(4849:JASDAQ) エン・ジャパン 2014年3月期第3四半期業績レポート

2014/02/26

enjapan

今回のポイント
・14/3期第3四半期は売上高が前年同期比18.0%の増収、経常利益が同29.7%の増益。売上面は、企業の求人ニーズが旺盛であったことから、主力の「[en]社会人の転職情報」及び子会社のエンワールド・ジャパンを中心に増加した。また、今期から新規に複数子会社の連結を開始したことも寄与した。利益面では、新規連結による人員の増加や積極的なプロモーション活動などにより費用が増加したものの、増収により吸収し、増益となった。

・14/3期予想は期初計画である前期比20.2%の増収、同15.5%の経常増益に変更なし。売上高は中途採用事業がけん引する見込みで、海外子会社等の連結化も始まる。利益面では、プロモーション強化、人員増による人件費の増加、新規連結開始に伴う費用の増加等を増収効果で吸収。配当も期初予定である期末21.5円(13年10月1日の株式分割を考慮)から変更なし。

・雇用環境の改善が続いているものの、企業の採用ニーズは二極化が進んでいる。このため、同社では従来の求人広告に加えて人材紹介サービス「[en]PARTNER」を強化しており、今後の成長が加速する可能性を秘めている。しかし、雇用環境の急激な好転は、同社自身にとっても人材の確保が難しくなるリスクを内包しており、今後の逸失利益の拡大も想定される。同社の財産である約600万人を超える会員数が武器となり、今後の事業拡大のボトルネックを解消していけるのか注目される。

会社概要

人材総合サービス企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく考え。グループは、同社の他、連結子会社10社、持分法適用非連結子会社1社等。

同社の特徴と強み
① 求職者視点の求人広告
同社は、「求職者の視点に立った情報」を提供することに徹底的にこだわっている。独自取材による「正直」で「詳細」な求人広告は、「仕事を大切に、転職は慎重に。」というプロモーションにおけるコピーに象徴されるように、安易な転職はしてほしくないという考え方のもとに制作している。
② インターネットを最大限に活用しつつ、きめ細やかな対応も実現
転職全般の疑問や不安に回答する「メール転職相談」、WEB履歴書の添削を行う「レジュメコーチ」、採用面接官が重視するポイントを事前にメールでアドバイスする「面接アドバイス」、また、入社時期や年収といった希望を、当社スタッフが企業に対して代理で打診・調整し、メールで求職者に伝える「希望条件打診サービス」などは、同社独自の転職サポート。また、「[en] 社会人の転職情報」、「[en] PARTNER」を通じて転職したユーザーに対して、入社後も3年間サポートを行う「en アフターサポートプログラム」を開始。転職後の活躍・定着を支援する取組みを一層強化している。
③ 求職者と求人企業の高いフィッティング率
「[en]社会人の転職情報」は、求職者満足度98.0%(2012年2月調査)、企業満足度92.5%(2011年12月調査)という高い評価を得ている。高い評価の背景には、「求職者視点」と「情報の質」に徹底的にこだわった求人広告と、同社のサイトを通じて入社した求職者の入社後の活躍と高い定着率が背景にあると思われる。
④ 600万人を超える会員
同社は、約600万人を超える会員(※2013年3月現在「[en] 社会人の転職情報」、「[en] 転職コンサルタント」、「[en] ウィメンズワーク」、「[en] 派遣のお仕事情報」、「[en] チャレンジ! はた☆らく」合計)を有している。また、これまでに採用を手伝った企業は延べ5万社以上にのぼる。 同社のサービスに対する満足度と高い知名度によって獲得した会員と取引企業の数は、事業における大きなアドバンテージとなる。
2014年3月期第3四半期決算
売上高は18.0%増、経常利益は29.7%増益

売上高は前年同期比18.0%増の120億80百万円(約18.4億円増)。顧客の採用ニーズの高まりから求人広告の販売が好調で「[en]社会人の転職情報」の売上が同7.2億円増加した他、子会社エンワールド・ジャパン(以下、EWJ社)の売上が同3.1億円増加し増収をけん引。この他、当第1四半期から新たに子会社を連結したことも売上増加に寄与した。
利益面では、人員の増加や積極的なプロモーション活動により費用(売上原価+販管費)が同17.3%増加したものの、売上の伸び率を下回り営業利益は同20.6%増加した。この他、為替差益等1.7億円の計上などにより経常利益が同29.7%増加、投資有価証券売却益20.3億円の計上により四半期純利益は111.6%増加した。

中途採用事業

当事業には、「[en] 社会人の転職情報」、「エン 転職コンサルタント」、「[en] 派遣のお仕事情報」、「[en] チャレンジ! はた☆らく」、「[en] ウィメンズワーク」、EWJ社、海外子会社、中途関連その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
「[en] 社会人の転職情報」及びEWJ社をけん引役に、売上高が106億65百万円と前年同期比21.0%増加した。人件費やプロモーション費用が増加したものの、費用(売上原価+販管費)の増加が同18.7%の増加にとどまりセグメント利益は27億28百万円と同28.3%増加した。

商品別では、「[en] 社会人の転職情報」は、企業の採用ニーズが旺盛であったことから、求人広告が前年同期を上回る掲載件数となったほか、オプション商品を利用する企業も増加したことなどから、前年同期比増収となった。また、人材紹介サービス「[en] PARTNER」は、前四半期を大きく上回る入社人数及び売上高となった。
この他、「エン 転職コンサルタント」は、人材紹介マーケットが回復基調にあることや、顧客の人材紹介会社への拡販が進み、掲載社数が増加し同増収となった。「[en] 派遣のお仕事情報」は、企業の派遣社員採用のニーズが高い状態が続いたことにより、顧客である派遣会社からの受注が増加したことや新規営業の強化により新規掲載社数が増加したことなどから売上が同年同期比増加した。「[en] チャレンジ! はた☆らく」は減収となったが、これは一般事業会社向けの販売を昨年6月に停止し、派遣会社向けのサイトに変更したためであり、販売系職種のニーズが高かったこと等から計画を上回る売上となった。[en] ウィメンズワーク」も、大手・中堅の派遣会社のニーズが増加傾向にあることから、着実に売上を伸ばした。

グローバル企業向けにバイリンガル人材の人材紹介・人材派遣を手掛けるEWJ社は、業種を問わず概ね好調であったが、特にBtoC領域、IT、金融が寄与し、前年同期比増収となった。営業強化のための各種施策を集中的に実施したことも奏功した。
また、海外子会社は今期から海外子会社7社の新規連結を開始したことが売上の増加要因となったものの、自社で拠点を立ち上げた国は計画より収益化に時間を要している。海外事業全体での利益寄与は来期以降を計画している。また、当第3四半期より、Navigos Group(ベトナム)のP/Lが連結された。

新卒採用事業

当事業には、「[en] 学生の就職情報」、新卒関連その他(適性テスト等)の収益が計上されている。
売上高は前年同期比13.5%減の10億10百万円、セグメント利益は21百万円(前年同期は1億90百万円の利益)の損失となった。平成27年3月卒業予定学生向けの「[en] 学生の就職情報2015」の積極的なプロモーションを強化したことで、会員の獲得及びエントリー数は順調な結果となったものの、競合との競争が激化したことから、受注が予定通り進まなかった。費用の増加(広告宣伝費・販売促進費は、前年同期の94百万円から2億17百万円へ増加)もセグメント損失に影響した。

教育評価事業

当事業には、人事制度コンサルティング、定額制研修サービス「エンカレッジ」、適性テスト、子会社であるシーベースの収益が計上されている。
売上高は前年同期比97.6%増の4億43百万円、セグメント利益は同141.3%増の86百万円となった。定額制研修サービス「エンカレッジ」は、講座のラインナップを拡充したほか、会員企業向けに効果事例を共有するイベントを開催したことなどから、リピート率が向上した。昨年4月から開始した大阪展開が順調に進み、今期計画の会員企業数に到達した。また、今期から新たに連結対象になったシーベースの業績は、概ね計画通りとなった。

当四半期末の総資産は前期末比24億31百万円増の208億95百万円。資産の部で現金及び預金が増加したこと、連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得により無形固定資産でのれんが増加したこと、資本の部で当四半期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が増加したことなどが主な増加要因。総資産の約52%を現預金が、約66%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約80.1%と、高水準を維持している。

今後の成長戦略

今後の強化ポイントとして、①人材紹介サービスの強化、②海外展開の推進の2つを掲げている。

(1)人材紹介サービスの強化

リーマンショック後に大きく落ち込んだ企業の採用ニーズは回復基調が続いており、アベノミクス効果も加わって足元は活況を呈している。しかし、企業の採用ニーズは二極化が進んでおり、企業が将来のコア人材として期待するポジションや人材が不足している職種などは、厳選採用が進んでいる。候補人材と面談し、スキルに加えて考え方や人柄なども含めたマッチングが可能な人材紹介の需要は今後も堅調に推移するとみており、子会社のEWJ社とともにエン・ジャパン本体の人材紹介サービス「[en] PARTNER」を強化していく方針。

(2)海外展開の推進

2010年にグローバル企業向けに人材紹介を行っているエンワールド・ジャパンを子会社化して以降、海外展開を積極的に進めている。2011年9月 シンガポール、2012年4月 香港、2012年12月 韓国において「en world」ブランドで人材紹介サービスを開始。また、2012年6月にオーストラリアで人材紹介・人材派遣を行っているcalibrate、2013年4月にベトナムNO.1の求人サイト及び人材紹介を展開しているNavigos Group、同年12月にタイの人材紹介会社 Capstone Groupを買収した。 今後もアジア太平洋地域は経済成長が見込まれ、人材採用ニーズも高まることが予想される。また採用活動もボーダーレス化すると思われる。こういった動きに対応するための基盤を早期に構築するべく、引き続き海外展開を推進していく方針。更に、採用事業のみならず、教育・評価事業を有していることから、今後はそれらを活かして転職者・就職者の入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスの提供していく。

現在、子会社として6カ国に8つの事業会社を展開している。
※1 (株)シーベース(2012年に子会社化) 採用管理、人事評価、Webリサーチシステム等のASP事業を展開。

※2 Navigos Group は2014年3月期第3四半期からPLを連結。

※3 Capstone Group,en Holdings(Thailand)は2015年3月期よりPL連結開始予定。

2014年3月期業績予想
前期比20.2%の増収、同15.5%の経常増益予想

14/3期第3四半期累計の経常利益は、期初の計画を大きく上回って着地したものの、前期比20.2%の増収、同15.5%の経常増益予想に変更なし。
政府による各種政策の効果により、企業の収益環境が改善傾向となり、13年12月の有効求人倍率は、6年3ヵ月ぶりに1.03倍となるなど、企業の採用ニーズは高まっている。こうした事業環境の中、売上面で同社は今後も全般的な業種において企業の人材採用意欲が旺盛な状況が続くと見ている。また、EWJ社を含めた中途採用事業が業績をけん引する見込みで、海外子会社等の連結化も始まっている。利益面では、プロモーション強化や人員増による人件費の増加、新規連結開始に伴う営業費用が増加するものの、増収効果で吸収して営業利益が32億円と同15.0%増加する見込み。上期未消化となった、広告宣伝・販促費は、下期に消化する予定。
投資有価証券の売却益を特別利益に計上したことから、5月16日に当期純利益の計画を16億円65百万円から29億円へ修正済み。
配当も1株当たり21.5円の期初予定から変更なし。

今後の注目点
円安・株高による企業業績の回復により、我が国の雇用環境は急速な改善を見せている。13年12月の雇用データを見ると、厚生労働省発表の国内有効求人倍率(季節調整値)は、1.03倍と前月に比べて0.03ポイント上昇し、約6年3ヵ月ぶりの高い水準となった。景気の先行指標となる12月の新規求人(原数値)は前年同月と比較し10.9%増加した。また、総務省統計局発表の完全失業率(季節調整値)は3.7%と前月に比べ0.3ポイント低下した。更に、公益社団法人全国求人情報協会の調査データによると、求人サイト(インターネットの求人専門サイトで提供されるもの、アルバイト等も含む)へ掲載された求人掲載件数は12月に前年同月比で68.5%増加した。こうした雇用環境の改善は、ネット求人広告大手の同社の業績へも好影響を与えるものと予想される。特に、近年強化している人材紹介サービスの拡大により、今後同社の成長性が加速してくる可能性を秘めている。しかし、雇用環境の急激な好転は、同社自身にとっても優秀な人材が確保できなくなるリスクも内包しており、今後の逸失利益の拡大も想定される。同社の財産である約600万人を超える会員数が武器となり、今後の事業拡大のボトルネックを解消していけるのか注目される。
また、好調な中途採用事業に対して、競合との競争激化により新卒採用事業のセグメント利益が赤字になっていることは心配な材料である。今後どのような戦略により、新卒採用事業の立て直しを図っていくのかについても注目していきたい。
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