(2708:JASDAQ) 久世 2014年3月期上期業績レポート

2013/12/11

今回のポイント

・14/3期上期は前年同期比12.1%の増収ながら、新規開拓の増加に伴う一時的な物流効率の低下等で同59.5%の営業減益。品質管理の面でも大きな成果をあげ、13年4月に子会社キスコフーズ(株)がISO22000の認証を取得し、8月には同社自身も認証を取得した(同社グループはすべての業務の品質向上の一環として、グループをあげてISO22000の認証取得を目指してきた)。

・下期予想は、売上高294億76百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益5億05百万円(同23.4%増)。年末の繁忙期を迎えて、上期に新規開拓した約2,000店舗が本格的に寄与してくる事に加え、既存顧客でのシェアアップ効果も見込まれる。利益面では、代替商品及び売筋メニューの提案強化等の営業努力で仕入価格高騰の影響を吸収する他、物流効率の改善も進む見込み。

・通期予想は、売上高600億円(前期比7.0%増)、営業利益5億60百万円(同2.9%増)。第2次C&G(Challenge and Grow for The Good Company)中期経営計画が順調に進捗しており、営業利益は2期連続の最高益更新。配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

会社概要
外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループでソース、ブイヨン、スープ及び調理食品など食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社4社と中国での業務用食材卸売事業を目的に12年5月に設立した久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社1社がある。 

【事業内容】

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、13/3期の売上構成比は、それぞれ、92.4%、7.4%、0.2%。また、販売チャンネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ30.8%、ディナーレストラン・ホテル・会館20.7%、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリング16.9%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ31.6%。

食材卸売事業

取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテム。近年、PB商品や生鮮三品の取扱いに力を入れている。また、売上面、利益面で下期偏重である事も当事業の特徴である。

食材製造事業

連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っている。

【第2次C&G(Challenge and Grow for The Good Company)中期経営計画】

同社の推計では、外食産業約23兆円のうち同社の事業対象となる全国の業務用食材マーケットは約3兆8,300億円で、同社のシェアは未だ1.4%に過ぎない(トップシェアを誇る首都圏に限っても、約3.4%のシェアにとどまる)。国内業務用食材市場自体に大きな成長は望めないが、同社にとってフィールドは十分に広い。

(1)「第2次C&G経営計画」(13/3期~15/3期)

同社は10/3期に「C&Gプロジェクト(Change and Grow for The Good Company)」を立ち上げ、”三大都市圏No.1・お客様満足度No.1″の実現を目指し、「意識と行動の変化」に取り組んでいる。「C&Gプロジェクト」では、創業85周年を迎える20/3期に売上高1,000億円、営業利益20億円の達成を目指しているが、そのプロセスとして3年毎の「C&G経営計画」が策定され、現在、「第2次C&G経営計画」が進行中。今期は”change”を”challenge”に読み替えて、より高い目標に挑戦する。

「第2次C&G経営計画」は、国内外での攻めの営業体制の確立、商品開発を軸とした戦略推進、及び1,000億円企業への体制構築、という4つの基本戦略の下で進められている。

(2)14/3期の施策

取り組み方針として、①徹底的な攻めの営業、②すべての業務の品質向上、③海外事業展開の促進、④グループ力の強化、の4点を挙げている。

①徹底的な攻めの営業

円安と原料高による仕入価格高騰に対応した粗利改善が急務であり、値上げを実施し浸透を図る。その上で、首都圏・中京圏・関西圏での新規顧客開拓に全社で取り組む。また、「給食・惣菜営業部」を新設し、老人ケアやシルバー向け等、専門分野の強化を図る。この他、生産性の向上と競争力の底上げを図るべく、最新の物流システムを導入する事で精度の向上と効率化を進めると共に、独自性のある商品の販売を強化する(ノンフードPB新ブランド「キッチンサポート」の拡販等)。

②すべての業務の品質向上

同社は、10年に「久世グループ品質方針」及び、ISO22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みを開始した。現在、商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注などサポート部門を含めたすべての業務の品質向上に取組んでおり、13年4月には、子会社キスコフーズ(株)がISO22000の認証を取得。同社自身も13年8月に認証を取得した。

③海外事業展開の促進

ニュージーランドで製造事業を手掛けるキスコフーズインターナショナル(KFI)は 設立2年目となる前期に黒字化を達成した。14/3期は更なる収益の拡大を図るべく、フランス料理やイタリア料理のベース材料となるフォンドヴォー(仔牛のブイヨン。ソースを作る際等に用いられる)やベシャメルソース(小麦粉と牛乳で作った白いソース)との増産に取組むと共に、東南アジア及び中国への直接販売について、調査研究を進めている(現在、生産量の98%が日本への輸出)。

また、中国での食材卸売事業では、子会社久華世(成都)が、取扱商品を拡大し(肉、スパゲッティー、チーズ、ハム、鮮魚、タレ等)、現地の日本料理店に加え、西洋料理店、コンビニ、更には四川料理店の開拓を進める。一方、資本・業務提携先である上海峰二食品は新規顧客開拓(上海・蘇州・南京でのシェア拡大)と既存顧客の深耕に取組む。

久世(香港)有限公司

久世グループ海外法人持株会社として海外戦略と情報収集および新規事業の創出。

久華世(成都)商貿有限公司 :久世(香港)90%、河南三明食品10%
四川省成都市に拠点を置き、業務用食材卸売業を展開。15/3期に単年度黒字が見込まれる。

上海峰二食品有限公司(提携先)

上海市内の外食産業及びスーパーを中心に食品販売を展開。冷凍・冷蔵・常温食品約1,000種類を常時在庫し、注文を受けた商品を翌日配達する(毎日配送)物流を構築済み。

(同社資料より)

④グループ力の強化

キスコフーズ(株)は”スープ&ソースのソリューションカンパニー”を目指し、キスコブランド商品の開発と販売を強化すると共に(開発強化に向け、新テストキッチンをオープン)、ISO22000導入による品質向上と生産の効率化に取組む。また、KFIとのグループシナジーも追求する。

生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワンは、特徴ある鮮度の良い商品を扱う元気な「八百屋」を目指す。具体的な施策として、重点エリアの新規開拓及び既存顧客のシェアアップ、大口ユーザーの開拓、生産農家との連携推進、及び築地市場の豊洲への移転(15年の移転を予定)を見据えた対応準備、の4点を挙げている。

2014年3月期上期決算
前年同期比12.1%の増収、同59.5%の営業減益

売上高は前年同期比12.1%増の305億23百万円。営業強化による首都圏でのシェアアップに加え、(株)サカツコーポレーション(愛知県)との提携や大阪支店の体制強化で中京圏や関西圏での新規顧客開拓も進んだ(新規に約2,000店舗を開拓し、概ね15億円の増収要因となった)。
一方、営業利益は同59.5%減の54百万円。円高是正や原料高の影響を受けたものの、継続的な生産性の向上やコストダウンへの取り組みに加え、代替商品及び売筋メニューの提案強化による営業努力で原価率の上昇を最小限にとどめる事ができた。ただ、新規開拓が進んだ事で一時的に物流効率が低下し運賃 が4億03百万円増加した事に加え、仕入精度の向上と効率化に向けた新物流システムの立ち上げや顧客要請にマッチした(全国チェーンの顧客とエリアの顧客等)物流が可能なKZN(久世全国ネットワーク)の整備もあり、販管費が49億97百万円と同13.0%増加し利益を圧迫した。

尚、第2四半期(7-9月)の3か月間では、代替商品や売筋メニューの提案強化が成果をあげ始めた事や新規顧客との取引が徐々に軌道化し(物流効率の改善)、収益性の改善が進んだ(営業損益:第1四半期 △48百万円→第2四半期 1億03百万円)。

食材卸売事業は売上高283億91百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益2億88百万円(同39.3%減)。売上が順調に伸びたが、急激な円高是正や原料高による仕入れ価格の高騰に加え、物流面や人材面への先行投資が負担となった。
販売チャネル別売上構成比は、居酒屋・パブ29.6%(前年同期31.2%)、ディナーレストラン・ホテル・会館20.4%(同20.6%)、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリング15.8%(同16.2%)、ファーストフード・ファミレス・カフェ34.2%(32.0%)。既存顧客でのシェアアップと新規顧客の開拓でファミリーレストラン(ファミレス)向けの売上構成比が顕著に上昇する一方、業界全体が低迷した居酒屋・パブの構成比が低下した。

一方、食材製造事業は売上高21億26百万円(前年同期比20.1%増)、セグメント利益1億48百万円(同97.8%増)。引き続き自社ブランド商品の販売強化に努めた事に加え、継続的な品質向上及びコストダウンの成果もあり、利益率が改善した。また、一部の生産設備更新で生産能力を増強したKISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITEDの生産も順調に伸びた。

上期末の総資産は前期末に比べて6億38百万円減の185億84百万円。事業拡大に伴う運転資金の増加や有利子負債の削減でCFが一時的に悪化し、現預金が減少した。ただ、資産のスリム化が進んだ事で自己資本比率は25.7%と1.8ポイント改善した。

2014年3月期業績予想
(1)業績見通し

下期予想は、売上高294億76百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益5億05百万円(同23.4%増)。独自性のある商品の販売強化(ノンフードPBブランド「キッチンサポート」拡売)に加え、新商品及びリニューアル商品60アイテムの投入を計画。年末の繁忙期を迎えて、上期に開拓した約2,000店舗が本格的に寄与してくる事に加え、既存顧客でのシェアアップ効果も見込まれる。利益面では、物流効率の改善が進む見込み。また、仕入価格高騰に対応した代替商品及び売筋メニューの提案強化を継続し浸透を図ると共に、引き続き全ての業務の品質向上にも努める。

通期予想は、売上高600億円(前期比7.0%増)、営業利益は2期連続の最高益更新となる5億60百万円(同2.9%増)。配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

今後の注目点
上期は、円高修正と原料高を織り込み減益を予想していたものの、予想以上に利益が落ち込んだ。ただ、その要因は、想定以上に新規顧客の開拓が進んだためで、実際、売上高は期初予想を5.3%上回った。また、円高修正と原料高による仕入価格の高騰も、代替商品及び売筋メニューの提案営業が成果をあげており、顧客満足度を高めつつ収益性の低下を最小限にとどめる事ができた。尚、新規顧客との取引は、小規模な取引から始まり、徐々に拡大していく。このため、当初は移送効率が悪い(徐々に配送トラックの荷台が埋まっていく)。
下期は、物流効率の改善に加え、ノンフードPBブランド「キッチンサポート」等、独自性のある商品の販売強化に加え、新商品及びリニューアル商品60アイテムの投入で、収益性の改善が一段と進む見込み。
また、同社は、高齢化社会の到来を踏まえ、収益機会の拡大と社会貢献の両面から施設向け給食事業を立ち上げ、この4月に給食惣菜営業部を設置した。現在、全国の施設を回り、マーケットリサーチを行っているが、美味しさを損なう事無く加工した「柔らかい食べ物」や「飲み込み安い食べ物」等、メーカー機能を活かした商品展開できる分野が多いと言う。また、外食用の惣菜をリーズナブルな価格で提供できる事も好評だと言う(施設入居者も、「できるだけ健常者と同じものが食べたい」と言う希望がある)。中長期的な成長要因として期待したい。
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