(2660:東証1部) キリン堂 2014年2月期第2四半期業績レポート

2013/10/16

今回のポイント

・14/2期上期は前年同期比1.3%の増収、同25.0%の経常増益。売上はわずかな増加にとどまったが、利益率の高い調剤売上高の増加等による売上構成の良化で売上総利益率が改善。コストコントロールの徹底で販管費の伸びを抑え、営業利益が同30.2%増加した。

・通期予想に変更はなく、前期比3.1%の増収、同15.5%の経常増益。08/2期以来の経常最高益更新が見込まれる。既存店の前提は同1.5%の増収。13店舗の新規出店と5店舗の退店が織り込まれている。配当は1株当たり10円の期末配当を予定(上期末配当10円と合わせて年20円)。

・グループの再編が進んだ事とコストコントロールの精度向上で収益力の回復が顕著である。下期は一段の収益性の改善が進む見込みで、会社側も自信を持っている。一方、売上高は、過去5年間でほぼ横ばい。中長期の展望を明るくするためには売上の拡大が不可欠である。売上拡大に向けた取り組みとその成果に期待したい。

会社概要
関西圏を地盤とする中堅のドラッグストア。グループで医薬品等卸売事業や医療・介護コンサル等も手掛けている。ドラッグストア事業では、近畿2府5県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を中心に、香川、徳島、石川、及び関東1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)においてドミナント戦略を進めている(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに、地域内でのシェアを向上させ競争優位に立つ戦略)。

グループは、ドラッグストアを展開する同社のほか、卸売事業や健康食品・医薬品の企画・販売を手掛ける(株)健美舎、医療・介護分野のコンサルティングやマネージメントを手掛ける(株)ソシオンヘルスケアマネージメント、輸出入とその関連業務を手掛ける麒麟堂美健国際貿易(上海)有限公司、及び12年9月に設立し中国江蘇省でドラッグストアを展開する忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司の連結子会社4社。

グループ         店舗322店舗(下記のほか海外の1店舗を含む)

(株)キリン堂              関西地区    :266店舗
忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司      四国地区    :20店舗
(株)健美舎               北陸地区    :12店舗
(株)ソシオンヘルスケアマネージメント  関東地区    :12店舗
麒麟堂美健国際貿易(上海)有限公司    中部地区    :11店舗

【グループの基本方針と中期3カ年計画】

グループの基本方針として「地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーンの確立」を掲げ、関西地域における小商圏フォーマットでのドミナント深耕を進めていく考え。
ポイントは、①「楽・美・健・快」のコンセプトに沿った顧客第一主義の店づくりと②医療提供施設としての機能強化。前者では、未病をテーマにした健康・美容の専門性と利便性の向上に取り組んでおり、後者では、足元、順調に事業規模が拡大している調剤事業の更なる推進と在宅支援に取り組んでいる。

現在進行中の中期3ヵ年計画(ローリング方式により毎期見直し)は、①既存店の活性化、②調剤事業の推進、及び③中長期の成長に向けた取り組みの3点を骨子とし、連結経常利益率3%を念頭に、16/2期に売上高1,176億円、経常利益39億円の達成を目指している。

※ 現在進行中の中期3カ年計画における14/2期の出店計画は11店舗だが、実際には計画を上回る13店舗、同じく退店計画は3店舗だが、実際には5店舗となる予定。

中期3カ年計画の骨子の概要と取り組み状況は次の通り。

① 既存店の活性化

同社は6,000世帯程度の小商圏を対象に調剤を併設したドラッグストア展開を志向しており、未病に対する的確なカウンセリングを特色とする地域密着型の顧客第一主義の店づくりに取組んでいる。この一環として、中期3カ年計画では、既存店を活性化するべく、顧客づくり、セルフサービス売場の徹底とライトカウンセリングの販売強化、及び人材育成に力を入れている。また、店舗収益力の強化に向け、業務システム改革を進め生産性の改善とコストコントロールを強化しているほか、付加価値の高いPB商品の拡充・販売拡大による高収益化と他社チェーンとの差別化にも取組んでいる。

② 調剤事業の推進

在宅支援への展開を念頭に調剤事業の拡大に力を入れている。調剤事業については、既存店舗への調剤併設の推進を中心に、地域の調剤薬局の取り込みや大型調剤薬局の開設、更には(株)ソシオンヘルスケアマネージメントとの連携による医療モールの開設等で、13/2期に75億円だった売上高を16/2期に100億円に引き上げたい考え。

③ 中長期の成長に向けた取り組み

関西地域でのドミナント出店を継続していく。いわゆるリーマン・ショック以降は、グループの再編・整備や既存店の強化を優先していたが、これらの取り組みが一巡し、足元、既存店も堅調に推移していることから、15/2期以降は新規出店ペースを加速する。また、M&Aやアライアンスに機動的に対応していくほか、大衆薬のネット販売の自由化を踏まえて、店舗ネットワークを有する同社グループの強みを活かしたネット展開とポイントカード会員向けネットサービスの拡充等でリアル店舗での販売を支援していく考え。

2014年2月期上期決算
前年同期比1.3%の増収、同25.0%の経常増益

売上高は前年同期比1.3%増の517億73百万円。売上の内訳は、キリン堂と忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司による小売事業が同1.3%増の515億12百万円、医療・介護分野のコンサル等を手掛ける(株)ソシオンヘルスケアマネージメントや(株)健美舎等のその他が同5.1%減の2億60百万円。小売事業では、調剤売上高が40億94百万円と同12.1%増加した他、化粧品(同1.1%増)、医薬品(同0.5%増)も堅調に推移した。

また、注力しているPB商品の売上比率は、HBC商品(ヘルス&ビューティケア。医薬品、健康食品、化粧品)をけん引役に8.0%と前年同期比0.1ポイント上昇した(PB商品に占めるHBC商品の売上構成比は61.9%と同0.7ポイント上昇)。なお、PB商品の売上総利益率は42.1%(前年同期に比べて0.7ポイント改善)と連結ベースの売上総利益率を大幅に上回っている。上期末現在のPB商品のSKU(在庫管理の単位)数は603SKU。

利益面では、調剤売上高(売上総利益率34.2%)や健康食品(同37.3%)が増加したことによる売上構成の良化等で売上総利益率が26.5%と前年同期比0.2ポイント改善。人件費の増加を営業費や施設費等の効率化で吸収して販管費は小幅な増加にとどまり、営業利益は8億70百万円と同30.2%増加した。経常利益も同25.0%増加したが、四半期純利益は前年同期における一過性の要因(吸収合併した子会社の繰越欠損金を利用した節税効果)の反動減で4億56百万円と同13.9%減少した。

予想との比較では、コストコントロールの徹底で販管費が想定を下回ったものの、販促実施期間中の天候不順等の影響で客数が伸び悩んだことで売上が下振れ。売上総利益率も想定したほどには改善しなかった。

出退店及び既存店の状況    新規出店2店舗、退店3店舗

上期末店舗数は海外1店舗を含む322店舗(前年同期末323店舗)。スーパードラッグストア2店舗(共に兵庫県)を新規出店する一方、スーパードラッグストア2店舗及び小型店1店舗の計3店舗の退店を実施した。一方、既存店売上高は計画の前年同期比0.9%増を下回ったものの、同0.1%増とプラス圏での着地。5店舗で改装を実施した他、調剤の寄与、会員化による囲い込みとポイントカード会員への販促策実施による客単価の上昇(同2.4%増)により、客数の同2.2%減少をカバーした。なお、ポイントカード会員向けの売上は同0.4%増加(客数が同1.2%減少したものの、客単価が同1.5%上昇した)。

商品部門別の動向

平均処方せん単価の上昇と1店舗当たりの処方せん受付枚数の増加に加え、処方せん取扱店舗の増加もあり(前年同期比1店舗増の53店舗)、調剤売上高が40億94百万円と同12.1%増加した他、シーズンスキンケア・制度化粧品・トイレタリーの販売増で化粧品の売上が133億20百万円と同1.1%増加。花粉症関連商品を中心に医薬品の売上も96億45百万円と同0.5%増加した。この他、売上構成比は小さいが、健康食品の売上がサプリメントや健康茶の販売増で同3.0%増加したものの、一般食品(米やパン等)の減少を日用雑貨の増加でカバーできず雑貨等の売上が同0.3%減少した。

販管費の動向

販管費は、ほぼ横ばいの128億42百万円(前年同期比0.5%増)にとどまり、期初の想定(129億29百万円)を下回った。人員増等に伴い人件費が増加したが、営業費や施設費を中心にコスト削減が進んだ。人件費では、報酬及び給料手当(前年同期比1億63百万円増)、法定福利費(同21百万円増)、従業員募集費(同20百万円増)が増加。一方、営業費は、料金値上げ等で水道光熱費が増加したものの(同59百万円増)、租税公課(同1億29百万円減)や備品消耗品費(同19百万円減)等が減少。施設費では、リース料(同45百万円減)や地代家賃(同31百万円減)が減少した。

2014年2月期業績予想

上期に発生した利益の下振れ約1億40百万円(経常利益ベース)を、下期に実施する売上総利益の上積み(80百万円)と販管費コントロール(80百万円)で吸収して期初予想を達成したい考え。

売上総利益の上積み対策としては、新規会員獲得とポイントカード会員への販促の推進、値引きコントロールの徹底、PB商品の新規投入と販売強化による(*1)値入率の改善、の3点を挙げている。
さらに、販管費については、当初から予備費30百万円を織り込んでいた事に加え、照明のLED化推進による水道光熱費の削減(予算に対する削減額25百万円)や社宅・車両・交通費等の削減(同10百万円)等を見込んでいる。

(*1)値入率は販売価格と仕入原価の差額を販売価格に対する比率で表したものであり、以下の式で算出する。
値入率(%)=(販売価格-仕入原価)÷販売価格×100
値入率は商品販売前の見込みを示す一方、売上総利益率は商品販売後の実績値を表すものである。

なお、下期は調剤専門店2店舗を含む11店舗の新規出店と2店舗の退店を予定しており、期末店舗数は331店舗となる見込み。また、グループの再編と整備が進んだ事を踏まえて、来期以降はドミナント深耕を念頭に新規出店ペースを上げていく考え(年間16店舗を目処に新規出店)。このため、用地確保に向けた取り組みも強化する。

通期予想に変更はなく、前期比3.1%の増収、同15.5%の経常増益。既存店は同1.5%の増収を見込んでおり、13店舗の新規出店と5店舗の退店を織り込んだ。配当は1株当たり年20円を予定(上期末10円、期末10円)。

今後の注目点
14/2期は経常最高益(08/2期:25億30百万円)の更新が見込まれる。上期の経常利益は1億40百万円程度下振れしたが、会社側では下期の収益性改善に自信を持っているようだ。今後の課題は、「この6年間ほぼ横ばいだった売上高を、収益性を改善させつつ、いかに伸ばすか」である。このため、同社は、これまで抑えていた新規出店を来期以降加速させる考えだ。既存店の集客力強化の施策やM&Aと共に注目していきたい。
尚、医薬品(大衆薬)のネット販売が実質解禁されたため、今後、ネットと実店舗両面からの販売競争激化が予想される。同社はカウンセリングの強化で実店舗の差別化を図ると共に、実店舗の支援を念頭にネットでの展開を強化していく考えだ。医薬品(大衆薬)のネット販売解禁はドラッグストア各社の経営に逆風だが、実店舗とネット販売のシナジーを高める事ができれば、課題である集客(来店客数の増加)の改善につなげる事ができかもしれない。
株式会社インベストメントブリッジ
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