(2154:東証1部) トラスト・テック 2014年6月期上期業績レポート

2014/04/09

trusttech

今回のポイント
・14/6期上期は前年同期比12.7%の増収、同80.0%の経常増益。技術系・製造系共に自動車や自動車部品等の輸送用機器向けが引き続き好調に推移。単価や条件の見直しにより技術系分野の利益率改善も進んだ。尚、13年7月に1株を100株に分割。同年8月に東証2部上場。更に同年12月には東証1部指定となった。

・通期予想は前期比19.3%の増収、同61.7%の経常増益。足元も輸送用機器、半導体装置、住宅関連等の分野で引き合いが増加しており、技術系・製造系共に下期も増収基調が続く見込み。利益面では、旺盛な人材需要に対応するべく採用活動の強化のめために採用費を積み増す考えだが、利益率の高い技術系の売上上振れ等、増収効果で吸収する。期末配当は東証1部指定替えに伴う記念配当10円を含む30円を予定(年50円)。

・厚生労働省によると、2014年12月度の開発技術者の新規求人数は前年同月比22.6%増加した。開発技術者の有効求人倍率は1.39倍と有効求人倍率の1.03倍を大きく上回る状態で採用難が深刻化してきた。このため、採用が進まず好環境を活かせていない同業者が散見される中、同社は強みである営業力や採用力、そして請負化の実績等を武器に需要の取り込みに成功している。

会社概要

メーカーの技術開発部門や製造部門を対象とした人材派遣及び業務の請負・受託を中心に事業展開。製造部門向け派遣・業務請負・受託の(株)TTM、、香港を拠点に中国で事業展開する日系企業向けに人材サービスを提供する香港虎斯科技有限公司(HKTT)及び、障がい者雇用雇用を目的とした特例子会社の共生産業(株)の連結子会社3社と共にグループを形成し、メーカー向けのトータルソリューションの提供を特長としている。

【事業内容 - 開発/設計(上流)から製造/流通(下流)まで一気通貫の人材サービスを提供 -】

事業は、研究開発における技術分野の派遣、請負、業務委託を手掛ける技術者派遣・請負・委託事業、子会社の事業領域で製造工程業務等の請負・受託を手掛ける製造請負・受託・派遣事業、障がい者雇用促進事業、及び不動産賃貸事業の4セグメント。開発・設計(上流)から製造・流通(下流)まで一気通貫のサービスを提供する事で「技術」と「製造」の事業間シナジーを追求している。

技術者派遣・請負・委託事業(13/6期 売上構成比52.5%) 事業主体:(株)トラスト・テック、香港虎斯科技有限公司(HKTT)

売上の約8割を占める技術者派遣と業務請負・委託を中心に、技術者の人材紹介、紹介予定派遣にも対応している。技術者派遣では、同社の技術社員が研究・開発、設計・解析、試作・実験、生産・技術等の業務に従事しており、派遣期間に制限がない。また、香港虎斯科技有限公司(HKTT)が、中国で事業展開する日系企業向けに人材サービスを行っており、ベトナム、インドネシア等、東南アジアへ進出する企業への対応も進めている。尚、当事業に就業する技術社員は「常用雇用者」であり、期間の定めのない雇用契約を締結している。

製造請負・受託・派遣事業(同 売上構成比47.0%) 事業主体:(株)TTM

請負は主に顧客企業の構内において、同社が業務遂行指示や管理業務を含めて、加工・組み立て、仕上げ、検査、梱包・出荷等の作業を行うもので、一般の製造業同様に労働基準法等の関係法令の規制を受ける。売上の約4割が請負・受託で、約6割が派遣。

障がい者雇用促進事業

特例子会社 共生産業(株)が、重度の知的障がい者を主体に雇用し、梱包業務・クリーニング業務等の軽作業や(株)トラスト・テックが神奈川県相模原市に所有する不動産の保全業務を手掛けている。障がい者が健常者と同じ職場で役割分担をしながら安心して働ける職場の提供を目的としたCSRの一環としての事業である(障がい者雇用率は法定の2%を上回る2.65%を維持している)。

【取引先 - 上場企業を中心とした優良な顧客資産 -】

(株)トラスト・テック個別では、顧客企業の90%以上が上場企業(14/6期上期売上高の49%)またはその子会社(同44%)で、上場企業の顧客については5割以上が年商1兆円以上の事業規模を誇る。また、各セグメントの業種別売上構成比は、技術者派遣・請負・委託事業が、輸送用機器51%、次いで電気機器26%、機械10%、精密機器3%、その他10%(14/6期上期)。一方、製造請負・受託・派遣事業が、電気機器21%、輸送用機器16%、機械12%、住宅関連10%、印刷関連9%、食料品8%、その他製品6%、その他18%。

【トラスト・テックの特長・強み - 営業力、採用力、教育・研修、請負化の実績、及び国際化対応力 -】

同社の強みとして、営業力、採用力、技術者への教育・研修、請負化の実績、及び国際化対応力、の5点を挙げる事ができる。営業力は全国へ展開する拠点ネットワークとグループの総合力を源泉とし、全国の拠点に配置された採用担当者と営業担当者が連携する事で即戦力の人材を機動的に採用し(採用力)、顧客企業ニーズにタイムリーにマッチングさせている(マッチングのスピード感が顧客企業から評価されている)。

入社後には、教育・研修のカリキュラムが用意されており、技術者一人一人が目標設定を行うスキルアップ計画を立てることで個々のスキルアップ推進を行っている。また、スキルアップ計画は、技術者、当社担当者、顧客企業の三者間で情報共有し進捗管理を行うことで、技術者のモチベーションアップをはかっている。

また、派遣法改正による規制強化を受けて、「派遣」から「請負」へ人材サービスの利用をシフトさせる企業が増えているが、自己完結で結果責任(生産量、品質、コスト)が求められる「請負」は、「派遣」のノウハウしかない人材サービス会社にはハードルが高い。同社は業務請負で豊富な実績を有し、自社の開発センターでの受託業務にも対応が可能だ。

更に、香港の現地法人(HKTT)は、人材紹介などにより日系企業の中国進出支援や中国現地企業向けサービスで実績を有し、人材サービス会社の海外展開では先頭集団を走る。東南アジアへの展開を視野に入れ、事業を進めている。

【中期経営計画 - ローリング方式による3ヵ年のビジョンと経営数値目標 -】

「派遣」の売上を維持しつつ「請負」を拡大させる事で主力2事業の収益基盤の強化を図る事、及び海外事業や建築分野等への人材紹介を成長ドライバーとして育成・強化していく事の2本柱。メーカー向けのアウトプレースメントサービスや高齢者派遣等、新たな領域の開発にも取り組んでいく考えで、当面の目標は、16/6期に売上高250億円、経常利益率8%(経常利益20億円)。また、17/6期のイメージとして、売上高300億円を掲げている。

(1)技術者派遣・請負・委託事業

16/6期の売上目標を150億円としており、請負・委託の積極的拡大と派遣の安定的成長を念頭に、工作機械、産業機械、電気機器等の業種や設備メンテナンス等の新分野の開拓も含め、従来の営業戦略(繁忙企業に対する総合提案)を徹底。M&Aにも積極的に対応していく考え。
また、人材紹介・新規分野と海外事業の育成にも取り組み、それぞれ16/6期売上高3億円を目標としている。国内においては、派遣の代替えとしての需要も見込める紹介事業を、建設分野への展開も視野に強化する他、メーカー向けのアウトプレースメントサービスや高齢者派遣を念頭に新たな領域の開発にも取り組んでいく。海外事業では、紹介事業を中心に香港現地法人のビジネスが軌道化しつつある事を踏まえて、中国現地法人の設立や東南アジアでの拠点開設を具体化したい考え。

(2)製造請負・受託・派遣事業

顧客企業における請負No.1を目指しシェア拡大に取り組む。16/6期に売上高99億円を目指しており、「派遣」の事業規模を維持しつつ、「請負・受託」を14/6期から16/6期にかけての3年間で高めていく考え。また、生産負荷変動への対応と単価・条件交渉により「請負」の利益率向上にも取り組み、当事業の経常利益率を4.5%以上に引き上げる。

2014年6月期上期決算
輸送用機器、電気機器、住宅関連等の好調で稼働社員数が順調に増加

売上高は前年同期比12.7%増の84億20百万円。輸送機器関連企業向けが好調に推移する中、半導体装置関連企業向けが回復した技術者派遣・請負・委託事業の売上が同16.0%増と伸びた他、輸送用機器向けの好調と電気機器や住宅関連での受注獲得で製造請負・受託・派遣事業の売上も同9.1%増加した。

利益面では、増収効果に加え、技術者派遣・請負・委託事業における単価の改定及び条件の改善や前年同期に顧客企業の減産で製造請負・受託・派遣が落ち込んだ反動もあり、営業利益が倍増。助成金収入が減少したものの(40百万円→14百万円)、経常利益も6億43百万円と同80.0%増加。技術者派遣・請負・委託事業において単価の改定が想定以上に順調に進んだ事や製造請負・受託・派遣事業での請負の業務量も想定以上に増加したため、各利益段階で期初予想を大幅に上回る着地となった。

技術者派遣・請負・委託事業

売上高45億26百万円(前年同期比16.1%増)、セグメント利益4億87百万円(前61.8%増)。自動車・自動車部品等の輸送用機器関連企業向けが引き続き好調に推移する中、半導体装置関連企業の回復もあり、上期末の技術社員数が1,402名と前年同期末に比べて190名増加(前期末との比較では109名増加)し、稼働率も97.1%と同2.1ポイント上昇(同18.8ポイント改善)。契約条件の改善や単価改定も想定以上に進み利益率も改善した(7.7%→10.8%)。

製造請負・受託・派遣事業

売上高38億63百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益1億45百万円(同229.5%増)。輸送用機器向けの好調に加え、電気機器や住宅関連での受注獲得もあり、上期末の当セグメントの社員数が2,263名と前年同期末に比べて388名増加した(前期末との比較では115名増加)。利益面では、売上の増加に加え、前期に発生した顧客企業の減産に伴う一過性経費の影響がなくなった事もあり、前年同期比で大幅な増益となった。

財政状態に大きな変化はなく、上期末の総資産は前期末に比べて89百万円減の54億54百万円。自己資本比率は65.6%と前期末に比べて2.8ポイント改善した。無借金経営で流動性に富んだ財務体質が同社の強みだ。

CFも安定している。事業の拡大で運転資金が増加したものの、前年同期を上回る2億43百万円の営業CFを確保し、フリーCFは2億17百万円。一方、財務CFは配当金の支払い等で2億89百万円のマイナスとなった。

2014年6月期業績予想
上方修正された通期予想は前期比19.3%の増収、同61.7%の経常増益

足元も引き続き輸送用機器、半導体装置、住宅関連等の分野で引き合いが増加しており、技術者派遣・請負・委託事業、製造請負・受託・派遣事業共に下期も増収基調が続く見込み。利益面では、旺盛な人材需要に対応するべく採用組織を強化すると共に採用費を積み増す考えだが、利益率の高い技術系の売上上振れ等、増収効果で吸収。前年同期比で大幅な増益が見込まれ、各利益の予想を上方修正した。

技術者派遣・請負・委託事業は、引き続き自動車関連企業からの受注が増加している事に加え、半導体製造装置関連企業等からの引き合いも増加傾向。期末技術社員数が1,530名と前期末比18.3%増加する見込み。一方、製造請負・受託・派遣事業は、自動車部品、住宅関連、家電等の加工・組立業務の引き合いが増加しており、期末社員数が2,595名と同24.6%増加する見込み。

期末配当は1株当たり東証1部指定替えに伴う記念配当10円を含む30円を予定

期末配当は1株当たり東証1部指定替えに伴う記念配当10円を含む30円を予定しており、上期末配当20円(東証2部上場に伴う記念配当10円を含む)と合わせて年50円となる見込み。予想配当性向は61%。同社は安定的な配当の実施を基本としつつ、グループの発展及び企業体質強化のための内部留保と業績に応じた株主還元のバランスを取りながら配当を実施していく考え。

今後の注目点
厚生労働省「一般職業紹介状況(平成25年12月分及び平成25年分)によると、2013年12月度の開発技術者の新規求人数は前年同月比23%弱増加した。開発技術者の有効求人倍率は1.39倍と有効求人倍率の1.03倍を大きく上回る状態で採用難が深刻化してきた。
同社の技術者派遣・請負・委託事業では、自動車関連企業の旺盛な人材需要が続く中、半導体製造装置や工作機械等で人材需要が増加傾向にあり、エレクトロニクス系ではスマートフォン関連の電子部品や白物家電が回復傾向。プラント関連(海外案件を国内で設計)も動き出した。単価の上昇や契約条件の改善で収益性が高まっている事も昨今の特徴だ。また、製造請負・受託・派遣事業では、引き続き自動車部品、住宅関連、家電等の加工・組立業務の引き合いが増加している。
人材需要の急増で採用難が深刻化しつつあり、採用が進まず好環境を活かせていない同業者もあるが、同社は需要の取り込みに成功している。上期決算は同社の強みである「営業力」、「採用力」、そして「請負化の実績が持つ訴求力」を実感するのに十分なものだった。今期の増益率が同業他社との比較で群を抜いている事もうなずける。
中期的には国内に頼ってばかりではなく、海外マーケットの開拓が不可欠だが、同社においては、既に香港の現地法人(HKTT)が人材サービスによる日系企業の中国進出支援や中国現地企業向けサービスで実績をあげている。中期的な成長力を左右する海外展開において、業界内で先頭集団を走っている事も頭に入れておきたい。
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