、14/3期の反省を踏まえて、採算性にも目配りした積極営業と物流の採算改善及び精度向上に取り組んでおり、15/3期はCFの改善が見込まれる。

2015年3月期業績予想
前期比9.2%の増収、同67.6%の経常増益予想

売上高は前期比9.2%増の680億円。引き続き新規開拓と既存顧客との取引拡大に取り組む考え。新規開拓は2,300店、23億円の売上上積みを目指しており、既存顧客は取引拡大により35億円の増収を見込んでいる。ただ、14/3期の反省を踏まえ、攻めの営業に徹しつつも採算を重視すると共に物流の採算改善と精度向上にも取り組む。

具体的には、前期は47億円だったPB商品の売上を53億円に引き上げると共に遅れていた価格転嫁を進める事で個別ベースの売上総利益率の改善を図る(16.6%→16.9%)。また、顧客毎・車両毎の採算管理の強化にも取り組み、採算性を考えた配送コースの実現やイレギュラー配送の抑制等で委託配送費を2億円削減。併せて、誤配の撲滅や定時出発の徹底(時限管理)による物流精度の向上にも取り組む。この一環として、ボイスピッキング、新発注システム、及びGPSと連動した配送運行管理システムを特徴とする新物流システムが、この6月に正式稼働する予定。

消費税率引き上げに伴う消費の落ち込みを想定している上期は44百万円の営業損失を見込んでいるものの、上記取り組みの成果が顕在化してくる下期は収益力の回復が見込まれる。

(2)配当は1株当たり12円を予定

15/3期の配当は、前期と同額の1株当たり12円の期末配当を予定している。同社は、中長期的視点で健全な株主資本を構成して行く事と業績動向及び財務体質の強化を考慮しつつ、安定配当の維持を基本におきながら弾力的に株主還元を実施していく考え。また、内部留保資金については、営業活動のより高い効率運営を目指す情報・物流関連設備への投資等に充当するとしている。

今後の注目点
14/3期は新規顧客の開拓や既存顧客との取引が順調に拡大したものの、顧客ニーズへの対応に追われ、物流面での採算管理が甘くなった。筆者の手元にある最も古い同社の売上データは05/3期の390億円。14/3期の実績が622億円なので、リーマンショックをはさみ、国内景気が低迷する中、同社は05/3期から14/3期にかけての9年間で売上高を1.6倍に拡大させた計算だ。更なる業績の拡大を目指すにあたって、一旦踊り場を作って足元を固めなおす時期にきていたようだ。言い換えると、売上高1,000億円の達成には、意識改革も含めて、営業・物流の両面で足場を固めなおす必要があったと言う事であろう。業績が順調に拡大している中では、手を付け難い面もあるだけに、20/3期に向けていい経験になったと考える。
既に物流改革が進捗している事に加え、14/3期の業績悪化についての経営責任を明確にするべく、役員報酬の減額を実施して襟も正した(14年5月から7月までの3ヵ月間、代表取締役社長の月額報酬を50%減額する等、内容的にはかなりきついものとなった)。15/3期は期初の業績予想を確実に達成して、売上高1,000億円体制の構築が進んでいる事を示したいところだ。
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