(6890:JASDAQ) フェローテック 2014年3月期上期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・14/3期上期は売上高が前年同期並みにとどまったものの、事業構造改革プランの進展に加え、低価法による評価減の一巡や貸倒引当金の減少もあり、営業費用が大幅に減少。前年同期は21億53百万円の損失だった営業損益が1億59百万円の利益に転換。減価償却費やのれん償却費の負担が大きかったため、営業CFは20億13百万円を確保した。

・下期予想は前年同期比18.5%の増収、営業利益8億40百万円(前年同期は14億54百万円の損失)。半導体投資の回復等で装置関連事業の売上が伸びる他、太陽電池関連事業や電子デバイス事業も堅調な推移が見込まれる。売上の増加に加え、事業構造改革プランの効果と一時的な費用の一巡で収益性の改善が一段と進む見込み。

・不採算部門からの撤退と固定費の削減で収益力強化が進む中、半導体関連の設備投資が回復基調にあり、太陽電池関連も落ち着きを取り戻しつつある。電子デバイス事業についても、自動車温調シートの採用拡大に加え、民生用も含めた非自動車分野の需要取り込みで、引き続きサーモモジュールの堅調な推移が見込まれる。このため、(株)インベストメントブリッジでは、来15/3期が成長軌道への回帰に向けたスタートの期になると考えており、営業利益が15億円~20億円に回復すると見ている。

会社概要
太陽電池用シリコン単結晶引上装置やシリコン単結晶の製造工程で使用される消耗品である坩堝(世界NO.1)等の太陽電池関連製品、半導体製造装置やフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、各種温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っている。いずれも目に触れる機会はないものの、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等、身近な分野で同社の技術が活かされている。グループは、同社の他、生産の中心を占める中国等の他、欧米、ロシア、台湾等に展開する連結子会社24社、持分法適用関連会社5社。

【事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶製造装置や装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、13/3期の売上構成比は、それぞれ49.1%、11.9%、32.1%、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他6.9%。尚、シリコン結晶製造装置には、装置関連事業の主力製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。

2014年3月期上期決算
営業費用の減少で営業損益が1億59百万円の黒字に転換。20億13百万円の営業CFを確保した

売上高は前年同期比0.9%増の202億29百万円。事業構造改革プランに沿った不採算事業からの撤退と製造装置需要の低迷等で太陽電池関連事業の売上が減少したものの、スマートフォン用メモリやロジック向けの石英製品やセラミックス製品の寄与で装置関連事業の売上が増加した他、自動車温調シート向けや民生用途でのサーモモジュール需要の増加で電子デバイス事業の売上も伸びた。

利益面では、低価法による評価減が無くなり(前年同期は12億64百万円の評価減を計上)、売上総利益率が24.9%と6.8ポイント改善する一方、事業構造改革プランの進展と貸倒引当金の減少(前年同期は7億11百万円を計上)で販管費が同15.7%減少。前年同期は21億53百万円の損失だった営業損益が1億59百万円の利益に転じた。中国子会社の円建て借入れ(約62億円)に係る為替差益11億円を営業外収益に、太陽電池事業の縮小に伴う追加発生の事業構造改革費用4億62百万円を営業外費用に、それぞれ計上した結果、経常利益は5億30百万円。投資有価証券売却益6億45百万円を特別利益に計上した事等で6億94百万円の四半期純利益を確保した。期中平均為替レートは、米ドル95.90円(前年同期:79.78円)、人民元15.53円(同:12.65円)。

装置関連事業

売上高101億89百万円(前年同期比7.1%増)、セグメント利益77百万円(同45.0%減)。OEM(相手先ブランドによる製造)先である米国大手2社からの受注回復で石英製品の売上が増加。真空シールも、中国でのTV用大型液晶、モバイル用高精細中小型液晶、更には有機EL用製造装置投資が一巡したものの、半導体投資の再開で売上がわずかに増加。この他、市況回復で自社ブランドを中心にシリコンウェーハ加工が大きく伸びた他、EBガン・LED蒸着装置の売上も増加。一方、民生用電子の需要低迷の影響を受けたマシナブルセラミックス「ホトベール」(検査治具に使われる)を中心にセラミックス製品の売上が減少した。
利益面では、高付加価値の超高純度製品を中心に石英製品の値下げ圧力が厳しかった事に加え、台湾での拡販に向け、認定用評価品を多数提供した事が負担となった。

太陽電池関連事業

売上高56億80百万円(前年同期比19.1%減)、セグメント損失1億11百万円(前年同期は23億93百万円の損失)。自社ブランドから撤退し、結晶インゴットとウェーハのOEMに特化したシリコン製品が伸びた他、消耗品である単結晶用の石英坩堝や多結晶用の角槽では、角槽が台湾顧客向けに増加。坩堝・角槽共に価格が下げ止り傾向にある。一方、新規の製造装置需要はなかった。

電子デバイス事業

売上高28億01百万円(前年同期比27.6%増)、セグメント利益2億49百万円(同115.6%増)。自動車販売の好調に加え、米国市場において高級セダンやSUV車での採用が進んだ事で主力の自動車温調シート向けサーモモジュールの売上が伸びた他(セグメント売上高の63%を占めた)、検査装置、バイオ関連機器向けも総じて底堅く推移。電気シェーバーや浄水器等での新規採用で民生用の売上も増加した。また、パワーデバイス用基板を発売し、量産を開始した。

上期末の総資産は前期末に比べて68億円増の731億44百万円(前期末の為替レートでの換算額:約659億円)。円高是正の影響で海外資産の評価額が上昇しており、借方では、たな卸資産や有形固定資産が増加。一方、投資有価証券の一部を売却した事で投資その他が減少。貸方では、円高是正で有利子負債(同:183億円)や為替換算調整勘定が増加した。自己資本比率は46.5%。今後、有利子負債の返済を進め、3年後の16年9月末には12年9月末比で半減させたい考え。
尚、設備投資は、太陽電池関連事業において、顧客より要求された固定砥粒ワイヤソー(OEM特化)の設備を中心に16億40百万円を実施した(前年同期は18億20百万円)。

営業利益が1億59百万円にとどまったものの、減価償却費19億81百万円(前年同期:15億73百万円)やのれん償却費2億12百万円(同:2億08百万円)等の資金流出を伴わない費用の計上が多かったため、営業CFは20億13百万円を確保。設備投資(前期末設備未払金の支払い)を中心に投資CFは17億61百万円のマイナスとなったが、フリーCFも2億51百万円を確保した。

2014年3月期業績予想

下期は、半導体投資の回復等で装置関連事業の売上が前年同期比で大きく伸びる他、消耗品が回復する太陽電池関連事業や自動車温調シート向けサーモモジュールをけん引役とする電子デバイス事業も堅調な推移が見込まれる。売上が増加する中、事業構造改革プランの効果と一時的な費用の一巡で収益性の改善も進む見込み。

セグメント別見通しと取り組み
装置関連事業

真空シールは、国内メーカー、韓国メーカー、ファンドリーでの半導体投資の再開に加え、中国進出企業からの受託生産も堅調に推移する見込み。FPD関連は大型投資が望めないものの、モバイル関連の追加投資が期待できる。石製製品は、国内・アジア企業の投資再開を背景に米国・国内の大手OEM先からの受注が回復。中国工場が認定を受けた超高純度製品の生産能力増強効果も顕在化する。セラミックス製品は、マシナブルセラミックス” ホトベール”が次世代Deviceの検査用冶具向けで増加する他、下期に入りN/Flash向けも緩やかながら回復基調。また、現在、米国向け医療用関連部品で評価中の一般品が量産に入る。半導体製造装置に使われるファインセラミックスも、下期に入りMemoryメーカーやFoundryの先端投資(微細化・3D化)が想定以上に回復しており、内外の装置メーカーからの受注が増加している。海外向けのシェアアップもあり、上期を大幅に上回る売上が見込まれる。

太陽電池関連事業

日本、米国、中国での旺盛なパネル需要を受けて、多結晶用の角槽、単結晶用の石英坩堝共に堅調な推移が見込まれ、値戻しに向けた価格交渉も開始した。また、石英坩堝については、半導体向けにも力を入れる考えで、付加価値の高い22~24インチの半導体用小型坩堝の認定取得(国内半導体シリコンメーカー)に取り組むと共に生産ラインの整備を進める。また、角槽・坩堝共に長寿命の新製品投入で価格の引き上げを図る他、銀川工場でのコスト低減も進める。
一方、太陽電池用シリコンは、OEM供給の好調に加え、東欧、中東、南アメリカなど新興地域での太陽光発電の導入が進んでいる事も追い風となる。固定砥粒切断ウェーハの技術アップや変換効率に優れたN型単結晶の性能向上で差別化を図る考え。

電子デバイス事業

自動車販売の好調を背景に自動車温調シート向けのサーモモジュールの売上が伸びる。一方、その他の産業向けでは、バイオ機器や光学用が横ばいの見込みだが、 電気シェーバー、美容家電、浄水器、エアコン向け等、民生用が好調を維持する見込み。また、パワーデバイス用基板も採用機種の増加で売上が増加する。更なる事業拡大に向け、米国及び欧州市場でのシェアアップに取り組むと共に、パワーデバイス用基板の営業を強化する。また、生産効率の向上にも取り組み、一段のコスト競争力の強化を図る。

通期予想は、売上高420億円(前期比9.3%増)、営業利益10億円(前期36億08百万円の損失)。設備投資は、大規模な「設備投資の計画はないが、前期末設備未払金を考慮したCFベースで20億円を予定しており(前期:37億06百万円)、減価償却費39億円(同:33億21百万円)を織り込んだ。期中平均為替レートは、米ドル95.0円(前期:80.1円)、人民元15.0円(同:12.7円)
配当は1株当たり5円の期末配当を予定している。

今後の注目点
不採算部門からの撤退と固定費の削減で収益力の強化が進む中、半導体関連の設備投資が回復基調にあり、太陽電池関連も落ち着きを取り戻しつつある。同社では、太陽電池市場について、「今後、需給悪化要因である中国メーカーの淘汰が一段と進み、2015年頃には年率10%程度の安定成長軌道に乗る」と見ている。また、サーモモジュールを中心とする電子デバイス事業についても、自動車温調シートの採用拡大に加え、民生用も含めた非自動車分野の需要取り込みで引き続き堅調な推移が見込まれる。
(株)インベストメントブリッジでは、同社の業績は底打ちから回復へと軸足を移しつつあり、来15/3期が成長軌道への回帰に向けたスタートの期になると考えている。営業利益は15億円~20億円に回復するのではないだろうか。ただ、16/3期以降の更なる業績拡大には、新たな成長ドライバーが必要だ。このため、同社は既存事業の強化と共に新製品開発に力を入れており、具体的には、排出ガス対策技術として注目されているジェットバルブ、高純度の単結晶シリコンインゴットの引き上げに不可欠な高純度坩堝、更にはサーモモジュールを利用した廃熱発電等の研究・開発を進めている。いずれも、豊かな生活を実現するために必要な環境保全・省エネや技術革新につながるものであり、かつ、これまでに同社が蓄積してきた技術や現在の生産設備を活かせるものだ。当面は大きな設備投資を要しない事から、半期で20億円を超える潤沢な営業キャッシュ・フローを活かして、財務基盤の強化にも取り組んでいく考え。
一株当たり純資産1,104.12円を大きく下回る現在の株価には、上記の有力材料はもちろん、半期で20億円を超える潤沢なキャッシュ・フローも織り込まれていないと考える。
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