(4301:東証1部) アミューズ 2014年3月期業績レポート

2014/06/11

amuse

今回のポイント
・14/3月期の営業収入は前期比9.4%増加の337億70百万円。サザンオールスターズの復活コンサートなど大型コンサートが増加し、アーティストマネージメント事業は2ケタの増収となったほか、コンテンツ事業も増収だった。営業利益は同10.9%減少の36億44百万円。コンサート関連収入の増加や出資映像作品が好調だったことがプラス寄与したが、舞台公演の減少、新規ミュージカルの低稼働率などにより、減益となった。計画に対しては営業収入、利益とも上回った。

・15/3期通期の営業収入は前期比12.1%減の296億80百万円。大型コンサートが今期は予定されていないこと等から、イベント動員数は前期比3割減少の見込み。大型映像作品も減少する。減収に伴い利益も減少。営業利益、経常利益、当期純利益はともに2割以上の減益へ。配当は15円/株減少の30円/株を予定(前期は記念配当 15円/株)。予想配当性向は15.2%。

・ライブ市場は今後も好調に推移すると見込まれている一方、2020年の東京オリンピックを控え、国立競技場に代表されるように、首都圏の一定程度のキャパシティを有する会場のいくつかが改修工事に入る。折角の追い風がありながらも、同社に限らず会場不足という点がボトルネックとなりかねない点は気になるところだ。ただ、中期的に見れば、良質なコンサート向け会場が多く誕生することになり、同社事業にとってはフォローの風となるだろう。短期的には、今期の予想利益水準をどこまで引き上げられるかを四半期ごとにウォッチして行きたい。

会社概要

芸能プロダクション大手。サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティなど人気アーティストを数多く抱えている。グループ全体の事業の核を「コンテンツビジネス」におき、文化を創造する総合エンターテインメント集団として、テレビ番組や映画の企画・制作、海外舞台の招聘等でも豊富な実績を有する。グループは、同社の他、子会社15社(連結子会社7社)及び関連会社4社からなり、特に、映像ソフトの製作・製造・販売を行なうアミューズソフトエンタテインメントの業績への寄与が大きい。
アジアを中心とした海外展開を成長戦略の主軸としている。

【事業内容】

事業は、コンサートの収入、テレビ・CM出演料、新譜楽曲の印税、ファンクラブ会員収入や商品販売収入等のアーティストマネージメント事業(14/3期売上構成比81.0%)、テレビ番組・映画制作収入、及びビデオ・DVD販売等のメディアビジュアル事業(同12.1%)、及び旧譜楽曲の印税収入や二次使用にかかる収益等のコンテンツ事業(同6.9%)に分かれる。

2014年3月期決算
大型コンサート増加で増収となるも、イベント収入の減少および新規ミュージカルの低稼働率等で減益

14/3期の営業収入は前期比9.4%増加の337億70百万円。サザンオールスターズの復活コンサートなど大型コンサートが増加し、ファンクラブ・商品売上収入が増加。アーティストマネージメント事業は2ケタの増収となったほか、コンテンツ事業も増収だった。
営業利益は同10.9%減少の36億44百万円。コンサート関連収入が増加した事や出資映像作品が好調だったことがプラス寄与した一方で、舞台公演の減少、新規ミュージカルの低稼働率になどにより、減益となった。
計画に対しては営業収入、利益とも上回った。

◎アーティストマネージメント事業

営業収入は前期比13.2%増加の273億60百万円。
サザンオールスターズ(8-9月)、ONE OK ROCK(5-6月)、同社音楽アーティストが一堂に会した野外イベント「Amuse 35th Anniversary BBQ in つま恋」(7月)、福山雅治(12月)、Perfume(12月)のコンサート等で、イベント収入は前期に比べ増加した。
ファンクラブ・商品売上も増加したが、印税収入(新譜)は、前期に桑田佳祐のアルバムがあった反動で減少した。
セグメント利益は同20.7%減少の32億55百万円。
同社アーティストによる舞台公演の減少、新規ミュージカル事業の稼働率が低かったこと、CDの大型作品の発売が少なくレーベル収入、印税収入(新譜)が減少した事等により減益となった。

◎メディアビジュアル事業

営業収入は前期比10.%減少の40億72百万円。
同セグメントの大半を占めるDVD販売収入は同32.0%減少した。福山雅治主演ドラマ「ガリレオⅡ」(9月)および主演映画「真夏の方程式」(12月)、大泉洋主演邦画「探偵はBarにいる2」(11月)などを販売したものの大型作品が少なかった。一方、番組制作、映像製作は増収だった。
セグメント利益は同147.6%増加の3億79百万円。
映画「永遠の0」の大ヒットを始め、「真夏の方程式」、「そして父になる」などの劇場配給収入が好調で、計画を上回り大幅な増益となった。

◎コンテンツ事業

営業収入は前期比8.4%増加の23億36百万円。セグメント利益は同34.1%増加の7億79百万円。
サザンオールスターズ、福山雅治、BEGIN、ポルノグラフィティ、Perfume等による発売後1年以上経過した旧譜楽曲の販売及び旧譜楽曲の二次使用等の収益を計上しているが、貸与報酬等の増加により増収増益となった。

流動資産は、売上債権の増加などで12億円の増加。固定資産は、建物および投資有価証券等が増加し4億円増加し、総資産は17億円増加した。一方、仕入債務等が増加して流動負債が2億円増加した一方、固定負債は67百万円減少し、負債合計は2億円の増加にとどまった。これらの結果、自己資本比率は前期末の66.2%から67.6%へ上昇した。

利益の減少等で営業CFのプラス幅が縮小した一方、定期預金の払戻し等で投資CFもマイナス幅が縮小したが、フリーCFはマイナスに転じた。自己株式の取得等により財務CFもマイナス幅が拡大した。

(4)トピックス
◎米国に子会社を設立

近年米国での出資案件が増加していること、アーティストの活動場所が欧米に拡大する傾向にある事から、ネットワークの構築や投資効率を高めるため、米国に新たに連結子会社を設立することとした。
所属アーティストの欧米展開の支援、現地アーティストの発掘・育成、現地エンターテインメントへの出資・企画・制作、欧米マーケットの情報収集及び情報発信等を事業内容とし、米国におけるビジネスを更に拡大させる。

◎韓国子会社の増資

同社はアジアにおける事業展開の拠点の一つとして、2000 年に子会社Amuse Korea Inc.を設立し、所属アーティストの韓国での展開の支援や現地アーティストの発掘・育成、同時に映像作品の共同制作などを手掛けてきた。
また、2013年10月には、韓国においてアーティストマネージメントを手掛け、数多くのテレビドラマ制作に携わるなど、韓国のエンターテインメント業界において豊富なネットワークを築いているKhan Enterprise Co., Ltd.を子会社化した。

今後、韓国内におけるエンターテインメント事業をより発展拡大させると同時に、日韓共同の新しいエンターテインメントコンテンツの創出を加速させ、ビジネスの拡大を図ることを目指して、Amuse Korea Inc.の事業基盤を強固なものとするために資本を増強する事とした。20億ウォン(約2億円)の増資金額全てを(株)アミューズが引き受ける。増資後の資本金は30.5億ウォン(約3億円)。

2015年3月期業績予想
イベント収入の減少等により減収・減益の見込み

営業収入は前期比12.1%減の296億80百万円。前期にあったサザンオールスターズのコンサートが今期は予定されていないこと等から、イベント動員数は前期の120万人から80万人に約3割減少する見込み。イベント収入、ファンクラブ・商品売上収入も減少するなど、アーティストマネージメント事業が2ケタの減収となる。また、前期の様な大型映像作品も減少する。
こうした減収に伴い利益も減少。営業利益、経常利益、当期純利益はともに2割以上の減益となる。
配当は15円/株減少の30円/株を予定(前期は記念配当 15円/株)。予想配当性向は15.2%。

◎アーティストマネージメント事業

減収・減益の予想。
福山雅治(4月-6月)、ポルノグラフィティ(9月)、flumpool(4月-8月)のコンサートツアー、同社音楽アーティストが一堂に会する野外イベント「Amuse Fes 2014 BBQ in つま恋」(7月)などがあるが、前期にあったサザンオールスターズのコンサートが無く、イベント収入、ファンクラブ・商品売上収入が減少する。印税収入(新譜)も減少の見込みで、減収に伴い減益を予想している。

◎メディアビジュアル事業

増収・減益を予想。
福山雅治主演映画「そして父になる」(4月)、佐藤健主演映画「カノジョは嘘を愛しすぎている」(6月)、三浦春馬主演ドラマ「僕のいた時間」(7月)などのDVD販売収入により映像作品販売収入が増加する。
一方、利益率の高い配給収入が前期と比べて減少すること等により減益となる見込み。

◎コンテンツ事業

音楽配信市場の縮小などを見込み、若干の減収となる見込みだが、楽曲の構成により、利益はほぼ前期並みとなる計画。

今後の成長戦略
◎現状認識
業界のデータを集計すると、コンサート等のライブ市場は右肩上がりに拡大しており、同社のイベント収入も同じくここ数年、好調に推移している。
一方、楽曲販売市場はCD販売の減少を主要因に縮小傾向にあるが、同社の印税収入は増加傾向にある。これは新人アーティストの発掘・育成が順調に進んでいるためと自己評価している。
映像関連事業は、映画興行収入、映像パッケージ市場(DVDやブルーレイなど)ともに縮小傾向にある。同社も映画に関しては出資作品の厳選・絞り込みなど事業の見直しに動いており、映像製作収入、映像作品販売収入ともに今後の減少は避けられない。
また、日本の人口減少は今後も継続が予想され国内市場の成長は期待しにくい一方で、東アジア・東南アジア諸国においては今後も高い経済成長が見込まれることから、同社としては海外など新市場の開拓が不可欠であると、以前より認識している。
◎中期基本方針
上記の認識の下、今後も海外に市場を広げるべく事業を展開していく。
まだ規模は大きいとは言えないが、今期より一部を連結決算に取り込んでいく考え。
◎新規市場の開拓

「日本のアーティストを海外へ」、「海外のアーティストを日本へ」という両面で事業を展開している。具体的な動きは以下の通り。

*ONE OK ROCK
現在同社注力中の日本のロックグループ。既に海外での評価は高く、前期もヨーロッパ、アジア、アメリカで公演を行ったが、今期も6月に米国で行われるフェス「WARPED TOUR’14」のうち、18か所に参加予定。
*福山雅治
6月には初のアジアツアーを実施。
*Mayday
日本におけるマネ-ジメント業務を引き受けている、台湾の人気ロックグループ。彼らの曲が日本のTVドラマの主題歌で使用されたほか、今夏日本で開催されるロックフェスティバルへの参加も決定した。
*BABYMETAL
「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されたユニット。2014年3月には日本武道館ワンマンライブを行いチケットは売り切れとなり、武道館単独公演を行った女性アーティスト最年少記録を更新した。2014年2月にリリースしたファーストアルバム「BABYMETAL」が、全米ビルボード総合チャートにランクインし、日本人アーティストの中でビルボードランクイン最年少記録を更新。動画サイト「YouTube」での再生回数が800万回にも達するなど、日本以上に、海外での注目度が急速に高まっている。2014年7月にはメタリカ、アイアン・メイデンといったメタル・ロックの大物も出演する英国のロックフェスティバルに参加する予定。
同社の歴史の中でも、本格的な世界展開に繋がる最大のチャンスと捉えている。
◎新市場開拓の本格化

現在アジアにおいて7つの海外拠点を開設し、現地ビジネスの拡大を進めている。
例えば、Amuse台湾では「慢慢説(マンマンシュオー)」というグループのマネージメントを手掛け、2014年4月にはメジャーデビューに至った。今後も適宜拠点を追加し、基盤構築を進める。

また、アジア以外に北米でも新市場開拓のため拠点を開設する。現在ニューヨークに音楽著作権の管理を手掛ける連結子会社「Kirei Inc.」があるが、加えて、前述のようにカリフォルニア州でAmuse USA Inc.(予定)を設立する。
北米公演の実施、音源販売のほか、米国のミュージカルやTVシリーズへの出資などを手掛けていく考えで、具体的にクロージング近くのプロジェクトもあるという。
今後は米国発の作品を日本市場、アジア市場に提供していきたいと考えている。

今後の注目点
前述のようにライブ市場は今後も好調に推移すると見込まれている一方、2020年の東京オリンピックを控え、国立競技場に代表されるように、首都圏の一定程度のキャパシティを有する会場のいくつかが改修工事に入る。折角の追い風がありながらも、同社に限らず会場不足という点がボトルネックとなりかねない点は気になるところだ。ただ、中期的に見れば、良質なコンサート向け会場が多く誕生することになり、同社事業にとってはフォローの風となるだろう。
短期的には、今期の予想利益水準をどこまで引き上げられるかを四半期ごとにウォッチして行きたい。増収ではあったものの、利益面では過去最高だった2013年3月期から減少し、連続減益の見通しとなっているが、会社側は過去10数年間、上げ下げはありながらもトレンドとしての営業利益は下限を切り上げ、増加基調にあるため、今期を利益のボトムとするよう取り組んでいくという事だ。
株式会社インベストメントブリッジ
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