(2317:東証1部) システナ 2014年3月期第3四半期業績レポート

2014/02/19

systena

今回のポイント

・14/3期3Q(累計)は前年同期比2.7%の増収、同39.9%の営業減益。売上規模の大きいソリューション営業事業が好調で増収を確保したが、プロダクトソリューション事業において複数の国内端末メーカーのスマートフォン事業撤退による大幅な受注減をカバーしきれず、減益となった。また、人材及び新商材・新サービス開発への積極投資に伴う営業費用の増加も負担となった。

・通期予想は前期比4.3%の増収、同33.2%の営業減益。消費税率引上げ前の駆け込み需要によるパソコンやサーバ等の販売好調で売上高の予想を上方修正したものの、端末メーカーからのスマートフォン開発・評価の急激な受注減やゲームコンテンツの伸び悩み等、収益性の高い分野の苦戦を踏まえて営業・経常利益予想を下方修正した。配当は1株当たり15円の期末配当を予定。

・プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システム事業といった旧ソリューションデザイン事業の3事業で取り組みの成果が顕在化しつつあり、また、事業間シナジーでITサービス事業とソリューション営業事業も堅調だ。14/3期は営業減益が避けられないが、来期以降の業績にもつながる構造改革により、売上高・営業利益共に1Qを底に増加傾向にある事に注目したい。

会社概要

2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末のほぼ全ての工程に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識と基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社6社及び持分法適用会社3社と共にグループを形成。

【事業内容】

13年5月1日付けでソリューションデザイン事業を、プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システム事業の3事業に再編したうえで、新たに海外事業をセグメントに加えた(組織上は12月1日付でプロダクトソリューション本部とサービスソリューション事業部を統合し、ソリューションデザイン本部としている)。
14/3期上期の売上構成比は、プロダクトソリューション事業24.1%、サービスソリューション事業6.8%、金融・基盤システム事業10.9%、ITサービス事業14.3%、ソリューション営業42.4%、クラウド事業1.6%、コンシューマサービス事業0.2%、及び海外事業(同0.0%)の8事業に分かれ、営業利益ベースではプロダクトソリューション事業が全体の42.3%を占める。

プロダクトソリューション事業

モバイル端末ソフト開発支援・品質評価や自社製端末開発、車載や家電等の組み込みソフト開発を手掛ける。顧客は、国内外の携帯端末メーカーや通信キャリアに加え、情報家電メーカー、エネルギー関連、インフラ関連、車載関連と幅広い。モバイル端末向けでは、最上流工程(企画、仕様策定)から最下流工程(品質評価)に至る全工程への対応が可能で、メーカーや通信キャリアとの取引を通じて開発に携わったモバイル製品は800機種を超える。また、Android、iOS等の現行のプラットフォーム上での開発に加え、Tizen、Firefox OS等の次世代プラットフォーム上での端末開発でも豊富な実績を有する。カーエレクトロニクスやネット家電、M2M(Machine-to-Machine)等の非携帯分野への事業展開にも力を入れている。

サービスソリューション事業

各種Webサイト、バックエンドシステム(Webサイトの統合管理システムの構築)、及びアプリ・コンテンツ開発といったWeb関連の開発を手掛けており、顧客は、インターネットを利用した各種サービスの提供企業、ゲーム、証券、教育等のネットビジネスを展開する企業等。また、近年では自社商材の開発・販売にも力を入れており、デジタルサイネージソリューション「Totally Vision」、MDM(Mobile Device Management)製品の「cloud step MDM」、企業内狭域SNS「Compath」、フィッシング詐欺防止ソリューション「Web Shelter」等の自社商材を有する。

金融・基盤システム事業

国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発経験を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。

ITサービス事業

システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等で幅広い。

ソリューション営業

ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウエア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売からサービス提供へシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。主要顧客は電機メーカー、外資系企業。

クラウド事業

クラウド型サービスの導入支援及びアプリケーションの提供を手掛けている。アプリケーションとしては、代表的なクラウド型サービスである「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」やOffice製品・サーバ製品をクラウド型で提供する「Microsoft Office 365」を扱っており、同社の独自サービス「cloudstep」とのセット販売で付加価値を高めている。「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上するために同社が開発した業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。 現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。

コンシューマサービス事業

連結子会社(株)GaYaが主体の事業。スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・提供、受託開発・開発支援に係る収益がセグメントされている。

海外事業

13年4月にタイの首都バンコクに設立した現地法人Systena(THAILAND)Co.,Ltd.を設立した(連結子会社)。タイ及び周辺諸国に進出している日系企業や現地企業に対するIT機器の販売やITサポート及びソリューションを提供しており、日本仕様のきめ細かい顧客対応が、現地企業の対応に満足していない日系企業等から高い評価を受けている。また、11月には顧客の米国進出に合わせて、米国でのモバイル及び通信関連の開発・検証支援事業を目的に連結子会社Systena America Inc.(カリフォルニア州)を設立した。

2014年3月期第3四半期決算
前年同期比2.7%の増収、同39.9%の営業減益

売上高は前年同期比2.7%増の239億95百万円。新規事業として育成中のクラウド事業や事業間の連携強化で社内シナジーを追及したITサービス事業・ソリューション営業事業の売上が増加した他、ネットビジネス分野での受注が好調だったサービスソリューション事業や不採算プロジェクトから撤退し受注案件の選択と集中を進めている金融・基盤システム事業も堅調に推移したものの、プロダクトソリューション事業で構造改革を進めている事もあり、連結売上高は小幅な伸びにとどまった。

尚、プロダクトソリューション事業では、事業環境の変化を踏まえて、携帯電話・スマートフォン向け組込み系システムの開発・評価からスマートフォン・Webアプリの開発・評価及びアプリサーバーの基盤構築へ事業の軸足をシフトするべく構造改革と営業強化に取り組んでいる。

利益面では、売上の伸びが小幅にとどまる中、人材及び新商材・新サービス開発への積極投資に伴う営業費用の増加が負担となった(営業費用は前年同期の217億31百万円から230億12百万円へ同5.9%増加)。

同社は14/3期を積極的な投資の期と位置付けており、自動車や家電等で幅広いニーズが見込まれる新プラットフォーム「Tizen」への研究開発投資、地方の開発拠点拡充、オートモーティブ関連市場への参入、クラウド関連市場向け自社商材開発、SNSゲーム市場への新コンテンツ投入、及び海外進出等に取り組んでいる。また、海外進出では、タイでのIT機器販売、ITサポートビジネス及びソリューションの提供を目的に13年4月にSystena(THAILAND)Co.,Ltd.を設立し、同年11月に営業を開始した。

(2)セグメント別動向

13年5月1日付けでソリューションデザイン事業を、プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システム事業の3事業に再編したうえで、新たに海外事業をセグメントに加えた。

プロダクトソリューション

売上高53億58百万円、セグメント利益3億51百万円。主力の携帯電話・スマートフォン端末関連は、大手通信キャリアからのプラットフォーム開発・品質検証や外資系メーカーからの受注が増えているものの、複数の国内端末メーカーがスマートフォン事業から撤退する影響を大きく受けている。第3四半期累計期間の業績は、端末メーカーからの急激な受注減をカバーするには至らなかったものの、iOSやAndroidのネイティブアプリ開発・評価及びアプリサーバーの構築といった成長分野へ経営資源へのシフトが成果をあげ、iOS関連アプリケーションの受注が増加した他、情報家電、インフラ、公共事業、ホームセキュリティ関連の引き合いも増える等、業績は13年10月~11月を底に急回復していると言う。

サービスソリューション事業

売上高16億45百万円、セグメント利益95百万円。インターネットを利用したサービス、販売、証券、教育といったネットビジネス分野での受注が好調だった他、独自開発商品も、デジタルサイネージソリューション「Totally Vision」に加え、MDM(Mobile Device Management)製品の「cloudstep MDM」や、企業内狭域SNS「Compath」等の販売が堅調に推移した。また、セキュアブレイン社と共同で開発したスマートフォン向けのフィッシング詐欺防止ソリューション「Web Shelter」の大手金融機関での導入も決まった。

金融・基盤システム

売上高25億27百万円、セグメント利益1億50百万円。金融システム事業では、品質の強化、業務知識の共有、プロジェクトの再編を中心に組織力の強化を図った結果、保険系案件で大型案件のカットオーバー後の保守業務の同社への集約が進んだ。また、基盤システム事業も、ソリューション営業と連携する事で、インフラ周りの調達から、アプリケーション基盤構築、更には開発までの一貫した受注体制の整備が進み、大型プロジェクトのリプレイス案件の受注に成功した。大手銀行を中心に設備投資意欲が回復し案件が増えているため、受注案件の選択と集中を念頭に置きつつ営業強化を図っていく考え。

ITサービス

売上高33億48百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益1億70百万円(同34.5%減)。売上拡大よりも利益重視を念頭にグループの顧客資産を活用した「1クライアント複数サービスの提供」を展開しており、この一環として、ソリューション営業の物販と連携して、機器選定から基盤構築、導入支援、運用・保守までを一貫して手掛けるサービス提案等に力を入れている。第3四半期累計期間は、本年4月のWindows XPのサポート終了に伴うWindows 7への切り替え需要への対応等、スポット案件の受注が好調だった。また、ワールドワイドに展開する金融機関のヘルプデスクの受注にも成功しており、引き続き英語対応やチーム対応の強みを活かした高収益案件の獲得に力を入れていく。

ソリューション営業

売上高107億79百万円(前年同期比8.6%増)、セグメント利益2億35百万円(同4.5%増)。当事業はIT関連商品の法人向け販売及び外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務としており、第3四半期累計期間は、ITサービス事業との連携によるWindows XPのサポート終了に伴うWindows 7への切り替えやサーバの統合・仮想化案件等が増加した他、金融基盤システムを中心とした開発部門との連携で、機器販売からインフラ構築、更にはシステム開発及び保守運用に至るワンストップサービスの売上も増えた。

クラウド

売上高3億36百万円(前年同期比50.4%増)、セグメント利益17百万円(前年同期は1百万円の損失)。新サービス「cloudstep Share」追加による差別化が奏功し、大型案件を複数獲得した他、既存顧客の契約更新も進んだ。また、中堅・中小企業をターゲットとするグループウエアのリプレイス需要の取り込みも進んでいる模様。サービスソリューション事業で開発した独自商材をはじめとする新サービスでラインアップを拡充し、引き続き競争力の強化に取り組んでいく考え。

コンシューマサービス

売上高74百万円(前年同期は5百万円)、セグメント損失38百万円(同37百万円の損失)。今期に投入した釣りゲームと育成ゲームの2タイトルの売上が計画に届かなかった。ただ、この2タイトルを顧客ニーズに合わせてバージョンアップして再投入した結果、月次損益が黒字転換。第4四半期(1-3月)に新作2タイトルの投入を予定している。

海外事業

4月にタイに現地法人を設立し、11月に営業を開始した。企業の業務効率化の需要は多く、「Google Apps」や「cloud step」等のクラウド型業務アプリケーションサービスへの引き合いが増加し、受注に繋がっている。また、3G回線とスマートフォン・タブレット型PCを活用した「監視カメラ」サービスが、安価かつ導入の簡単さから、バンコクの飲食店を中心に引き合いが増加している。地場タイ企業との提携やM&A等にも柔軟に対応していく考え。

第3四半期末の総資産は前期末に比べて8億17百万円減の191億88百万円。借方では、のれんの償却が進んだ他、繰延税金資産が減少。一方、貸方では純資産等が減少。この結果、自己資本比率は61.4%と前期末に比べて1.2ポイント低下した。

2014年3月期業績予想
前期比4.3%の増収、同33.2%の営業減益

消費税率引上げ前の駆け込み需要でパソコンやサーバ等の販売が好調な事から売上高の予想を上方修正したものの、プロダクトソリューションにおける端末メーカーからの組込み系システム開発・評価の急激な受注減や子会社がリリースしたゲームコンテンツの伸び悩み等、収益性の高い分野の苦戦を踏まえて、営業・経常利益予想を下方修正した。
当期純利益については、特別損失として固定資産売却損5億09百万円を計上するものの、繰延税金資産 14億88百万円を計上(法人税等調整額が同減少)するため上方修正した。

配当は1株当たり15円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年30円)。同社は決算の状況等を勘案しつつ、配当性向40%を目標に株主への利益還元策を行っていく考え。

今後の注目点
プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システムといった旧ソリューションデザイン事業の3事業で取り組みの成果が顕在化しつつあり、また、事業間シナジーでITサービス事業とソリューション営業事業も堅調だ。14/3期は営業減益が避けられないが、上記の通り来期以降にもつながる構造改革により、売上高・営業利益共に1Qを底に増加傾向にある事に注目したい。
また、昨年11月に米国カリフォルニア州にモバイル及び通信関連の開発・検証支援を手掛ける子会社を設立したが、ソフトバンクがスマホの開発拠点をシリコンバレー(カリフォルニア州)に移し、買収した米スプリントと共にグローバル規模で端末を調達する戦略にシフトしているため、来期以降は米国での事業も楽しみだ。
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