(8848:東証1部) レオパレス21 2014年3月期業績レポート

2014/06/11

leopalace

今回のポイント
・14/3期の売上高は前期比3.7%増の4,710億円。賃貸事業が計画にやや届かなかったものの、建築請負事業が計画を上回り好調だった。販管費も計画を上回るペースで2ケタ増となったが、売上総利益で吸収し、営業利益は前期比大幅増となった。・15/3期の売上高は前期比4.8%増の4,935億円。全セグメントにおいて増収を見込んでいる。営業利益は同6.0%増の145億円。粗利率は0.5%上昇するが、将来に向けた投資により販管費も増加し、増益率は1ケタにとどまる。売上、利益ともに下期からの拡大を見込んでいる。無配を継続の予定。

・新たに3か年の中期経営計画「EXPANDING VALUE」を策定、スタートさせた。高い入居率、大都市圏での借家建替え需要の増大等を背景に、賃貸事業の着実な伸張と、建築請負事業の急速な拡大を目指す。17/3期の数値目標は「売上高 5,400億円、営業利益220億円」。高い入居率を背景に、首都圏だけでも40万世帯という潜在的な借家建替え需要の掘り起こしをどこまで計画以上のスピードで進める事が出来るか?が新中期経営計画の進捗を見る上で大きなポイントとなるだろう。

会社概要

保有地の有効活用を望む土地オーナーに対し、賃貸アパート等の建築と建築後の管理・運営を代行する「一括借上げ」を業界で初めて導入。売上はアパート入居者からの受取家賃とアパート等の建築請負が中心。全国3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)を中心に、2014年3月末時点の管理戸数は548,912戸。
太陽光発電関連事業や海外での事業展開にも積極的。

【ビジネスモデル】

保有地の有効な活用方法を求める土地オーナーに対し、賃貸アパート等の建築および建築後の一括借上げを提案する。
一括借上げとは、賃貸住宅の建築から管理運営まで、オーナーのアパート経営を総合的に支援するシステムで、具体的には入居者募集、オーナーに対する賃料支払いや管理・修繕など、本来オーナーが行うべき業務を同社がアウトソーサーとして代行してオーナーの負担を軽減し、かつ安定収入の確保に貢献するもの。
同社とオーナーとの契約期間は最長30年で、空室の有無に限らず一定期間は固定家賃をオーナーに払うもの。当初の固定家賃期間終了後は、原則として2年毎に周辺の家賃相場実勢をベースに契約を更改していく。
「賃貸事業」における同社の売上は、入居者からの家賃収入となり、オーナーへの支払家賃が売上原価となる。
アパートの「建築請負事業」も主要収益源。

固定家賃期間に想定以上の空室が発生した場合、「逆ザヤ」が発生することとなる。
空室発生の抑制(入居率の向上)と適正家賃の獲得が同社の収益向上のための最重要ポイントとなっている。

「新規オーナーの開拓による賃貸アパート建設の供給増加と、入居者の安定的な獲得による家賃収入増大」が同ビジネスモデルにおける収益拡大ストーリーであったが、2008年のリーマンショックを受けた企業収益の急速な悪化から各企業における人員削減が増加。同社においては法人契約物件を中心に退去が増加したため「逆ザヤ」となり、賃貸事業の収益が悪化した。また金融機関のローン審査が厳格化したことでアパートの新規供給も急減し、建築請負事業も大きな影響を受け、収益は低迷した。

こうした状況を受け、一括借上げの基本的な枠組みは維持しつつも、

「請負事業の縮小:高い入居率が見込めるエリアに絞り込んで新規供給」
「賃貸事業の収益改善:賃貸原価の削減、適正家賃の実現」
「一括借上げを行わない施設の建築請負」
「入居者満足度向上のための物件価値向上」

といった施策を取り込み、安定収益獲得のためのストックビジネスへの転換を進めている。

【市場環境】

① 世帯数動向
国立社会保障・人口問題研究所の推計(2013年1月)によれば、2010年に5,184万世帯だった日本の一般世帯総数は2019年に5,307万世帯でピークに達し、その後2035年には4,956万世帯まで減少するが、単独世帯に限れば2010年1,679万世帯から増加が続き、2035年には1,846万世帯に達し、総世帯に占める割合は2010年の32.4%から、2035年には37.2%に上昇する。単独世帯数の増加は、従来からワンルームを中心に事業展開してきた同社にとってはビジネスチャンスの広がりとも考えられる。従来の若年層中心から、高齢者まで対象を広げて、いかにしてニーズを取込んでいけるかがカギとなる。また、そのためには法人契約と並行して個人入居者の獲得も着実に進めていく必要があるだろう。

<日本の世帯数の将来推計>

② 住宅着工戸数の推移
2013年度の新設住宅着工戸数は、前年度比10.6%増の987,254戸と、4年連続のプラス。2ケタの伸びはバブル期の1987年度(23.5%増)以来26年ぶりのこと。国交省は「消費マインドの改善や消費税増税前の駆け込み購入が需要を押し上げた」(建設経済統計調査室)と分析している。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた不動産需要の盛り上がりから、短・中期的には好調が持続するとも見られるが、人口減少が不可避な現状では長期的に増加トレンドを辿るとは考えにくい。

③ 借家の建替え需要
ただ、住宅、なかでも同社の事業ドメインである「借家」を「ストック」という観点から見てみると、異なった未来図が現れる。
総務省統計局が発表した「平成20年住宅・土地統計調査(2010年発表)」によると、日本全国には約1,300万戸の民営借家があるが、1980年以前に建築されたものは約250万戸となっている。
この250万戸の所在分布を見ると、東京23区は約30万戸で、これに横浜市、さいたま市などを加えた首都圏大都市では約40万戸となる。さらに名古屋市、大阪市、福岡市などを加えた四大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏、福岡圏)の大都市には約80万の民営借家が存在する。
賃貸住宅市場においては、新築物件の人気が圧倒的に高く、入居率を高めようとすれば土地オーナーは一部改修ではなく新築・建て替えを選択しなければならないのが現状であり、これら全国大都市の借家では今後継続的に建替えニーズが生まれるものと同社では考えている。
こうした建替え需要に加え、相続税法の改正も大きな追い風となる。2015年1月1日以降の相続については、相続税の基礎控除が引き下げられ、課税対象者が大幅に増加する見通しであり、貸家建付地の土地評価減を利用した相続税対策に起因する借家建築の需要も増大すると予想される。

【同業他社】
「賃貸住宅の一括借上げ」というビジネスモデルの観点からは以下の各社が比較対象となる。

PER、PBRをみると、同社は1年前とほぼ同水準となっているのに対し、他3社はおしなべて低下している。
2012年後半から2013年前半にかけての「アベノミクス相場」の勢いが沈静化した現在、投資家は企業の今後の方向性を見極めようとしている。再度評価されるためには、後述する新中期計画の着実な進捗が欠かせないだろう。

同社のROEは東証1部全体及び業界を大きく上回っている。また、2013年12月に実施した公募増資によりレバレッジが低下した一方利益率の向上により直近のROEは18.7%と高水準だが、今期2015年3月期は資本増強がフルで効いてくること、および当期純利益が減益となる予想であるため、10%台前半まで低下すると見込まれる。
同社は目標とする経営指標において「ROE 12.3%」を掲げている。

【事業内容】

「賃貸事業」、「建築請負事業」、「シルバー事業」、「ホテル・リゾート事業」、「その他事業」の5事業から構成されている。
中心事業は「賃貸事業」、「建築請負事業」で両事業による売上構成比は約96%にのぼる。

<賃貸事業>
売上高 388,768百万円、セグメント利益 15,567百万円
(2014年3月期実績。)

同社の主力事業。建築請負したアパート等の一括借上げによる賃貸物件の賃貸及び管理等を行っている。
賃貸サービスの契約形態には、利用料月払いで初期費用の負担を軽減した「賃貸契約」と、利用料は一括前払いで全室家具・家電付き、水道・光熱費不要の「マンスリー契約」の2種類がある。
同社の売上は入居者からの受取家賃。オーナーへの支払家賃が売上原価となる。

<建築請負事業>
売上高 63,135百万円、セグメント利益 2,954百万円
(2014年3月期実績。)

アパートなどの建築請負を行っている。近年は、同社が一括借上して賃貸及び管理を行う賃貸物件に加え、商業施設や介護施設など同社が一括借上げしないアパート以外の請負にも前期から取組んでいる。
また、太陽光発電システムの販売にも力を入れ、2013年2月からは「屋根借り太陽光発電事業」も開始した。

<シルバー事業>
売上高 10,171百万円、セグメント利益 -610百万円
(2014年3月期実績。)

「あずみ苑」の名称で、2014年3月末現在、関東1都6県で61拠点の「有料老人ホーム」、「デイサービス」、「ショートステイ」、「グループホーム」の運営、訪問介護・居宅介護支援など、地域社会に根差した介護事業を行っている。
マーケットが拡大する中で確実に需要を取り込むためにも、新規施設の開設を進めている。

<ホテル・リゾート関連事業>
売上高 7,571百万円、セグメント利益 -1,118百万円
(2014年3月期実績。)

海外子会社レオパレスグアムコーポレーションを通じてグアム島でゴルフ場や野球場などのスポーツ施設やホテル、コンドミニアムなどのリゾート施設を運営している。
また、国内では全国8か所でホテルを運営している。
同事業は、賃貸事業、建築請負事業という同社の主力事業の拡大をサポートするという側面も有している。
例えば土地のオーナーへ提案営業を行う際、ホテルを運営しているという認知度や信頼度から商談がスムーズに進むケースも多いということだ。
損益計算上の利益はマイナスとなっているが、営業CFはプラスを維持しており減損処理のリスクは現時点では小さい。

<その他>
売上高 1,442百万円、セグメント利益 137百万円
(2014年3月期実績。)

子会社を通じた賃貸入居者向けに家財の少額短期保険の提供の他、ファイナンス事業、住宅等不動産販売事業、太陽光発電事業等を含む。

特長と強み
「3大都市圏への集中」

全国約55万戸管理物件の内、約70%が東京・名古屋・大阪の3大都市圏に集中。
この3大都市圏は人口流入が続いており、人口が集中するエリアに管理物件を集中させることで高い入居率を維持している。

「高い商品開発力」

「ロフト付き」「一括借上げ」「マンスリー」「ブロードバンド装備」「家具・家電付き」という仕組みを業界で初めて導入したことに現れているように、同社は時代のニーズに対応した新しい商品や仕組みを開発することに力を入れている。
家具・家電付き、自分好みの部屋にすることができるマイコレプラン、コンフォートプランといった「お部屋カスタマイズ」、セキュリティシステムなど、入居者の目線に立ったサービスやシステムの導入を入居率向上に結び付けている。

「ワンルームの優れた商品性」

同じ面積の土地にファミリータイプの住宅を1軒建てるよりも、入居率を一定程度に保つことができればワンルームの方が通常は家賃総収入は多くなるため、土地オーナーの収益性は高くなる。
また、同社の管理物件が集中する都会には狭小地が多い。ファミリータイプでは建設自体難しい場合でも、ワンルームであれば柔軟な設計が可能であり、土地オーナーに有効なソリューションを提供することができる。

「全国規模での事業展開」

2014年3月末現在で全国に直営176店、FC164店の合計340の店舗を有している。このどこの店舗からでも全国どこの物件も契約することができるため、大学入学、入社や転勤などの際の利便性の高さを入居者に提供することができる。
また全国規模で遊休地や土地オーナーの属性など豊富な土地情報を保有しており、この情報をベースに様々な提案を行うことができるのも同社の大きな特長となっている。

2014年3月期決算概要
販管費増により利益は計画未達となったが、前期比では増収・増益を達成

売上高は前期比3.7%増の4,710億円。賃貸事業が計画にやや届かなかったものの、建築請負事業が計画を上回り好調だった。販管費も計画を上回るペースで2ケタ増となったが、売上総利益で吸収し、営業利益は前期比大幅増となった。ただ、計画は下回った。13/3期にあった為替差益5,592百万円が10百万円へ減少したため、経常利益は同小幅増にとどまった。2年連続での繰延税金資産の計上により当期純利益は2ケタの増加となった。

<賃貸事業>
売上高は前年同期比微増の3,887億円。計画を若干(約2億円)下回った。
空室損失引当金は2013年3月期末比で計画25億円の戻入に対し、実績は45億円の戻入となった。
2014年3月期の平均入居率は84.58%となり、目標の85.0%をやや下回ったが前期の82.94%を大きく上回った。今期に入り、2014年4月の入居率は86.0%と前年同月を2.7%上回る好調なスタートとなっている。
店舗数は、2014年3月末で直営184店舗(2013年3月末比 +2。海外8店舗を含む)、FCのパートナーズ 164店舗(同 -28店舗)の合計348店舗(同 -26店舗)。パートナーズに関しては量よりも「質」を追求し、研修・指導を強化している。
外国人契約戸数は2014年3月末で11,927戸。東日本大震災前の水準を超え、2013年8月には初めて1万戸を突破した。2013年12月より、タイ、ベトナムの現地法人が営業を開始し、海外支店ネットワークは中国、韓国、台湾を含め、4か国、10支店となった。今後も外国人入居者の着実な増大を図る。
お部屋カスタマイズは引き続き評価が高く、他社との大きな差別要因となっている。2012年5月からの累積契約件数は2014年3月末14,061件で、前年3月末5,714件の2.5倍となった。入居者の男女比は同社全体が7:3なのに対し、お部屋カスタマイズは5:5。女性顧客獲得に大きく寄与している。
LEONET(プロバイダ契約不要でインターネットを利用可能)、レオパレスオンラインショッピングなど、様々な入居者向けサービスを用意し、入居者専用サイト「MY PAGE」からの利用が可能になっている。部屋という箱だけではない総合サービスの提供を目指している。
2014年3月末のセキュリティシステムの設置件数は187,756戸で設置率は34.2%(前年3月末は136,064戸、24.9%)。受注、売上とも戸数ベースでは年度計画を上回ったが、金額ベースでは下回った。「2015年3月末、設置戸数19万戸、設置率35%」と計画していたが、1年前倒しでほぼ達成することが出来た。今後は防犯カメラ、防犯シャッターなどより安心・安全な住環境作りに力を入れて競争力を強化し、女性およびセキュリティ重視の大企業のニーズを取り込んでいく。
<建築請負事業>
売上高は、631億円と前期および計画を上回った。セグメント利益は計画未達ではあったが、前期を上回った。営業人員増による組織強化を図り、エリア戦略を堅持しつつ受注増を図っている。2014年3月期の受注高は811億円で通期計画801億円を上回った。受注高の内訳は、建物674億円、太陽光発電関連137億円。2015年3月期の受注高目標は1,000億円と設定している。
建築請負事業の支店数は2014年5月末で60支店。前年3月末に比べ8店増加した。受注エリアを絞り込んでおり、三大都市圏が全体の71%を占めている。
受注の約3割を占める主力商品「DUAL-L」(ロフトをダブルで配置)と「Arma-L」(女性目線で企画)の商品特長を融合させた「Arma-L tri-EL(アルマーレ・トライ-エル)」を2013年10月より販売開始した。ロフトを3つ配し、居住空間は1LDKに匹敵する点が大きな特長。また、「Arma-L」同様に女性社員のアイデア、意見を取り入れてパウダースペース、壁面収納、カウンターキッチンを採用した。
2014年4月より、「初めての一人暮らし」に役立つ設備(無線LAN、セキュリティシステム、バンクベッド、独立洗面台、室内物干し金物、洗浄暖房機能付便座など)を採用した若年層向け商品「UNI/BIRTH」の販売を開始した。
「日本の住まいを新しく、快適に」をテーマに、2013年4月より鉄骨ブレースの賃貸併用住宅「Smaio(スマイオ)」を、同年8月より木造住宅「Smaio-W(スマイオダブリュー)」の販売を開始した。自宅と賃貸住宅を組み合わせた賃貸併用住宅により、賃料収入を得て住宅ローンの負担を減らすことが可能な仕組みとなっている。また、2つのロフトが付いた3階建てメゾネット型RC賃貸住宅「L-Force(エル・フォース)」を10月より販売開始した。
2013年4月以降販売のアパートには標準仕様として防音、遮音性能を向上させた「ノンサウンドフロア」を「ノンサウンドシステム」として採用しているが、2013年7月より鉄骨賃貸住宅にも「ノンサウンドフロア」を標準装備することとした。
高齢者施設、商業施設などアパート以外の事業用建物の建築請負もほぼ計画通りに推移。両者の2014年3月期売上高はそれぞれ36億円、5億円となり、計画には達しなかったが、前期の16億円、1億円から大きく伸長した。
オーナー負担によって設置する太陽光パネルは2014年3月末で累計6,629棟。自社投資の屋根借り発電事業の同2,372棟と合わせ、9,001棟への設置が完了した。
<ホテル・リゾート事業>

国内ホテルの売上は2,317百万円で前期を若干上回り、稼動率も上昇した。営業利益は9百万円と前期、計画を共に上回った。リゾート事業も、グアム観光客数の伸び(前期比+2.0%)以上に、賃貸事業の取引企業など、ステークホルダーによる利用促進もあり、稼働率は順調に推移。売上、利益ともに前期を大きく上回った。

<シルバー事業>

デイサービス、ショートステイ、有料老人ホーム共に稼働率は前年実績および計画を上回った。営業利益は未だ赤字だが、早期の黒字化を目指す。2015年3月期は請負事業との連携による新規施設の開設を進める。

<賃貸事業の海外展開>

外国人に日本国内の物件を紹介する事業に加え、韓国や台湾で日本人および日系企業向けの現地不動産仲介業を開始し、12月にはタイ、ベトナムにも進出した。
海外支店は、中国4、韓国3、台湾1、タイ1、ベトナム1の合計10支店。
また、韓国に合弁会社「ウリレオPMC」を設立し、今後成長が見込まれる韓国の賃貸管理市場に日本で培ったノウハウを輸出する。今期以降もアセアン中心に拠点の拡充を図る。

2013年3月末と比較して、公募増資による現預金180億円増などによる流動資産の増加などで総資産は同258億円増加した。一方、有利子負債同153億円減少、空室損失引当金同45億円減少の他、退職給付引当金、工事未払金、前受金の減少などもあり、負債合計は同209億円減少した。純資産は増資および利益増による株主資本の増加、為替換算調整勘定のマイナス幅減少によるその他の包括利益累計額の改善などで、同467億円増加した。この結果、自己資本比率は36.5%と前年3月末に比べ14.3%の大幅上昇となった。

2015年3月期業績見通し
小幅増収。将来に向けた投資もあり営業利益も小幅増。

売上高は前期比4.8%増の4,935億円。全セグメントにおいて増収を見込んでいる。営業利益は同6.0%増の145億円。粗利率は0.5%上昇するが、建築請負事業における人員増、新たに導入した情報システムの稼働に伴う償却費増など、将来に向けた投資により販管費も増加し、増益率は1ケタにとどまる。2014年3月に発生した法人税等調整額 -51億円を見込んでいないため、当期純利益は同21.2%減少の計画。売上、利益ともに下期からの拡大を見込んでいる。
無配を継続の予定。出来る限り早い段階で復配したいと考えている。

<賃貸事業>

2015年3月期の平均入居率目標は前期を2%強上回る86.8%としている。収益性も改善し、売上総利益率は前期の13.9%から14.8%上昇する。

<建築請負事業>

引き続き高い入居率が見込めるエリアに絞ってアパートを中心とした受注に力を入れる。 ただ、人手不足、建築コスト上昇により売上総利益率は前期の23.7%から22.7%へ1ポイント低下する。

シルバー事業は増収となるが、先行投資もありマイナス幅は拡大する。ホテル・リゾート事業は引き続き各種ステークホルダーに対するサービス提供の側面も重視し、ホスピタリティの更なる向上に努める。

新中期経営計画「EXPANDING VALUE」(2015年3月期~2017年3月期)

2015年3月期は、2010年5月に発表した中期経営計画「Creating Future」の最終年度であるが、事業環境が発表時と大きく変化していることから、新たに3か年の新中期経営計画「EXPANDING VALUE」を策定、スタートさせた。

<1.外的環境について>
リーマンショックにより大きく減少した新設住宅着工戸数はその後順調に増加している。2013年度は消費増税の駆け込み需要もあり、前年度比10.5%増の987千戸となった。反動減も予想されるが当面は堅調に推移すると見られる。
過去3年間連続して転入超過となった都道府県は、東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、福岡県、大阪府、沖縄県の7つだった。
前述のように、四大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏、福岡圏)の大都市には約80万バブル時の民営借家があり、今後、建替え需要の増大が見込まれる。加えて、貸家建付地の土地評価減を利用した相続税対策需要も増大する事が見込まれる。
2020年東京オリンピック開催に向けて不動産需要は増加するものと予想している。
<2.概要>

①スローガン
基本方針を、「コア事業を基軸とし、新たな事業領域への挑戦」とした。
時代が求める次の価値へ、その活動領域を広げていくことを目指し、「EXPANDING VALUE」と名付けた。

②前中計の振り返り
前中期経営計画の基本方針「賃貸事業と建築請負事業の収益バランスを取った安定的な収益体制の確立」は概ね達成できた。

コア事業を軸とした業績向上により、新中期経営計画最終年度である2017年3月期は、2014年3月期に比べ売上高 14.9%増、営業利益 52.9%増、純利益 23.7%増を計画している。

引き続き賃貸事業による安定的な収益を上げる一方、建築請負事業での売上高・営業利益増加を見込む。
シルバー事業は施設スタッフの人員確保など先行的に費用が発生するため、3年間は損失となる。
その他には、太陽光発電事業を含み、売上増の殆どが同事業によるもの。

管理戸数約58万戸、入居率89.0%を目標としている。14/3期からの増加は3万戸と借家建替え需要からすればかなり保守的な数値と会社側は考えている。
そのために、自社運営の直営拠点のほか、フランチャイズ店舗「レオパレス・パートナーズ」および不動産業者を活用し入居者を確保する。
また、入居者向けサービスの拡大により、ソフト面で他社との差別化を図る。
入居者専用サイト「MY PAGE」では、提携企業が入居者向限定で製品やサービスを販売するスキームがスタートした。現在約15社の提携企業が、製品プロモーションやテストマーケティングの場として活用している。55万戸というストックを活用したビジネスとして、今後さらに拡大させていく。
2020年東京オリンピックの開催など今後の外部環境から、大都市圏における賃貸事業の入居率は高水準で推移すると考え、このビジネスチャンスを確実に捉えるために強くアクセルを踏み、最終年度売上高1,000億円達成を目指す。
そのために支店数を60店に拡大させると同時に、同事業のスタッフは2014年4月末で510名と、2年前に比べ倍増させた。
具体的な施策としては、入居者ニーズに対応した商品力の強化によりアパートを中心に受注・建築を増加させる一方、高齢者施設・商業施設・注文住宅など商品ラインアップを充実させあらゆる土地活用ニーズに応えられる体制を構築する。
注文住宅に関しては、以前より土地オーナーからの依頼に応じて年間10棟程度の実績があったが、本格的に取組むために、木曾ヒノキの住宅建築で実績のある「株式会社もりぞう」と提携し、レオパレス21が元請となる形での受注を開始した。広く顧客を開拓するのではなく、あくまでも土地オーナー向けに提案するラインアップを充実させ、収益機会を拡大させることが目的である。

③シルバー事業

今後増え続ける高齢者人口に対応するため、同事業を成長戦略事業と位置付け、2014年4月より同事業部をコア事業と同じく「営業総本部」下に設置した。
建築請負事業との連携により土地オーナーに介護施設の建築を提案して新規施設の開設を進め、スケールメリットを追求する。
2014年3月現在61施設を運営しているが、最終年度には90施設を目標としている。
新規開設に際しての人員確保などによる経費増で2015年3月期、2016年3月期は赤字が拡大するものの、最終年度は共通経費配賦前営業利益での黒字転換を目指す。

④ホテル・リゾート事業
レオパレスホテルズ、グアムリゾートでは、ステークホルダーへの最高のサービスと上質なホスピタリティの提供を目指すとともに、コア事業(賃貸事業、建築請負事業)の販促的役割を担う。

⑤太陽光発電事業

従来のフロー型太陽光発電事業に加え、発電子会社「レオパレス・パワー」を通じて自社による屋根借り太陽光発電事業を推進する。
2014年3月末までに、アパートオーナー自らがパネルを設置する「屋根貸し」、同社自らがパネルを設置する「屋根借り」など、様々なタイプを合わせて累計9,001棟に太陽光発電パネルを設置した。
2013年12月に実施した公募増資調達資金のうち約150億円によって約3,000棟にパネルを設置する計画だが、現在の設置棟数は1,047棟。残り約2,000棟を2014年11月までに設置する計画だ。
「その他」セグメントの増収分は殆どが同事業によるもの。当初は減価償却負担が大きいため利益は計上できないが、4年目から利益貢献すると計画している。

⑥海外事業

東南アジアを中心に展開し、インバウンド・アウトバウンドを強化するとともに国内法人企業との関係を強化する。
現在は4か国、10拠点で事業を行っているが、最終年度には20拠点まで拡大させる。
また、建築請負事業、シルバー事業における人員確保も合わせて行っていく考えだ。

⑦新規事業への取組み
コア事業(賃貸事業、建築請負事業)に関連する周辺事業(屋根借り太陽光発電、介護施設の建築請負、シルバー事業など)や新規事業(海外不動産仲介事業、アセアンでの不動産開発事業など)に対し、積極的に成長投資を行う。

<4.財務>

①キャッシュ・フロー
営業キャッシュ・フローは事業収益と共に増加を見込んでいる。14年3月期、15年3月期は太陽光発電事業への投資により投資活動によるキャッシュアウトが増加するが、16/3期、17/3期は大幅なフリーCFを生み出す。

②資本政策
純資産については、毎期の利益計上による強化を図る。強固となった資本を基に、新規事業への積極的な投資を進めていく。

利益の積み上げにより配当原資である利益剰余金をプラスにし、早期の復配を目指す。

<5.ガバナンス・CSR>

①コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの構築・強化を最も重要な経営課題のひとつと位置づけ、すべてのステークホルダーにとってより高い企業価値を実現するため、効率的で、公正、かつ透明性の高い経営を目指している。

②CSR
「新しい価値の創造」という企業理念のもと、企業市民として、顧客をはじめ、あらゆるステークホルダーの期待に応え、ともに発展することを目指すとともに、持続可能な社会づくりに貢献すると謳っている。
具体的には以下の様な取り組みを行っている。

将来的な少子高齢化による労働力人口の減少に対応した人材確保の観点から多様な人材の登用(ダイバーシティ)に取り組む企業が増加しているが、同社も女性社員や外国人社員に対し、積極的に活躍の場を提供している。

前述のように、「Arma-L」や「Arma-L tri-EL(アルマーレ・トライ-エル)」といったワンルームの商品開発において、女性社員のアイデア、意見を取り入れヒット商品に繋げている他、同社の強みとする法人営業においても、女性のみで構成された営業部隊を組織し、女性のアプローチの方が適した業種に対する営業活動において着実な成果を上げているという事だ。もちろんそのチームリーダーも女性で、女性の管理職数も着実に増加している。

また、「国内→国外」、「国外→国内」双方向での事業を展開および拡大を進めている同社では、現地スタッフはもちろんの事、日本国内においても外国籍社員数はここ数年急速に拡大しており、外国籍管理職も在籍している。

今後の注目点
入居率の着実な上昇が続いている。そのキーワードは「築浅」、「大都市圏」。2014年3月末の同社全体の入居率が87.5%なのに対し、築3年未満の物件は96.8%とほぼ満室状態となっている。また、築3年未満の東京都の物件の入居率は98.1%と平均を大きく上回っており、同じく埼玉は98.1%、神奈川は97.0%となっている。高い入居率が見込める地域に絞って建築してきた地域選別戦略が見事に奏効している。
今後、リーマンショックの様な経済環境の急転のリスクがゼロとは言い切れないだろうが、この高い入居率を背景に、大都市圏80万世帯、首都圏だけでも40万世帯という潜在的な借家建替え需要の掘り起こしをどこまで計画以上のスピードで進める事が出来るか?が新中期経営計画の進捗を見る上で大きなポイントとなるだろう。
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