(4573:JASDAQ) アールテック・ウエノ 2014年3月期第3四半期業績レポート

2014/02/26

rtech

今回のポイント

・2014年3月期第3四半期は、前年同期比38.7%増収、129.2%営業増益となった。通期会社計画(売上高5,308百万円、営業利益1,285百万円)に対する進捗率は、売上高79.4%、営業利益84.2%と順調に推移した。アミティーザの米国向け納入価格の変更があったことに加え、国内及び北米での販売も好調に推移したことが全体業績の牽引役となった。収益面では研究開発費が前年同期比19.4%増の983百万円に増加したものの、増収効果の寄与により売上高営業利益率が前年同期15.5%から25.7%に上昇した。

・2014年3月期会社計画は、前期比16.6%増収、同63.8%営業増益から変更はない。第3四半期までの進捗をみる限り、達成確度は高いだろう。北米において同社が受託製造している慢性特発性便秘症治療薬や便秘型過敏性腸症候群治療薬の販売が拡大することに加え、国内でのアミティーザ販売が通年寄与してくることが増収を支える。好調な業績を背景に一株当たり配当を当初予想より5円増額し、年20円から25円に修正した(前期配当実績15円より10円の増額)。

・資本市場から寄せられる視線は2015年3月期以降へと向かう時期に入った。同社が創薬ベンチャーでありながら、現在のキャッシュカウであるアミティーザ、レスキュラに加え、適正な研究開発に基づいた新たなキャッシュカウの存在を背景に、来期以降の収益源をきちんと確保している点が改めて再評価されることになるだろう。中期的視点では、収益と研究開発のバランスを取ることでROEを向上させていくという堅実な経営戦略の実現性にもより注目していきたい。

会社概要

眼科、皮膚科に分野を特化し、医薬品の研究開発・販売に取り組む創薬ベンチャー。新規医薬品の研究開発事業、医薬品の製造・販売事業、医薬品開発支援及び受託製造サービス事業の3事業が主。具体的には、緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ」の製造・販売と慢性特発性便秘症及び便秘型過敏性腸症候群治療薬「アミティーザ」の受託製造により収益を確保しつつ、眼科領域及び皮膚科領域の局所疾患をターゲットとした新薬の開発に取り組んでいる。「レスキュラ」については、94年の発売以来、世界45カ国で50万人以上の患者に処方されている。
医師目線の経営(Physician-Oriented Company)、自社工場を有すること、既に収益源を確保していること、などが他創薬ベンチャーとの大きな違いになっている。
2014年3月期第3四半期累計期間の売上構成比は、レスキュラの製造・販売が27.2%、アミティーザの受託製造が69.7%、医薬品の研究開発支援サービスが3.1%。

2014年3月期第3四半期決算

2014年3月期第3四半期は、前年同期比38.7%増収、129.2%営業増益となった。2013年7月16日に修正した通期会社計画(売上高5,308百万円、営業利益1,285百万円)に対する進捗率は、売上高79.4%、営業利益84.2%と順調に推移した。アミティーザの米国向け納入価格の変更があったことに加え、国内及び北米での販売も好調に推移したことが全体業績の牽引役となった。
収益面では研究開発費が前年同期比19.4%増の983百万円に増加したものの、増収効果の寄与により売上高営業利益率が前年同期15.5%から25.7%に上昇した。

レスキュラ

レスキュラは前年同期比23.7%増の1,144百万円で着地した。スキャンポ社が米国でレスキュラ点眼薬の添付文書の記載内容を変更して再上市したことを受け、北米市場でQ1期間に101百万円の売上高を計上したことに加え(前年同期実績なし)、日本市場でも前年同期比12.8%増の1,042百万円を確保している。継続的に販売先との共同プロモーションに取り組んできた成果が、毎四半期安定的に売上高を計上することに繋がっている。
日本国内で展開した主なプロモーション施策は次の通り。
1) 緑内障の早期発見を目指して眼科医を対象に眼底読影勉強会を開催
2) 製品説明会等を通じたレスキュラの販売促進活動
3) 学会セミナーの開催や講演会記録集等の作成により製品特性等の情報提供を活発的に行う

アミティーザ

アミティーザは前年同期比47.2%増の2,937百万円となった。北米市場において販売提携先である武田薬品工業からの受託数量が増加したことに加え、納入価格が変更されたこともあり、前年同期比29.4%増の2,353百万円と伸長。スキャンポ社が2012年7月5日に日本において慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)治療薬の製造販売承認を取得したことに伴い、日本市場の売上高も前年同期比229.9%増の584百万円となった。なお、北米市場において独占的製造供給契約を締結しているスキャンポ社は、米国において非癌性疼痛患者を対象とした非癌性オピオイド誘発性便秘症治療薬を新たな適応として追加新薬申請の承認を取得した。英国やスイスにおいても慢性特発性便秘症治療薬として販売承認を取得していることから、今後販売地域の拡大が期待される。

(3)研究開発の状況について

2014年3月期第3四半期における研究開発費は983百万円(前年同期比19.4%増)となった。
2013年10月以降においては、網膜色素変性に対するウノプロストン(UF-021)点眼液の第3相臨床試験の症例登録が当初予定よりも早いペースで完了(2013年10月)、重症ドライアイに対する人血清アルブミン(RU-101)点眼液の第1相/第2相臨床試験のステージ1が完了し、ステージ2の症例登録を開始(2013年11月)、が会社側からリリースされている。非臨床段階の研究開発パイプラインについても着実に準備が進んでいるもよう。

2013年12月末の総資産は前期末比1,491百万円増加し11,411百万円となった。流動資産は前期末比540百万円増加。北米でのレスキュラ出荷に伴い一時的に膨らんでいた売掛金が前期末比927百万円減少したものの、現預金が同956百万円、前払金が同326百万円それぞれ増加した。固定資産は前期末比950百万円増加。投資有価証券が同933百万円増加した影響が大きい。流動負債は前期末比78百万円減少の895百万円。網膜色素変性の治験開始に伴う支払増加により増加していた未払金が減少したことが背景にある。剰余金の配当289百万円を四半期利益813百万円、有価証券評価差額金601百万円増加でカバーした結果、純資産は前期末比1,150百万円増の9,342百万円となった。自己資本比率は81.4%(前期実績82.3%)。

2014年3月期業績予想
来期以降への期待が高まる

2014年3月期は、前期比16.6%増収、同63.8%営業増益を予想。従来予想から変更はない。慢性特発性便秘症治療薬や便秘型過敏性腸症候群治療薬の受託製造が拡大する北米に加え、国内でのアミティーザ販売が通年寄与してくることも増収を支える。これまで下降トレンドにある国内のレスキュラ販売についても、特性を活かしたマーケティング活動や新たなプロモーション活動の実施を背景に、処方数を維持していく計画。但し、北米市場は前期に初期出荷があった反動もあり、今期は減収に転じる公算が高い。
収益面では、売上高営業利益率の改善に伴う増益幅拡大を見込む。研究開発費は前期比ほぼ変わらずの1,278百万円を計画。網膜色素変性の第3相臨床試験及びドライアイ治療薬の第1/2相臨床試験が本格的に始まっているものの、その他のパイプラインとのバランスを取ることで、研究開発費の過剰な拡大を抑制する。また好調な業績を背景に一株当たり配当を当初予想より5円増額し、年20円から25円に修正した(前期配当実績15円より10円の増額)。

今後の中長期成長戦略

同社は中期的な経営計画として「2016年3月期までにROE(自己資本利益率)10%以上達成」を掲げている。収益と研究開発費のバランスを取りながら効率的な経営を行っていく計画。2012年3月には8.9%あったROEは2013年3月期に6.9%まで低下した。その要因はROE3分解(収益性、効率性、財務レバレッジ)のうち収益性(売上高純利益率)でほぼ説明することが可能である。故に収益と研究開発費とのバランスを重視することで、改めて収益性の改善を図り、ROE上昇に繋げていくことになろう。
今後3年間についてはレスキュラとアミティーザをベースにしっかりとした財務基盤を維持し、安定配当という形で株主還元も実現させつつ、中期経営計画の達成確度を高めていく。その上で網膜色素変性治療薬の上市、ドライアイ治療薬のライセンスアウトを実現することで更なる企業価値向上を図っていく。もちろんその先に繋がっていく次なる成長エンジンの開発にも取り組んでいる。

今後の注目点
2014年3月期第3四半期は堅調に推移した。通期会社計画を達成するためには、第4四半期会計期間で前年同期比28%減収、35%営業減益以上の結果を残す必要がある。足下の状況等を鑑みると、今期会社計画が過達となる可能性は高いだろう。資本市場から寄せられる視線は徐々に2015年3月期以降へと向かうだろうが、現在のキャッシュカウであるアミティーザ、レスキュラに加え、適正な研究開発に基づいた新たなキャッシュカウの収益寄与も見込まれる。創薬ベンチャーでありながら、来期以降の収益源がきちんと確保されていることは評価に値する。今後は収益と研究開発のバランスを取ることでROEを向上させていくという堅実な経営戦略の実現性にもより注目していきたい。
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