(2154:東証2部) トラスト・テック 2013年6月期業績レポート

2013/10/09

今回のポイント
・13/6期は前期比3.5%の減収ながら、同20.6%の経常増益。派遣期間の抵触日(派遣法で定められた3年の派遣期間の到来に伴う契約終了)の影響や半導体関連の苦戦による製造請負・受託・派遣事業の落ち込みが響き減収となったが、利益率の高い技術者派遣・請負・委託事業が自動車関連を中心に伸びた事等で営業利益が同14.0%増加した。・8月22日にはJASDAQから東証2部へ市場変更となった。14/6期は前期比17.3%の増収、同30.5%の経常増益予想。配当は、東証2部への市場変更記念配10円を含む年40円を予定(上期末20円、期末20円)。尚、7月1日を効力発生日として1株を100株に分割し、100株を1単元とする単元株制度に移行した。

・派遣の売上を維持しつつ請負を拡大させる事で主力2事業の収益基盤強化を図ると共に、成長ドライバーとするべく、軌道化しつつある海外事業や人材紹介を強化していく考え。また、メーカー向けのアウトプレースメントサービスや高齢者派遣等、新たな領域の開発にも取り組んでいく。

会社概要
製造業の技術開発部門や製造部門を対象とした人材派遣及び業務の請負・受託を中心に事業展開。製造部門向け派遣・業務請負・受託の(株)TTM、障がい者雇用(清掃・梱包等の軽作業を中心とした業務)の共生産業(株)、及び香港を拠点に中国に人材サービスを展開する香港虎斯科技有限公司(HKTT)の連結子会社3社と共にグループを形成し、製造業に特化したトータルソリューションの提供を特長としている。

【事業内容】

事業は、研究開発における技術分野の派遣、請負、業務委託を手掛ける技術者派遣・請負・委託事業、子会社の事業領域で製造工程業務等の請負・受託を手掛ける製造請負・受託・派遣事業、障がい者雇用促進事業と不動産賃貸事業に分かれる。尚、障がい者雇用促進事業では、特例子会社の共生産業(株)を通じて、法定の障がい者雇用率を上回る雇用を継続している。

技術者派遣・請負・委託事業 事業主体:(株)トラスト・テック、香港虎斯科技有限公司(HKTT)

売上の約8割を占める技術者派遣を中心に、技術者の人材紹介、紹介予定派遣にも対応している。技術者派遣は派遣期間制限のない専門26業種の一つで、研究・開発、設計・解析、試作・実験、生産・技術等の業務を行う。尚、当事業に就業する技術社員は「常用雇用者」であり、期間の定めのない雇用契約を締結している。また、海外では、中国で事業展開する日系企業向けに香港虎斯科技有限公司(HKTT)が人材紹介サービスを提供しており、タイ、ベトナム等の東南アジアへ進出する企業への対応も進めている。

製造請負・受託・派遣事業 事業主体:(株)TTM

請負は主に顧客企業の構内において、受託は(株)TTMの受託工場において、同社が業務遂行指示や管理業務を含めて、加工・組み立て、仕上げ、検査、梱包・出荷等の作業を行うもので、一般の製造業同様に労働基準法等の関係法令の規制を受ける。売上の約4割が請負・受託で、約6割が派遣。

【特長・強み】

同社の強みは、対応力・提案力、採用力、営業力、の3つ。様々な引き合い(仕事情報)があるため採用が効率化し、採用できるため思い切った提案,大規模案件の受注が可能である。

提案力・対応力  請負・委託並びに国際事業(中国) での実績

「技術系は派遣」という同業他社が多い中、請負等を積極的に提案する企業は少ない。中国へ進出するメーカー向け人材サービスの実績と共に、提案力と多様なニーズへの対応力を背景とする間口の広さが同業他社との差別化につながっている。

採用力  全国規模のキャリア採用(中途採用)を継続的に実施

多くの採用手法をもち、特に技術系の中途採用は業界トップクラス。もちろん新卒採用も行っているが中途採用で、旬な顧客ニーズや請負に必要なスキルの確保等、スピーディな人材の確保が可能であるため、他社より早く稼働させる事ができる。

営業力  特定の業種、職種に固執せず、繁忙企業に対して常に営業を行い幅広い業務に対応

派遣・請負・委託等、様々な対応力と採用力により、繁忙企業とのビジネスチャンスを捉える事ができる。全業種の大手メーカーとその関連企業をターゲットとしており、取引開始後も、質・量・期間共に「伸び代」のある顧客企業が多い。

現在の拠点
トラスト・テック
営業所・支店 :仙台、宇都宮、大宮、東京、横浜、静岡、名古屋支店、豊田、トヨタ支店、大阪
事業所 :北上、富山、滋賀(2013/9営業所へ変更)、広島、福岡
開発センター :宇都宮、豊田、横浜
TTM
支店 :約2,000万PV
サテライト :南福島、八王子、相模原、飯田、草津、姫路
工場 :岐阜
採用センター :沖縄採用センター(支店併設)、札幌、仙台、つくば、さいたま、横浜、名古屋、大阪
【人材ビジネスの特徴】

人材ビジネスの売上高を決める要素は、①社員数、②稼働日数、及び③一人1日あたりの売上の3つ。計算式は次のようになる。

月商=①社員数×②稼働日数×③一人1日あたりの売上

3要素の中で業績拡大の最大の要素は①社員数である。②稼働日数は、大型連休月を除き19日~21日であり、月別の変動幅(1日の稼働日数の違いで約5%変動)は限定的かつ予想可能。また、③一人1日あたりの売上高は、派遣単価あるいは請負の工数や納品数の単価がベースとなるが、これらの契約単価は月毎に変動しない(契約単価は業務内容や交渉に応じて変動するが、急激に変動する事はない)。一人あたり1日のアウトプットは残業時間(請負では業務量の増加)の増減で変動するが、増減には限界があるため、月別の変動幅は限定的である。

成長戦略
派遣の売上を維持しつつ請負を拡大させる事で主力2事業の収益基盤強化を図ると共に、成長ドライバーとして、軌道化しつつある海外事業や建築分野等への人材紹介を強化していく考え。また、メーカー向けのアウトプレースメントサービスや高齢者派遣等、新たな領域の開発にも取り組んでいく。

【技術者派遣・請負・委託事業】

受注拡大に向け、工作機械、産業機械、電気機器等の業種や、設備メンテナンスなどの新分野の開拓も含めて、従来の営業戦略(繁忙企業に対する総合提案)を徹底すると共に、17/6期に売上構成比50%超を目指して請負・委託へのシフトを進める。また、業容拡大に向け、同セグメントのM&Aにも積極的に対応していく。

「派遣」、「請負・委託」共に売上を増加させ、その上で「請負・委託」の売上構成比を向上させる。具体的には、14/6期から16/6期にかけての3年間で、「派遣」の売上を13/6期比40%増加させ、「請負・委託」の売上を同300%増加させる。売上の増加に伴い経常利益率は10%以上に高まる見込み。

【製造請負・受託・派遣事業】

既存取引先における同社シェア(インハウスシェア)の引き上げに取り組むと共に、17/6期に売上構成比70%超を目指して製造請負を強化する。また、生産負荷変動への対応と単価・条件交渉の徹底により利益率の向上も図る。

顧客企業における請負No.1を目指しシェア拡大に取り組む考え。具体的には、「派遣」の事業規模を維持しつつ、「請負・受託」において、14/6期から16/6期にかけての3年間で13/6期比80%の増加を目指している。また、請負・受託を中心に利益率を向上させ、経常利益率を4.5%以上に引き上げる。

【海外・紹介事業】

海外事業では、紹介事業を中心に香港現地法人のビジネスが軌道化しつつある事を踏まえて、中国現地法人の設立や東南アジアでの拠点開設についての検討を始める。また、国内においては、派遣の代替えとしての需要も見込める紹介事業を、建設分野への展開も視野に強化する他、メーカー向けのアウトプレースメントサービスや高齢者派遣を念頭に新たな領域の開発にも取り組んでいく。

2013年6月期決算
前期比3.5%の減収ながら、同20.6%の経常増益

売上高は前年同期比3.5%減の149億15百万円。自動車関連企業の旺盛な人材需要を背景に技術者派遣・請負・委託事業の売上が増加したものの、派遣期間の抵触日の影響(派遣法で定められた3年の派遣期間の到来に伴う契約終了)や半導体関連の想定以上の苦戦等による製造請負・受託・派遣事業の落ち込みが響いた。

利益面では、技術者派遣・請負・委託事業における自動車部品関連での単価アップと低収益率請負業務の減少に加え、製造請負・受託・派遣事業での人材紹介案件など利益率が高い新規取引の寄与もあり、売上総利益率が22.3%と同1.6ポイント改善。減収ながら売上総利益が増加し、採用費を中心にした販管費の増加を吸収。営業利益は7億18百万円と同14.0%増加した。助成金収入の増加(33百万円→78百万円)等で営業外収益が増加する一方、特別損失が減少したため、四半期純利益は4億60百万円と同29.9%増加した。

技術者派遣・請負・委託

売上高78億42百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益6億25百万円(同27.5%増)。期末の稼働技術者数は前期末比72名増の1,293名となり、過去最高を更新した。四半期ベースでは半導体関連の苦戦で第1四半期から第3四半期にかけて減少したものの、自動車部品関連の旺盛な需要の取り込みで前年同期に対しては期を通して上回った。利益面では、自動車部品関連の新規派遣案件等で従来よりも単価の高い案件があった事と原価率が高かった一部請負業務が減少した事で売上総利益率が前期比1.2ポイント改善。販売管理費はほぼ前期並みに抑え、セグメント利益率が8.0%と1.2ポイント改善した。

製造請負・受託・派遣

売上高70億10百万円(前期比14.5%減)、セグメント利益1億54百万円(同0.3%増)。抵触日の影響による減員は織り込んでいたものの、顧客企業の生産拠点の統廃合及び業績悪化による半導体関連の契約終了等で想定以上の減員となった。ただ、電気機器や住宅関連の新規取引の寄与により、第3四半期以降、前四半期比で増員基調に転じ、期末人員は2,083名と前期末比59名増加した。
第3四半期まで前年同期比減員で推移したため売上が減少したものの、利益面では、抵触日を迎えた自動車メーカー向け人材紹介案件等、利益率が高い新規取引の増加で原価率が改善し売上総利益が増加。求人費を中心にした販管費の増加を吸収した。

期末総資産は前期末比3億34百万円増の55億44百万円。借方では、損益の改善と売上債権の回収が進んだ事でCFが改善し、現預金が増加。貸方では、好決算を反映して、純資産や未払法人税等が増加した。自己資本比率は62.8%。無借金で流動性に富んだ優れた財務体質を有する事も同社の強みだ。

2014年6月期業績予想
前期比17.3%の増収、同30.5%の経常増益予想

売上高は前期比17.3%増の175億円。主力2事業共に自動車関連の増加が見込まれる他、技術者派遣・請負・委託では新規開拓効果が、製造請負・受託・派遣事業では既存取引先の回復が、それぞれ見込まれる。

利益面では、営業及び採用担当者の増員や拠点開設(滋賀営業所)等の先行投資を吸収して営業利益が同44.8%増加する見込み。経常利益が同30.5%の増加にとどまるのは、助成金収入の減少を織り込んだため。

7月1日を効力発生日として1株を100株に分割しており、8月22日にはJASDAQから東証2部へ市場変更となった。配当は、1株当たり東証2部への市場変更記念配10円を含む年40円を予定(上期末:記念配10円を含む20円、期末:普通配20円)。

技術者派遣・請負・委託

技術者の増員で自動車関連が期を通して堅調に推移する見込みで、大きな契約終了等の予定もない。下期については、工作機械、産業機械、電気機器等で上期に営業を強化する成果が顕在化する他、半導体関連が立ち上がってくる見込み。利益面では、営業及び採用担当者の増員や滋賀営業所の開設等の先行投資を増収効果で吸収。経常利益率は8.3%と前期比0.3ポイントの改善が見込まれる。

製造請負・受託・派遣

自動車部品メーカーへの派遣や自動車メーカーへの有料職業紹介案件の増加に加え、航空関連、住宅関連及び電気機器等の既存取引先で請負の増加も見込まれる。増収効果で経常利益率が3.3%と、前期比1.1ポイント改善する見込み。

今後の注目点
日本自動車工業会の発表によると、7月の国内の四輪車生産は91万114台と前年同月比1.5%減少し、11カ月連続で前年同月の実績を下回った。しかし、エコカー補助金の駆け込み需要の反動が一巡しつつあり、6月の9.5%減との比較では大幅な改善だ。四輪車の輸出台数も41万3,920台と1.0%の減少にとどまった。過度な円高の修正で輸出も改善傾向にあるようだ。加えて、消費税率の引き上げが決まれば、駆け込み需要に対応するために各社が増産に踏み切る可能性が高い。このため、同社の14/6期上期(7-12月)は、自動車関連を中心に増収を見込むシナリオに沿った展開が期待できそうだ。
一方、下期は、技術者派遣・請負・委託においては、工作機械、産業機械、電気機器等での新規開拓案件の寄与や半導体関連の立ち上がりを見込んでおり、製造請負・受託・派遣においては、航空関連、住宅関連及び電気機器等の既存取引先で請負の増加を見込んでいる。下期が想定通りに推移すれば、来期の見通しも明るさを増してくる。想定通りに新規取引先の開拓と及び既存取引先の回復で売上を積み増す事ができるか、期を通しての請負比率の動向と共に注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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