(3672:東証マザーズ) オルトプラス 2014年9月期第1四半期業績レポート

2014/02/19

altplus

今回のポイント

・14/9期1Qの売上高は698百万円。前年同期は上回ったものの、前期比では、継続運用タイトル(16タイトル)の減収を、新規タイトルによる売上増41百万円で補えず、45百万円の減収。ベトナム子会社における開発・運用ラインの整備に伴う先行投資的費用増等により、前期及び前年同期で減益。今期より連結決算を開始。

・14/9期通期予想に変更は無い。1Qの上半期に対する進捗を見ると、利益は既に超過しており当初計画に対し順調な推移となっている。今期は中長期的な成長のための投資の時期と位置付けているが、通期では2ケタの増収・増益を計画している。配当に関しては現時点では未定。

・前期比で減収・減益ではあったものの、上期進捗率は極めて順調であり、ベトナム子会社の立ち上がりに加え、以前より会社側が述べていた「国内外パートナー開発会社との協業」もこの四半期に既に実績が生まれたことも含めて計画通りの推移となっている。今期は中長期的成長のための投資の時期と位置付けているが、4-6月以降の進捗により上振れの可能性も出てきた第1四半期決算だった。今後の新規タイトルリリース状況を注目していきたい。

会社概要

国内SNSプラットフォーム(GREE、mobage等)及びAppStore、GooglePlayにソーシャルゲームを提供。全て自社で企画・開発を手掛ける「オリジナルタイトル」と、他社が保有するIP(知的財産権)を利用して開発する「他社IP利用タイトル」の2種類がある。主要タイトルである「バハムートブレイブ」における2013年12月末のゲームユーザー数は約151万人。2010年5月創業後、2年11ヵ月で東証マザーズへ上場。
開発力のみでなく、ユーザー目線に立った「サービス重視」の経営理念が大きな特徴。2013年12月末で21本のタイトルを運営中。

【沿革】

代表取締役CEOの石井武氏は、(株)AQインタラクティブ(現、(株)マーベラスAQL,7844)のネットワークコンテンツ事業部長時代の2009年に、「ブラウザ三国志」というPC向けのブラウザゲームをリリースした。「ブラウザ三国志」はPCにソフトをインストールする必要のない「ノン・インストール」と呼ばれるタイプで、ゲームユーザーにとってはその手軽さが大きな魅力であった。加えて同年8月、PCゲームのオープンプラットフォーム化を開始した(株)ミクシィに同ゲームを提供したところ、大変なヒットとなった。この反響に、PCブラウザゲームや、そのころようやく認知が広がり始めたソーシャルゲームの将来性を強く感じた石井氏は、(株)AQインタラクティブを退社して2010年5月に(株)オルトプラスを1人で設立した。
この同社設立時期は、2010年1月に(株)ディー・エヌ・エーが「mobage」を、2010年6月にはグリー(株)が「GREE」をそれぞれオープンプラットフォーム化したタイミングと合致し、制作したゲームを受入れてもらえる環境が急速に整った点は同社のその後の成長にとって大きなポイントであった。
PCブラウザゲームは多額の開発資金が必要なのに対し、モバイル向けのソーシャルアプリであれば資金的な負担も比較的小さいため参入も難しくないと考え、このタイミングを活かし、2010年7月にスタッフを増強して制作を開始。同年8月にはゲームタイトル第1号となる「ダービーズキングの伝説」をリリースし、2011年10月には現在の中心的人気タイトル「バハムートブレイブ」を発表した。オープンプラットフォーム化したグリー(株)が、想定通りにゲームタイトルを調達できなかったという事情もあり、同社ゲームのGREE上での存在感は高まり、多くのファンを獲得。2011年2月には「ダービーズキングの伝説」がGREE Platform Award2010において優秀賞を受賞した。
『GREE Platform Award』は、GREE内のゲームアプリの中から、累計コイン消費額、ユーザー数、ユーザーのアプリ利用状況などを総合的に判断して優れているアプリを表彰するもの。その後も、数度にわたり同社ゲームアプリは表彰されている。
ソーシャルゲーム市場の拡大とユーザー評価の高まりの中、業容は急速に成長し、2013年3月 東証マザーズへ上場した。グリー(株)とは2012年9月に業務提携を締結。上場同日に合弁会社「(株)オルトダッシュ」を設立した。2013年10月に、開発・運用体制の拡充を目指しベトナム子会社ALTPLUS VIETNAM Co.,Ltd.を設立。

【市場環境】

矢野経済研究所の調査「ソーシャルゲーム市場に関する調査結果 2012」によると、国内ソーシャルゲームの市場規模は2012年度 3,870億円(前年度比 +37%)、2013年度 4,256億円(同 +10%)と成長率は鈍化するものの引き続き拡大基調が予測されている。

また、主要各社は、スマートフォンへの対応、海外市場の開拓などを今後の中心的戦略として掲げていると言及している。

【事業内容】
<ビジネスモデル>

国内SNSプラットフォーム(GREE、mobage等)及びAppStore、GooglePlayにソーシャルゲームを提供している。
主要タイトルである「バハムートブレイブ」の2013年12月末のゲームユーザー数は約151万人。

(1)オリジナルタイトル

同社が自らコンテンツを企画・開発し、国内SNSプラットフォーム(GREE、mobage等)及びAppStore、GooglePlayに提供。
ゲームユーザーは課金アイテムなどの購入料をプラットフォームに支払い、プラットフォームは、手数料を差し引いた収益分配金を同社に支払う。
このネットの収益分配金が同社の売上となるため、損益計算書にはプラットフォームに対する支払手数料は勘定科目として現れない。

(2)他社IP利用タイトル

出版社やアニメ制作会社といった他社が保有するアニメのキャラクター、ストーリー等のIP(知的財産権)を利用したゲームの開発をIP保有会社に提案。開発したゲームを国内SNSプラットフォーム(GREE、mobage等)及びAppStore、GooglePlayに提供している。
ゲームユーザーが支払う課金アイテム購入料からプラットフォームへの手数料を差し引かれた対価が一旦IP保有会社に支払われ、IP利用料を差し引かれた収益分配金がIP保有会社から同社に支払われる。
こちらもネットの収益分配金が売上として計上されている。

売上原価は殆どが開発費(開発にかかる人件費、外注費等)。

<開発体制>

2013年12月末の開発スタッフは日本、ベトナム合わせて141名。
現タイトルのうち、安定して運営できているものはベトナムに移管し、日本スタッフは新たなタイトル開発に注力する体制へ移行中。またベトナム現地でも優秀なスタッフを採用し、開発力・運営力の向上を目指している。
現場への権限委譲を進めつつ、「サービス重視」の理念浸透を追求している。

<主要ゲームの概要>
(1)オリジナルタイトル

主要オリジナルタイトルは以下の4つ。

◎ダービーズキングの伝説

歴代の名馬や現役の競走馬が実名で登場する本格競馬シュミレーションゲーム。 2010年8月リリース。

◎バハムートブレイブ

伝説の指輪に託された使命を果たすべく、神魔を操り大陸に平和を取り戻すため戦う本格カードバトルRPG。 2011年10月リリース。

◎精霊ファンタジア

可愛い精霊たちが住む世界に迷い込んでしまった主人公が精霊の力を借りて困難を乗り越えるファンタジーRPG。
2012年7月リリース。

◎三国志ギルドカーニバル

グリー社と共同開発を行った、新ゲームエンジン『リアルタイムGvG(注)』を採用したオルトダッシュ第1弾タイトル。
2013年7月リリース。

(注)GvGとは、プレイヤー(ユーザー)の集団(Guild)と集団が戦うゲームシステム。Guild vs Guildの略。

(2)他社IP利用タイトル
◎エンペラーズ サガ

(株)スクェア・エニックスが保有するIP「ロマンシング サガ」シリーズを基にしたカードバトルゲーム。

◎サモンナイト コレクション

(株)バンダイナムコゲームスが保有するIP「サモンナイト」シリーズを基にしたカードバトルゲーム。

◎聖闘士星矢 アルティメットウォーズ

車田正美/東映アニメーションが保有するIP「聖闘士星矢」シリーズを基にしたカードバトルゲーム。

特徴と強み
①サービス重視の経営理念

ゲーム開発会社というと「開発力」が最も重要なキーワードと考えがちだが、石井CEOは『ソーシャルゲーム業界はサービス業であり、プロダクト・アウトではない「マーケット・イン」、「サービス重視」の経営理念が同社の大きな強み・特徴である。』と考えている。
パッケージソフトを開発してユーザーに販売した後は、ユーザーにすべてお任せするというスタイルではないソーシャルゲームの世界では、日々のユーザーの反応(アクセス数、課金アイテムの購入頻度など)が最も重要な経営情報の一つとなる。
これらのデータを基にして、ユーザーにより楽しんでもらうためのメンテナンスやブラッシュアップを継続して行う事が、ソーシャルゲームの評価を高める最も重要なポイントであるということだ。

ややもするとゲーム開発者は「素晴らしいゲームを開発した事」で満足してしまう。
もちろん開発力は重要だが、石井CEOはそれ以上に、いかにユーザーに対しサービス業としての視点で接し、満足度を高められるかが、ゲームの売上を左右する肝になると考えている。
同社が設立された2009~2010年ころは数多くのソーシャルゲーム開発会社が誕生したが、現在順調に成長しているのは、同社を含めて「サービス重視」の視点で事業展開を行っている企業であるという共通項があるという。
また、ソーシャルゲーム開発専業であるという点も意味があるという事だ。
ソーシャルゲーム市場が成長するのに呼応して、従来は他のシステム開発を手掛けていた企業の参入も見られたが、そうした企業は概して、組織、仕組み、意志決定プロセスといった点でソーシャルゲームの開発・運営に対して最適化できていないため、実績、成長力といった点で大きな差が付いていると、石井CEOは分析している。

②オリジナルタイトルと協業の二正面作戦

前述のように同社はオリジナルタイトルの開発と他社IP利用の協業を同時並行で進めている。
オリジナルタイトルは、企画から開発まで自社で行うため開発スピードは自社でコントロールできる一方、リターンも大きいが、リスクも抱える。
これに対し、協業案件は開発プロセスにおいてIP保有者の承認や確認などが必要となることもあり、自社で開発スピードをコントロールできないというデメリットがあり、IP利用料の支払いもあるため収益性はオリジナルに比べると低くはなるが、既に認知度もあり、人気の高いIPを利用できることからリスクを抑えることができる。
また同社のオリジナルエンジン(後述。4.(2)今後の事業展開参照)に他社IPを用いたコンセプトを乗せることにより、短期間でのタイトルの量産も可能となる。
このように縦軸をオリジナルタイトル、横軸を協業とする「二正面作戦」によって、同社はビジネスのスピードと広がりの双方を追求していくことが出来る体制を構築しており、同業他社と比較した際の大きな特徴となっている。

2014年9月期第1四半期決算概要
既存タイトルの減収を新規タイトルリリースで補えず前期比減収。先行的費用増で利益も減

売上高は698百万円。13/9期1Qを上回ったものの、13/9期4Q比では、前四半期からの継続運用タイトル(16タイトル)は86百万円の売上減となり、今1Qにリリースされた新規タイトル(5タイトル)による売上増41百万円で補えず、45百万円の減収となった。
ベトナム子会社における開発・運用ラインの整備に伴う先行投資的費用増等により、売上原価、販管費共に前期及び前年同期を上回ったため、減益となった。

<2014年9月期第1四半期の主な動向>
既存タイトルのマルチプラットフォーム展開を進めた。グリー(株)が運営するプラットフォーム「GREE」上に提供している既存タイトル「エンペラーズ サガ」、「サモンナイト コレクション」について、他のSNSプラットフォーム(エンペラーズ サガはmobageおよびdゲーム、サモンナイト コレクションはmobage)への提供を開始した。2013年12月末の総登録者数(GREEも含めた提供先プラットフォーム全ての登録者数)は、「エンペラーズ サガ」119万人、「サモンナイト コレクション」47万人となっている。
国内の他開発会社との協業タイトルとして「変・身・少・女 メモタルメイデン」、「三国志レイブ」の2本をリリースした。パブリッシング(提供元名義)は同社となっている。
同社は多数のタイトルを運営しているが、一つの作品でしか遊んでいないユーザーも多数存在する。そこで、タイトル間で連動したキャンペーンを実施して、こうしたユーザーに他のタイトルでも遊んでもらうインセンティブを与えるタイトル間コラボ企画を今1Qに3回実施した。
2013年12月末現在で合計21タイトルを運営している。
売上全体に占める他社IP利用タイトル(国内SNS、App Store/Google Play向け)の比率が高まった結果、総合計のユーザー消費額は堅調だったが、レベニューシェア後の同社売上高は前述のように、対前期比で減収となった。
2013年10月よりベトナム子会社が本格稼働した。現地の優秀な人材の採用を進めており、出向者、アルバイトと合わせ従業員は2013年12月末で31名となり、本格的な事業開始の体制が整った。
投資単位の引下げによる流動性の向上と投資家層の拡大を目的として、2013年12月15日付で、1:2の株式分割を実施した。

現預金増などで流動資産が80百万円増加、投資その他の資産増などで固定資産が44百万円増加し、総資産は124百万円増加した。一方負債は、短期借入金増加などで161百万円増加した。この結果自己資本比率は70.8%となり、前期末より4.6%低下した。

2014年9月期業績見通し
業績予想に変更無し。中長期的成長のための投資タームと位置付けるが、今期も連続して2ケタの増収・増益へ

1Qは前期比減収・減益ではあったが、上半期に対する進捗を見るとは、利益は既に超過しており当初計画に対し順調な推移となっている。
今上期は既存タイトルのマルチプラットフォーム化、ベトナム子会社の立上げおよび日本チームとベトナムチームの連携体制の構築などに注力するため、利益率は低下するが、ベトナムへの業務移管が進む下期は余力の生まれた日本チームによる新タイトル開発の仕込みを行う計画。今期は中長期的な成長のための投資の時期と位置付けているが、通期では2ケタの増収・増益を計画している。
配当に関しては現時点では未定。

(2)今後の事業展開

同社はこれまで基本的には自社開発により、オリジナルタイトル及び他社IPを利用したタイトルをリリースしてきた。
ベトナム子会社における開発・運用体制が拡充ししたため、今後はこれら内製の既存事業をより拡大させると同時に、外部パートナーとの協業による新規事業展開を目指していく。

①内製タイトルの事業展開

ベトナム子会社の立ち上がりにより、新規タイトルのリリースおよび、これまでも力を入れてきたマルチプラットフォーム展開を加速させ、収益基盤の更なる拡大を図る。

ベトナム子会社における開発・運用体制の拡充

リリースからおよそ2年以上が経過し、継続的な運営の中でゲームバランスやマネタイズが確立したタイトルは、順次ベトナム子会社に運営を移管してベトナム人エンジニアのみで運用を行い、ローコストオペレーションを進める。
一方、日本人エンジニアは、ベトナム人エンジニアを活用しながら、新規タイトルの開発や既存タイトルのマルチプラットフォーム化に専念する。
将来的には、ベトナム人スタッフのみで運用可能な体制を構築する。
こうした体制を構築するために、国内はもとよりベトナムにおいても優秀な人材を積極的に採用する。

マルチプラットフォーム展開の加速

ベトナム子会社の人材拡充に伴い、国内外における開発・運用ライン数が増加するため、ネイティブ展開(App Store/Google Play向け提供)を含めたマルチプラットフォーム展開を更に加速する事が出来る。

直近の新規タイトル開発状況

2014年2月、(株)フジテレビジョンとの協業タイトル(他社IP利用タイトル)の「アイドルジャムZ-プリンセスと緋竜の王冠」がリリース予定。プラットフォームはGREE。

②国内外パートナー開発会社との協業展開

外部パートナーとの協業により新たなスキームでの収益源確保を図る。

国内他開発会社との協業によるオリジナルタイトルのリリース

協業先開発会社が開発・運用を担当し、同社は主としてユーザー獲得のための施策(タイトル間コラボ企画「オルトプラスエンブレム」等)を担当。GREEを始めとした国内のSNSプラットフォームに、パブリッシングは「オルトプラス」名義でゲームを提供する。
今1Qに既に2タイトルの実績が生まれた。今後も積極的に展開する。

海外他開発会社との協業によるオリジナルタイトルのリリース

2013年8月に資本業務提携契約を締結した韓国の「Emagine Co., Ltd.」と共同で韓国市場を中心にオルトプラスのオリジナルタイトルをネイティブ展開にて提供していく。
第1弾として「精霊ファンタジア」韓国版をリリースする予定。
オルトプラスは企画提供および運用におけるコンサルティングを行い、Emagine社はローカライズ、マーケティングおよび開発・運用を担当する。

このように、ベトナム子会社の開発・運用体制を活用し、内製タイトルのマルチプラットフォーム化を加速させると共に、国内外の開発会社と協業を行う事で新たな収益基盤の確立を進めていく。

今後の注目点
前期比で減収・減益ではあったものの、上期進捗率は極めて順調であり、ベトナム子会社の立ち上がりに加え、以前より会社側が述べていた「国内外パートナー開発会社との協業」もこの四半期に既に実績が生まれたことも含めて計画通りの推移となっている。
今期は中長期的成長のための投資の時期と位置付けているが、4-6月以降の進捗により上振れの可能性も出てきた第1四半期決算だったといえる。
今後の新規タイトルリリース状況を注目していきたい。
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