(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 2014年3月期業績レポート

2014/06/11

asahirubber

今回のポイント
・14/3期は前期比18.5%の増収、同112.3%の経常増益。売上面では、北米や欧州市場向けに日系自動車メーカーの販売・生産台数が増加したことから、「ASA COLOR LED」を始めとする自動車関連製品の販売が好調であったことに加え、スポーツ用ゴム製品やRFIDタグ用ゴム製品の販売も堅調に推移し、工業用ゴム事業が同19.0%増加した。また、医療・衛生用ゴム事業も新製品効果と顧客の在庫調整完了などにより販売が回復し同16.8%増加した。利益面では、売上増加による量産効果などにより工業用ゴム事業が増益となったもの新製品立上げに伴う費用増加などにより医療・衛生用ゴム事業は減益となった。

・15/3期の会社計画は、前期比0.4%増収、同25.7%の経常減益の予想。売上面では、開発製品の販売増を見込んでいるものの、自動車関連製品の販売単価の下落を見込んでいる。利益面では、新製品の先行投資による減価償却費の負担増を織り込んでいる。1株当たり配当は、14/3期と同額(上期末実績3円、期末5円)の予想となった。

・今回発表された新しい中期計画(V-1計画)では、自動車分野における接点ラバーやOリングなどの新しい製品群の売上拡大とライフサイエンス分野におけるマイクロ流体デバイスの売上拡大が柱となっている。伊藤社長のもと初めて作成された中期計画であるが、計画達成に向けてスピード感を持って、今後いかなる具体策が示されていくのか注目される。

会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、14/3期の売上構成比は、それぞれ79.5%、20.5%。
今後は、白色レジスト材、RFIDタグ向け新製品、マイクロ流体デバイス製品などの新製品の販売拡大が期待される。

・ASA COLOR LED

ASA COLOR LEDとは、LEDの光と色のばらつきを解消する商品。ASACOLOR LED は青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せたもの。各青色LEDに合わせて、キャップに配合する蛍光体の種類、量を調整することで、色調を均一にコントロールすることが可能。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだす事ができ、カラーバリエーションは10,000色以上。

・卓球ラケット用ラバー

球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

・医療用ゴム製品

点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓など、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用さる。 医療機器及び医療用具に用いられることから、各種法規に準拠し、素材の安全性や医療事故を防止する機能など、厳しい品質基準を満たした製品。

新中期経営計画

新中期経営計画を策定するにあたり、独自の新製品開発による成長を描くため、中期3ヶ年の2回分である2020年を見据えたビジョン「AR-2020VISION」を制定。

AR-2020VISION
・技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。
・現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。
・人財こそが、事業運営の要とし、人材の育成を行う。

このビジョンの実現に向けて、最初のステージである15/3期~17/3期の新中期経営計画(V-1計画)を作成。
中期経営方針として、①既存事業の質・量の持続的成長、②新市場・新分野への事業展開、③2020年に向けた事業基盤の強化と整備と定め、最終年度である17/3期に数値目標である、売上高80億円、営業利益8億円の達成を目指す。

(1)今後の事業戦略
自動車分野

主力ASA COLOR LEDは、数量は増加するものの単価の下落が続き、現状規模の売上の前提。こうした環境下、新タイプによる材料費削減で利益率を改善させる。また、接点ラバー、Oリングなどの売上拡大を目指す。設備投資計画は、15/3~17/3期の3ヵ年累計で約10億円。

医療分野

プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットが主な製品。前期までに設備投資を行った分野であり、V-1計画では新製品の開発期間と位置付け、今後の成長に向けた要素技術の深堀を進める。設備投資計画は、15/3~17/3期の3ヵ年累計で約6億円。

ライフサイエンス分野

卓球ラケット用ラバーは、顧客の要求に着実に応えていく。マイクロ流体デバイスは同社の柱と位置付け拡大目指す。NEC向けは、14年秋から量産を予定。その他企業の複数案件も現在進行中であり、V-1計画内で量産スタートの予定。設備投資計画は、15/3~17/3期の3ヵ年累計で約8.5億円。

その他分野

主力RFIDタグ用ゴムは、コア技術の深堀りと新しい製品、新しい分野に挑戦する。

(2)海外展開

V-1計画内では、海外における新規の工場建設や販売会社の設立を考えていない。現地での採用、教育、朝日ラバーとの交流などにより、現地拠点の人材面の充実を図る。また、顧客にニーズに応え、子会社間の連携を強化して受注獲得を目指す。

2014年3月期決算
前期比18.5%の増収、同112.3%の経常増益

売上高は、前期比18.5%増の56億77百万円。売上面では、北米や欧州市場向けに日系自動車メーカーの販売・生産台数が増加したことから、「ASA COLOR LED」を始めとする自動車関連製品の販売が好調であったことに加え、スポーツ用ゴム製品やRFIDタグ用ゴム製品の販売も堅調に推移し、工業用ゴム事業が同19.0%増加した。また、医療・衛生用ゴム事業も新製品効果と顧客の在庫調整完了などにより販売が回復し同16.8%増加した。
営業利益は、前期比111.2%増の2億86百万円。セグメント利益は、売上増加による量産効果などにより工業用ゴム事業が同50.4%の増益となったもの新製品立上げに伴う費用増加などにより医療・衛生用ゴム事業は同2.0%の減益となった。売上総利益率は、26.6%と前期並みとなる中、コストダウンの取り組みにより売上高対販管費率が同2.2ポイント低下した。1株当たり配当は、期初計画通り8円(上期末実績3円、期末5円)の予定。

ASA COLOR LEDは、円安による国内自動車メーカーの販売・生産増により、自動車内装照明向けの販売が好調に推移し、前期比13.8%増加。卓球ラケット用ラバーは、一昨年末まで続いた顧客の大幅な在庫調整が終了し、同29.4%増加した。また、ディスポーザブル用ゴム製品も前期の顧客の在庫調整の終了し、採血用・液薬混注用ゴム栓の販売が好調に推移し、同17.0%増加した

自動車用ゴム製品、RFIDタグ用ゴム製品、スポーツ用ゴム製品、医療用ゴム製品の販売が好調で、2桁以上の増収増益となった。

子会社では、朝日FR研究所が、NEDOの補助金が終了した反動で減益となったものの、自動車関連の増加により東莞朝日精密橡膠制品有限公司中心に売上を大きく伸ばした。

14年3月末の総資産は13年3月末比9億39百万円増の84億56百万円。主に、好調な販売を反映して、売上債権と仕入債務が増加した他、当期純利益の増加により利益剰余金が増加した。

CFの面から見ると、前期末と比較で営業CFが法人税等の支払額の減少により黒字が拡大し、投資CFが有形固定資産の取得額の減少により赤字が減少したことから、フリーCF は黒字に転じた。また、長期借入金の増加により、財務CFの赤字も減少した。
14/3期の設備投資は5億75百万円、減価償却費は3億83百万円であった。

2015年3月期業績予想
前期比0.4%の増収、同25.7%の経常減益予想

15/3期の会社予想は、売上高が前期比0.4%増収の57億円、経常利益が同25.7%減益の2億20百万円。売上面では、開発製品の販売増を見込んでいるものの、自動車関連製品の販売単価の下落を織り込んでいる。セグメント別では、工業用ゴム事業が同0.6%の増収、医療・衛生用ゴム事業が同0.6%減収の会社計画。
利益面では、新製品の先行投資による減価償却費の負担増(前期比約80百万円増)を織り込んでいる。売上総利益率は、1.5ポイント悪化の25.1%、売上高対販管費率は、1.1ポイント改善の20.5%の会社前提。この結果、営業利益は、前期比9.1%減益の2億60百万円となる見込み。
設備投資の計画は、自動車分野(2億30百万円)、医療分野(80百万円)、ライフサイエンス分野(2億50百万円)の約5億60百万円(14/3期5億75百万円)、減価償却費は4億60百万円(同3億83百万円)を計画。設備投資は、ASA COLOR LEDの利益率改善に伴う投資ややマイクロ流体チップの量産ラインの導入などが主なもの。
1株当たりの配当は、14/3期と同額の年間8円(上期末3円、期末5円)の計画。

今後の注目点
14/3期は、自動車関連製品の販売好調などにより2桁以上の増収増益の好決算となった。反面、前期にASA COLOR LEDとRFIDタグ用ゴム製品量産ラインの増設やマイクロ流体デバイス向け量産設備導入など積極的な設備投資を実施したことから、減価償却費の増加により15/3期は減益の会社計画となった。販売好調な中、将来の成長に向けた前向きな投資であり、一時的な費用の増加は致し方ないものと思われる。しかし、来期以降の業績拡大へしっかりと繋げていくことができるのか、今後の投資の費用対効果の状況に注目する必要がある。
また、今回発表された新しい中期計画(V-1計画)では、自動車分野における接点ラバーやOリングなどの製品群の売上拡大とライフサイエンス分野におけるマイクロ流体デバイスの売上拡大が成長の柱となっている。伊藤社長のもと初めて作成された中期計画であるが、計画達成に向けてスピード感を持って、今後いかなる具体策が打ち出されてくるのか注目したい。中でも同社の今後の事業拡大向けて最大の鍵を握るであろうマイクロ流体デバイスは、NEC向け以外の複数案件も進行中であり、引き続き本格的な量産スタートの動きから目が離せない。
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