(2931:東証マザーズ) ユーグレナ 2013年9月期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を成功させたバイオテクノロジー企業。ミドリムシの優れた特性を活かし、食品を皮切りに、化粧品、化成品、飼料、燃料など事業分野を拡大。ヘルスケア事業における自社製品の高い利益率と安定したキャッシュ・フロー創出力、有名企業、大学との提携による強力な研究開発体制などが特徴。バイオジェット燃料実用化に向けたコスト低減の過程で、他分野の製品化を進め、ヘルスケア事業の収益性をより高めることができる点も特色。

・13/9月期は、主力製品「ユーグレナ・ファームの緑汁」が、効果的な広告宣伝により順調に拡大し、売上高は前期比3割増で9期連続の増収。積極的な投資により減益となったが、10年9月期以降、4期連続で黒字を達成した。14/9期以降も「30%増収、粗利率50%維持」をベースに、売上拡大とそのための積極投資を継続する。

・2018年に向け食品事業では、販売モデルの変換による市場及び売上高の急拡大を、エネルギー事業では低コスト生産技術の確立を目指す。

・PERで評価できない成長戦略を取っているため、株価評価は難しく、株式市場自体の変動に大きく左右される可能性はこれからも残るが、それを上回るダイナミックなトップラインの拡大とユーグレナ市場の拡大をいかにして実現していくのかを注目したい。

会社概要
世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を成功させたバイオテクノロジー企業。ミドリムシの優れた特性を活かし、食品を皮切りに、化粧品、化成品、飼料、燃料など事業分野の拡大を進めている。ヘルスケア事業における自社製品の高い収益率と安定したキャッシュ・フロー創出力、有名企業、大学との提携による強力な研究開発体制などが特徴。グループは同社及びミドリムシ培養を行う子会社八重山殖産(株)と、奈良先端科学技術大学院の教授8名を中心に設立された株式会社植物ハイテックの計3社。 

【沿革】

創業者である出雲社長は、東京大学に在籍中の1998年、学外活動の一環で発展途上国のひとつであるバングラデシュを訪れ、そこで飢餓、貧困問題と出会う。バングラデシュは、炭水化物はあるものの、多くの人々が、人間として必要な栄養素であるタンパク質、ミネラル、ビタミンが足りていない現状だった。その時飢餓、貧困の解決を強く意識した出雲社長は、農学部に転部後、豊富な栄養素を有するミドリムシの存在を知る。飢餓、食料問題の解決、二酸化炭素削減による地球温暖化防止にとどまらないミドリムシ活用の将来性を確信した出雲社長は、様々な困難を乗り越え、2005年12月に世界初の屋外大量培養に成功する。その成功を皮切りに、ミドリムシ食品の販売を開始すると共に、バイオジェット燃料の開発を目指した有力企業や大学との研究開発体制を相次いで構築。ヘルスケア事業の急速な立ち上がりの中、2012年12月に東証マザーズに上場した。2013年にはミドリムシ生産委託先の八重山殖産(株)を完全子会社化し、研究開発及び生産体制の拡充を進めている。

【経営理念・ビジョン】

同社のWEBサイト内の「企業情報」ページには、ここに挙げた「経営理念」、「企業ビジョン」の他、「another future.~ミドリムシが地球を救う~」と題し、「僕らの武器はミドリムシ。環境問題、食糧問題、エネルギー問題、健康問題・・・。
この星の困難を一気に乗り越えてくれるかもしれない生物。僕らの意思は簡単だ。この無限の可能性とともに新しい未来をつくること。」で締めくくられる「スローガン」、事業や人生に向かい合う度胸の有無を問いかける「5 GUTS」など、他社には中々見ることがない「企業の想い」が豊富に掲げられている。
また、このレポートでは詳細には触れるスペースはないが、出雲社長の著書『僕はミドリムシで世界を救う事に決めました。東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦』を読むと、出雲社長を始めとした創業メンバーが、ミドリムシの可能性に確信を持ち、互いを尊敬しあい、ビジネスに邁進していく様子が臨場感一杯に記されている。そしてその底流にあるものは当然の事だが、ミドリムシで地球を救うという「想い」であることが良く分かる。

例えば、なぜ同社が世界で初めてミドリムシの屋外大量培養を成功させることができたのか?
もちろん、取締役 研究開発担当の鈴木 健吾氏の長年に渡る研究の積み重ねや才能に負うところも大きいが、それに加えて、大阪府立大学の中野教授を始めとしたミドリムシを長年研究してきた各大学や研究機関が行ってきたデータの集積を行う事が出来たことがポイントだった。しかし、通常は学内に蓄積されて外に出難いこれらのデータを、オープンにして貰えるよう全国の研究者を巻き込んでいくことができたのは、出雲社長らの「若さ」、「想い」が大きな力となった事は間違いないだろう。加えて、前掲書にもある通り、そうした想いを受入れ、積極的に全国のユーグレナ研究者に協力を呼びかけた中野教授の心意気も見逃すことはできない。
「事業とミドリムシに対する想い」は投資家として是非知っておくべき同社の重要な構成要素といえるだろう。

【事業内容】
① ミドリムシとは?

「ミドリムシ」は藻類、中でも特に小さい微細藻類の一種で、体長わずか約0.05mm。
5億年以上前に誕生した生物で、1660年代にオランダの科学者で「微生物学の父」とも呼ばれるレーウェンフックによって発見された。その後、様々な研究が重ねられる中で、以下の様な特性を備えていることが判明。今後の人間社会を大きく変革するユーグレナの可能性に同社はいち早く注目し、事業化に取り組んでいる。

植物と動物両方の特性を持つ。

藻類でありながら植物と動物双方の特性を持つユニークな生物である。

植物として光合成を行い、栄養分を体内に備える。

ビタミンなど栄養素の生産効率は稲の約80倍とも言われている。また、大気中の約1,000倍という高濃度の二酸化炭素の中でも成長していける適正能力を持つ。
「二酸化炭素を炭水化物等に固定化して酸素をつくる」能力も高いため、温室効果ガスの一種である二酸化炭素削減、地球温暖化対策に有望と期待されている。

動物として豊富な栄養素を備えている。

一方、動物としての性質も備えていることから、植物産出のビタミンに加え、ミネラル、アミノ酸の他、DHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸など59種類もの栄養素を備えており、人間に必要な栄養素の大半を、ユーグレナは含んでいる。こうした性質から、普段の食生活で不足しがちな栄養を補う栄養補助食品やサプリメントとして有効なことに加え、発展途上国など、炭水化物ではなくビタミンやミネラルが不足している国々の栄養失調解決に向けた食料援助の素材としても有用。
また、このように豊富な栄養素を含んでいることから、人間の食用にとどまらず、動植物の成長を助ける飼料、肥料としても利用価値が高いと同社では考えている。

高い栄養消化率

通常、植物の細胞は細胞膜の周りを細胞壁が覆っている。植物細胞が有する栄養素を効果的に消化吸収するにはこの細胞壁を分解するためのセルラーゼという酵素が必要だが、人間は保有していないため植物細胞からの栄養素の消化効率は低い。しかし、ユーグレナには通常、植物にあるはずの細胞壁がなく、細胞を覆っているのは細胞膜のみであるため、効率的な消化が可能である。

ミドリムシのみが持つ特殊な天然物質「パラミロン」

ミドリムシ特有の成分として、β-1,3-グルカンの高分子体である特殊な天然物質「パラミロン」がある。食物繊維の一種である「パラミロン」の表面には無数の小さな穴(ミクロホール)が開いており、プリン体などの不要物を取り込む。そして、食べても消化されにくいため、こうした不要物を体外へ排出する効果を持つ。
同社では、ミドリムシを摂取することでプリン体の吸収を抑制し、尿酸値を下げる効果があることについて「パラミロンのプリン体吸収抑制剤及び血中尿酸値低減剤」という関連特許を取得している。

バイオ燃料としての優位性、有効性

植物、藻類などから作り出されるバイオ燃料は、石油などの化石燃料と違って資源が枯渇する心配が少ない。また、化石燃料は燃焼させると新たに二酸化炭素が排出されるが、バイオ燃料は原料となる植物、藻類が成長する際に二酸化炭素を一旦固定し、燃焼時に固定化された二酸化炭素を燃料として排出するため、全体で見れば理論上二酸化炭素の排出量はプラス・マイナスゼロ(カーボンオフセット)となる。このため、地球温暖化の防止に効果があると考えられている。ミドリムシは、光合成によって二酸化炭素を固定して成長する時、油脂分を作り出しており、これがバイオ燃料の原料として利用可能。特にユーグレナから抽出・精製されたオイルは軽質であるため、他の微細藻類に比べてもジェット燃料に適していることが分かっている。
また、他のバイオ燃料、中でもトウモロコシやサトウキビ等の安い穀物を発酵・濾過してアルコール(エタノール)を作り出し、乗用車・小型トラック用のガソリンを代替するバイオマスアルコール燃料も既に実用化されているが、これらは「食料との競合性」という課題が残る。ミドリムシは畑を転用する必要が無いため食料との競合は起こり難い。

他にもさまざまな活躍の場

他にも、乳酸菌の活性化、水質改善など、ミドリムシは様々な働きを持つと考えられており、同社では、スローガンにあるように、無限に広がるミドリムシの力で、新しい地球の未来「another future.」を創り出すことを目指している。

② 事業セグメント

現時点での同社の事業セグメントは「ヘルスケア事業」と「エネルギー・環境事業」の2つ。

◎概要

ミドリムシを利用した食品、機能性食品、化粧品などを自社商品、OEM、粉末原料などの形態で販売している。
自社商品はミドリムシを利用した青汁タイプの「ユーグレナ・ファームの緑汁」を中心に、自社のWEBサイトなどの通販にて販売している。
OEM提供では、サプリメントや化粧品を顧客企業の要望に合わせた製品として供給している。
粉末原料販売は、伊藤忠商事(株)が販売を担当。

現時点ではOEMの比率が直販を上回っているが、今後は直販を大きく伸ばしていく方針。
WEBサイトによる直販体制は2012年5月から本格スタートしたが、紙媒体およびWEB広告のマーケティングデータの収集、分析、検証もほぼ終了し、有効かつ的確な広告宣伝を行ってユーザーを大量に取り込むことのできる体制が整った。

「ミドリムシ」という名前のユニークさに加え、ヘルスケア事業のブランド価値を高める様々な取り組みを通じ、メディアへの露出が増大。数多くのメディアで取り上げられている。

◎概要

温室効果ガス排出量削減が世界的課題となる中、二酸化炭素を排出する化石燃料を大量に使用する航空会社にとっても、その本格的な対応が求められるようになっている。
そうした中、2009年に日本航空と全日本空輸がジェット燃料供給大手の新日本石油株式会社(現:JX日鉱日石エネルギー)にバイオジェット燃料の開発を要望。これを受け、2009年9月より新日本石油株式会社(現:JX日鉱日石エネルギー)及び株式会社日立プラントテクノロジー(現:日立製作所)と共同で、ミドリムシを原料としたバイオジェット燃料の製造に関する研究を開始した。2018年の技術確立を目指している。

◎バイオジェット燃料を取り巻く動き
航空機の代替燃料は、CO2削減の観点から、バイオ燃料が唯一の選択肢
2008年から2009年にかけ様々な試験飛行が行われ、バイオジェット燃料の技術的信頼性を立証
航空機が飛行する運航条件に即し、航空燃料には厳しい基準が課せられている。
バイオジェット燃料にも同等の基準が課せられ、これらの基準に適合することで使用可能になる。
環境負荷軽減の観点から世界各国で様々な取り組みが行われ、国家規模のプロジェクトも。

(日本航空:2012年9月 航空バイオジェット燃料の動向「過去、現在、未来」より引用)

世界的に様々な原料の可能性が検討されているが、日本では藻類を原料とする研究開発が先行している。
2012年5月には「微細藻類燃料開発推進協議会」が設立され、同社研究グループ以外にも、数社が参加しているが、同社は以下の理由から、微細藻類がバイオ燃料に適しており、なかでもミドリムシが優れていると考えている。

① 微細藻類は農業と競合しない
既存作物の畑作地を非食用植物の農地に転用すると間接的に食料生産に影響を与えるが、微細藻類は農耕に適さない土地での生産が可能であり、農業と競合し難い。

② 微細藻類は工業生産が可能
微細藻類は、生体の触媒を使って物質の合成や分解を行う反応器であるバイオリアクターや培養プールでの大量培養が可能であり、効率的かつ安定的な工業生産が可能。

③ 微細藻類は単位面積当たりの生産性が高い
微細藻類は単位面積当たりの生産性が高いため、他の作物と比べて所要面積が少なくなる。
カメリナやジャトロファといった他の植物性バイオ燃料に比べると、同量の油を生産するための必要面積は、1/30~1/40で済む。

④ ミドリムシに含有する油脂は微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っている
ジェット燃料に使用される灯油の脂肪酸は炭素数9~15。多くの微細藻類の体内で生成される油脂の脂肪酸は炭素数16以上だが、ミドリムシの体内で生成される脂肪酸は炭素数14をピークとして12~16を多く含んでおり、藻類の中でもジェット燃料に適している。

◎バイオジェット燃料開発プロジェクト

現在、バイオジェット燃料の実用化に向けて、同社では以下のプロジェクトに参加している。

このうちNEDOの研究は主としてミドリムシの増殖速度を向上させるための研究で、後述のように、最初のテーマにおいては屋内大型設備において、一平方メートル当たり・一日当たり38gの培養を行うことに成功し、現在は屋外での新たな生産性目標の達成に向けた研究を進めている。
一方、JSTの研究では、ユーグレナが光合成によって大量に生産する、バイオディーゼル燃料としての利用が期待されるワックスエステルの醗酵経路とその調節機構の解明、および関連有用遺伝子による形質転換技術を用いて、より高い光合成活性を持ち、ワックスエステルの高生産が可能な「スーパーユーグレナ」作出のための基盤技術の確立を目指している。つまり、より効率的に、より大量のバイオネット燃料の原材料となる油脂を作り出すユーグレナを培養しようというもの。これも後述のように、着実に成果が積み上がっている。

ジェット燃料の市場規模について正確な統計は見つけることが出来なかったが、弊社では以下のデータから、
約1兆円と推計した。
*国内ジェット燃料油生産量 平成23年 12,909千キロリットル(経済産業省 資源・エネルギー統計年報)
*民間航空機用航空燃料(JET A-1) 単価85.5円/リットル(平成24年4月 千葉市における入札結果)

強みと特徴
「バイオテクノロジー企業」である同社の最大の特徴は、その研究開発体制
◎オープン・イノベーションにより単独では実現できない技術開発を実現

2005年、同社は世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功した。
多くの研究者が長年研究してきたにも拘らず、なぜ同社が世界で初めて実現できたのか?
その一つの解は、同社が自社の力のみに頼らず、他の大学や研究機関のデータ、技術、アイデアを巻き込んで革新的なアウトプットを生み出す「オープン・イノベーション」を志向、実現することができたことにある。
同じミドリムシの研究でも、各大学はそれぞれが得意分野を持っている。同社はゲートキーパーの立ち位置で、各大学が得意とする研究分野について研究を依頼し、その知見を同社が集約し事業化を実施することで、単独では実現できない技術開発を実現している。

◎事業化を実現するための有力企業とのアライアンス

多くの有力企業と積極的にアライアンスを組んでいる点も特徴的だ。
事業化を実現するためにはバイオマスの原料開発だけではなく、実際にマーケットに近い企業と共同研究を実施する必要があることから、技術開発だけに留まらない事業開発を目指している。
今後も、アプリケーションに応じて様々な企業との共同研究を進めていく。

また、原料販売申請、販売体制構築面でのパートナーである伊藤忠商事との提携は、立ち上がったばかりの同社の信頼性を向上させる上での大きな契機だった。
他にも、ヘルスケア事業の拡大に最も必要なマーケティングを展開するため電通とも資本提携を行っている。

基本的事業戦略
1.「バイオマスの5F」に基づくコスト低減戦略

同社の事業戦略を見る上で最も重要なのが「バイオマスの5F」というコンセプトだ。

これは、食料(Food)、繊維(Fiber)、飼料(Feed)、肥料(Fertilizer)、燃料(Fuel)の頭文字をとったもので、バイオマスの用途を、上から付加価値の高い順、もしくは重量単価が高い順に並べたもの。
元々は、”付加価値の高い利用法が、付加価値の低い利用法より優先されるべき”という考え方を表したものだが、同社では、ミドリムシの実用化に向け、「5F」の付加価値という点に着目して事業戦略を構築している。

つまり、付加価値の高いものから低いものに順次参入していくと共に、最も付加価値の低い=最も低コストで生産しなければならない燃料にターゲットを定めて、生産コストの低減を進めていくものだ。
同社の研究開発の主眼は、「微細藻株の改変・育種」、「培養方法の改善」などだが、これらは全て生産コスト低減のためである。
創業以来現在まで、2回の大きな技術革新によって生産コストを下げてきたが、今後も培養技術の向上と生産設備の大型化を通じて更なる生産コストの低減を図り、バイオジェット燃料の実用化を目指している。

この「バイオジェット燃料実用化に向けたコスト低減への取組み」が同社の今後の収益状況を占う大きな鍵になる。

「5F」のコンセプトに従って、バイオジェット燃料をターゲットとしたコスト削減が可能な段階に進めば、その上に位置する4つのFは全て、当然利益を確保できる状況にあり、現在既に事業が軌道に乗っている食品、化粧品といったヘルスケア事業の収益性は更に高まることとなる。
また、仮にバイオジェット燃料のコスト削減が計画通り進まなかったとしても、その前段階である食糧・繊維・飼料・肥料分野では収益性を向上させることが出来ているので、同社の場合は、コスト削減のための研究開発投資は「掛け捨て」、「All or Nothing」となるものではない。

今後は、直販比率の向上に伴うヘルスケア事業の一層の成長によって安定したキャッシュ・フローを生み出し、エネルギー・環境事業へ投資。燃料が収益に貢献する段階では、既に食品、化粧品、飼料、化成品といった分野も大きく成長していると見ている。

2.その他の取組み

「Food」、「Fuel」以外の分野では、現在、「Fiber 」、「Feed」、「形質転換」について注力している。
同社の取組みや市場環境についてまとめてみた。

①「Fiber(繊維)」

製品としては、「化粧品」、「その他化成品」を指す。
化粧品としては、ミドリムシ粉末を加水分解したエキス「リジューナ(Rejuna)」を活用した化粧品を既に製品として販売している。リジューナは、紫外線(UV)に対する防御力の強化、若々しい肌作りに大きな影響を及ぼす皮膚線維芽細胞の増殖効果、美肌作りに重要な要素と言われるコラーゲンの合成促進といった働きを持つことがわかっており、今後は更に機能性の解明、製品開発を進めて製品を投入していく。
その他化成品については、前述の「パラミロン」の機能を活かした化成品の研究開発を進めている。

総合マーケティングを行う(株)富士経済による機能性化粧品動向調査(2011年)によると、スキンケア市場 2,000億円、アンチエイジング市場 600億円ということであり、大きな市場が控えている。

②「Feed(飼料)」

2013年12月20日より、「ユーグレナ・ファームのドッグフード」の発売が始まった。(詳細は後述)
一般社団法人ペットフード協会の調べによると、平成23年度の用途別出荷額は、犬用 1,425億円、猫用 1,096億、観賞魚用 47億円となっており、出荷総額は2,643億円と、こちらも大きな市場が形成されている。

また、日本における家畜用飼料の現状を見てみると、飼料の内、タンパク質を多く含み肉用牛や豚、鶏の短時間での肥育、莫大な産乳・産卵に欠かせないとされる「濃厚飼料」は国土条件などの制約から飼料向けの穀類の生産が国内では難しいため、自給率は平成23年度で12%と極めて低い。農林水産省は国内畜産経営安定の観点から、国産飼料に立脚した畜産の確立が必要という観点から、濃厚飼料自給率を2015年度までに14%に引き上げるという目標を掲げている。(引用:農林水産省「飼料自給力・自給率の向上に向けた取組」など)
③形質転換については、前出の「バイオジェット燃料開発プログラム」を参照。

業績概要及び見通し
①2013年9月期決算概要
ヘルスケア事業の順調な拡大を受け、9期連続増収、4期連続黒字を達成

ヘルスケア事業の主力製品である「緑汁」が、効果的な広告宣伝を実施したことなどで自社販売、OEM販売共に順調に拡大したほか、投入が遅れていた化粧品の販売も下期にスタートした。また、子会社化した八重山殖産のクロレラ販売も下期から寄与し、売上高は前期比3割増で9期連続の増収となった。
現在は広告宣伝、研究開発を中心とした投資フェーズと位置付けているため、営業利益、経常利益は前期単独決算数値との比較では減益となったが、当期純利益は八重山殖産子会社化に伴う負ののれん322百万円を計上したため大幅に増加した。2010年9月期以降、4期連続で黒字を達成した。

同社では、「売上毎期30%成長、粗利率50%以上維持」を目標とし、粗利益を可能な範囲で広告宣伝、研究開発などの投資に振り向けることを基本戦略としており、前期および今期以降も継続していく方針だ。

*季節特性について
下のグラフの様に、四半期ごとの同社の営業利益は、相対的に第1、第2四半期が小さく、第3、第4四半期が大きいという偏りがある。これは、後述のように、同社の第1、第2四半期にあたる冬場を挟んだ10-3月に広告宣伝を積極的に展開するためで、同社の四半期ごとの利益動向を見る場合にはその点留意が必要だ。

上場及び八重山殖産の子会社により、現預金、有形固定資産、長短借入金等が増加した。自己資本比率は78.2%。

営業CFおよびフリーCFはプラスとなっている。上場に伴う資金調達で財務CFは約9億円の超過となった。

②2014年9月期業績見通し
ヘルスケア事業の成長で5割増収。利益は広告宣伝、研究開発へ積極投資。

同社では、「売上毎期30%成長、粗利率50%以上維持」を目標としているが、今期もその方針に沿った計画となっている。
積極的かつ効果的な広告宣伝活動を実施し、直接販売を中心にヘルスケア事業の順調な拡大を見込んでいる。
一方、直販比率拡大に伴い粗利率は上昇するが、利益は広告宣伝及び研究開発に積極的に投資する。
最終利益の大幅減少は、前期計上された八重山殖産買収に伴う負ののれんが無くなるため。
広告宣伝費については、売上の推移を見ながら期中にも柔軟に対応するが、概して堅めの計画となっているということだ。

会社側では、現在の株価バリュエーション等からは投資家は目先の利益では無く、中長期のより大きい利益獲得を期待していると考えられるため、毎期適切な投資を継続していくことを重視している。
もちろん健全な営業キャッシュ・フローを投資家に示す必要があるという事も認識している。

(2)成長投資のための資金調達

2013年11月18日に公募増資および第三者割当増資の実施を発表した。合計調達額は約75億円で、払込期日は公募増資が2013年12月3日、第三者割当増資が2014年1月7日。

残額が生じた場合には、2015年9月末までに自社食品製品の販売力強化を目的とした販売促進活動費及び広告宣伝費等の運転資金に充当する予定。
企業買収が計画通り進行しなかった場合は、企業買収の目的である事業基盤拡大のための運転資金に充当する予定。

(3)産活法認定の取得

産活法(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法)に基づく資源生産性革新計画の認定を2013年12月3日に取得した。
東証マザーズ上場企業の中で資源生産性革新計画で認定を受けたのは同社が初めて。

同社の資源生産性革新計画は、『今回公募増資で調達した資金を活用し、国内におけるミドリムシ食品の売上増加や、設備投資と研究開発の実施によるミドリムシ等藻類の生産コストの低減などを通じて、エネルギー消費量およびCO2排出量の削減に努める。』というもの。認定の取得により、増資によって増加する資本金に関する登録免許税の税率が通常の0.7%から0.35%に軽減される予定で、軽減額は最大13,408千円となる。

(4)ペットフードを発売開始

2013年12月20日より自社ブランド商品『ユーグレナ・ファームのドッグフード』(ドライフードタイプ、スープタイプの2タイプ)を、同日にオープンするイオングループのペットショップであるイオンペット(株)「pecos 幕張新都心店」で発売を開始することとなった。その後随時他店舗でも発売するほか、2014年1月からはECサイト「ユーグレナ・ファーム」でも販売を開始する。

近年、ペットの高齢化などを背景に、犬の健康維持のために必要な成分がバランス良く含まれている高付加価値のペットフードの売上が伸びている。ミドリムシには犬の必須アミノ酸が全て含まれているほか、ミネラル9種やビタミン類14種など全部で59種類の豊富な栄養素を持っており、今回のミドリムシ入りドックフードを新たな高付加価値ペットフードとして展開していくことを目指している。

<ユーグレナ・ファームのドッグフードの主な概要>
*ドライフードタイプ、スープタイプ共にチキン、ポーク、ツナの3種類で、価格はそれぞれ 800g 2,480円、1食分(50g) 298円。(いずれも税別。)
*高品質、安心、安全をコンセプトに主原料を国産素材でつくったペットフード。
*ドライフードタイプはペットフード公正取引協議会が「ペットが生きていく為に必要な栄養素を満たしている」と認めた食品である総合栄養食。

各セグメントの進捗及び中期経営目標
【1.ヘルスケア事業】
①2013年9月期の進捗状況および2014年9月期の施策

以下の考え方、方針の下、収益拡大のための様々な施策を実行した。

「ミドリムシを当たり前に」をテーマに、「ファミリーレストラン・デニーズでのミドリムシ入りハンバーグ御膳提供」、「ユーグレナ入りヨーグルトのコンビニ、量販店での販売」、「女性誌とのタイアップ企画」など、様々な市場認知度向上策を実施した。
こうした結果、同社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」の顧客数は、2012年9月の1,746名から、2013年9月には9,362名と5倍以上に急成長した。このうち、毎月定期的に同社製品を購入する「定期購入者」は、割合、人数共に増加しており、ストック収益拡大のための基盤強化が着実に進んでいる。
ヘルスケア事業内での売上構成は、「食品(直販):自社製品を直接消費者の手元に届ける。」、「食品(流通):自社製品を外部の販売店等経由で販売する。」、「食品(OEM):相手方ブランドでの販売」、「八重山殖産のクロレラ」の4つに分けられるが、前2013年9月期は、このうち粗利率が最も高く同社が拡大に最も注力している「食品(直販)」が前期比5倍増と大きく拡大した。
広告宣伝について同社では、消費者が「風邪」、「インフルエンザ」等、健康への意識が高まる10月から3月を中心とした冬季に強化する方針を採っている。今年も同様に9月に広告宣伝を強化したところ、翌10月のECサイト顧客数は、9,362名(9月)から14,307名へと1か月の間に1.5倍に急増した。
この急増は偶然ではなく、これまで様々な媒体を使って広告宣伝を実施しその効果を検証してきた中で、より効果的な広告宣伝手法が固まってきたことが大きな背景である。
同社は、まず広告宣伝やメディアへの露出によってECサイト利用者数、なかでも、「まず買ってみよう」という一般購入者を拡大させ、その一般購入者にメールや電話などのフォローを通じて定期購入者になってもらうというプロセスを通じて定期購入者数を拡大させている。そのためにも、広告宣伝費の積極的かつ有効な投下が現時点では極めて重要であり、今期も含め毎期同社の上期にあたる9月~3月にかけて広告宣伝を前期比以上に行い、ECサイト顧客数の飛躍的な増大を目指していく。
2014年9月期は最も粗利率が高く、成長の果実を享受しやすい自社製品(食品、化粧品)の強化に注力する。
②2018年の経営目標
<国内市場>

バイオジェット燃料の動向が何かと話題に取り上げられる同社だが、現在の主力事業であるヘルスケア事業についても、同社は大きな成長性を見込んでいる。

同社調査によれば、既存健康食品の中で認知度の高い、「青汁」、「クロレラ」の2013年現在の市場規模はそれぞれ540億円、179億円。これに対し、「ユーグレナ・ファームの緑汁」は76億円となっている。
2006年から販売を開始したミドリムシ商品が10年に満たない間に80億円まで市場が拡大してきた中で、青汁もクロレラも市場が縮小した訳ではない。つまり他の製品と競合せず新しい市場を創造することができたということである。
また、1月分3,000~6,000円という、比較的高価な製品であるにもかかわらずこの市場が立ち上がったという事は、健康志向の高まりに加え、ミドリムシの評価が急速に高まっていることの表れと捉えている。

同社では、国内におけるミドリムシ食品市場を2018年までに300億円まで拡大させるという目標を掲げている。この数字は会社側によれば、これだけの好環境下においては決して難しい数字ではなく、むしろ堅めの数字という事だ。
また、売上品目の中では、最も利益率の高い「食品(直販)」の成長に最大も注力するが、その他にはマーケット規模の大きい「食品(海外):後述」、同様に利益率の高い「化粧品」の成長を見込んでいる。

<具体的な施策>

それでは具体的にはどういった施策を採るのか?
最も重要なポイントは「国内食品事業のビジネスモデルの変換」だ。

下の図にあるように、現在同社の食品売上構成は、自社製品 4億円、OEM 17.5億円、原料販売 0.5億円となっており、大半がOEMによるものとなっている。
直販の場合は、中間コストも小さいため、同社の売上がほぼマーケット規模と考えられるが、これに対しOEMや原料販売は売上に至る過程で様々なコストがかかっている。これらを考慮し、現在の売上高から同社が推定したミドリムシの市場規模が前述の76億円となる。現在は76億円の市場から17.5億円の売上を得ている構造というわけだ。

2005年の創業当初は、認知度、生産能力、資金力など、どれも大幅に不足していたため、相手方の信用や資金を利用したOEMという方法が売上高を拡大させるためには最善の方法だった。
しかし、上場によって信用力、認知度、資金、生産能力を入手した同社にとって、これまで通りのビジネスモデルを継続していく必然性は全くない。

そこで、更に大きな市場の創出とそこから得られる売上、利益の拡大を目指してビジネスモデルの変換に取り組むこととした。

現在同社は約60社のOEM販売先を持っているが、この60社は、それぞれの商品名で、それぞれの広告宣伝を行い、それぞれのカスタマーサービスを購入者に提供している。
購入者の立場からすると、原材料は同じミドリムシであるのに、異なった製品名で販売されていることになり、大変わかりにくい。また、取り扱っているOEM先が劣悪なカスタマーサービスを提供するようなことがあれば、ミドリムシのブランド力そのものが毀損する恐れがあるほか、値下げ競争が起こる可能性もある。

そこで、同社では今後、売上規模の大きい上位数社には従来通りOEM製品を供給する一方、残りのOEM先には、自社製品を取り扱ってもらうようこれまでのOEM供給戦略を大きく方針転換することとした。製品の広告宣伝は同社が行うため、OEM先は自社のコストで広告宣伝を行う必要が無い。
既にOEM先との話し合いを始めており、交渉はスムーズに進んでいるという事だ。

上図の様に、このビジネスモデルの変換により、同社はダイレクトマーケティングを中心とした「自社チャネル」を通して、チャネル属性や価格帯、機能性に合わせた「適切な商品群」を、「統一されたマーケティング戦略」の下でユーザーに提供することとなる。
このモデル変換によって売上の拡大と利益率の向上を実現し、2018年には国内ヘルスケア事業のみで「売上高 150億円、営業利益30億円以上」を目指すとの目標を掲げている。

<海外戦略>

海外市場開拓に向けても急ピッチで体制を構築中で、2018年にミドリムシ食品海外市場規模300億円、OEMによる売上高100億円を目指している。

◎中国

2013年11月26日付で、「ミドリムシ」が、中国で食品事業を展開するのに必要な「新食品原料(※)」としての登録を取得したことが、日本の厚生労働省に相当する中国衛生部より公告された。
これにより、中国全土でミドリムシを使用した食品を販売する事が可能となり、2014年1月より、開始する。資本提携先である伊藤忠商事(株)と連携してOEM供給先を開拓していく。
中国では、近年健康食品市場が拡大しており、中国保健協会は市場規模が2015年まで毎年10%以上の成長を示すとの予測を発表している。

(※)新食品原料について
中国国内で食習慣のないものや新技術による食品原料などを販売する際は、「新食品原料」として審査を受け、中国衛生部による審査を経て、登録の認可を取得する事が必要になる。
◎イスラム国家

インドネシア、バングラデシュなどアジアのイスラム国家において必要な「ハラール(※)」の取得準備もすべて完了しており、その地域の文化や嗜好性を考慮した製品開発に取り組んでいる。
(※)ハラール:イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求される。この作法が遵守された食品が「ハラール」と呼ばれる。

その他、成長中の東南アジア各国においては各商社との連携によって市場を開拓していく。

【2.エネルギー・環境事業】
①進捗状況

前回のレポートでも触れているため詳細は割愛するが、現在の進捗状況などは以下の通りとなっている。

2013年9月期は八重山殖産の完全子会社化、八重山殖産敷地内での新研究所設立等により、研究開発体制が大幅に拡充された。
現在、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2件、JST(独立行政法人科学技術振興機構)の1件の、合計3件の政府支援プロジェクトに参画して助成金を獲得し、研究開発を進めている。
より高い光合成活性を持ち、燃料の原料となるワックスエステルを高生産できる「スーパーユーグレナ」作出のための基礎技術の確立をJSTのプロジェクトで進めている。
(株)植物ハイテック研究所を2013年11月に完全子会社化した。(株)植物ハイテック研究所は、奈良先端科学技術大学院大学の教授8名を中心に設立された大学発バイオベンチャー企業。同大学の保有する植物バイオ分野の知的財産権を産業化することを目的に、同研究所は同大学の知的財産権を優先的に実施できる権利を有している。現在、同研究所は同大学の技術を活用した植物の生産性向上技術の研究、葉緑体形質転換の研究などを行っているが、今後も植物バイオ分野における有用な研究開発が行われる予定で、今回の子会社化は、「ユーグレナの形質転換による光合成能力、油脂生産性の向上」、「ユーグレナの形質転換によるユーグレナの新たな有用物質生産手法の確立」に向けた研究開発体制の拡充を目指したものである。
バイオジェット燃料プロジェクトは、2018年の技術確立、2020年の実用化に向けて、現在は、屋外中規模の培養装置での培養を中心とした要素技術の開発を行っている。2014年からは、一貫生産システム(1,000~100,000㎡想定)を構築し、半連続培養も含めた要素技術が想定通りにワークするのか実証を進める段階にあり、当初計画通りの進捗という事だ。今回実施した調達資金(詳細は後述)の一部をこの要素技術実証に充当する。
②2018年の経営目標

前掲の「3.基本的事業戦略 1.「バイオマスの5F」に基づくコスト低減戦略」で触れたように、同社のバイオ燃料開発への投資は、決して「掛け捨て」、「All or Nothing」となるものではない。

これまで2回の大きな技術革新によってミドリムシの生産コストの低減を実現してきた同社は、今後は現在のコストを更に半減させるために、今回の調達資金などを投入して、生産設備のスケールアップ、最終的な目標コストに向けた100万㎡規模の大型設備での培養が可能な技術開発を進めていく。

そうした生産コスト低減の過程で、燃料開発投資の対象となる形質転換技術、大量培養技術、抽出技術、精製技術といった各種技術からから生み出される、「スーパーユーグレナ」「低コストユーグレナ」「ワックスエステル」「パラミロン」「油」など燃料研究の過程で創出される物質は、飼料、食品、化粧品材料、医療用素材、化成品用油、工業用潤滑油といった分野での応用が可能と考えられており、実用化も進んでいる。

例えば、低コストユーグレナは食品の低コスト化、粗利率改善につながり、現在のヘルスケア事業の収益性向上に大きく寄与する。(食品の低コスト化に応用されるのは大量培養技術によるものであり、形質転換技術は食品に応用しない方針)
また、洗剤や石鹸に用いられる化成品用油も、近年では石油由来ではなく植物油のニーズが高まっており、工業用潤滑油においてもバイオ化が進んでいる。こちらも開発が進行中ということだ。

このように、バイオジェット燃料実用化の前段階で、様々な産業分野での実用化を進める事が出来る点が同社の大きな特徴である点は、改めて認識しておく重要なポイントだ。

企業理念の実現のために
沿革でも触れたように、同社設立の原点には、出雲社長がバングラデシュ訪問時に決意した、飢餓、貧困からの解放という使命感があるが、この使命、理念を実現するための活動にも同社は積極的だ。
まず、「ユーグレナを用いた母子保健事業案件化調査」という外務省の2012年度ODA案件化調査を実施した。
そしてこの調査を基に、2013年10月1日、バングラデシュにおける栄養改善プロジェクトの拠点としてバングラデシュ事務所を開設した。
現在2名が常駐し、現地NGOや学校などと連携して、子供たちにミドリムシ入り食品を届けることを想定している。 

今後の注目点
下のグラフは「Amazon.com, Inc.(AMZN)」とユーグレナ社の売上高、粗利率、営業利益率の推移をグラフにしたものである。 

現在の時価総額約1,760億ドル(約18兆円)のAmazon.com, Incは、売上の最大化を追求していることで有名な企業だ。本業の儲けを示す営業利益の対売上高比率は1998年以降、最高で6%強、2011年、2012年は1%台である。マイナスにはなっていないものの、トップラインの極大化に脇目もふらず邁進しているというところだ。
では、この急成長を実現させるために必要な「投資」の源泉は何かといえば、このグラフで示しているように安定して推移する粗利率と言えるだろう。
世界中で最も熾烈な競争を繰り広げていると言っても過言ではない同社が、そうした中でも粗利率を20%より下に落とすことなく維持し続けているのは驚きだが、それが、営業利益をマイナスにすることのない範囲での継続的な投資を可能にしている。その上、毎期、毎期、増収額に応じて投資可能額が増加していることになるわけで、投資と成長の強力なスパイラルの先にある同社の将来像に対し、株式市場は実績ベースのPERで1,000倍を超える評価を与えているとも解釈できる。

一方ユーグレナ社であるが、ほぼ50%を上回る水準で粗利率を維持している。本文中にもあるように今後も当面は最低50%の粗利率を維持しながら、営業利益や営業利益率を意識せず、将来の果実を得るための投資を続けていく方針だ。
OEMから直販へのモデル変換がスムーズに移行できれば、更なる広告宣伝費の増加を吸収しながら粗利率を上昇させることも十分可能であると同社は考えている。

2社のグラフを比較しただけで同社の将来をAmazonと重ねてしまうのは早計であるが、市場からの資金調達も有効に活用しながら、ヘルスケア事業からの安定したキャッシュ・フローと共に成長のための投資を継続することができる点は、Amazonにも似て、同社の大きな特徴、アドバンテージだ。
PERで評価できない成長戦略を取っているため、一般的な物差しによる株価評価は難しく、それゆえ株式市場の変動に大きく左右される可能性はこれからも残るが、それを上回るダイナミックなトップラインの拡大とミドリムシ市場の拡大をいかにして実現していくのかを注目したい。

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