(6065:東証1部) サクセスホールディングス 2014年12月期第1四半期業績レポート

2014/06/04

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今回のポイント
 
・14/12期1Q(1-3月)は前年同期比19.0%の増収、同58.2%の経常減益。受託保育施設2施設、公的保育施設5施設の計7施設を開設すると共に、受託保育施設8施設、公的保育施設6施設の計14施設の開業準備を完了し、4月1日より運営を開始した。新規開設及び新規開設準備費用の増加で営業費用が23億06百万円と同25.2%増加し利益を圧迫した。

・通期業績予想に変更はなく、前期比13.3%の増収、同7.1%経常増益。施設増加と既存施設の利用者の増加で売上が増加。新規開設費用や保育士の募集・採用費の増加で営業利益が減少するものの、設備補助金の増加で吸収する。配当は記念配当5円を落とし、10円増配の年30円を予定(上期末15円、期末15円)。14年4月24日付けで東証1部上場となった。

・認可保育園の新規開設には、建築関連費用や備品類の購入、保育士等の採用活動費といった開園準備費用を要する。このため、積極的な施設の開設は目先的には利益圧迫要因となるが、同社は待機児童解消に寄与するべく積極的に新規開設に取り組んでいく考え。中期的には、社会貢献だけでなく、優良資産の積み上げによる業容の拡大と収益基盤の安定化で株主に報いる事ができる。国をあげての待機児童解消に向けた動きが活発化している事もあり、当面は利益よりも施設の整備状況に注目していきたい。

 
会社概要
 
持株会社である同社と事業会社の(株)サクセスアカデミー(100%子会社)の2社でグループを構成。病院・大学・企業等の事業所内保育施設を受託運営する受託保育事業と、「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園等(この他、小規模保育施設、学童クラブ、児童館、全児童対象施設)を運営する公的保育事業を2本柱とする。
なお、2014年12月期第1四半期より、経営管理方針を一部見なおし、従来「受託保育事業」において運営していた小規模保育施設を「公的保育事業」の報告セグメントに変更した。

「人から”ありがとう”といわれるサービスを提供する」をグループ理念に掲げ、「子育て支援」を根幹とする総合的ライフスタイルサポート事業の展開を目指している。
 
 
【沿革】
1989年12月、学習塾事業を目的とする(株)サクセスアカデミーとして設立。生徒の保護者からベビーシッターの相談を受けた事をきっかけにベビーシッターの研究を開始し、従量制の受託保育事業を考案した。91年3月に湘南中央病院(神奈川県藤沢市)から病院内保育施設の運営を受託し、24時間365日の保育をスタート。以後、本社のある湘南地区(当時は神奈川県鎌倉市)や東京都西部で医療機関内保育施設の受託運営を拡大した。

一方、公的保育事業は規制緩和(株式会社に対する公的保育事業の門戸開放)を受けて、04年4月に第1号となる認可保育園「にじいろ保育園 サクセス久里浜コスモス」(神奈川県横須賀市)を開園。その後、東京都や千葉県へ事業エリアを広げた。

09年12月、ジェイコムホールディングス(株)と業務資本提携。10年11月には戦略的で機動的な体制を構築するべく、持株会社体制へ移行するとともに、サクセスホールディングス(株)に商号を変更。12年8月の大証JASDAQ上場を経て、13年4月に東証2部に上場(大証JASDAQは上場廃止)。14年4月には東証1部上場となった。
 
【事業内容】
事業は受託保育事業と公的保育事業に分かれ、13/12期の売上構成比は、それぞれ41.7%、58.3%。事業内容は次の通り。
 
受託保育事業  病院・大学・企業等の福利厚生施設として働く人をサポート
病院、大学、企業等に勤務している保護者向けの保育施設の運営受託事業。顧客の規模や勤務時間に合わせた保育サービスを提供する事で働きやすい職場環境の構築をサポートしている(勤務時間が不規則な職場でも、子育て中の方が働きやすい環境となり、“優秀な人材確保”に役立っている)。「設置主体従業員」の“福利厚生施設”として設置され、同社は運営料支払いを受けており、施設が一定の条件を満たしていれば、設置主体には助成金が支給される。主な取引先は、東京大学医学部附属病院、千葉大学医学部附属病院、筑波大学、大阪大学、神戸大学、武田薬品工業(株)等。
 
公的保育事業  認可保育園などの公的保育施設の運営
「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園や、小学生を対象とした学童クラブ・児童館の運営を行っている。発達段階に合わせて設計した保育計画の下、個々の力を着実に伸ばす教育システムを導入する事で自ら考え行動できる子供の育成に取り組むと共に、栄養士、調理師、看護師により食事や看護面もしっかりとケアする事で、保護者があらゆる面で安心して子供を預ける事のできる環境づくりにも努めている。尚、従来、設置主体は原則として市町村や社会福祉法人等に限られていたが、00年3月に待機児童解消に柔軟に対応できるよう規制緩和がなされ、株式会社にも門戸が開かれた。
 
【事業環境】
「男女共同参画白書 平成25年版」によると、平成に入り「共働き世帯数」が「男性雇用者と無業の妻からなる世帯数」を逆転し、現在は共働き世帯が大幅に増えている。一方、「厚生労働省平成24年国民生活基礎調査の概況」によると、子供のいる世帯の年収は平成8年をピークに低下傾向にある。この結果、子供がいる共働き世帯が増加し、保育所利用児童数も増加傾向にあるが、保育所の整備が追い付いておらず、保育所に入れない待機児童の増加が社会問題化している事は周知の通り。待機児童数は、2011年の26,275人をピークに漸減傾向にはあるものの、13年末で22,741人と待機児童問題の解消には程遠い状態。地域別では、地方での待機児童解消は緩やかに進む一方、東京都が増加傾向にある(厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」:平成25年4月1日)。
 
待機児童解消加速化プラン
2013年6月、2013(平成25)年度から2017(平成29)年度にかけての5年で40万人分の保育の受け皿を確保し、従来の計画よりも2年前倒しで待機児童の解消を目指す「待機児童解消加速化プラン」が内閣府から公表された。
 
子ども・子育て支援新制度
また、2015(平成27)年度を目途に「子ども・子育て支援新制度」が本格施行される予定。「子ども・子育て支援新制度」とは、2012年(平成24)8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度の事で、同社が強みを有する事業所内保育も給付対象となる(従来は、一定の条件を満たした一部に施設にのみ給付されていた)。
 
 
【競合他社の状況と同社の強み】
株式会社が運営する認可保育所のシェアは上昇傾向にあるが、株式会社の比率は未だ1.6%に過ぎない。競合他社をみると、2012年度の業界1位がJPホールディングス、2位こどもの森、3位同社、4位ピジョン、5位ポピンズ(2011年に同社は順位を一つ上げたが、過去数年間、保育業界上位の顔ぶれは変わらない)。
 
特徴・強み
同社は、従量制の請求方法、24時間365日の運営対応、更には234通りの運営スタイルといった利用者の視点に立った保育サービスの提供に加え、子どもたちの成長に欠かせない自然体験を通じた「自然共育(しぜんともいく)」を軸とした保育に取り組む事で、子どもたちの感性、優しさ、考える力等、人としての基盤を育んでいる。また、IT化による運営管理システムや優秀な人材と充実した研修・育成制度も同社の特徴であり強み。IT化では、全施設をネットワークで結び、請求業務、勤務実績、シフト作成等あらゆる事を本部で集中管理しており、保育士が現場で行う事務負担を軽減する事で保育に専念できる環境を整えている。
 
 
 
2014年12月期第1四半期決算
 
 
前年同期比19.0%の増収、同58.2%の経常減益
売上高は前年同期比19.0%増の23億66百万円。内訳は、受託保育事業が同12.2%増の9億62百万円、公的保育事業が同24.1%増の14億04百万円。受託保育施設2施設、公的保育施設5施設の計7施設を開設すると共に(前年同期は受託保育施設2施設のみ)、受託保育施設8施設、公的保育施設6施設の計14施設の開業準備を完了した(同、受託保育施設12施設、公的保育施設8施設の計20施設)。この結果、第1四半期期末施設数は241施設となり、開設準備を終えた14施設も4月1日には運営を開始した。
業利益は同59.3%減の59百万円。新規開設及び新規開設準備費用の増加で営業費用が23億06百万円と同25.2%増加し利益を圧迫した。セグメント別では、受託保育事業が同28.3%減の74百万円、公的保育事業が同12.8%減の1億21百万円。
 
*前期まで「受託保育事業」として運営していた小規模保育施設については経営管理方針を一部見直したことにより2014年12月期第1四半期より、「公的保育事業」に報告セグメントを変更。
前期のセグメント情報は変更後の区分に基づき作成。
 
 
 
第1四半期末の総資産は前期末に比べて3億56百万円増の58億41百万円。借方では、施設の開設及び開設準備に伴う運転資金の増加で現預金が減少する一方、有形固定資産が増加。貸方では、設備投資に対応して長期借入金とリース債務が増加した。自己資本比率は29.1%と前期末に比べて2.2ポイント低下した。
 
 
2014年12月期業績予想
 
 
“待機児童解消”に寄与するべく、新規施設の開設を加速
施設増加と既存施設の利用者数増加で売上高が100億円規模に拡大する見込み。新規開設費用や保育士の募集採用費等の増加で営業利益が減少するものの、設備補助金収入の増加で吸収して経常利益は7億55百万円と同7.1%増加する見込み。

配当は記念配当5円を落とし、10円増配の年30円を予定(上期末15円、期末15円)。同社は、内部留保とのバランスを総合的に判断しつつ、業績や設備投資の進捗等を見ながら柔軟に配当を実施していく考え。
 
 
 
今後の注目点
認可保育園の新規開設には、建築関連費用や備品類の購入、保育士等の採用活動費といった開園準備費用を要する。このため、積極的な施設の開設は目先的には利益圧迫要因となるが、同社は待機児童解消に寄与するべく積極的に新規開設に取り組んでいく考え。中期的には、社会貢献だけでなく、優良資産の積み上げによる業容の拡大と収益基盤の安定化で株主に報いる事ができる。国をあげての待機児童解消に向けた動きが活発化している事もあり、当面は利益よりも施設の整備状況に注目していきたい。

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