(2453:東証1部,名証1部) ジャパンベストレスキューシステム 2013年9月期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・13/9月期の、売上高は前期比43.5%増の106億73百万円で初めて100億円を突破した。会員事業が好調だった他、2013年2月に子会社化した(株)バイノスによる環境メンテナンス事業が寄与した。粗利率は約6%低下し、販管費もWeb広告等中心に同712百万円増加したが、増収効果で吸収し、営業利益、経常利益ともに過去最高を更新。

・14/9期は、引き続き環境メンテナンス事業が大きく伸長するほか、会員事業も着実な拡大を見込む。また、環境メンテナンス事業と自動車賃貸事業におけるシナジー効果も利益に貢献。売上高は前期比約3割増の140億円。営業利益、経常利益、当期純利益ともに前期比3割増の予想。

・バイノス活躍の場は除染のみでなく様々な分野への拡大が期待されている。会員事業を始めとした既存事業によって安定成長を確保しつつ、環境メンテナンス事業の拡大による成長の加速を目指す同社の今後に注目したい。

会社概要
破損ガラスの交換、水まわりのトラブル解決、更にはカギの交換、パソコンのトラブル解決等の生活トラブル全般を解決する生活救急車による緊急駆けつけサービスを全国展開。「困っている人を助ける」と言う経営理念の下、「110番・119番以外の全てのお困りごとを解決する組織作りに挑戦」(経営方針)している。同社自身は加盟店本部として、ブランディング、広告宣伝活動、企業提携、新事業開発、加盟店開発、加盟店教育研修、コールセンター運営、営業活動、更には業務管理等を行い、実際の顧客サービスは全国の加盟店・協力店が提供する。2005年のマザーズ上場を経て、07年9月14日、東証1部に株式を上場。 2013年2月には環境メンテナンス事業に参入。ジャパン少額短期保険(株)や(株)ライフデポなど、2013年9月末現在、連結子会社7社、及び持分法適用関連会社6社と共にグループを形成。

<事業内容>

事業は、カギ、パソコン等の緊急のトラブルに対応するコールセンター事業、賃貸住宅入居者向け会員サービスの会員事業、旭硝子(株)、(株)LIXIL、セコム(株)との包括提携事業、コールセンター業務を代行するコールセンター受託事業、加盟店向けサービスの加盟店事業、環境メンテナンス事業、少額短期保険事業、自動車賃貸事業及びその他の事業に分かれる。事業(サービス)は多岐にわたるが、大半はコールセンター業務(お困りごとの受付)と生活救急車による緊急駆けつけサービスがベースとなっている。

2013年9月期決算概要
会員事業好調、環境メンテナンス事業の寄与で2ケタの増収増益。売上、営業利益、経常利益は過去最高更新

売上高は前期比43.5%増の106億73百万円で初めて100億円を突破した。会員事業が好調だった他、2013年2月に子会社化した(株)バイノスによる環境メンテナンス事業が寄与した。
一方粗利率は約6%低下した。これは、保険業法第113条繰延資産への費用繰延が終了したこと、環境メンテナンス事業において初期費用が発生したこと、生活会員事業でボリューム増に伴い販売提携先への支払手数料が増大したことなどによる。
販管費は、Web広告28百万円増などによる広告宣伝費82百万円増、人件費341百万円増などで合計712百万円増加したが、増収効果で吸収し、営業利益は同21.5%増の737百万円。経常利益も同26.6%増加し、ともに過去最高を更新した。

作業件数はガラス関連サービス20千件(前期 23千件)、水まわり関連サービス40千件(同 45千件)、カギの交換関連サービス58千件(同 63千件)。生活会員(ライフデポ会員等を除く)の当期入会会員は392千人(継続入会を含む)となった。

コールセンター事業

売上高は前年同期比5.2%減の621百万円、セグメント利益は同22.8%減の125百万円。
カギ、パソコン等はほぼ前年同期並みだったが、競合の攻勢等によって受付件数が全般的に低迷した。カギ部門の売上高は408百万円(同4.8%減)、パソコンサービス部門の売上高は83百万円(同4.4%減)となった。

会員事業

売上高は前年同期比35.6%増の3,082百万円、セグメント利益は同30.3%増の806百万円。
提携企業の賃貸住宅入居者向け「安心入居サポート」会員、エコキュート、IHクッキングヒーターといった家電・住宅設備機器のメーカー保証期間終了後をサポートする「あんしん修理サポート」会員、全国大学生活協同組合連合会の「学生生活110番」会員の販売がそれぞれ拡大し、入会会員も順調に増加している。
「安心入居サポート」会員の売上高が2,170百万円(同49.6%増)、「学生生活110番」会員の売上高が192百万円(同34.3%増)と増収だったが、携帯ユーザー向けの「ライフサポートパック」会員等の売上高は携帯電話からスマートフォンへの移行の影響を受け511百万円(同2.2%減)と減収だった。

企業提携事業

売上高は前年同期比2.5%減の3,015百万円、セグメント利益は同6.5%増の191百万円。
包括提携事業のうち、水の救急車事業の売上高は1,656百万円(同1.3%減)、旭硝子ガラスの救急車事業の売上高は648百万円(同12.4%減)、セコムウィン事業の売上高は80百万円(同2.1%増)となり、コールセンター受託事業の売上高は630百万円(同5.6%増)となった。
水の救急車事業は、ほぼ前年同期並で推移したが、旭硝子ガラスの救急車事業は、ガラスの緊急割れ換え及び窓や玄関ドア等のリフォームの伸び悩みにより、前年同期比2ケタの減収となった。
コールセンター受託事業では、現場出動作業件数が堅調に推移するとともに、コールセンター受託企業数も引き続き順調に増加し、前年同期の185社から24社増加し、209社となった。

加盟店事業

当事業では、主に広告プロモーションの提供を中心にした加盟店・協力店向けサービスの対価が売上計上されている。
プロモーション業務等による加盟店への売上高が172百万円(前年同期比3.2%増)となったが、生活救急車全般のプロモーションに関連する広告宣伝費を当セグメントで負担しているため、営業損失は284百万円(前年同期は営業損失294百万円)となった。
なお、2013年9月末の加盟店数は471拠点(前年同期440拠点)、協力店数は1,095拠点(同1,030拠点)となっている。

少額短期保険事業

売上高は前年同期比45.3%増の1,708百万円、セグメント利益は同23.8%減の132百万円。
賃貸住宅の家財を補償する「新すまいRoom保険」や、自転車の万一の事故に備える「ちゃりぽ」が順調に伸びて増収となったが、保険業法113条に基づく繰延資産への費用繰り延べ終了の影響により減益となった。

自動車賃貸事業

自動車賃貸事業の売上高は前年同期比76.4%増の361百万円。セグメント利益は同590.1%増加の77百万円。
一般顧客向け高級車の賃貸が伸び悩んだが、(株)バイノスが実施する除染事業の拡大に伴う作業用車両の増加により大幅な増収・増益となった

環境メンテナンス事業

(株)バイノスの子会社化によって新たに開始した事業セグメント。
セシウム、ストロンチウム等の放射性物質を効率的に取り込む新種の微細藻類「バイノス」の特性を活かした排水・廃液及び廃棄物処理、除染作業等の事業を展開している。
第3四半期からのPLへの寄与にもかかわらず、福島県での受託作業が順調に拡大し、売上高は1,809百万円となった。ただ、作業用重機及び賃借車両に関する初期費用やのれんの償却52百万円が発生したため、営業損失68百万円となった。

医療機器事業他

医療機器事業が順調に推移したことで、売上高は422百万円(前年同期比277.4%増)と大きく増加したが、先行して投じた広告宣伝費等の増加により、営業損失1百万円となった。(前年同期は営業利益0.4百万円)

売上債権の増加などで流動資産は1,691百万円増加。(株)バイノス子会社化等で、機械装置・運搬具が521百万円、のれんが255百万円それぞれ増加し、固定資産は1,174百万円増加した。総資産合計は2,782百万円の増加となった。
負債面では、リース債務を含めた有利子負債が短期、長期それぞれ1,093百万円、555百万円増加したほか、長期前受収益が389百万円増加し、負債合計は2,745百万円の増加となった。この結果、13年9月末の自己資本比率は、21.8 %と前期末に比べ6.5ポイント低下した。

売上債権の増加などで営業CFはマイナスとなり、投資CFも有形固定資産の取得、貸付け等でマイナスとなったため、フリーCFもマイナスに転じた。
長短借入を増加させたことで財務CFは前期に比べプラス幅が拡大。キャッシュポジションは前期末とほぼ同水準だった。

2014年9月期業績予想
環境メンテナンス事業が引き続き好調で、今期も2ケタの増収・増益を見込む

売上高は前期比31.5%増の14,031百万円。除染作業に更に注力し、環境メンテナンス事業が今期も大きく伸長するほか、会員事業も着実な拡大を見込む。また、環境メンテナンス事業と自動車賃貸事業におけるシナジー効果(除染作業向け車両の調達)も利益に貢献する。
販管費は、広告宣伝費82百万円の増加、人件費316百万円の増加などで533百万円増加するが、売上総利益の増加で吸収し、営業利益、経常利益、当期純利益ともに前期比3割増の予想。
会員事業の積み増し可能性、少額短期保険事業におけるM&Aの検討などは織り込んでおらず、堅めの予想ということだ。
2014年4月1日付で1:100の株式分割を実施する予定。配当は、中間100.00円(1:100の分割を考慮せず。)、期末2.00円を計画している。連結配当性向は11.5%。

(3)トピックス
①JBRグループの新たなチャレンジ:(株)バイノスの復興支援事業

2013年2月に子会社化した(株)バイノスは、筑波大学発のバイオベンチャー企業で、主に同社が発見した新種の微細藻類「バイノス」を使用した排水・廃液及び廃棄物処理、除染作業等の事業を展開しており、現在、福島第一原子力発電所爆発事故後の福島県を中心とした除染作業に従事している。

「バイノス」の特徴
新種の微細藻類で、ストロンチウム、セシウム、ヨウ素等約20種類の放射性物質を高効率で取り込み、吸着させることで汚染水を再利用可能な状態まで浄化する。
除染によって排出される汚染物質の減量に貢献する。乾燥させれば体積を20分の1に圧縮することが可能。
増殖スピードが速く、比較的容易に大量生産が可能である。

具体的な作業は同社が開発した「バイノスRD工法」というもの。
「バイノスRD工法」とは、ケルヒャー製シティクリーナーにより洗浄と同時に洗浄水を回収し、洗浄水が溜まったタンクにバイノスを固形化した吸着沈殿剤「バイノスフロック」を添加すると、タンクの底に放射性物質が吸着沈殿する。脱水カゴとろ過用のろ布で処理水と沈殿物を分離し、沈殿物はろ布ごと廃棄する。

「バイノスRD工法」の特徴
従来のマンパワー中心の洗浄方法と比較し、同等のコストで3倍以上のスピード除染が可能。
汚染水の飛散・流出が無い安心工法。
高い除染効果。実証実験によれば、中線量地区で87%、低線量地区で69%低減させることができた。

同社では、これを更に高速処理し、洗浄水の還元を可能にした「バイノスRDⅢ工法」を開発した。

「バイノスRDⅢ工法」の特徴
アスファルト、コンクリート面に効果的なロードリフレッシャーに「バイノス」を用いた水処理設備を搭載。
除染作業後の汚水を95%以上の高効率で自動的に回収。
回収した汚水を再利用可能な状態まで車上で連続的に浄化。洗浄水の給水に要する時間を短縮する。
車両への給排水に係る人による作業をカットできるため、人件費削減と作業員の低線量被爆を抑止できる。
作業時間も100分の1以下に短縮可能。

福島県では、放射性物質汚染対処特措法(正式名称:平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)に基づき、2012年1月より各市町村レベルで本格除染がスタートしているが、2013年7月末時点での除染の進捗は下記の表のように対象ごとに大きなばらつきがあり、決して順調に進んでいるとは言い難い。

特に、「バイノスRDⅢ工法」が得意とする道路の除染は3割しか進んでおらず、今後も同工法による除染作業が増大すると見込まれる。
こうした状況に対応し同社では2013年9月、除染に使用するサイクロンシステム車両を2台から12台に増強したほか、8t車ベースの大型道路除染車両(ロードリフレッシャー)を用いた除染技術を開発した。

同社が対象とする土壌などの除染に係る予算は、2013年度約4,978億円、2014年度概算要求約3,262億円が計上されており、今後も350台以上という充実した設備と、延べ600名以上の豊富な専門スタッフというバイノス社の強みを活かし、更なる受注の拡大と作業効率の向上を進めていく考えだ。

さらに、現在は舗装道路、駐車場、家屋の屋根や庭の除染が中心だが、2015年からの供用開始に向け政府が最大限の努力を明言している「中間貯蔵施設」について、施設に繋がる道路、出入りするトラックに関する除染作業も必須となり、その先には福島原発内港湾内の海水の除染も行われる計画で、海水中からストロンチウムを吸着できる能力を有する素材はバイノスを含め限られているという事で、今後益々活躍の場が広がっていくと見られる。

②自社株処分による株式の売出しを実施

自己株式57,295株のうち、55,218株を処分、売却した。
調達した資金約36億円を、除染用特殊車両の購入など、新種の微細藻類「バイノス」を利用する「環境メンテナンス事業」の更なる拡大に向けた投融資および子会社JBR Leasing(株)に対する投融資に用い、残額を借入金の返済に充てることとしている。

③株式会社大京アステージとの業務提携強化

株式会社大京アステージ(本社:東京都渋谷区)と提携を強化し、(株)大京アステージが運営するマンション専有部分における生活トラブルに対応するサービス「住まいるレスキュー」を共同して提供することとなった。

大手マンションデベロッパー、(株)大京の100%子会社である大京アステージは約41万戸、大京グループで約51万戸(2013年6月30日現在)のマンション管理受託実績を持ち、管理組合及び区分所有者、入居者向けに様々なサービスや商品を提供している。

(株)大京アステージのサービスの一つとして約4年前から提供され、既に約20万戸の契約実績を持つ「住まいるレスキュー」サービスを、2013年11月1日からJBRが一括で受託、提供することとなった。

「住まいるレスキュー」の主要サービス
*水まわり・建具・電気設備等お部屋のトラブル駆けつけサービス
*玄関カギのトラブル対応サービス
*ガラス修理・交換サービス
*照明管球類交換サービス
*これまでは30分だった無償作業時間を60分へ延長する。

今回の案件は、JBRが提供するサービスの、スピードを含めたクオリティの高さを評価されたものであり、今後こうした案件を他にも広げ、既存事業の強化につなげていく考えだ。

今後の注目点
前期第3四半期からPLに取り込んだ「環境メンテナンス事業」は2四半期、6か月間の稼動にも拘らず、売上高は18億円、売上構成比16.2%と急速な立ち上がりを見せ、同社の主力事業の一つとなった。
通期で貢献する今期は売上高は43億円と倍増以上の拡大、利益も黒字転換する見込みである。
また、現在は放射能吸着による除染作業に用いられている新種の微細藻類であるバイノスだが、多様な特性を持つことから今後は、その殺菌力の高さ活かし、粉末にして鳥インフルエンザ予防力のある飼料という用途の他、「色素増感型太陽光発電」、「バイオマス固形燃料」といった用途での研究を進めているという。
会員事業を始めとした既存事業によって安定成長を確保しつつ、環境メンテナンス事業の拡大による成長の加速を目指す同社の今後に注目したい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up