(2136:JASDAQ) ヒップ 2014年3月期上期業績レポート

2013/12/25

今回のポイント

・14/3期上期は連結売上高21億52百万円、経常利益3百万円(今期より連結決算に移行したため前年同期との比較はできない)。主力のアウトソーシング事業、子会社が手掛けるSMO事業共に堅調に推移したが、アウトソーシング事業での新卒採用の再開とSMO事業での事業拡大に向けた前倒しの人材採用で営業費用が増加した。

・通期予想に変更はなく、連結売上高44億99百万円、同営業利益1億80百万。主力のアウトソーシング事業は引き続き人材難が続くが、下期は需要のある地域へ人員をシフトさせる等で稼動技術者数の増加を図る。上期は営業損失だったSMO事業も、プロジェクトがスタートし利益を確保する。1株当たり12円の期末配当を予定。

・主力のアウトソーシング事業では、主要顧客であるメーカーからのニーズが堅調だが、採用環境が厳しく、需要に供給が追いつかない状態が続いている。ただ、近畿での人材需要が低迷する一方、九州では需要が回復しつつある半導体関連のように、近畿の人材を九州にシフトさせる等、工夫次第で現有勢力での受注拡大が可能な業種もあると言う。このため、フレキシブルな対応で需要を取り込んでいく考え。

会社概要
技術者派遣(アウトソーシング事業)を中心に、SMO事業を育成中。アウトソーシング事業では、輸送機器、エレクトロニクス、情報通信・精密機器、機械、情報処理・ソフトウェア等の分野において、企画から開発、設計、試作までの製品開発フェーズに特化した特定労働者派遣(技術者の派遣)を行っている。本社のある横浜を中心に全国に拠点展開しており、大学院、大学、高等専門学校等を卒業した理系出身者を社員として採用し、教育を施した上で、顧客企業の設計・開発部門に技術エンジニアとして派遣する。開発業務を受託し自社内で対応する請負業務も手掛けており、全社員が生涯技術者として設計開発の革新に貢献している。

一方、SMO事業は、13年2月に100%子会社化した(株)コスメックスの事業領域。(株)コスメックスの子会社化は、今後の成長が見込まれる医療、介護、健康増進等、ヘルスケア分野への事業の展開に加え、更なる企業価値向上と社会貢献を念頭に置いたもの。(株)コスメックスが有する優良な顧客資産と営業力を活かし、同分野周辺の業務を拡大させていく考え。尚、SMOとは、医薬品の開発過程で臨床試験を実施する医療機関に対して支援を行う機関の事。SMOサービスは、SMO(同社)、製薬会社、医療機関との三者契約となっており、SMOは臨床試験に際して医療施設にサービスを提供するが、その対価は製薬会社から受け取る。実際の業務は、同社のCRC(Clinical Research Coordinator、治験コーディネーター)が医療機関に赴き、被験者の人権擁護、治験の円滑な進行、事務業務(症例報告書の作成支援)等に携わる事で臨床試験の担当医師をバックアップする。

【(株)コスメックスの概要】

(株)コスメックスは皮膚領域に特化したSMOとして、専門性の高い治験支援サービスを提供しており、小施設多症例を実現できる医療施設との連携強化に取り組んでいる。

代表者 代表取締役 林 一郎
所在地 東京都新宿区西新宿3-2-11 新宿三井ビルディング二号館16階
設立年月日 2000年1月12日
資本金 23,842,200円
※ プロトコールとは、治験を実施にするにあたって、治験を実施する医療機関と治験を依頼する製薬メーカーが遵守しなければならない要件事項をまとめた実施計画書。実施する治験の背景や根拠及び目的に加え、統計学的な考察も含めて、治験のデザイン、方法、組織について記されている。尚、新薬開発のための臨床試験を「治験」と言い、「臨床試験」は人(患者や健康な人)を対象とした治療を兼ねた試験でより範囲が広い(新薬開発だけを目的にしたものではない)。

※ 症例とは、治験の主要な化学目的を満たすために必要な患者数。

事業拠点及びCRC数と業績推移

東京都内に、本社(新宿区)、代官山事務所(渋谷区)、千束事務所(大田区)、新宿事務所(新宿区)、西新宿事務所(新宿区)の5拠点、大阪に1拠点(梅田事務所、大阪市)を展開しており、契約医療施設は首都圏及び関西圏の約40施設。また、事業の拡大に合わせてCRCの採用も進めており、現在16人のCRCを擁する。

2014年3月期上期決算
連結売上高21億52百万円、経常利益3百万円(今期より連結決算に移行したため前年同期との比較はできない)

連結売上高は21億52百万円。売上高の内訳は、アウトソーシング事業(ヒップ個別)が20億67百万円、SMO事業(コスメックス)が85百万円。アウトソーシング事業においては、メーカー各社の開発投資が堅調に推移した事でわずかに期初予想(20億62百万円)を上回った。上期に始まる予定だったニキビ関連の1億円のプロジェクトの開始時期が下期にずれ込んだSMO事業も、わずかに予想を上回る着地。

営業損益は8百万円の損失。新卒採用を再開した(4月に49名入社)事でアウトソーシング事業の利益が28百万円と同24.3%減少。SMO事業もプロジェクト対応のための人材獲得を前倒しで進めたため30百万円の損失となった(この他、調整額6百万円)。予想との比較では、ヒップ個別、コスメックス共に予想を若干下回る着地。ヒップ個別については、技術料金が若干想定を下回ったものの、計画通り賃金の引き上げを実施した。コスメックスについては、プロジェクトの開始遅延が利益で影響を受けた。
経常損益は3百万円の利益。助成金収入14百万円の計上等で営業損失を吸収した。

アウトソーシング事業を手掛ける(株)ヒップの個別業績は、前年同期比2.3%の増収、同64.4%の経常減益

売上高は前年同期の非連結決算との比較で2.3%増の20億67百万円。自然退職があったものの、新卒採用を再開し49名の新卒が入社した事で、上期末の技術者数が604名と前年同期末(584名)に比べて20名増加した(13/3期末:571名)。新卒入社の影響で稼働率は前年同期の92.2%を下回る89.9%。ただ、待機者及び新卒技術者の稼動が順調に進み、5月以降は計画を上回って推移。7月以降は、ほぼ前年同月と同水準で推移した。
適正レートの確保に向けた継続的な取り組みを続けている技術料金については、新卒稼働の影響で期初の3,646円/時間を下回ったものの、レートアップや戦略的ローテーションの効果で3,627円/時間と前年同期に比べて4円/時間上昇した。外部環境や顧客状況の変化に注意しつつ、価格の適正化に向けた取り組みを引き続き戦略的に進めていく。
稼働時間については、9.25時間/日と高い稼働時間を維持しており、期初の想定である想定(9.21時間/日)を上回った。

期初予想との比較では、技術料金及び技術者数が若干想定を下回ったものの、稼働率及び稼働時間が想定を上回った事で売上高がわずかに予想を上回った。

利益面では、新卒入社や支払い賃金の引き上げに伴う売上原価を中心にした営業費用の増加(19億21百万円→20億39百万円)で営業利益が28百万円と同71.7%減少した。

自動車関係を中心に主力の輸送機器関連が9億23百万円と前年同期比7.5%増加した他、事務機器を中心に機械関連も2億32百万円と同10.9%増加。情報処理・ソフトウェア関連は組み込み関係を中心に同21.9%増の2億55百万円と高い伸びを示した。一方、電気電子機器・半導体回路関連は関西での苦戦が響き、2億56百万円と同26.6%減少した。

東海・北陸エリアでは、取引額の増加が続く自動車関係をけん引役に売上が高い伸びを示した。一方、近畿・九州エリアでは、電気電子機器・半導体回路関連の苦戦が響いた。

2014年3月期業績予想
通期業績予想に変更はなく、連結売上高44億99百万円、同営業利益1億80百万円

アウトソーシング事業は主要顧客であるメーカーからのニーズが堅調に推移しており、引き続き事業環境は良好。新卒及び中途採用の強化により稼働人員の増加を図ると共に、引き続き適正レートの確保に努めていく。連結営業利益は(株)コスメックスにかかるのれん償却13百万円を吸収して1億80百万円と前期の非連結営業利益を8.4%上回る見込み。一方、経常利益及び当期純利益が減少するのは、雇用調整助成基金の受給額の減少を織り込んだため。

尚、(株)コスメックスはCRCの採用・教育費の増加で上期に営業損失となったが、遅延していたプロジェクトが始まる下期は利益を確保。通期でも利益を確保できる見込み。14/3期予想は、売上高2億24百万円、営業利益18百万円、経常利益18百万円、当期純利益11百万円。また、(株)コスメックスの子会社化に伴い発生した「のれん」は1億32百万円。これを10年間で償却していく。

配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

下期も適正レートの確保と共に、積極採用と稼働率の更なる向上に取組む。稼動が順調に進み下期の稼働率は93~94%へ上昇する見込みで、通期では91.5%を想定している。

(2)下期の施策

アウトソーシング事業においては、顧客ニーズへのフレキシブルな対応で稼働率向上に努めると共に積極的な人材獲得で人員の増強を図る。顧客ニーズへのフレキシブルな対応では、全社的な情報共有を活かし、全国的にある顧客ニーズに、統括部及び営業所間の垣根を越えたフレキシブルな対応を図り稼働率向上を推進する。また、人材獲得では、雇用環境の改善で中途採用が厳しさを増しているが、Webや採用フェア等を活用して即戦力技術者の確保に努める。一方、新卒採用では、来年度新卒60名の獲得を目指して採用活動を実施する。

SMO事業においては、強みを有する皮膚科領域の案件獲得や治験医療機関の新規開拓を推進する。また、効率的な運営体制の確立や積極的なコスト削減による利益率の向上に努める。

今後の注目点
アウトソーシング事業では、主要顧客であるメーカーからのニーズが堅調だが、採用環境が厳しく、需要に人材の供給が追いつかない状態が続いている。ただ、半導体関連のように、近畿での人材需要が低迷する一方、九州では需要が回復しつつあるようなケースもあり、近畿の人材を九州にシフトさせる等、工夫次第で現有勢力での受注拡大が可能な業種もあると言う。このため、フレキシブルな対応で需要を取り込んでいく考え。
一方、SMO事業はCRCの増員と受注拡大に取組んでいる。同社が得意とする皮膚科領域は、アトピー性皮膚炎やニキビ関連等で開発案件がコンスタントに立ち上がっているようだ。株式上場企業である親会社ヒップの信用力と資金調達力を活かし積極的にCRCを採用し、事業拡大につなげていく考え。また、SMO事業は常にプロジェクト開始の遅延や中止等のリスクと隣り合わせだが、受注案件数を増やす事でリスクを分散でき、一部案件の遅延や中止の影響を吸収できるようになる。
中期的には(株)コスメックスとのシナジーが課題だ。今後の成長が見込まれる医療、介護、健康増進等のヘルスケア分野での人材サービスが軌道に乗れば、(株)ヒップの潜在成長力を高める事ができる。
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