(7839:東証2部) SHOEI 東京モーターサイクルショー見学レポート

2014/04/16

SHOEI

3月28日(金)から3月30日(日)にかけて、江東区有明の東京ビッグサイトにおいて「第41回東京モーターサイクルショー2014」が開催されました。東京モーターサイクルショーは、春のバイクシーズンに先がけて毎年3月下旬に開催されるオートバイと関連アクセサリーの見本市であり、例年100社以上の国内外の車両メーカー、販売代理店、パーツ・アクセサリー関連企業等が出展し、10万人以上の来場者を集めています(モーターサイクル関連の展示会では国内最大の規模を誇る)。
高品質・高付加価値の「プレミアヘルメット」が世界の有力ライダーから高い評価を受けているヘルメット・メーカー SHOEI のブースを訪ねてみました。

「東京モーターサイクルショー」は、オートバイ産業の振興と文化の育成・普及を目的に1971年(昭和46年)に第1回が開催された。「第30回大阪モーターサイクルショー2014」と連動している(3月21~23日)。
【113万人を集め、盛況のうちに終了】
※会場写真は(株)インベストメントブリッジ撮影

2014年のモーターサイクルショーには、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキといった国内の車両メーカー、ハーレーダビッドソンやBMW等の海外車両メーカー、パーツ・アクセサリーメーカー、関連団体、更には出版社など122社が出展し、113万人(前年比3%増)の来場者を集めた。2014年は各出展者が例年よりも広いブース面積を要求したため、出展数が減少しキャンセル待ちが出たと言う。

【「プレミアヘルメット」のSHOEIブース】

ヘルメット・メーカーのブースとしては比較的大きな同社のブース。今春発売の新製品「Z-7」を前面に出し、「GT-Air(ジーティー エアー)」、「J-Cruise(ジェイ クルーズ)」、「NEOTEC(ネオテック)」といった売れ筋商品が脇を固めるといったブース構成となっており、平野明人取締役管理本部長とスタッフの皆さんから国内外の販売状況も含めてお話を伺った。

2014年のシーズンに向け「Z-7」を投入

1月30日に14/9期上期の業績予想を上方修正した。同社の製品としては初めて開閉式インナーサンバイザーを搭載すると共に軽量化も図った前期発売の「GT-Air(ジーティー エアー)」(13年4月発売)の販売が好調で、前々期(12/9期)発売の「J-Cruise(ジェイ クルーズ)」(12年7月)と「NEOTEC(ネオテック)」(12年4月)も堅調。開閉式インナーサンバイザー搭載のヘルメットは、同社が採用した事で国内での認知度が高まり、潜在需要が顕在化した感がある。

左から「GT-Air」 「J-Cruise」 「NEOTEC」
2014年のバイクシーズンに向け、Zシリーズの新製品「Z-7」を投入

2013年のバイクシーズンを前に投入された「GT-Air」がツーリング(長時間走行)向けを意識しているのに対して、2014年の新製品「Z-7」は軽量コンパクトを重視してスポーツライディングを意識。「NXR」ブランドで3月に一足早く販売を開始した欧州では、立ち上がりが予想以上に好調と言う(人気製品「XR-1100」の後継製品として、1月に出荷を開始した)。

「Z-7」は、Zシリーズのコンセプトである“軽量かつコンパクトフォルム”を更に進化させた。具体的には、躍動感あふれるエアロフォルムでありながら、更なる空力特性を追求する事で、高速走行時の首への負担を軽減した。

同社の従来モデル「Z-6」との比較で、DRAG(抗力、後ろに押し付けられる力)を5%、LIFT(揚力、浮き上がろうとする力)を1%、それぞれ軽減した(同社の大型風洞実験施設にて測定した参考値比較)。
(同社Webサイトより)

また、ライダーの疲労と集中力低下の一因となる風切音対策を二重三重に施した。具体的には、先ず密閉性を高めたシールドシステムで風切音の発生そのものを最小限に抑え、わずかに発生する風切音も、密着性を高めた内装システムが音の侵入を防止する。加えて、ヘルメット内部のイヤースペースに着脱可能なイヤーパッドを装備する事も可能だ。

上方と側面のリップ形状を独立させる事で柔軟性を高めシールドとの密着性が向上したウインドゥビューイング(左画像)。
イヤースペースには風切音の侵入を防ぐ、着脱可能なイヤーパッドを装備。パッドを取り外したイヤースペースの樹脂プレートにはパンチング加工を施し、内部での音の反響を防止(右画像)。
(同社Webサイトより)

ただ、高効率のベンチレーションシステムを導入しているため、高い密閉性を確保しながら優れた通気性を有し、ヘルメットの中であってもライダーは風を体感する事ができる。

トップシェアを支えるモノづくりのこだわり

優れた空力特性等、ヘルメットとしての高い機能性を備えると共に、ファッション性に富んだ製作難度の高い形状を追求し、それでいて安全性が高く長時間走行でも疲れ難い。「使った人がいかに心地よいか」を追求する同社のこだわりがトップシェアの原動力になっている。

空力特性と静粛性

ヘルメットの空力性能の良し悪しは、高速走行時のライダーの首への負担に直接影響する。このため、同社は風による負担軽減を念頭に、大型風洞実験設備で繰り返し検証を重ね、より確実で実践的なエアロフォルムの形造に取り組んでいる(試作モデルを直接加工しながら数値を取り、時間をかけて少しずつディティールを変えて空力性能を変化させていく)。
また、風除けの「シールド」についても細かい配慮がなされている。「曇り止め」機能をつける場合、通常、「シールド」の内側に「曇り止め」の特殊シートを装着するため二重構造になり、ヘルメットに引っかかってしまう。しかし、同社製品はバネによってバイザーが自動的に前面に持ち上げられる構造になっているため開閉がスムーズだ。

「PINLOCK®fog-free system」はシールド内側に装着する特殊シートの断熱効果で高い防曇性を実現する。このため、雨天等の悪天候時や気温の低い時の走行でも、シールドの曇りを抑えて良好な視界を確保する。

ファッション性と安全性

複雑な形状はファッション性が高いが、安全性を維持しながらこうした形状にするのは難しい。しかし、同社製品は複雑な形状でも全体の強度が均一になるよう成形されている(こうした安全技術は、年間3,000回以上実施されるヘルメットの衝撃吸収試験を経て蓄積されたものだ)。

尚、同社製品には、「GT-Air」等のようにインナーサンバイザーを搭載した製品があるが、サンバイザーは日本のサングラスメーカー山本光学(株)の「スワンズ(SWANS)」を採用している。「スワンズ」は、スポーツサングラスとして高いブランド力を有し、ゴルファーやマラソンランナー等に人気が高く、わずかなひずみもないため、長時間被っても目が疲れない。

比べてみると

好みによるし、あくまで個人的な感想だが、ライバルメーカーのヘルメットは、後頭部の辺りが単調な丸みで「ぼてっ」とした感じ。同じバイク用ヘルメットでも、シャープで洗練された感じの同社ヘルメットとかなり違う。また、グラフィックのデザインや単色ヘルメットのカラーのバリエーションンも差が大きい。

技術的な優位性は説明されてもイメージが浮かび難いが、実際に見比べてみるとよくわかる。

14/9期業績
国内外でプレミアムヘルメットの販売が伸長。円高修正もあり、経常利益が12倍強に拡大

海外市場が前年同期比69.6%増と伸長。欧米の二輪車市場はドイツ、イギリス、北米が底を打った程度で、南欧市場は低迷が続いているが、顧客満足度を追求し差別化に成功した新製品の寄与でプレミアムヘルメットのシェアが上昇している。官需用ヘルメットの減少で前年同期並みの売上にとどまった国内も、二輪車市場の回復継続と新製品効果でプレミアムヘルメットの販売が伸びた。
利益面では、売上高の増加と円高修正効果に加え、好調なヘルメット販売に伴う工場稼働率の上昇(二輪車ヘルメットの生産数量が前年同期比18.1%増加)もあり、売上総利益が9億85百万円と同86.1%増加。変動費を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益が3億95百万円と同8.7倍に拡大した(前年同期は45百万円)。

上方修正された上期予想は前年同期比35.6%の増収、同182.4%の経常増益

プレミアムヘルメットは日本や欧州の好調に加え、前期は円高修正に頼るところが大きかった米国市場も数量ベースで回復基調にある。欧州では、ドイツでの受注が1月・2月の2か月間で前年同期比1.5倍に拡大した他、イギリスや新モデルが牽引役となっているフランスでの売上も増えている。また、リーマン・ショック後の落ち込みが特に大きかったスペイン(二輪車販売が、それまでの1/3に減少)が回復基調にあり、イタリアにも底打ち感が出てきた。欧州の二輪車販売はようやく底打ちした状態で、ヘルメット販売に追い風が吹いている訳ではないのだが、シェアが上昇している。長らく続いた不況で現地のヘルメット・メーカーは疲弊し、開発力と安定した財務基盤を有する同社優位の展開が続いているようだ。

下期も特段の不安はないが、通期予想はひとまず据置

足元も好調が続いており、先行きに特段の不安はないが、下期については精査する必要があるため通期の業績予想を据え置いた。配当は1株当たり16円増配の期末45円を予定している。

今後の注目点
2014年のバイクシーズンを前に投入された新製品「Z-7」。軽量・コンパクトがコンセプトとは言え、モノトーンで単純な形状の競輪用ヘルメットを手にした事がある筆者は、複雑な形状で、メタリックの様な外観から、それなりの重さはあるのだろうと思っていた。しかし、「持ってみて下さい」と平野取締役に促されて手にしてみると、なんと風船のような軽さだった。また、説明を受けた後に、ライバルメーカーの製品と見比べてみると、ファッション性の違いも良くわかり、有意義な時間を過ごす事ができた。今後の新製品「Z-7」の販売と同社業績に期待したい。
尚、通期の業績予想が据え置かれたとは言え、足元の販売は好調で先行きに特段の不安がある訳ではない。二輪車市場が回復基調にある日本に加え、欧州もシェアアップで販売が伸びている。リーマン・ショック後の欧州市場は代理店の経営難で流通が混乱したが、直販体制を主体(欧州販売の約70%)とする同社はその影響を受けずに済んだ。堅実な経営とヘルメットの進化を追及し続ける経営の賜物だ。
ちなみに、三菱商事の商社マンとして世界を駆け回っていた山田会長が同社にやってきたのは1992年。当時の同社は資金難に陥り、会社更生法を申請していた。山田会長(当時は社長)は「自分の会社は自分で守る」の経営理念の下、ヘルメットの進化はもちろん、自らも汗を流し、清掃の仕方にも進化を求めた。「清掃する事で常に問題点がわかる」と言う。同社は、産業の空洞化が懸念される日本で全量を生産し(国内2工場体制)、現在、ワールドワイドでトップシェアを有する。
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