(9616:東証1部) 共立メンテナンス 2014年3月期上期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・14/3期上期は前年同期比9.1%の増収、同23.7%の経常増益。期初予想では減益予想であったが、大規模改修や自社投資物件の開業コストを吸収し、上期として過去最高益を更新した。増収増益の牽引役となったのはホテル事業で、ドーミーイン事業とリゾートホテル事業の稼働率、客数、客(客室)単価がいずれも上昇した。サービスの向上により、客単価が上昇しても顧客の理解を得ながら稼働率も上昇させている。

・通期予想経常利益は62億円から66億円へ上方修正。上期に続きホテル事業が牽引役となりそうだ。上期の経常利益が期初予想を8億8百万円上回っていることを考慮すると通期予想の修正幅は少ない印象もあるが、ホテル事業における先行リニューアル投資を織り込んだこともあり、保守的な予想であろう。

・業績は順調。特にホテル事業における既存店の好調さは目を引くものがある。今般の上方修正や10月の好調な稼働率を鑑みると、中期計画についても、今14/3期は達成のメドが立ったといえそうだ。足元の好調な業績だけではなく、中長期では東京オリンピック開催という大きな支援材料も現れた。今後も引き続き中期経営計画の進捗に注目したい。

会社概要
“ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する”と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。グループは、同社の他、子会社11社、及び関連会社4社。
事業の種類別セグメントと売上構成(13/3期)は次の通りである。

【沿革】

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部に指定替えとなった。

中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan !」(12/3期~16/3期)
2011年12月に公表した中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan!」(12/3期~16/3期)が進行中である。同計画では、「寮事業の構造改革の仕上げと新たな成長戦略の遂行」、「収穫期入りしたホテル事業の収益拡大の加速」、「第三の柱となる新規事業の育成」、「人材育成と適正配置」を重点施策として掲げ、最終の16/3期に売上高1,377億円、営業利益110億円、経常利益89.5億円の達成を目指している。中期経営計画3年目である14年3月期は主力事業である寮事業の期初稼働率が前年を0.5ポイント上回る好調なスタートから始まり、ホテル事業ではビジネスホテルおよびリゾートホテルともに稼働率と客単価が改善したことから、売上、利益ともに計画を上回る進捗となっている。

2014年3月期上期決算
前年同期比9.1%の増収、同23.7%の経常増益

売上高は前年同期比9.1%増の516億24百万円。寮事業では新規開業による定員増及び前年を0.5ポイント上回る高い期初稼働により増収、ホテル事業では新規事業所の寄与及び既存事業所を含めた全体の稼働率、単価の改善により増収、その他事業ではデベロップメント事業の開発案件の増加等により増収と、いずれの事業も増収となった。利益面では、ホテル事業が躍進し、主力の寮事業を上回る26億94百万円の営業利益となったことから、全体の営業利益は41億27百万円となり、支払利息の減少や為替差益の増加により、経常利益は同23.7%の37億58百万円となった。
寮事業の大規模改修や自社投資物件の開発コストを見込んで期初予想は減益予想であった。しかし、ホテル事業を成長ドライバーとし、営業利益、経常利益、四半期純利益の全ての利益において、上期として過去最高を更新した。上期末配当は前年同期19円から21円に増配。

寮事業

14/3期の期初稼働率は97.0%と前年同期を0.5ポイント上回る水準でのスタート、上期末の稼働契約数は前年同期比1,003名増の30,484名となった。しかし、前年同期に比べ新入寮生の3月早期入寮の増加及び前年同期に大口の留学生法人契約があり、契約金等の売上が期間比較にて減少したため、売上高は前年同期比2.4%増の204億77百万円と微増にとどまった。利益面では稼働室数増加に伴う限界利益増が5億14百万円の増益要因となった。しかし、3月入寮、大口留学生契約の変更により3億6百万円、開業費の負担増により1億50百万円の減益要因となったほか、水道光熱費の増加や修繕費の増加により、営業利益は前年同期比8.3%減の25億64百万円にとどまった。

ホテル事業

今上期はドーミーイン事業では「天然温泉 茶月の湯ドーミーインEXPRESS掛川」が、リゾート事業では「いにしえの宿 伊久」が新規オープンした。両事業とも既存事業の稼働率が好調に推移し、売上高は前年同期比11.7%増の220億69百万円、営業利益は同30.5%増の26億94百万円となった。

ドーミーイン(ビジネスホテル)事業

売上高は前年同期比14.8%増の110億63百万円、営業利益は同38.1%増の17億58百万円。既存事業所の稼働率は88.0%で前年同期比3.2ポイント上昇、客数は1,509千人で同76千人増、客単価は6,587円で同274円増となった。稼働率を上げるためであれば価格を下げればよい。しかし、同社の場合はサービスの向上により客単価が上昇しても、顧客の理解を得ながら稼働率も上昇させている。浅草(稼働率91.7%)、八丁堀(同96.9%)、秋葉原(同92.5%)など引き続き首都圏の稼働が好調であった。また、和歌山(稼働率が68.5%から77.9%に)、松江(同74.0%から91.9%に)、神宮前(同79.6%から96.7%に)など、昨年にオープンした事業所が知名度の向上により稼働率が大きく上昇した。

リゾート事業

売上高は前年同期比8.8%増の110億6百万円、営業利益は同18.2%増の9億36百万円。既存事業所の稼働率は81.1%で前年同期比3.4ポイント上昇、客数は643千人で同40千人増、客室単価は39,187円で同1,029円増となった。8月には21棟中9棟で稼働率が100%となるなど好調に推移した。開業負担の増加はあったものの、既存事業所の収益改善により増収増益となった。

その他の事業

売上高141億33百万円(前期比15.2%増)、営業損失1億57百万円(前年同期は2億90百万円の損失)。
総合ビルマネジメント事業は売上高56億23百万円(前年同期比9.5%減)、営業損失20百万円(前年同期は60百万円の損失)。前期における所有物件売却に伴う賃貸収入の減少及び建設施工工事部門で受注が減少した。
フーズ事業は売上高25億66百万円(前年同期比5.5%増)、営業損失51百万億円(前年同期は65百万円の損失)。厳しい環境下にはあるものの、個人消費環境の改善を受け、緩やかながらながらも回復の兆しを見せつつある。
デベロップメント事業は売上高24億64百万円(前期比135.5%増)、営業利益25百万円(前年同期は9百万円の損失)。総合受注型の開発増加に伴い売上高は増加したが、工事費等の費用も高騰した。
その他事業は売上高34億78百万円(前年同期比35.1%増)、営業損失1億10百万円。(前年同期は1億52百万円の損失)。

14/3期上期末の総資産は現金及び預金の減少などにより前期末比47億91百万円減少し、1,174億68百万円となった。負債は前受金の減少などにより前期末比30億74百万円減少し、844億2百万円となった。純資産は自己株式の取得などにより前期末比17億16百万円減少し、330億65百万円となった。期末自己資本比率は28.1%となり、前期末比0.3ポイント減少した。

上期末の現金及び現金同等物の残高は前年同期比21億37百万円増加し、122億86百万円となった。営業CFは売上債権の減少及び仕入債務の減少の影響により、前年同期比15億11百万円支出が減少し、12億8百万円の支出となった。投資CFは有形固定資産の取得による支出及び有価証券の売却による収入の影響により、同19億28百万円支出が増加し29億13百万円の支出となった。これらにより、フリーCFは同4億18百万円支出が増加し41億21百万円の支出となった。財務CFは自己株式の取得による支出及び長期借入れによる収入の影響により、同21億63百万円支出が減少し、3億67百万円の支出となった。

2014年3月期業績予想
前期比6.8%の増収、同17.9%の経常増益予想

売上高は期初の予想を据え置いたが、営業利益は71億円から74億円に、経常利益は62億円から66億円に、当期純利益は34億円から36億円に、それぞれ上方修正した。上期に続きホテル事業が牽引役となりそうだ。上期の営業利益、経常利益、純利益が期初予想をそれぞれ5億77百万円、8億8百万円、5億90百万円上回っていることを考慮すると修正幅は少ない印象もある。ホテル事業における先行リニューアル投資を織り込んだこともあるが、保守的な予想であろう。期末配当は22円(上期とあわせ年間43円)を予定している。

今後の注目点
業績は順調。特にホテル事業の既存店では稼働率、客数、客(客室)単価とも上昇しており、その好調さは目を引くものがある。中期計画では営業利益77億67百万円、経常利益61億56百万円、純利益29億12百万円を目指している。今般の上方修正や、ホテルの稼働率が足元10月も前年同期を上回っていることを鑑みると、達成のメドが立ったといえそうだ。
足元の好調な業績だけではなく、中長期では東京オリンピック開催という大きな支援材料も現れた。今後も引き続き中期経営計画の進捗に注目したい。 

『ご参考』

社債の発行
同社は12月2日付けで第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行を発表した。
社債総額は150億円、調達資金は同社の基幹事業である寮事業をはじめ収穫期入りしたホテル事業の開発投資に充当する。
転換価格は価格決定日の終値3,775円に対し22.99%アップの4,643円と時価を上回る水準に設定、株式への転換時には自己株式を活用する。新株式の発行を抑制しつつも将来株式へ転換が行われた時には株主資本の増強を通じ、成長に向けた投資余力の拡大が図れる。また、本社債はゼロ・クーポン発行の為、社債には利息が付かず、将来の金利上昇の影響を受けない資金調達となる。
新株予約権の行使は平成26年2月より可能。

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