(4793:JASDAQ) 富士通ビー・エス・シー 2014年3月期上期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・14/3期上期は前期比5.7%の増収、同7.4%の経常減益。従来から強みを持つ大型SI案件が減少する中、スマートデバイスや情報メディア等、新規分野への展開が成果をあげ前期実績を上回る売上を確保した。プロジェクトアシュアランス室を設置し不採算プロジェクトの削減に努めたものの、顧客からのコストダウン要請等から原価率が悪化し、営業利益は同2.7%減少した。

・14/3期予想は前期比1.4%の増収、同20.7%の経常増益。成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドへの集中と特化技術を中心に新たなセグメントの開拓を進める。売上の増加と不採算案件の収束(一部影響が残る)等で利益率が改善し、営業利益が同15.3%増加する見込み。配当は1株当たり年27円を予定(上期末13.5円、期末13.5円)。

・今後の成長が期待できるモバイルデバイス製品・サービスに取り組んでいるまた、エンベデッドも、カーエレクトロニクスにおいて、カーナビ関連の一段の増加に加え、より市場の大きいITS関連のマーケット拡大も期待できる。14/3期上期に種をまいた新規案件の育成と共に注目していきたい。

会社概要
通信キャリア向けの顧客管理システムや基幹システム、民間事業者向け等の業務システム、中央官庁向け各種システム、携帯端末や自動車エンジン制御分野等でのエンベデッドシステム(組込みシステム)、更には、データセンター運営やモバイルを中心にしたセキュリティシステム等、多面的に事業を展開。ソフトウエア開発の外注先でもある連結子会社 北京思元軟件有限公司(以下、BCL)、とグループを形成。親会社である富士通(6702)の持株比率は13年9月末で56.4%。富士通にソフトウエア製品や開発等のサービスを提供する一方、富士通(株)からシステム機器等を仕入れており、14/3期上期の富士通グループ向けの売上高は全体の72.1%を占めた。

【事業内容】

14/3期上期の売上高構成比は通信キャリアシステム33.1%、民需システム17.1%、公共・金融システム14.1%、エンベデッドシステム21.6%、サービス14.1%。また、力を入れているスマートデバイス関連の売上が18.0%を占めた(全事業区分に含まれるスマートデバイス関連売上高の総計)。

通信キャリアシステム

携帯キャリア、通信キャリア、ネットワークソリューション系、社会基盤関連、及びその他に分かれる。主力は通信キャリア向けシステム(基幹システム、顧客管理システム、その他の業務システム)の開発だが、情報メディアやエネルギー等の分野にも対象を広げ、新規の顧客開拓に取り組んでいる。

民需システム

製造業向けPLMソリューションや医療・製薬ソリューション向けソリューション等の各種ソリューション、富士通(株)向けシステム開発、業種システム、基盤構築サービス、その他に分かれる。自社製品「CAP21」を用いた中堅建設業向けERPソリューション(クラウド環境でのサービスも提供)等も手掛け、近年ではスマートフォンを活用したソリューションに力を入れている。

公共・金融システム

官公庁や金融機関を対象に、システムインテグレーション(SI)及びシステム維持・管理サービスを提供している。

エンベデッドシステム

携帯電話・スマートフォン、デジタルカメラ、自動車関連、携帯基地局向けの組み込みシステムの開発を手掛ける。デジタルカメラ向けでは、09年7月に設立したニコングループとの合弁会社が寄与している。

サービス

生命保険会社向け等で高いシェアを有するセキュリティ製品「FENCE」シリーズの開発・販売や富士通(館林センター)やビットアイルの施設を活用したデータセンター運営等のアウトソーシングサービス、及び人材派遣サービスを手掛けている。

2014年3月期上期決算
前期比5.7%の増収、同7.4%の経常減益

売上高は前期比5.7増の157億89百万円。富士通及び同グループ会社向けの売上比率が72.1%と2.1ポイント上昇した。また、注力しているスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上(全事業区分を総計)が28億44百万円と同66.5%増加した。
一方、営業利益は同2.7%減の577百万円。不採算プロジェクトの減少があったもの顧客からのコストダウン要請や短期納入の要請が多く、営業利益率が3.7%と同0.3ポイント低下した。特別損失の減少があったものの、当期純利益も同7.6%の減益(前期は厚生年金基金脱退損1億78百万円を特別損失に計上した)。

通信キャリアシステム

売上高は前年同期比4.6%増の52億22百万円。新規商談の開拓、既存顧客のシステム運用・維持を継続。社会基盤関連について既存の通信キャリア向け大型システムは減少傾向が続いているものの、情報メディア向けやネットワークソリューション系が増加したことにより増収。また、スマホ・タブレットユーザをターゲットした教育系情報メディア向けの開発では、富士通グループ(アプリ構築は同社、デザインは富士通デザイン、教育コンサルは富士通ラーニングメディア)として取り組んで、新たなビジネス分野での拡大を目指している。

民需システム

売上高は前年同期比1.4%減の26億93百万円。製造業向けPLM(後述)、SAP、医療・製薬等の各種ソリューションが堅調に推移したものの、富士通向け社内システムの売上高が大きく減少したため減収となった。尚、PLM(Product Lifecycle Management)とは、コスト削減、市場投入までの期間の短縮、品質の更なる向上等を目的に、企画から、設計、開発、販売・サポートに至るまでを一貫して管理する事。

公共・金融システム

売上高は前年同期比0.5%増の22億33百万円。金融機関、官公庁向けシステム、郵政事業関連システムの開発が堅調に推移した。また、スマートデバイスを活用した都市銀行向けソリューションが活性化しており、今後の売り上げ貢献に期待。

エンベデッドシステム

売上高は前年同期比16.4%増の34億11百万円。光学機器大手のとの合弁事業であるフォトイメージング(デジカメ等の映像機器関連)や、カーナビ開発を中心にしたカーエレクロトニクスが大幅に拡大。この他、自社開発製品として、2013年9月に雑誌に紹介されるソーラーランタン「Solar Cubic A-1」、センサリング技術を応用した省電力管理ツール「F-PLUG」(富士通ブランドで販売)を開発。また、「F-PLUG」は環境モニタリングシステムとして活用される。同社は、システム機器の製造やユーザニーズに係わるノウハウを吸収し、エンベデッドシステムの品質向上に役立てるべく、ハードウェア製品の開発・製造・販売も手掛けており、「「Solar Cubic A-1」や「F-PLUG」はこの一環。

サービス

売上高は前年同期比8.2%増の22億28百万円。天王洲データセンターを中心としたIDCビジネス(データセンター運営のアウトソーシングサービス)、人材派遣サービスは低調であったが、セキュリティ製品「FENCE」シリーズのパッケージ販売やサービス提供の増加した。また、利用顧客向けWebサイト構築等が好調に推移した。また、富士通を含め日本の顧客を対象に中国大連を基点として提供するBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)の売上も増加した。

上記の他、全事業区分を総計したスマートデバイス(スマートフォンやタブレット)関連の売上が28億44百万円と同66.5%増加した。12年4月にスマートデバイスビジネス本部を設置し営業を強化した成果が現れており、各種ソリューション提供によるSI案件が増加している。

上期末の総資産は前期末比1億31百万円増の29億593百万円。自己資本比率は62.7%と同0.3ポイント改善した。

前上期の退職金関連の処理等の影響で営業CFがマイナスとなったものの、売上債権の回収、たな卸資産の圧縮により、今期の営業CFが大幅に改善。前上期の退職給付信託拠出に備えた預け金の払戻がなくなったため、今中間期の投資CFはゼロに。財務CFがマイナスとなったのは、配当金の支払いによる。

2014年3月期業績予想
前期比1.4%の増収、同20.7%の経常増益

売上高は前期比1.4%増の309億円。成長分野であるスマートデバイスやエンベデッドへの集中と特化技術を中心に新たなセグメントの開拓を進める。上期同様に、コストダウンや短期納入への要請による利益率の悪化要因があるものの、売上の増加と不採算プロジェクトの減少により利益率の改善を目指す。営業利益が14億円と同15.3%増加を見込んでいる。配当は1株当たり年27円を予定している(上期末13.5円、期末13.5円)。

(2)14/3期の取り組み

2013年6月から室町前社長からバトンを引き継いで小島社長が就任した。小島社長は1981年4月に富士通に入社。システム本部 ニュービジネス推進部長、マーケティング本部コーポレートブランド室長、金融ソリューション本部(現金融システム事業本部)保険証券ソリューション事業部長を歴任後、同社の代表取締役社長に就任した。マーケティング本部での事業企画やロンドン子会社の体制強化など、さまざまな事業経験をもっており、創立50周年を迎える同社の次なる基盤構築へ取り組むことと思われる。
今年度の同社のキーワードは、スマートデバイス、ソリューション・サービス、エンベデッドシステム、プロジェクトアシュアランス、そしてグローバル化である。それぞれの取り組みは次の通り。

スマートデバイス

スマートデバイス(スマートフォンとタブレット型デバイス)の市場は急拡大しており、特に2016年にはタブレットが全体の21.9%を占めるまでの拡大するといわれている。また、個人向けにスマートデバイスが拡大していたが、今後はキャリア各社も法人向け取り組みを強化しており、法人利用が拡大するものと考えられる。同社はスマートデバイスの応用できる独自の技術やノウハウを多数保有している。これらの資産を活かしてスマートデバイスの成長を取り込んでいく考え。例えば、生命保険会社営業社員向け端末システムのリプレースとして、従来の同社の資産であるセキュリティ関連システムに加え、音声、カメラ機能ソリューションの提供、新OS対応を実施した。また、アプリケーション開発とシステム構築を融合し、大手スマートフォン通信キャリアが提供するハンドメイド製品マーケットシステムを開発した。

ソリューション・サービス

当面の柱は、セキュリティ対策ソリューション。、セキュリティ対策ソリューションは、従来のFENCE(認証・暗号・漏洩抑止・証跡ソフトウェア)に遠隔対応の機能を備えたパッケージFENCE-Mobile Remote Managerを中心に進めており、パートナー経由での販売が順調に推移し、2013年8月にはライセンス数200,000までに成長した。また、建設業に特化したERPソリューション「CAP21」がある。同製品は工事、管理、営業部門で発生する様々な情報を一元化されたデータベースで管理でき、現場業務の効率化、経営情報の迅速な把握・分析が可能。また、消費税率改正への対応、スマートデバイスへの対応、簡易分析機能強化などバージョンアップしたことで、業績拡大を目指す。

富士通は、2013年8月27日に、モバイルデバイス活用に最適解を提供するモバイル製品・サービス郡を「FUJITSU Mobile Initiative」として新たに体系化を発表。この中で、セキュリティに関しては、富士通ビー・エス・シーのFENCE-Mobile RemoteManagerが組み込まれている。セキュリティソリューション「FENCE」シリーズは、スマートデバイスからサーバまで一気通貫のデータの暗号化が可能で、生命保険会社や損害保険会社向けで圧倒的なシェアを有している。長年培ったノウハウと技術をスマートデバイスのエンドポイントのセキュリティとしても活かし、富士通セキュリティ製品の中核となっている。

エンベデッドシステム

旧来の携帯電話からスマートフォンへの移行に伴い開発量が一時減少したが、デジタルカメラ、カーエレクトロニクス等へ主力カテゴリーを移行し回復基調にある。デジタルカメラ向けは成熟しつつあるが、カーエレクトロニクスはカーナビをけん引役に更なる拡大が期待できる。中期的にはより市場の大きいITS(高度交通システム)関連の需要が期待できる。

プロジェクトアシュアランス
同社は不採算プロジェクトの撲滅と組織品質の向上を目指し、プロジェクトアシュアランス室を新設した。不採算プロジェクトの撲滅として上期には第三者監査の実施を実施。下期には、コスト/スケジュール計画と原価実績分析をコアとしたPRJ予兆監視を行っていく。また、組織品質の向上に向けて、パートナー品質向上制度への取り組みを11月より着手、SE作業標準の徹底を目指し、富士通アシュアランス本部との連携を行う予定。

中国子会社BCLを軸としたグローバルビジネスの拡大

連結子会社BCL(北京思元軟件有限公司)は、コスト競争力強化を目的としたオフショア(海外)開発拠点として1992年にスタートしたが、設立後数年間の業績は伸び悩んだ。しかし、エンベデッドシステムの開発にシフトした2002年以降、業績が急拡大し、現在、本社である北京(123名)の他、大連(60名。大連BPOセンターを支店内に有する)、上海(7名)、蕪湖(13名)、及び日本(21名)に支店を有する。

従来はコストダウンのためのオフショア開発が中心であったが、これからはエンベデッドシステム、BPOを軸に中国ローカルビジネスを拡大していく。また、富士通およびグループ会社との協調を推進し、BPO受注拡大を図る。今後は、より独自性を持った企業として成長するものと考える。

今後の注目点
今後の成長が期待できるモバイルデバイス製品・サービスに取り組んでいる「Fujitsu Mobile Initiative」の一員としてのグループ間のシナジーも期待できる。また、エンベデッドも、カーエレクトロニクスにおいて、カーナビ関連の一段の増加に加え、より市場の大きいITS関連のマーケット拡大も期待できる。14/3期上期に種をまいた新規案件の育成と共に注目していきたい。特に、小島新社長のもと、プロジェクトアシュアランス室を設置し、不採算プロジェクトの削減や中国子会社による中国ローカルビジネスの展開に注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
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