(2675:東証2部) ダイナック 2014年12月期第1四半期業績レポート

2014/06/04

dynac

今回のポイント
・14/12期1Q(1-3月)は前年同期比5.0%の増収ながら、1億43百万円の経常損失(前年同期は1億40百万円の損失)。高還元率を特徴とする「倶楽部ダイナック(顧客会員カード)」の販促効果でレストラン・バー事業が堅調に推移する中、指定管理受託者として前期に運営を開始した「道の駅 まくらがの里こが」も寄与。ただ、2月の記録的な大雪の影響に加え、料金値上げによる光熱水道費の増加やリピーター獲得に向けた販売促進費の増加、更には人手不足によるパート・バイトの人件費増等が負担となった。

・業績予想に変更はなく、通期で前期比6.2%の増収、同54.5%の経常増益予想。①新業態への取り組みを含めた順調な新規出店、②食材共通化等による原材料仕入単価の引き下げ及びシフトコントロールの徹底による生産性の向上、更には③「倶楽部ダイナック」会員の獲得と活性化による常連客づくりの進捗等が増収・増益の原動力。配当は上期末5円、期末5円の年10円を予定。

・1Qは、天候や気温の影響を特に受けやすいゴルフ業態の苦戦が響いたが、日本フードサービス協会のデータ等から、全般には健闘した事がわかる。個性を活かした特徴ある業態開発や「倶楽部ダイナック」を中心にした販売促進策の効果が表れているようだ。パート・バイトの人件費上昇は気になるところだが、既存店が堅調な事から、計画通り21店舗の新規出店ができれば、通期業績は予想に沿った着地になると考える。

会社概要

サントリーグループが展開する外食事業の中核企業。企業理念は“食の楽しさをダイナミックにクリエイトする”。「飲み、食べ、会話を楽しみ、憩う場所の提供を通じて、より豊かな生活の実現に貢献したい」という思いの下、洋風から和風、レストランタイプからバータイプ、更には中間的なパブタイプまで、多様な業態を展開。14年3月末現在、首都圏・京阪神地区を中心に244店の店舗ネットワークを有する。また、レストランやバー等の運営で培ったノウハウとブランド力を活かし、各種レジャー施設のレストランの受託運営、ケータリング、サービスエリアでの売店運営、おせち料理及びサマーギフトの販売等も手掛けている。

【事業の特長】

形態別の売上構成は(13/12期実績)、レストラン・バー事業90.3%、ケータリング事業2.6%、及びその他事業7.1%。切り口を変えると、約50業態に及ぶ都心部飲食店(レストラン・バー)の直営ビジネスが約70%、ゴルフ場レストランやレジャー施設・文化施設・サービスエリア内の飲食店の運営受託及びパーティ・ケータリングの受託ビジネスが約30%。直営ビジネスの収益力強化と受託ビジネスの拡大に取組んでいる。

【ダイナックの強み】
・巨大な外食市場において「多彩な業態+受託事業」を展開する優良な“事業ポートフォリオ”
・「おいしい料理と最高のドリンク」を軸に「高付加価値空間の提供」を行う“信用力とブランド力”
・「業態開発力」、「機敏な業態転換力」を背景とした“業容拡大力・出店力”
店舗紹介(画像は同社Webサイトより)
(1)ブランドを推進する戦略業態(顧客ニーズに沿って継続的にブラッシュアップ)

素材を活かした料理をハイグレードな空間の中で提供する和風業態の「響」、「燦」。色々な鳥料理をオシャレな雰囲気の中で堪能できる「鳥どり」、自店製生パスタが好評のイタリアンレストラン「パパミラノ」、英国伝統の本場パブを再現した「ザ・ローズ&クラウン」の4業態をブランドを推進する戦略業態と位置付け、顧客ニーズに沿って継続的にブラッシュアップしている。

(2)ブランド化を念頭に店舗展開

ブランド化を念頭に店舗展開を進めている業態として、和風業態では鮮度抜群の魚介類を毎日提供している海鮮酒場「魚盛」、落ち着いた雰囲気の大人の居酒屋「咲くら」、特選素材を使用した豆腐専門料理「八かく庵」、「ザ・ローズ&クラウン」の発展形で女性でも入りやすいパブ「RCタバーン」を展開している。

海鮮酒場「魚盛」
「新鮮。安い。旨い」漁港直送の鮮魚酒場で、漁場直送の刺身盛は人気の看板アイテム。その他、魚介の旨味がギュッと詰まったボリューム満点の自家製海鮮シューマイなど美味しくてリーズナブルな海鮮料理を堪能できる。カジュアルタイプ、ゆったり居酒屋タイプ、地産地消タイプと、業態の強みを活かしつつ、ロケーションに応じてタイプも色々。カジュアルタイプの「お茶の水店」では、土~木曜日は宴会飲み放題がたっぷり3時間!
関東9店舗
居酒屋「咲くら」
「桜」をイメージした店内は、伝統的日本美を醸しつつモダンな装い。会社側のメッセージは「旬の魚や野菜の料理が満載のメニューで心地よい時間をお過ごしください」。「虎ノ門店」では、春キャベツと豚の塩ダレ陶板焼きを愉しむ宴会「風コース」(飲放付税込1人3,980円)が店長のイチオシ!

関東10店舗、関西3店舗

豆腐専門料理「八かく庵」
京都から届く豆乳で毎日つくる自家製「おぼろ豆腐」がおもてなしのはじまり。京の老舗、本田味噌や半兵衛麩の伝統食材を使用した「田楽」「鍋」「焼き物」等の料理、目の前で引き上げる「引き上げ湯葉」を京風だしなど色々な薬味で。

関東3店舗、関西5店舗

(3)コラボレーションや個性を活かした特長ある業態
世界的に有名な“ふわふわオムレツ”のカジュアルフレンチレストラン「ラ・メール・プラール」
フランス西海岸サンマロ湾上に浮かぶ小島に築かれた世界遺産「モンサンミッシェル」。その地で歴史と伝統を受け継いだ「ラ・メール・プラール」が横浜に上陸。創業者のプラールおばさん(Madame Annette Poulard)は1888年モン・サン=ミッシェルに宿屋を開きおよそ700ものレシピを完成させた。その中でも有名な看板メニューが、メレンゲを食べているかのような味わいの「ふわふわオムレツ」。
関東:横浜みなとみらい店
「近大卒の魚と紀州の恵み近畿大学水産研究所」
近畿大学とダイナックのコラボレーションレストラン。近畿大学が長年にわたり研究を重ねた安心安全で美味しい近大マグロ等、様々な養殖魚の料理を提供。手塩にかけて育てた養殖魚の魅力をたくさんの方に体感していただく事がコンセプト。海をイメージした店内には、料理に使われている魚の生産履歴等を楽しく知る事ができるタブレットを常設。
関東:銀座店、関西:グランフロント大阪店
高付加価値小型新業態店「とりやき 源氣(げんき)」
14/12期は新たな業態の開発・育成にも取組んでいる。この一環として1月29日に町田で「とりやき 源氣(げんき)」の1号店をオープン(20坪、想定客単価2,300円)。2月25日には「大森店」も元気にオープン。14/12期は町田店を含む5店舗のオープンを計画している。源氣のとりやきは新鮮な丸鶏を捌いて、そのまま焼き上げている。特にワイン系を意識した味付けしたソースの“変わりとりやき”も。
成長戦略

“高付加価値業態の開発・強化と高付加価値業態へのシフトによる直営ビジネスの収益力強化”、及び“拡大するアウトソーシングニーズの取り込みによる受託ビジネスの強化・拡大”が成長戦略の二本柱。また、基盤となる機能・サービスの革新を進める共に強みの源泉をブラッシュアップしていく事で守りも固めていく。

(1)直営ビジネスの基本方針

業態カテゴリーを、主力業態、戦略業態、コラボ業態、ソロアーバン業態の4つにセグメントしており、各カテゴリーにおいて個性のある業態に資源を集中すると共に好立地店は好立地を最大限に活かすべく収益力のある戦略業態への転換を進めていく。

(2)受託ビジネスの拡大

受託ビジネスは信用力と受託実績が案件獲得に不可欠なため参入障壁が高く競合が少ないビジネスであり、同社は信用力と受託実績の両面で大きなアドバンテージを有する。また、先行投資負担が軽いため投資効率が高く、事業開始にあたってリスクも限定できる。アウトソーシングニーズの高まり、改装・新規施設の増加、景気底打ちによる催事の増加等で、ゴルフ場レストラン、サービスエリア・道の駅、文化施設・レジャー施設、パーティ・ケータリングといった受託ビジネスのターゲット領域はいずれも事業環境が良好だ。
14/12期はゴルフクラブレストラン7店舗を含む9店舗の案件獲得を計画している。ゴルフクラブレストランの案件獲得では、これまで物件情報を受けて営業を開始するという、どちらかというと受動的な手法をとっていたが、14/12期はターゲットを定めて積極的に提案営業を行って行く考え。

(3)基盤となる機能・サービスの革新

ポイントは、「常連客づくりの徹底」と「コスト改善・収益性向上への取り組み」の2点。「常連客づくりの徹底」では、成果を上げている「倶楽部ダイナック」(入会金・年会費無料)を軸にダイナックブランドのマーケティングを強化する事で再来店やダイナックブランドの他業態店への誘導につなげていく。また、「コスト改善・収益性向上への取り組み」では、人時売上高を指標にしたシフトコントロールを強化すると共に、仕入コストダウンを図るべく共通食材の拡大と他社との共同購買を進める。

尚、「倶楽部ダイナック」では、現在、“2014春のポイント大増量キャンペーン”を実施中(5月31日まで)。春の大型キャンペーンをフックに、「倶楽部ダイナック」を更に飛躍させたい考え。

(4)強みの源泉のブラッシュアップ

ポイントは、「お客様の声・反応・評価を集め、商品・サービスをレベルアップ」、「“個店力主体”のマネジメントから“お客様に対する個の強さ+ 全体最適”のマネジメントへの転換」、及び「パートナー採用・育成基盤の強化とお客様接点を担うパートナーの力の最大化」の3点。
ニーズや嗜好の把握と満足度向上を図るべく、お客様の声・反応・評価を集め商品・サービスをレベルアップする取り組みを店舗毎に進めており、全社的なナレッジの蓄積・共有・利用・浸透を図っている。また、これまで各店舗の特色ある運営を重視するあまり、全体最適のマネジメントが不十分だった事を踏まえ、“お客様に対する個の強さ + 全体最適”へのマネジメントへの転換を図る。この他、店舗運営の原点となる人材パワーの最大化に向け、企業理念実践マインドの醸成を念頭に新人パートナー集合教育を必須化した他、顧客接点を担うパートナーの力の最大化を図るべく、’13/12期にパートナー育成評価システムを全社で導入した。パートナーの定着率向上と育成・戦力化を推進し、コストの抑制はもちろんサービス力の向上(売上増)にもつなげていく考え。

2014年12月期第1四半期決算
売上高78億05百万円(前年同期比5.0%増)、経常損失1億43百万円(前年同期は1億40百万円の損失)

売上高は前年同期比5.0%増の78億05百万円。高還元率を特徴とする「倶楽部ダイナック」春のポイント大増量キャンペーン(2月1日~5月31日)等の販売促進効果で既存店が堅調に推移。個性的な新店も人気を集め、2度の大雪でゴルフ場レストランが落ち込む中、レストラン・バー事業の売上が70億73百万円と同3.6%増加。「道の駅 まくらがの里こが」の寄与で、その他事業の売上も5億44百万円と同29.7%増加した。

一方、経常損益は1億43百万円の損失(前年同期は経常損失140百万円)。売上の増加に加え、食材共通化等による原材料仕入単価の引き下げやシフトコントロールの徹底による生産性の向上で原価率が0.3ポイント改善したものの、2月の記録的な降雪の影響に加え、料金値上げによる光熱水道費の増加やリピーター獲得に向けた販売促進費の増加、更には人手不足によるパート・バイトの人件費増等が利益を圧迫した。

(2)出退店の状況と既存店売上高

第1四半期末の店舗数は244店舗となった(前年同期末240店舗)。新規出店は、小型の多店舗展開を見据えた新感覚の鶏業態「とりやき 源氣」、熟成肉のグリルや自家製スモークが楽しめるアーリーアメリカン調の肉PUB「THE AGING HOUSE 1795」、東京駅・北町ダイニングでサントリー製造の樽生ビール5種類が堪能できる「THE OLD STATION」等の計5店舗。この他、既存2店舗を「MALT BAR WHISKY VOICE」、「ワイン倶楽部」に業態変更する一方、不採算店舗や契約先の事由により5店舗を閉店した。

既存店売上高は記録的な大雪に見舞われた2月の落ち込みが響き前年同期比98.4%(来客数98.1%、客単価100.3%)。1月が前年同月比104.5%(来客数103.2%、客単価101.3%)と好調に推移し、繁忙日である金曜日・休前日の日数が前年より少なく、JFSパブ・居酒屋業態の全店売上高が93.2%にとどまった3月も、同社は販促効果で同99.3%(来客数101.4%、客単価98.0%)と健闘したものの、2月が同91.2%(来客数88.3%、客単価103.3%)と追い込んだ。

第1四半期末の総資産は前期末比1億85百万円減の137億02百万円。第1四半期は年末商戦を終え仕入債務等の決済が進む他、納税や配当の支払い等も重なるため、季節要因として資産が減少する。短期借入金を積み増して(13年12月末:5億円→14年3月末:20億30百万円)、資金需要に対応した。

2014年12月期業績予想
業績予想に変更はなく、通期で前期比6.2%の増収、同54.5%の経常増益予想

①新業態への取り組みを含めた新規出店が順調である事、②食材共通化等による原材料仕入単価の引き下げやシフトコントロールの徹底による生産性の向上が軌道化しつつある事、更には③「倶楽部ダイナック」会員の獲得と活性化で常連客づくりが成果を上げている事等が増収・増益の原動力となる。
21店舗の新規出店を計画しており、既存店売上高の前提は同101.7%。一方、退店の計画は7店舗。新規出店で4億87百万円、既存店売上高の増加で23億01百万円の増収効果を見込んでおり、退店が6億90百万円の減収要因となる見込み。

配当は、1株当たり上期末5円、期末5円の年10円を予定。同社は安定的な配当の維持と、将来に備えた内部留保の充実を念頭に置き利益配分を行っていく考え。

【日蓮聖人ゆかりの池上本門寺から飲食施設の運営を受託】

日蓮宗大本山 池上本門寺(東京都大田区)の敷地内にある「朗峰(ろうほう)会舘」1階の飲食施設「ガーデンレストラン 松濤園 櫻(しょうとうえん さくら)」の運営業務を受託し、2014年4月26日(土)に営業を開始した。
同社は、受託ビジネスの拡大に取り組んでおり、様々な施設との提携を模索してきたが、寺院の施設との提携は今回が初めて。同社の運営する「響」や「八かく庵」のブランディング力や技術力、ブライダル等の誘致力が評価され、池上本門寺との運営業務受託契約につながった。
池上本門寺は、交通の利便性の良さに加え、歴史的建造物を多く有する事から外国人観光客の人気スポットの一つに数えられており、今後の同社のインバウンド政策の拠点の一つとしても期待されている。

店舗コンセプト

「ガーデンレストラン 松濤園 櫻」(http://www.dynac-japan.com/syoutoen-sakura/)は、京都・桂離宮や茶道で有名な小堀遠州作庭の庭園を望みながら四季折々の味覚を堪能できる。メニューコンセプトは「NEO SHOJIN STYLE(ネオ精進スタイル)」。このメニューコンセプトの下、精進料理を代表する食材の豆腐、湯葉、生麩、野菜を柱にしつつ、食事の楽しさや華やかさ、満足感を表現する現代風の新しい精進料理を提供。日蓮聖人が好まれた「引き摺り豆腐(ひきずりとうふ)」や日蓮聖人にちなんだメニュー、更に池上本門寺のコアバリューともなる「櫻」にちなんだメニューを織り込む事で、池上本門寺のブランド構築における「食」の位置づけを具現化している。
140坪あるレストランには大小様々な個室があり、プライベートな会食はもちろん、催しにも利用可能。無料大型駐車場(普通車96台駐車可能)も完備している。

所在地  : 東京都大田区池上1-2-1 池上本門寺朗峰会舘 1F
電話番号 : 03-3752-3101
営業時間 : 11:00~16:00(ディナーは完全予約制。当日17時までに予約)
定休日  : 不定休
店舗規模 : 140坪 88席
予算   : ランチ1,800円~、ディナー5,000円~

今後の注目点
第1四半期は、天候や気温の影響を特に受けやすいゴルフ業態の苦戦が響いたが(全店ベースで、1月98.3%、2月75.5%、3月90.8%)、日本フードサービス協会のデータとの比較から、全般には健闘した事がわかる。個性を活かした特徴ある業態開発や「倶楽部ダイナック」を中心にした販売促進策の成果が表れつつあるようだ。人手不足によるパート・バイトの人件費上昇は気になるところだが、既存店が堅調な事から、計画通り21店舗を新規出店できれば、通期業績は予想に沿った着地になると考える。
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