(6052:JASDAQ) イーピーミント 2014年9月期第2四半期業績レポート

2014/06/11

epmint

今回のポイント
・14/9期上期は前年同期比13.1%の増収、同737.5%の経常増益。大型案件の順調な進捗と稼働率の向上で売上が増加。効率的な人員配置等で原価率が改善し、各利益段階で大幅な増益。売上高・利益共に期初予想を上回った。受注高が同73.1%増加し、上期末の受注残高は前年同期末比19.3%増加した。・通期業績予想に変更はなく、前期比14.0%の増収、同123.0%の経常増益。生活習慣病関連の大型案件が寄与する他、がん等の高難度領域も堅調な推移が見込まれ売上高が増加。増収効果と収益性の改善で営業利益が同2.2倍に拡大する見込み。手持ち案件が順調に進捗するものの、受注高が同18.4%増と大きく伸び、期末受注残高は前期末比6.9%増加する見込み。

・現在、同社は売上高でSMO業界第3位だが、SMO事業の拡大と医療機関への支援という枠内での新規事業の立ち上げで5年後の18/9期を目処に売上規模を80億~100億円に引き上げ、業界トップを視野に入れる。SMO事業の拡大では、アンメット・メディカルニーズへの対応を強化し、新規事業では臨床研究への対応や医療機関の支援に主眼を置いたサービスの開発を強化する。

会社概要

イーピーエスグループにおいて、臨床試験における医療機関の業務を支援するSMO事業を展開。“医療施設への支援を通して、人々の健康生活に貢献する”と言う企業理念の下、「顧客志向」、「ビジネス志向」、「人間志向」を行動指針としている。疾患領域では、がん・循環器系・脳神経外科等の高難易度領域に強く、高血圧・高脂血症・糖尿病等の生活習慣病領域も数多く手掛けている。主な取引先は、武田薬品工業(株)、第一三共(株)等。
尚、SMOとはSite Management Organizationの略で、厚生労働省が定めるGCP(Good Clinical Practice)省令に沿って行われる臨床試験〔新薬開発における治験(第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相試験)及び製造販売後臨床試験〕に係る業務の一部を、臨床試験の実施主体である医療機関から受託する組織または業務の事。GCP(Good Clinical Practice)省令とは、厚生労働省・医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令。

【企業理念と3つの行動指針】

「医療施設への支援を通して人々の健康生活に貢献する」を企業理念として掲げ、顧客の役に立つ事を業務の基本とする「顧客志向」、ビジネスマインドを持って謙虚に、そして堂々と業務に取り組む「ビジネス志向」、及び仕事を通じて成長し、全てのステークホルダーが豊かになる会社を目指す「人間志向」、これら3つの行動指針を定めて活動している。

【沿革】

1999年12月に(株)イーピーリンクとして設立され、2005年7月に同じくSMO事業を手掛けていた(株)ミントと合併して現在の商号に変更。自らの業容を拡大させると共に、09年11月に総合SMO(株)のSMO事業を、10年 1月に(株)日本クリニカルサポート研究所のSMO事業を、それぞれ譲受。11年9月にJASDAQに株式を上場した。上場後の11年10月には、関東・東北地方の更なる強化を通じて市場シェア拡大を図るべく、業務提携先だった(株)エスメディサを子会社化。12年4月に同社を吸収合併して現在に至る。

1999年12月 :(株)イーピーリンク(現当社)を設立
2005年 7月 :(株)ミントと合併、商号を(株)イーピーミントに変更
2009年11月 :総合SMO(株)のSMO事業を譲受
2010年 1月 :(株)日本クリニカルサポート研究所のSMO事業を譲受
2011年 9月 :東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場
(旧 大阪証券取引所 JASDAQ(スタンダード)市場)
2011年10月 :(株)エスメディサを子会社化
2012年 4月 :代表取締役の異動及び(株)エスメディサを吸収合併
2013年 3月 :(株)綜合臨床サイエンスと業務提携
2013年10月 :株式分割(2分割)

【事業内容 SMO事業として、CRC業務とサイトサポート業務を手掛ける】

事業はSMOの単一セグメントだが、業務別に、医療機関に対して臨床試験の実施をサポートするCRC(Clinical Research Coordinator:治験コーディネータ)業務と治験事務局運営管理等のサイトサポート業務に分かれる。

CRC業務では、治験責任医師(分担医師)の負担を軽減し、治験業務全般を支援する治験の専門スタッフであるCRCが医師と被験者、及び治験依頼者の橋渡し役として治験の円滑な進行を支援するサービスを全国ネットで行っている。一方、サイトサポート業務では、治験実施前の体制整備の他、治験実施に当たって必要となる治験事務局や治験審査委員会(IRB)の設置・運営等の専門サービスを提供している。

同社が、SMOとして臨床試験を実施する医療機関を支援(業務の一部を受託または代行)しているのに対して、親会社のイーピーエス(株)はCRO(開発業務受託機関)として、臨床試験を委託する製薬企業等を支援(業務の受託)している。もっとも、SMOサービスは、同社、製薬会社、及び医療機関との三者契約となっており、同社が提供するサービスの対価は製薬会社から支払われる。

尚、GCP非準拠の臨床研究や製造販売後調査等の事務局支援業務は、イーピーエスグループとして臨床研究支援業務の強化を図るため2013年9月にイーピーエス(株)に移管した(CRC業務については、全国の事業拠点、医療機関ネットワークや人材を活かして継続実施している)。

【同社の特徴及び強み】
(1)全国をカバーする事業拠点と契約医療機関

製薬会社のニーズに対応するべく全国をカバーする契約医療機関のネットワークを有し、契約医療機関数は約2,600施設(14年3月末)に及ぶ。各施設の特徴や強みをデータベース化し、これを基に製薬企業に対して提案営業を行なっている。

(2)高難易度領域の強さ

SMOとしての営業力、施設力、遂行力、管理力に優れ、あらゆる治療領域へ対応が可能。特にがん・循環器系・脳神経外科等の高難易度領域に強く、高血圧・高脂血症・糖尿病等の生活習慣病領域の実績も豊富。領域別売上構成比(14/9期上期実績)は、がん14%、がんを除く高難易度領域16%、生活習慣病13%、その他57%。この結果、高難易度領域に強い大規模医療機関(200床以上)からの売上が過半を占めるが、200床以下の中規模・小規模医療機関のネットワークも充実している。このため、各医療機関の詳細情報をデータベース化し、小規模から大規模までエリア毎のユニット化等による提案型営業で需要の掘り起こしを行っている。

(3)良質なCRC

同社のCRCは、看護師(資格保有者比率45%)、臨床検査技師(同37%)、薬剤師(同6%)等の有資格者が多く、規模だけでなく、質においても業界トップクラスを誇る。また、CRCの大半を占める女性に配慮して、ライフイベントに柔軟に対応する人事制度が整備されている。

【市場動向】

調査会社ミック経済研究所によると、SMO業界の市場規模は12年度の見込みで450億円。政府が後押ししている臨床研究が市場の活性化要因となり、2%程度であった成長率が、今後、3.3%で推移する見込み。国際共同治験の増加がSMO業界にとっては若干の逆風となるが(日本における臨床試験の契約症例数が以前より少なくてすむため、製薬企業にとっては大きなメリットとなる)、臨床研究等の増加がこれを補い、緩やかな成長が見込まれる。また、現在、同社を含めた上位3社合計の市場シェアが47~48%に達するが、依頼者側は、臨床試験をコントロールする上で様々なSMOに依頼する工数を集約化したいと考えており、今後更に寡占化が進むとみられている。

2014年9月期上期決算
前年同期比13.1%の増収、経常利益が前年同期比8.4倍に拡大

売上高は前年同期比13.1%増の31億69百万円。整形外科領域の大型案件の寄与でその他領域が18億06百万円と同24.1%増加して増収をけん引。強みを有する高難易度領域ではがん領域が4億33百万円と同4.1%増加した。

利益面では、効率的な人員配置を行った事で稼働率が向上し原価率が67.6%と11.5ポイント改善。売上の増加と相まって、売上総利益が同75.0%増加する一方、販管費は同3.4%増と小幅な伸びにとどまり、営業利益が4億78百万円と同8.4倍に拡大した。
受注高は同73.1%増の33億84百万円。上期末の受注残高は前年同期末比19.3%増の80億83百万円。

CFの改善による現預金の増加と利益の増加による純資産の増加で上期末の総資産は50億59百万円と前期末に比べて4億10百万円増加した。自己資本比率は73.6%。無借金経営で流動性に富んだ優良な財務体質を有する。

2014年9月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、前期比14.0%の増収、同123.0%の経常増益

生活習慣病関連の大型案件が寄与する他、がん等の高難度領域も堅調な推移が見込まれ売上高が65億円と前期比14.0%増加する見込み。増収効果と収益性の改善で、営業利益が9億円と同2.2倍に拡大する。受注高は同18.4%増の70億46百万円を見込んでおり、期末受注残高は84億15百万円と前期末比6.9%増加する見込み。

(2)1株当たり35円の期末配当を予定

配当は1株当たり35円の期末配当を予定している(10月1日に1株を2株に分割しており、実質的には1株当たり15円の増配)。
尚、同社は、SMO事業拡大及び将来の新規事業のための投資に備えるべく内部留保の充実を勘案しつつ、安定的な成果配分を行う事を基本方針としている。将来の新規事業及びSMO事業拡大のための投資に備えるための内部留保の充実を勘案しつつ、安定的な成果配分を行う事を基本方針としている。

(3)14/9期の施策

14/9期の施策として、業務品質の維持向上、受注拡大、遂行力向上、領域の強化、及び提携の推進の5項目を挙げている。

業務品質の維持向上

SMO本来の存在意義である医療機関における品質向上や業務効率化に取り組む。具体的には、法令順守や品質確保体制の強化を継続的すると共に、治験コーディネータに対する教育も充実させる。

遂行力の向上

プロジェクト進捗管理を強化する事で症例の取入れを促進し顧客満足度の向上を図り、次の受注につなげる。また、プロジェクト毎にSMO側にプロジェクトマネジメント機能を期待する依頼者側のニーズも高いため、プロジェクトマネジメント機能も強化する。

受注拡大

提案型営業を推進し戦略的受注の拡大を図ると共に、開発動向・依頼者ニーズに応じた施設力の強化に取り組む。具体的には、依頼者に対するソリューション・提案力の強化と臨床研究の受託体制を整備してCRC業務の拡大を図ると共に、開発動向に応じた専門ユニットの強化と大病院における深耕開拓を進める。

領域の強化

がん領域に取り組む製薬企業が増えている事を踏まえ、がん領域への取り組みを強化する。具体的には、がん領域に強い施設ネットワークの拡大とがん領域の経験CRCの育成に力を入れる。がんには投与基準や減量基準など様々な実施基準があるため、領域の強化にはがん領域の経験が豊富なCRCが不可欠だ。

提携の推進

EPSグループ及び提携会社との共同提案を推進し、受注や業容の拡大を図る。この一環として、昨年9月に臨床研究に関する事務局業務をイーピーエス(株)に集約した。(株)イーピーミントは臨床研究の医療機関側の支援を行い、(株)イーピーエスはCRO的な見地から業務全般をコントロールする。加えて、人材の交流や有効活用についても協力体制を組み、業務効率化等でシナジーを追求していく。
また、同業の綜合臨床サイエンスとの業務提携では、SMO事業を中心とした臨床試験の実施支援業務において、少ないSMOで多くの施設をコントロールすると共にエリア、疾患領域を相互に補完し合う事で依頼者のメリットを追求し、両社の受注拡大につなげていく。

(4)将来ビジョン
- SMO事業の拡大と新規事業の育成で業界トップを目指す -

現在、同社は売上高でSMO業界第3位だが、SMO事業の拡大と医療施設への支援という枠内での新規事業の立ち上げも視野に入れ、顧客からの信頼度№1を確立し、5年後の18/9期を目処に売上規模を80億~100億円に引き上げ、業界トップを目指す。

今後の注目点
前期は一時的に業績が悪化したが、その要因の1つとして、同社は「訪問等の営業活動の偏り」を挙げていた。同社の取引先は150社程度あるが、訪問等の営業活動に偏りがあったため、一部の取引先の開発スケジュール等の影響を避ける事ができなかった(2012年から2013年にかけて厚生労働省に提出された治験届けが若干減少し、事業環境そのものが厳しかった事も確かだが)。
しかし、この上期は、整形外科領域での大型案件を中心に売上が増加する等、前期の経験を踏まえて強化している提案営業、プロジェクト進捗管理、効率的な人員配置による稼働率の向上が成果をあげているようだ。施設力の強化は順調に進んでいるため、今後、営業力と遂行力のシナジーの顕在化が期待される。
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