(6908:JASDAQ) イリソ電子工業 2014年3月期第2四半期業績レポート

2013/12/18

今回のポイント

・配線基板同士を接続するコネクタを開発、製造、販売。主力製品「可動 B to BR」コネクタを始め、高付加価値商品を有する。売上の約80%が車載向け。電気自動車、ハイブリッド自動車の普及でビジネスチャンス拡大。早期から海外進出に積極的で、売上、生産共に海外が中心。

・14/3期2Qの売上高は前期比26.9%増収の154億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。上半期売上高は過去最高を記録。営業利益は、製品単価下落と労務費アップもあったが、円安メリット、合理化効果、増収効果などにより、同72.0%増の25億12百万円と大幅増益。為替差益により、経常利益も倍増となった。11月8日に第2四半期及び通期見通し、配当予想を上方修正した。

・下期も海外・車載市場をドライバーに拡大が続き、通期でも2桁の増収増益を見込む。各利益とも過去最高を更新へ。
リスクとしては為替動向及び価格下落を見ている。配当は10.00円/株増配し、30.00円/株を計画。・前回のレポート作成時から、時価総額は約5割増となったが、PERは同水準にある。好決算を株式市場は素直に評価したことになるが、PERがもう一段上昇するには、今津社長が述べていたように、海外セールスパワーの一段の強化が必要となるのだろう。そこに向けた具体的な取り組み、進捗を注目したい。

会社概要
配線基板同士を接続するコネクタを開発、製造、販売。顧客の作業効率を格段に向上させる主力製品「可動 B to B®」コネクタを始め、高付加価値商品を有する。売上の約80%が車載向けで、国産自動車メーカー及び海外の主要メーカー全てに同社コネクタは搭載されている。電気自動車、ハイブリッド自動車の普及でビジネスチャンス拡大。早期から海外進出に積極的で、売上、生産共に海外が中心。 

【沿革】

1966年に、佐藤定雄 会長が創業。TVや音響製品などの普及に伴い、ハンダで接続するのではなく、着脱が自由なコネクタの需要が増大し、付加価値機能を備えたピン製品を開発し、コネクタ分野へ本格進出。1980年代には現在の主力事業である車載分野に参入し、高付加価値製品「B to B®」を投入。セット時の芯ズレを吸収するという独自の機構が評価され、高いシェアを獲得。
顧客ニーズに対応し、早期より海外進出を積極化。
社名の「イリソ」は『初めて受注をいただいたお客様が埼玉県入間郡「入曽村」(現在の埼玉県狭山市)にあったことから、そのご恩と感動を忘れないために入曽(イリソ)の地名を当社の社名と致しました。』(同社WEBサイトより)との由来による。

【経営理念】

-未来に続く架け橋として-
人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める。

【事業内容】
<コネクタとは?>

電子回路や光通信において配線基板同士を接続するために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。

同社は、用途に応じた様々なコネクタを製造しているが、その中でも代表的な製品が、同社が登録商標を持っている「B to B®コネクタ」(ボード・トゥ・ボード コネクタ)。
B to Bコネクタとは、基板と基板を直接接続することができるコネクタで、垂直接続、平行接続、水平接続などの組み合わせで、様々な接続が可能となる。
そのB to Bコネクタの中でも、接続部分が数ミリ可動する「遊び」が設定されている「可動 B to B®」コネクタは同社の独自性が発揮されている製品。
通常のコネクタは遊びが無いため、接続する際にソケット側とプラグ側にズレが無いよう作業しないと接続できないため、作業効率が悪くなる。
これに対して可動コネクタは、遊びがあるため、ある程度ずれた状態で接続作業を行っても問題なく接続できる。
また、可動コネクタは、通常片側のみが可動することが常識だったが、同社では顧客からの「両側が動けば、より作業効率が向上する」との声に基づき、ソケットとプラグの両方が可動する両側可動(ダブルフローティング)コネクタも開発した。衝撃に強く、顧客の組み立て作業の効率化が図れる製品として高い評価を受けている。
加えて、組み立て作業時のみでなく、可動部分が自動車走行中の振動、衝撃を吸収するため、自動車搭載時にもその性能が大いに発揮される製品だ。

この他にも、以下の様なコネクタをラインアップしている。

○FPC/FFCコネクタ

FPC基板やFFCケーブルの接続に開発されたコネクタの総称。コネクタの挿入時にほとんど力を加えずにFPC/FFCのロックが可能なタイプや、軽い力で挿入可能なタイプがある。

○I/Fコネクタ

I/Fとはインターフェースの略。機器間の信号の接続を行うコネクタの事で、I/O(インプット/アウトプット)コネクタとも呼ばれる。カーナビ、PCなど様々な機器の側面(裏・表面)に装着され、機器への電源供給、音声・映像信号データ等の入出力を行う。

○P/H

線材をカット加工したピン(電導体)をハウジング(樹脂材でできた絶縁体)で支えたプラグ(オス側)コネクタの基本形であり、様々な分野・機器の内部接続(基板間接続)に使用されている。横から見ると、生け花の花止め「けんざん」のように見えるのが特長。メス側はソケットと呼ばれる。

○コンプレッションコネクタ

コンタクトのスプリング圧を利用した脱着コンセプトを採用したコネクタ。省スペース化にも貢献。モバイル機器の内部接続、クレドール等に使用されている。

<事業分野別動向>
主力の車載分野における同社の直接顧客は、自動車メーカーに部品を納入する大手自動車部品メーカー。顧客を通じ、全ての国産メーカー及び、主要な海外メーカーの殆どに同社の製品は搭載されている。
車載分野は、顧客の要望に基づいて製造するカスタム品が多く、高い付加価値を生んでいる。
また自動車メーカー各社は、品質や安全性に対し極めて高い基準を部品メーカーに要求している。同社では早い段階から車載分野に進出しており、永年に渡る納入実績は同社製品の優秀さを証明している。
今後、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)の普及に伴い、電気系統の重要性が増す。また安全性ニーズの高まりを受けて、車間距離を測るミリ波レーダーやカメラの搭載も進み、使用される電子部品数およびコネクタ数は飛躍的に増加することが確実。
加えて、これまではどちらかといえばカーAV、カーナビ等、車室周りの電子部品に使用されるコネクタが多数だったが、これからは、駆動部分(モーター等)に使われる高電圧、高出力に対応する電子部品への進出も期待でき、ビジネスチャンスが拡大すると、同社では考えている。
コンシューマー分野は汎用品が多く、構造もそう複雑ではないため価格競争になりやすい。
インダストリアル分野は、車載分野で培ってきた技術力、ノウハウを活かすことができるため、まだ規模は小さいが今後の成長が見込まれる。
【今後の販売及び生産戦略】

沿革にあるように、創業12年後の1978年にはシンガポールに子会社を設立し、海外での生産、販売をスタートさせている。
まだ実績もさほど大きくない段階ではあったが、顧客企業の海外展開に伴い進出することで顧客との関係を強化することを目的として投資を行った。その狙い通り順調に事業は拡大し、結果として、その後の国内における取引拡大にも結び付けることができた。長年に渡って蓄積したマネジメントノウハウ、実績をベースに、今後も業績拡大のためにはより一段の海外展開強化が必要と考えている。

現在、売上高の約70%、生産の約80%を海外で行っているが、今後の販売および生産に関し以下の様な戦略を進めていく。

◎販売戦略

日本、欧米、中華、ASEANの四極体制での販売を更に強化する。
現在、ドイツおよびアメリカに技術者が駐在しているが、新たに、韓国およびシンガポールにも技術者を駐在させるほか、今はアメリカ拠点がカバーしている南米地域には将来的に拠点設立を視野に、ASEAN、インドにも注力し、新興国需要の取り込みを図る。
技術と販売が一体となってのグローバル販売体制を構築する。

課題としては、海外現地企業との取引拡大。そのためには優秀なローカルスタッフの採用、育成が必要であり、Global規模での人事交流、研修にも着手している。

◎生産戦略

現在、以下4つのプロジェクトを進行させている。

①原価低減プロジェクト

コスト競争力を強化する。

②BCP構築プロジェクト

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、日本語では、事業継続計画。
災害や事故など不測の事態を想定して、事業継続の視点から対応策をまとめたもので、危機発生の際、重要業務への影響を最小限に抑え、仮に中断しても可及的速やかに復旧・再開できるようにあらかじめ策定しておく行動計画のことを言う。
茨城、上海、ベトナム、フィリピンの4工場での生産体制にBCPを組み込んでいく。

③ベトナム拡大プロジェクト

上記4工場の内、2017年をめどにベトナム工場の生産比率をアップさせる。
限界利益率の極大化を図る。

④生産合理化プロジェクト

材料費、固定費の内容を見直し、コスト構造の低減を図る。

これらのプロジェクトを通じて、
「原価低減の実現を通じたモノ作り競争力の確保」
「生産品質の同一化を通じたモノ作り量産体制の維持」
「顧客クレームの撲滅を通じたモノ作りの信頼性の向上」
を実現する。

2014年3月期第2四半期決算概要
車載市場中心に全市場増収で、売上高は上半期過去最高を記録。増収効果と円安等で大幅増益

売上高は前期比26.9%増収の154億円。主力の車載市場が海外で引き続き好調。コンシューマー、インダストアルも増収で、上半期売上高は過去最高を記録した。
営業利益は、製品単価下落と労務費アップがあったが、円安メリット、合理化効果、増収効果などにより、同72.0%増の25億12百万円と大きく増加した。為替差益が352百万円(前年同期は162百万円の差損)発生し、経常利益は同122.9%増加の28億60百万円となった。
11月8日に第2四半期及び通期見通し、配当予想を上方修正した。

年間1円の為替レート変動による売上、利益の影響は以上の通りで、1円の変動による売上への影響額(年間、ドル換算)は240百万円となる。
今後も、ヘッジなどの手段も用いて為替変動に強い企業体質を目指していく。

車載市場の売上は米国、欧州、中華・韓国圏を中心に海外が前年同期比 +46.3%と好調だった一方、国内は -2.4%と微減。 車載市場が好調な背景としては、車内設備電装化の進行があげられる。カーナビゲーションに加え、安全性向上ニーズから、ミリ波レーダーやカメラの搭載も増加している。車載市場売上の国内外比率は、20.9%:79.1%となった。
コンシューマー市場は、好調が続く複合機、プリンターに加え、ゲーム機向けの量産が始まり、デジカメ、携帯電話の不振をカバーし、おおよそ5年ぶりに前年同期を上回った。
インダストリアルはまだ規模は小さいながらも、新規採用先も増加し堅調な推移。
7-9月は、各市場とも直前四半期(4-6月)に対しても増収となっている。
地域別では日本を除く海外市場全てにおいて前年同期比プラスとなった。ただ、直前四半期(4-6月)比では、欧州のみがマイナスとなり、日本も+12%と回復基調にある。
第2四半期(7-9月)の売上高内外構成比は、22.1%:77.9%となった。
製品別ではその他以外、皆大きく増加した。車載IFは米国市場が好調だった。

前期末に比べ、流動資産、固定資産共に増加し総資産は19億円増加した。
負債合計は、長短有利子負債の減少等で約5億円減少した。
この結果、自己資本比率は前期末の74.8%から77.6%へと2.8%上昇した。

売上債権は増加し、仕入債務は減少したが、利益、減価償却費が前年同期を上回り、営業CF、フリーCFともプラス幅は拡大した。短期借入金の純減で財務CFのマイナス幅は拡大した。キャッシュポジションは17億円の増加。

2014年3月期 2Qは、内製化、少量多品種への対応など独自の生産体制を確立する事が出来た。下期の設備投資額を積み増すことも検討している。
減価償却は、金型の短期償却が中心だった。
2014年3月期通期業績見通し
車載市場の深耕を中心に売上を伸ばし、2ケタの増収・増益。全ての項目で過去最高更新へ

下期も海外の車載市場をドライバーに拡大が続き、増収増益を見込む。各利益とも過去最高を更新へ。
リスクとしては為替動向及び価格下落を見ている。
配当は10.00円/株増配し、30.00円/株を計画。

(2)今後の方向性

以下の3点を中心に事業を運営していく。

1.車載市場の深耕

同市場の広がりはまだまだ大きいと考えており、インフォテインメント、安全系、EV/HV化への対応などをこれまで以上に進め、同社の強みであるコア技術「B to B」を活かして、搭載数の拡大を目指す。
耐震性、耐熱性と言った性能をさらに引き上げ、世界中のカーメーカーへの供給を目標とする。
そのために、現在の企業規模と比べれば比較的充実している海外販売ネットワークを更に充実させる必要があると考えている。また、車載市場の拡大の間に、インダストリアル市場を次の収益の柱とすべく育成する。

2.社内体制の整備

中期的には売上高500億円を目指しているが、そのためのインフラ整備に下期から着手する。今期中にプランを確立させ、来期から本格的に取組む。
海外生産体制および販売力の増強、ローカルスタッフ及びセールスエンジニアの拡充などがポイントとなる。

3.体質強化の継続

収益構造の継続的な見直しを進める。最適な生産体制をめざし、生産方式自体も世代交代を図る。また、積極的な合理化投資や労務費の削減も進め、キャッシュ・フローの更なる改善も図る。
この上期、不良在庫および不稼働の金型を含めた固定資産の処理および圧縮(206百万円)を行った。下期も合計378百万円、年間で584百万円実施する予定で、筋肉質の企業体質構築を進める。

今後の注目点
上期の好決算は、円安要因もあるものの、近年急速に進んでいるオーディオ、ナビゲーション、安全システムなど自動車電装化の流れの中、自社の強みを活かして需要の拡大をしっかりと取り込んだ結果と言えるだろう。
下期に入った10月も利益は前年同期比で2割程度伸ばしているようで、引き続き好調な流れが続いている。
為替動向をリスク要因と挙げているが、下期の期中平均前提 95円/USDに対し、実際の相場は足元100円/USD近辺での推移となっていることから、引き続き外部環境は良好といえる。
こうした好環境を活かした資産内容健全化の進展は、海外販売力や生産体制の強化を始めとしたインフラ整備をより推進しやすいものとするだろう。
下の表にあるように前回のレポート作成時(今年5月)からちょうど半年で時価総額は約5割増となったが、PERは同水準にある。今回の好決算を株式市場は素直に評価したことになるが、あくまでも利益の上積み分のみであり、PERがもう一段上昇するには、今津社長が述べていたように、海外セールスパワーの一段の強化とそれによる海外メーカーへの搭載数拡大が必要となるのだろう。そこに向けた具体的な取り組み、および進捗を注目したい。 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

コラム&レポート Pick Up