(4955:東証2部) アグロ カネショウ 会社概要および2013年12月期業績見通しレポート

2013/09/25

今回のポイント

・農薬専業メーカー。果樹、野菜を中心に約90品目の農薬を国内および海外で販売。最終ユーザーである農家との関係を重視し、農家密着型営業で強固な顧客基盤を構築している。主力薬剤の一つであるダニ剤:カネマイトフロアブルは日本だけでなく世界約30か国で農薬登録を取得し販売されている。国内は本社のほか、2事業所、2工場、5支店、11営業所で、海外は2子会社、1支店で構成されている。従業員は連結で226名(いずれも2012年12月月末)。

・2011年に発生した東日本大震災による原発事故の影響で福島工場の稼働が不可能となったが、タイミングよく2012年1月にM&Aにより取得した茨城県の結城事業所内に茨城工場を建設し生産を再開する事が出来た。また今回の件を機に、委託生産の割合を高めてリスク分散を図ると共に、製造コスト、流通コストの最適化も進める。福島工場閉鎖の直接の原因となる原発事故を引き起こした東京電力に対しては損害賠償請求訴訟を提起している。

・「従業員資産」、「顧客資産」、「技術資産」という3つの見えない資産を活用し、成熟した国内市場ではシェアアップを、成長する海外市場では既存及び新規市場の更なる開拓を進める同社の今後に注目したい。

会社概要
農薬専業メーカー。果樹、野菜を中心に約90品目の農薬を国内および海外で販売。
最終ユーザーである農家との関係を重視し、農家密着型営業で強固な顧客基盤を構築している点が大きな特徴。
また海外展開にも積極的で、主力薬剤の一つであるダニ剤:カネマイトフロアブルは日本だけでなく世界約30か国で農薬登録を取得し販売されている。
国内は本社のほか、2事業所、2工場、5支店、11営業所で、海外は2子会社、1支店で構成されている。従業員は連結で226名(いずれも2012年12月月末)

同社はこの経営理念「わが信条」を掲げ、全てのステークホルダーに対し、この理念をベースに営業、研修、社会貢献、IR活動など各種活動を行っている。

創業者、櫛引大吉は、常々「企業経営は目先の利益だけにとらわれていてはいけない、哲学を持たない会社は繁栄しない。」と唱えてきた。
現在の様に、企業の社会的責任が世の中の注目を集めるよりも以前の1989年1月に、企業の社会的責任そのものを表すとも言える「我が信条」を経営基本理念として採択した。
そして、1993年3月31日の株式公開に伴い、「社会の公器」となったことを契機に、現社長、櫛引博敬が「我が信条」を基本理念はそのままに、よりわかりやすく現在の形に改定した。

【市場環境】
◎市場規模および今後の見通し

日本の農薬の市場規模は2011年度で3,263億円(農薬出荷金額)。
下のグラフにあるように、農業生産額が1985年度の8.3兆円から2009年度5.6兆円まで3割以上減少するのに伴い、農薬の国内需要も徐々に減少している。ただ、水稲用農薬出荷額が1995年度から2011年度まで24%減少しているのに対し、同社が主に対象としている野菜・畑作、果樹合計の出荷額は同期間で5%のマイナス、野菜・畑作に限れば7%増と比較的安定した推移となっている。

一方、世界の農薬市場は2012年で約4兆円と国内市場の10倍以上の規模。
アジア、北・中米を中心に2007年から年率8%程度で成長を続けている。

国連は、世界の人口は2011年の70億人から2050年には93億人まで急増すると予測している。今後、食糧需要が急拡大する一方で、供給面においては、問題が山積している。
国際連合食糧農業機関(FAO)によれば、耕地面積は2000年の15.2億haから、2009年までの間にわずか0.1億haしか増加していない。水資源不足により灌漑耕地を増やすことが出来ないことがその背景と言われている。
また、バイオ燃料の需要拡大に伴い、本来は食料用耕地であった農地でバイオ燃料用のトウモロコシや大豆が生産されるという競合状況も生まれている。
加えて、地球温暖化が一因ともいわれる干ばつ、高温、冷害等による減収や、本来的に農業に常に付きまとう病害虫や雑草害による減収も深刻な問題となっている。

農薬については様々なメディアなどで、環境や人体に対する影響を懸念する報道がなされるが、一方でその重要性が正しく理解されているとは言い難いのが現状だ。
日本植物防疫協会の調査結果を見ると、農薬を使わずに農作物を生産しようとすると、多くの果樹、野菜で大幅な減収を余儀なくされることがわかる。

このように、世界が食糧危機という事態に着実に近づいている現在、安定した食料生産のための農薬の重要性は益々大きくなっている。
もちろん、人体や環境に対しての安全性は重要な問題であるが、現在の日本の安全基準は極めて高く、適切な方法に従った農薬の使用は、食料の安定生産という観点から不可欠なものと言えよう。

◎同社のポジショニング

国内には、総合化学系、専業系、外資系という3系統の農薬メーカーが存在しており、同社は専業系メーカーの1社である。

同社は上場している農薬専業メーカーの中では、売上規模は下位に属し、株価評価はPER、PBRとも同業他社および市場を概ね下回っている。茨城工場の稼働開始により生産能力は回復に向かう中、今後は株価評価見直しの場面も予想される。

【事業内容】

果樹、野菜向けを中心とした農薬の開発・製造・販売を行っている。
主な品目としては、ダニ剤、土壌処理剤、線虫防除剤、病害防除剤など、現在約90種類の農薬を扱っている。
販売契約の相手先は、主として、「兼商会」と呼ばれる全国約95の会員店(代理店)、農薬販売店、JA(農協)であるが、創業以来、最終ユーザーである農家との関係構築を重視し、様々な活動を行っている。(詳細は後述)

◎研究開発体制

農薬の開発には、開発スタートから登録申請するまでに約10年という長い歳月とおおよそ30億円という多額の研究開発費が必要だ。開発された農薬が登録される(使用される)には、薬効試験、薬害試験、人畜・環境への安全性試験等、約200項目に亘る試験が実施され、関係官庁は、農林水産省を始め、厚生労働省、環境省、食品安全委員会、消費者庁と幅広い。
登録申請までの10年に、更に2年を要する安全性を担保するためのこうした厳しい試験を経た後、晴れて、「対象とする作物、病害虫、使用方法・回数・時期など」が規定された農薬登録が行われる。
また、一旦登録された農薬でも、異なる対象作物に使用する際は、改めて評価を受けなければならない。
この「適用拡大」は、追加の手間、コストは必要なものの、初めから新たな農薬を開発するものではないことから、売上・利益を効率的に拡大させることができる有用な手法となっている。

同社の研究開発における方針は、「新規化合物の合成研究を通じた新たな薬剤を創出する」、「現場のニーズに応える農薬の登録、新製剤や使用技術の研究開発を行う」というものであり、埼玉県所沢市と茨城県結城市の2カ所の研究所で行われている。

特徴と強み
1.農家密着型の営業体制

先述のように、同社は最終ユーザーである「農家」との関係構築・維持・発展を重視し、農家密着型営業を展開している。
兼商会会員店、小売店、JA(農協)などに農薬の情報や技術を直接説明するのはもちろんのことだが、農家に対しても直接説明する機会を積極的に設けている。
他メーカーが卸や全農を中心に、場合によっては小売店やJAに情報提供を行うものの、農家に直接接触する事が殆どないのと比較すると極めて対照的だ。

この密着営業のキーマンが、TCA(テクニカル&コマーシャル・アドバイザー)と呼ぶ支店・営業所の技術普及担当者だ。
TCAは、ほとんどが地元採用となっている。その地方の出身であるため、生活習慣や言葉にも難なく溶け込み、その土地の農業や環境、地域の問題などにも熟知していることから、農家と円滑なコミュニケーションを取ることができる。こうして構築された関係の中から汲み上げられた最終ユーザーである農家の声を製品開発に生かしている。
植物成長調整剤「ターム水溶剤」、「ヒオモン水溶剤」、「アークランド液剤」は農家の声を重視した中からに生まれた製品である。

TCAは、「地域のリーダーとなる中核農家」、「農薬販売・指導を行うJAや販売店」と有機的に結びつき、技術情報の交換、農家のニーズの調査・確認、展示圃の設置、新技術の開発等を行い、製品の理解と普及を進めており、これを同社では「トライアングル作戦」と呼び、具体的には以下の様な活動を行っている。

◎展示圃活動
地域の農業指導機関と連携して、農薬の効果的で適正な使い方を実演によって説明し、その効果、特性を理解してもらうための展示圃場を運営している。

◎農家説明会
作物の栽培に合った効果的な病害虫の防除方法や農薬の使用方法を指導している。また、病害虫防除暦の作成支援、技術情報の提供等をおこなっている。

◎技術部会
地域ごとの会員店社員に対して、展示圃活動を通した技術の習得や製品知識の向上を図り、製品販売に携わる人々すべてが十分な製品知識および、使用技術に基づき農家に販売できるよう研修体勢を整えている。

また、欧州、米国などの農業および農薬の製造・普及・販売を実施研修するため、1969年以来、毎年研修視察に社員を派遣している。各国の農薬メーカーや販売業者、農業試験場、農協、農家などを訪問し、知識を深めるとともに交流を図っている。この研修には会員店社員や農薬販売店社員も参加し、海外の技術を吸収し、国内での農薬普及技術の向上に役立てている。

2.積極的な海外展開

市場環境の項で述べたように、グローバル市場における農薬需要は今後も拡大すると予想される中、同社も積極的な海外展開を進めている。
中でも、1999年に日本で登録された同社の主力製品の一つであるダニ剤「カネマイトフロアブル」は現在全世界29か国で登録され、今年もスペイン、イギリスなど5か国で登録される見込みである。
現在約9億円の海外売上高を2014年には10億円以上に引き上げたいと考えている。

今後の事業戦略
同社は2011年3月11日に起こった東日本大震災で大きな被害を被った。
被害の状況、その対応、今後の新しい成長戦略について櫛引社長にインタビューを行った。

<東日本大震災と福島工場>

同社の中心的生産拠点であった福島工場は、1991年7月に第1期工事完了後、能力増強を続け、創業60周年となる2010年を控えた2008年11月には所沢の生産設備を移設し、完成に至った。
「ダニ剤:カネマイトフロアブル」、「土壌処理剤:バスアミド」を始め同社の主力製品のほとんどはこの福島工場で生産されており、創業60周年の2010年を機に、生産・販売の更なる拡大を目指していた時に起こったのが2011年3月11日の東日本大震災であった。

福島県大熊町東工場団地にある同工場は、津波の被害こそ少なかったものの、地震によって設備は大きなダメージを受けた。
しかし、地震による被害をはるかに大きく上回ったのが、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故であった。
同工場は同原発からわずか1kmの位置にあり、3月11日20時50分には半径2 km以内の住人に避難指示が出される。現在でも、大熊町はほとんどの地域が年間積算放射線量50ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に指定されており、今後の生産活動継続は困難となった。

そうした中同社は、各取引先企業等の協力による代替生産体制の確立に注力した。特に主力商品の「カネマイトフロアブル」は、グループの努力及び製造委託先企業の協力によって2012年に入り約1年ぶりに生産体制が整い、徐々にではあるが、供給できるようになってきた。この大変な時期に生産を受託してくれた取引先企業に対する感謝の念を忘れることは無いと櫛引社長は言う。

一方、製造及び販売計画に重大な狂いを生じさせ、福島工場の閉鎖の直接の原因となる原発事故を引き起こした東京電力に対しては、2011年11月に、2011年3月11日から8月31日までに発生した営業損失について損害賠償請求を申立てた。2011年9月以降の期間の損害に関しても引き続き損害賠償請求を行っている。
請求額には実際の損害額に加え、通常通りに生産・販売していたら得ることのできたはずの「逸失利益」も当然ながら含めているものの、櫛引社長によれば、東京電力は、そうした「得べかりし利益」を一切認める考えはないようで、その対応は極めて不誠実であり、原発事故に対する責任感が微塵も感じられないという。
短期間での解決は難しそうではあるが、櫛引社長は損害賠償請求を通じて今後も東京電力の責任を追及していく考えだ。

<今後の戦略>

この創業以来最大ともいえる重大な事態に直面し、原発事故被害を克服して、新たな成長を目指すために以下の様な戦略を推進していく。

◎成長戦略の方向性

成長戦略の方向性には大きな変化はない。

①製品数の拡大
新規薬剤に関しては、自社剤の創製と他社剤の導入を進める。
既存薬剤に関しては適用拡大に取り組むと共に、他社剤の買収を検討する。

②市場の拡大
具体的には「国内でのシェアアップ」、「海外既存市場での拡販」、「海外市場の新規開拓」の3つを掲げている。
このうち、「海外既存市場での拡販」のため、2003年10月に設立した60%出資の子会社KST(ベルギー・ブリュッセル)を増強すると共に、2012年9月に韓国・ソウルに100%子会社AKKを設立した。AKKにおいては需要拡大が見込まれるアジア市場における拡販の際の品質管理や第三国向け輸出などを行う方針だ。

◎生産体制の再構築

原発事故により大きな被害を被った同社だが、これを機に生産体制の見直しを進めている。

①新規生産拠点の構築
まず福島工場の代替機能としては、2012年1月に買収した独バイエルクロップサイエンス社 旧結城中央研究所(茨城県結城市)を結城事業所とし、その敷地内に茨城工場を建設した。2013年4月に工場は完成し稼働を開始している。
生産能力は福島工場の約3分の2となっている。
(結城事業所および茨城工場については後述)

②リスク分散
今回の事故を機に生産拠点の分散を図ることとした。震災前の生産量の拠点別構成比は、福島工場 40%、委託生産等 57%、直江津工場 3%となっていたが、茨城工場が稼働開始した現在は、茨城工場 25%、委託生産等 71%、直江津工場4%となっている。カネマイトフロアブルに関しては、自社生産をやめ、全量委託生産とした。3分の2を海外、3分の1を国内で委託する。

③コスト構造の改善
このように主力製品のカネマイトフロアブルを全量委託生産することとした背景には、リスク分散という観点に加え、コスト構造の改善という要因もある。
特に海外市場における需要の急速な拡大が見込まれるカネマイトフロアブルは、製造コスト、流通コストを改めて見直した結果、海外での委託生産拡大がコストの最適化に繋がると判断した。

◎新たな取り組み

以上に加え、櫛引社長は結城事業所を活用した新たな取り組みを構想中とのことだ。

一つは土壌分析の専門家育成。
土づくりは、農作物の安定生産にとって基本となる技術であるが、近年、野菜を中心として養分過剰の圃場が多く見られ、養分バランスの崩れによる生育障害も見られるという。また、肥料価格高騰の中で土壌診断による適正な施肥も課題となっている。一方、こうした土づくりの問題について、公的機関等ではアドバイスや指導ができる人材が少なくなってきており、今後は土づくりに関心を有する人達の段階的なレベルアップを促しながら土づくりに関して適切なアドバイスや指導できる人材を育成していくことが重要であるとの観点から、日本土壌協会が主催する土壌医検定試験が2012年度からスタートしている。
同試験における土づくりマスター、土づくりアドバイザーの資格を取得した専門家を社内に育成して、結城事業所内で土壌分析を行い、将来的には分析受託事業も開始したいと考えている。

もう一つは農業の重要性を小中学生を中心とした若い世代に理解してもらう機会を提供する事。
結城事業所を拠点として、周辺の農家の協力と理解を得て、恒常的に小中学生が農業を体験学習できるような場を作りたいと考えている。

また、近い将来、規制緩和によって企業の農業への本格参入が見込まれているが、来るべき大規模農場運営を見据えて、北海道でモデル事業をスタートさせることも検討しているという。

◎中期ビジョン

同社は、利益の源泉を「ユーザーの需要を直接掘り起こす技術普及販売活動」と「独創的な新剤を生み出す研究開発」であると認識している。
この2つを今まで通り推し進め、2015年12月期 当期純利益 9億円達成を目指している。
また利益処分に関しては従来通り、多額の研究開発資金を要する事、全てのステークホルダーに公平に対応する考えである事から、「内部留保」、「従業員」、「株主」の3つに均等に配分する考えだ。

2013年12月期決算について

売上高は前年同期比7%増収の74億円。売上総利益率が同3.5%低下したため販管費の増加を吸収できず営業利益は同13.6%の減益となった。円安進行で為替差益が同223百万円増加したため経常利益は増益となった。受取補償金53百万円が計上された一方で前年同期に発生した固定資産売却損、同除却損が無かったため、四半期当期純利益は2ケタの増益となった。

売上債権増などで流動資産は20億円の増加。固定資産も、有形固定資産5億円増などで11億円増加した。この結果、総資産は23億円増加した。
一方負債面では、仕入債務の増加などで流動負債が11億円増加し、負債合計は10億円増加した。
自己資本比率は前期末に比べ1.7%低下の55.8%となった。

営業CFのマイナス幅は縮小した。定期預金の払戻し等により投資CFは前年同期に続きプラス。財務CFは、配当金の支払い増加、長期借入の返済によりマイナス幅が拡大した。
キャッシュポジションは前年同期比20億円増加の79億円となった。

小幅増収ながらも、2ケタの減益を予想している。
粗利率が1.2%低下する一方、販管費が約9%増加する。
営業利益以下の第2四半期実績は、既に通期予想を超過しているが、3Q以降の事業環境は不透明と見ており、通期予想に変更は無い。

結城事業所について
結城事業所を訪問し、生物研究所、茨城工場等を見学した。
管理部 徳森部長、林製造部長兼茨城工場長にお話を伺った。

◎結城事業所開設の経緯

同社は2012年1月11日、独バイエルクロップサイエンス社から旧結城中央研究所を譲り受けた。同研究所は、日本特殊農薬製造(のちのバイエルクロップサイエンス社)が1985年に設立した。
バイエルクロップサイエンス社の親会社であるバイエルAGは2011年2月にグローバル規模で農業部門のリストラを発表し同研究所も閉鎖されることとなった。
所沢のアグロ カネショウ生物研究所は以前から同研究所とは、研究活動上での交流があったことから、この情報を入手。
おりしも東日本大震災により福島工場が操業停止になっており、新たな生産拠点確保が急務だったため、福島よりも東京の本社および所沢の研究所に近いという事もあり、研究開発及び生産拠点として取得・使用することとした。
2012年1月の譲受後、2012年2~4月に研究部が所沢から移転。同8月には茨城工場の建設に着工。2013年4月に茨城工場が完成した。

◎結城事業所概要

結城事業所は敷地面積 約2.9ha。これに加え、バイエルクロップサイエンス社が保有していた試験圃場も譲受した。
研究開発本部、管理本部、生産本部から成っており、従業員数は2013年7月1日現在で40名在席している。

<研究部 生物課>

同社の研究部には以下の様な6つのセクションがあり、新規農薬開発に際し、評価試験開始までの様々な作業を分担している。

このうち結城事業所の研究部には生物課が置かれ、生物化学棟内や併設する温室などで、化合物が病害虫に対し生理活性があるかを調べるとともに、事業所から7kmほどの距離にある、実際の農場である大戦防圃場でも活性化を確認している。

2.6haの大戦防圃場では、梨、桃、柿、梅、リンゴなど各種10品目程度、合計約50品目の果樹や野菜に対し様々なやり方で農薬を散布し、活性を確認している。
3か所の圃場を確保できたこと、また温室については結城事業所の1棟は所沢の温室の3棟分の面積にあたることなど、結城事業所を手に入れたことは研究開発体制強化という点で、大きな意味があったと言えるだろう。

<茨城工場>

独バイエルクロップサイエンス社の旧研究所時代に環境科学棟であった場所に茨城工場を建設した。

出荷に向けた小分包装をバスアミド(土壌処理剤)、モレスタン(水和剤)など32品目、44種類、バルク加工を40品目行っている。福島工場では小分包装が43品目、87種、バルク加工が36品目だった。
生産能力はバスアミド小分包装 1,500トン/年(設備最大能力 2,000トン/年)、水和剤小分包装 100トン/年などとなっており、福島工場のおおよそ3分の2の水準となっている。
また、福島工場では行っていた出荷業務は、すべて外部の運送業者への委託によって行い、業務の効率性を高めている。

今後の注目点
東日本大震災は同社に大きな打撃を与えたが、委託先を含めた周囲の協力に加え、極めて良いタイミングでバイエルクロップサイエンス社の旧結城中央研究所を取得できたことにより、新たな成長へ向けた第1歩を踏み出すことができた。この買収を「運が良かった」という事は簡単だが、「志あるところに道は開ける。」という諺の通り、事業立て直しに向けた櫛引社長を始めとした全社挙げての熱意や前進力がこの案件を引き寄せたとも言えるのではないだろうか。また今回の事故はコスト構造の更なる改善という、副産物も生み出した。

同社にはBS(貸借対照表)には表れない重要な資産が3つあると評価できる。一つは、他社に例を見ないトライアングル作戦を担うTCAに代表される「従業員資産」。もう一つはそのTCAによって強固な関係を構築している「顧客資産」。3つ目は独創的な新剤開発力という「技術資産」だ。
短期的には今期予想の様に減益を余儀なくされるようだが、この3つの見えない資産を活用し、成熟した国内市場ではシェアアップを、成長する海外市場では既存及び新規市場の更なる開拓を進める同社の今後に注目したい。

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