(4793:JASDAQ) 富士通ビー・エス・シー 2014年3月期業績レポート

2014/06/04

fujitsubsc

今回のポイント
・14/3期は前期比3.5%の増収。多様化する顧客ニーズに対応し、高品質なサービスの提供と商談の掘り起こしを新分野へも戦略的に参入し、新規商談の獲得に努め、売上を確保した。顧客からのコストダウン要請や一部原価高のプロジェクトが発生したが、全社でプロジェクト進捗管理を徹底し原価の抑制に努めたことや、スマートデバイス関連のプロジェクトの原価率低減により営業利益は同17.0%増加した。

・15/3期予想は前期比4.6%の増収、同26.7%の営業増益。大手銀行次期システムやマイナンバー等の大型SI関連プロジェクトの取り組み、成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドへの集中と特化技術を中心に新たなセグメントの開拓を進める。プロジェクトアシュアランス徹底による利益体質強化を進め収益確保を目指し、営業利益が同26.7%増加する見込み。配当は1株当たり年27円を予定(上期末13.5円、期末13.5円)。

・得意とするスマートデバイス系の業務ソフト開発も増えており、更なる売上高の成長が期待できる。SI関連を中心とした不採算プロジェクト撲滅の徹底により、収益性の拡大も期待できるだろう。

会社概要

通信キャリア向けの顧客管理システムや基幹システム、民間事業者向け等の業務システム、中央官庁向け各種システム、携帯端末や自動車エンジン制御分野等でのエンベデッドシステム(組込みシステム)、更には、データセンター運営やモバイルを中心にしたセキュリティシステム等、多面的に事業を展開。ソフトウエア開発の外注先でもある連結子会社 北京思元軟件有限公司(以下、BCL)、とグループを形成。親会社である富士通(6702)の持株比率は13年9月末で56.4%。富士通にソフトウエア製品や開発等のサービスを提供する一方、富士通(株)からシステム機器等を仕入れており、14/3期通期の富士通グループ向けの売上高は全体の71.3%を占めた。

【事業内容】

14/3期通期の売上高構成比は通信キャリアシステム32.8%、民需システム17.2%、公共・金融システム15.6%、エンベデッドシステム19.1%、サービス15.2%。また、力を入れているスマートデバイス関連の売上が17.7%を占めた(全事業区分に含まれるスマートデバイス関連売上高の総計)。

通信キャリアシステム

大手通信キャリアを中心に、企業情報システムや顧客管理システム、ビリング(課金)システムといった各種システムを提供。また、ネットワークや通信制御、基盤技術をベースにインフラ構築等の社会基盤システムや情報メディア、エネルギー事業者向けのシステムも提供している。

民需システム

製造業(電機、組立、精密、自動車、化学等)、建設、流通、運輸などの民間事業会社や医療機関向けに、生産管理システム、販売管理システム、勘定系システム、基盤構築等、さまざまな分野のソフトウェアを提供。PLMソリューションや医療・製薬ソリューション、ERPソリューション(クラウド環境でのサービスも提供)等も手掛け、近年ではスマートフォンを活用したソリューションに力を入れている。

公共・金融システム

中央官庁や自治体等の公的機関向けに、人事・給与システムの構築や運用支援等、銀行や証券会社等の金融機関向けに営業支援システム、インフラ構築、運用支援等のシステムやサービスを提供している。

エンベデッドシステム

カメラ、カーエレクトロニクス、携帯電話といった各種システム機器に組込まれた機能をコントロールするエンベデッド(組込み)システムについて、企画支援から設計・開発、評価・検証に至るまで、一貫したサービスを各種機器メーカーへ提供している。デジタルカメラ向けでは、09年7月に設立したニコングループとの合弁会社が寄与している。

サービス

データセンターを活用したアウトソーシングサービスをはじめ、コンサルティング、ネットワーク構築、システムの運用支援・保守といった各種ソフトウェアサービスやIT分野を広くサポートする技術スタッフの人材派遣サービスを提供している。またスマートデバイスのMDM製品「FENCE-Mobile RemoteManager」、スマートフォン利用業務構築ツール「WebUnity-Plus」等のスマートデバイス向けソリューションも提供している。

2014年3月期通期決算
前期比3.5%の増収、同16.5%の営業増益

売上高は前期比3.5%増の315億47百万円。富士通及び同グループ会社向けの売上比率が71.3%と2.3ポイント上昇した。また、注力しているスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上(全事業区分を総計)が55億99百万円と同49.7%増加した。
営業利益は同17.0%増の14億20百万円。不採算プロジェクトの増加があったものの増収効果や原価率改善により、営業利益率が4.5%と同0.5ポイント改善した。確定拠出年金の導入、復興特別法人税の前倒し廃止に伴う繰延税金資産の取り崩しと中国での自動車用IT関連を事業目的として、中国自動車メーカーとの合弁会社を解消による特別損失が、当初予想よりも大きくなったことから、当期純利益は同82.0%の減益の1億31百万円となった。

通信キャリアシステム

売上高は前年同期比0.7%減の103億50百万円、営業利益は同9.6%増の10億04百万円。通信キャリア基幹系については減少しているが、ネットワーク系、情報メディア、郵政システムが増収となった。収益面では、アシュアランス強化、不採算抑制により増益となった。また、スマホ・タブレットユーザをターゲットした教育系情報メディア向けの開発では、富士通グループ(アプリ構築は同社、デザインは富士通デザイン、教育コンサルは富士通ラーニングメディア)として取り組んで、新たなビジネス分野での拡大を目指している。

民需システム

売上高は前年同期比1.0%減の54億21百万円、営業利益は同31.8%減の1億44百万円の赤字となった。SAP、CAPソリューションが順調、関西特定顧客、製薬向けが堅調に推移したが、富士通向け社内システムの売上高が大きく減少したため減収となった。収益面では、不採算案件が発生したことにより減益となった。

公共・金融システム

売上高は前年同期比9.5%増の49億27百万円、営業利益は同90%減の10百万円。大手銀行次期システム等の金融機関、中央官公庁向けシステムが堅調に推移した。収益面では、不採算案件が発生したことにより減益となった。

エンベデッドシステム

売上高は前年同期比0.6%増の60億29百万円、営業利益は同35.4%減の1億70百万円。デジタルカメラ向け開発は、前期のミラーレス特需が沈静化したことで減少している。カーナビ開発を中心にしたカーエレクロトニクスが拡大している。顧客からの値引き要請や品質向上施策実施により原価率が悪化したことから、収益性は悪化した。

サービス

売上高は前年同期比16.6%増の47億02百万円、営業利益は同130.9%増の3億81百万円。スマートデバイス関連が順調に拡大しており、アウトソーシングサービスも堅調に推移している。スマートデバイス関連の原価低減により収益性は大幅に改善している。
上記の他、全事業区分を総計したスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上が55億99百万円と同49.7%増加した。12年4月にスマートデバイスビジネス本部を設置し営業を強化した成果が現れており、各種ソリューション提供によるSI案件が増加している。

通期末の総資産は前期末比1,678百万円減の27,784百万円。自己資本比率は65.0%と同2.6ポイント改善した。

退職給付信託の設定等の影響で営業CFがマイナスとなった。投資CFは無形固定資産の取得等によりマイナスとなった。(前期の投資CFは中長期性の預け金5,500百万円を退職給付信託拠出に備えて短期性のものに振替えたことにより大幅に改善している。)財務CFがマイナスとなったのは、配当金の支払いによる。

2015年3月期業績予想
前期比4.6%の増収、同26.7%の営業増益

売上高は前期比4.6%増の330億円。大手銀行次期システムやマイナンバー等の大型SI関連プロジェクトの取り込み、成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドへの集中と特化技術を中心に新たなセグメントの開拓を進める。また、プロジェクトアシュアランス徹底による利益体質強化を進め収益確保を目指す。営業利益は18億円と同26.7%増加を見込んでいる。配当は1株当たり年27円を予定している(通期末13.5円、期末13.5円)。

(2)15/3期の取り組み

SI関連では、不採算プロジェクト撲滅の徹底を行い、大手銀行向け次期システムやマイナンバー等大型SIの確保目指す。売上高目標は通信キャリアで105億円、民間で60億円、公共・金融で55億円を目指す。また、エンベデッドでは、BSCの得意技、先進技術の追求と中国の活用により拡大を図る。また、フォトイメージング、カーエレクトロニクス、医療分野や注力し、売上高60億円を目指す。また、サービス事業では、富士通との連携強化により運用監視拡大、クラウドサービスの充実を図ることで、売上高50億円を目指す。成長が著しいスマートデバイスでは、B2Cサイトのフレーム化推進とソリューションのクラウドサービス化により、売上高65億円を目指す。

ソリューション・サービス

当面の柱は、セキュリティ対策ソリューションと業務活用ソリューションの二つで、セキュリティ対策ソリューションは、従来のFENCE(認証・暗号・漏洩抑止・証跡ソフトウェア)に遠隔対応の機能を備えたパッケージFENCE-Mobile RemoteManagerを中心に進めている。セキュリティソリューション「FENCE」シリーズは、スマートデバイスからサーバまで一気通貫のデータの暗号化が可能で、生命保険会社や損害保険会社等で活用されている。この技術をスマートデバイスのエンドポイントのセキュリティとして、セキュリティの中核となってくる。事例のひとつに、ふくおかフィナンシャルグループが、渉外職員による顧客情報を外訪先での参照に必須なセキュリティ対策のひとつして、FENCE-Mobile RemoteManagerを採用している。紛失や盗難の場合には、リモートで端末を初期化することができ、すでに2000台が投入されている。

スマートデバイス

スマートデバイス(スマートフォンとタブレット型デバイス)の市場は急拡大しており、特に2016年にはタブレットが全体の21.9%を占めるまで拡大するといわれている。また、個人向けにスマートデバイスが拡大していたが、今後はキャリア各社も法人向け取り組みを強化しており、法人利用が拡大するものと考えられる。同社はスマートデバイスの応用できる独自の技術やノウハウを多数保有している。これらの資産を活かしてスマートデバイスの成長を取り込んでいく考え。例えば、スマホ・タブレットユーザをターゲットした教育系情報メディア向けの開発では、大手教育事業者向けに同会員50万人超を運営する教育管理システムを開発した。

エンベデッドシステム

旧来の携帯電話からスマートフォンへの移行に伴い開発量が一時減少したが、デジタルカメラ、カーエレクトロニクス等へ主力カテゴリー移行し回復基調にある。デジタルカメラ向けは成熟しつつあるが、カーエレクトロニクスはカーナビをけん引役に更なる拡大が期待できる。中期的にはより市場の大きいITS(高度交通システム)関連の需要が期待できる。

中国子会社BCLを軸としたグローバルビジネスの拡大

連結子会社BCL(北京思元軟件有限公司)は、コスト競争力強化を目的としたオフショア(海外)開発拠点として1992年にスタートしたが、設立後数年間の業績は伸び悩んだ。しかし、エンベデッドシステムの開発にシフトした2002年以降、業績が急拡大しており、2013年度の売上高は52万元(約8.3億円)までに拡大している。現在、本社である北京(120名)の他、大連(66名。大連BPOセンターを支店内に有する)、上海(9名)に支店を有し、蕪湖(20名)、及び日本(18名)に拠点を有する。

従来はコストダウンのためのオフショア開発が中心であったが、これからはエンベデッドシステム、BPOを軸に中国ローカルビジネスを拡大していく。また、富士通およびグループ会社との協調を推進し、BPO受注拡大を図る。今後は、より独自性を持った企業として成長するものと考える。

不採算プロジェクト縮小による収益改善

同社は不採算プロジェクトの撲滅と組織品質の向上を目指し、プロジェクトアシュアランス室を新設した。不採算プロジェクトの撲滅として、第三者監査の実施、コスト/スケジュール計画と原価実績分析をコアとしたPRJ予兆監視を行っている。また、組織品質の向上に向けて、パートナー品質向上制度への取り組みを着手しており、SE作業標準の徹底を目指している。以上のことから、不採算プロジェクト損失は前期比47百万円増加したが、新規の不採算プロジェクトの発生は確実に減少しており、2013年度の新規発生額は1億円程度となっている。また、過去に発生した不採算プロジェクトは2013年度で一掃した。今期には若干のリスクは織り込むものの、プロジェクトアシュアランスによる結果が、今後の営業利益の増益要因となろう。

今後の注目点
小島社長が就任してから、プロジェクトアシュアランス徹底により、不採算プロジェクトの削減の効果が現れてきている。14/3期には不採算プロジェクトの影響がまだ残るものの、確実に収益性は改善している。イノベーションパートーナーとして高品質なシステム、サービス提供、得意技術を磨き付加価値高い製品の創造、継続的な企業価値の向上に向けて、スマートデバイスや海外展開などの様々なビジネス展開を行っており、中長期的には魅力的な企業になっていると考えられる。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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