(3784:JASDAQ) ヴィンクス 2014年3月期第1四半期業績レポート

2013/09/18

今回のポイント

・2014年3月期第1四半期の売上高は6,812百万円。通期会社計画28,000百万円に対し24.3%の進捗で着地した。営業利益は143百万円。こちらも前年同期比では大きく伸びているが、経営統合インパクトが大きいため、今期において対前年同期比較は意味をなさないだろう。印象としては、新たな基本戦略に基づき着実な一歩を踏み出したと受け止めている。

・新中期経営計画(2013年度~2015年度)の経営ビジョンは「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」。経営統合により強化された競争力を源泉に、「特定顧客化戦略」、「グローバル戦略」、「商品・サービスの差別化戦略」、「プロジェクトマネジメント及び品質管理の強化」、「経営統合に伴う効率的な事業運営体制の実現」、以上5つの基本戦略が新中期経営計画の軸となる。この基本戦略に取り組んでいくことで更なる事業成長と安定的な収益の両立を図っていく。最終年度2016年3月期の目標は、売上高34,500百万円、営業利益2,050百万円、売上高営業利益率5.9%となっている。

・2014年3月期は、売上高28,000百万円、営業利益1,330百万円(共に前期比較は省略)を予想する。中期計画で掲げた5つの基本戦略を軸に、日本企業の海外進出活発化の恩恵を受けるべく営業を展開していく計画。尚、配当は1株当たり4,000円(中間配当2,000円、期末配当2,000円)の予定。

会社概要
流通・サービス業向けを中心に、ソリューション(システム構築)、アウトソーシング(システム運用、システム管理、ソフトウエア保守、ヘルプデスク等)、及びパッケージソフト開発等を手掛ける。自社の海外展開経験を活かしながら、有力企業のグローバルサポートを着実に行っている点で顧客からの高い評価を得ている。大手流通業のユーザー系情報システム会社として得た経験と豊富な実績に、富士ソフトグループとしての技術力が加わることで、ユーザー系と独立系双方の長所を兼ね備えた企業の地位を築いている。2013年4月には(株)ヴィクサスと合併し、社名を旧来のヴィンキュラムジャパン(株)から(株)ヴィンクスに変更している。
富士ソフト(株)が約7割の株式を保有。POS端末用アプリケーションソフト開発を手掛ける(株)4U Applications、百貨店向けソリューションに強みを持つ(株)エス・エフ・アイの国内連結子会社2社、維傑思科技(杭州)有限公司、上海新域系統集成有限公司、ヴィンクスマレーシアの海外連結子会社3社及びFMSソリューション(株)、永旺永楽(杭州)服務外包有限公司の持分法適用関連会社2社と共にグループを形成している。なお、ヴィンクスマレーシアは、グループのアセアン拠点として2012年7月より事業を開始している。2013年度中にヴィンクスベトナムを設立する予定。

<事業内容>

事業は、アウトソーシング分野(13/3期売上構成比44.0%)、ソリューション分野(同34.7%)、プロダクト分野(同9.2%)、その他IT関連分野(同12.1%)に分かれる。

アウトソーシング分野
システム運用およびシステム管理サービス、ソフトウエア保守サービス、ヘルプデスクサービス、ASP(ソフトウエアの期間貸し)サービス等を提供している。
ソリューション分野
流通・サービス業向け基幹システムや流通・サービス業向け各種業務システムの企画・開発を行っている。
プロダクト分野
流通・サービス業システムに関する技術やノウハウを活かした流通・サービス業向けパッケージソフトウェア、及びシステム運用管理パッケージソフトウェアの開発及び販売を行っている。
その他IT関連分野
上記の各事業に付随して発生する事業。ソリューション事業及びプロダクト事業におけるシステム構築の一環としてのハードウエア販売、店舗システム導入展開サービス(POSシステムや発注システムなど店舗システム機器の導入・設置、教育、移設)等を提供している。
<主な取引先>

イオングループ((株)ダイエー含む)、(株)マルエツ、(株)セディナ、(株)ヤオコー、(株)マツモトキヨシホールディングス、(株)富士薬品、(株)ココカラファイン 等。

2014年3月期第1四半期決算概要
(1)2014年3月期第1四半期連結業績
<新たな基本戦略に基づき着実な一歩を踏み出す>

2014年3月期第1四半期の売上高は6,812百万円。通期会社計画28,000百万円に対し24.3%の進捗で着地した(2013年4月1日付で(株)ヴィクサスと合併したため、前年同期比較は行わない)。営業利益は143百万円。こちらも前年同期比では大きく伸びている。
特定顧客化戦略においては、経営統合を背景に特定顧客層の充実を図り、より一層の関係強化に努めながら付加価値の高いサービス提供に注力してきた。とくに既存の特定顧客向けサービスの品質向上に努め、更なる深堀にも積極的に対応した。スーパーマーケット、ドラック業界との商談は活発であり、積極的な提案活動に紐づく特定顧客の受注拡大に取り組んだ。
グローバル戦略においては、アセアン地域への事業規模拡大に伴う設備投資等に備えるため、連結子会社Vinx Malaysia Sdn.Bhd.に対し増資(払込月2013年6月)を行った。同拠点がアセアン事業の中核をなすこととなろう。マレーシアでの事業展開は順調に進捗しており、イオングループの現地法人からも大型案件を受注しているとのこと。今後の市場成長性や市場規模の観点からベトナムにも現地法人の設立を予定している。アセアン地域におけるイオングループ向けのサポート拠点・開発拠点としての機能を担いつつ、海外事業の拡大を図っていくことが狙いである。
商品・サービスの差別化戦略では、独自のサービス「CoMoBIS」(Cloud Mobile Store System:スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスを活用した次世代型店舗システム)のコンセプトを元に顧客の規模・ニーズに合わせた最適なサービスを低コスト・短納期で提供している。新規顧客開発を円滑に進めていくためにクラウドサービスによる当社プロダクト製品の機能拡充、ラインアップ拡充を進めている。グローバル化に連動したプロダクト製品のローカライゼーション(言語対応、税制対応、通貨対応など)に継続して取り組んできた。そのほか、PMO組織を設置し、各プロジェクトにおける運用・品質管理を強化したり、経営統合に伴う各業務のプロセス見直し、人材の適材適所への配置による事業効率の向上に努めてきた。

(2)財政状態とキャッシュフロー

2013年6月末の総資産は16,149百万円となり、前期末比9,240百万円増となった。現預金、売上債権、工具器具備品(有形固定資産勘定)といった勘定科目が大幅に増加しているが、経営統合によるところが大きい。純資産は資本剰余金等の増加により、前期末比1,183百万円の増加となった。

今後の成長戦略
<中期基本方針 「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」>

従前に発表していた「中期経営計画(2012年度~2014年度)」は、足下業績の状況に加え、(株)ヴィクサスとの合併を考慮し、新たな中期経営計画(2013年度~2015年度)として掲げられた。とは言え合併による基本戦略の変更はない。経営ビジョンは「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」。経営統合により強化された競争力を源泉とし、既存の3つの基本戦略(特定顧客化戦略、グローバル戦略、商品・サービスの差別化戦略)に「プロジェクトマネジメント及び品質管理の強化」、「経営統合に伴う効率的な事業運営体制の実現」を加えた5つの基本戦略が新中期経営計画の軸となる。この基本戦略に取り組んでいくことで更なる事業成長と安定的な収益の両立を図っていく。最終年度2016年3月期の目標は、売上高34,500百万円、営業利益2,050百万円、売上高営業利益率5.9%となっている。
なお、2013年3月27日、イオン(株)がダイエーの子会社化を発表している。旧ヴィクサスは従前より(株)ダイエーを主要顧客としてきたことから、今後のダイエー向け取引は徐々に減少していくことが想定される。統合後の基本戦略を忠実に実践していくことができれば、この影響を最小限に留めることも可能と考えられるが、中期計画上は最も堅い想定をベースにしている。

(1)特定顧客化戦略

イオングループほか既存特定顧客に対し、経営統合により強化された要員体制と商品・サービスメニューをもって、総合ITサービス(コンサルティング、設計、開発、運用、保守など)を全方位的に高品質且つ迅速に提供していくことで、更なる事業規模拡大に挑戦していく。
既に同社グループのパッケージや一部サービスを利用している顧客に対しては、保守・運用業務へと繋がるサービス範囲の拡大を図り、特定顧客化を推進していく。
その他の取り組みとしては、ストックビジネス(データセンターサービス、運用監視サービス、ヘルプデスクサービス、クラウドサービスなど)の拡大展開により安定的な収益基盤を確立していく。

(2)グローバル戦略

ベトナムに現地法人を設立し、ベトナム、カンボジアを中心としたアセアン地域におけるイオングループ向けビジネスに関するサポート拠点としていく考え。加えてアセアン地域におけるSE拠点としても活用していくことになろう。2012年7月から事業を開始しているヴィンキュラムマレーシアとも密接に連携させることとで、アジア地域におけるビジネス拡大を図る。中国現地法人「維傑思科技(杭州)有限公司」に関しては、同社を通じアジア全体にIT運用サービスを拡大させていきたい考え。中国・アセアン地域においては現地法人向けビジネスの拡大に注力していくことで、現地でのブランド力向上を図っていく。

(3)商品・サービスの差別化戦略

経営統合によって生み出されるべき両社の技術、ノウハウの融合をベースに、新たなシェアナンバー1製品及びサービスを開発していくことを目標としている。流通システムに関しては、顧客の規模やニーズに合わせた最適なサービスを低コスト・短納期で提供していくことが今後一層求められていくようになるだろう。同社は「CoMoBIS」を中心に、クラウドサービスの提供を本格化させると同時に、プロダクトのラインアップ拡充を進めていく。ここでは東芝テック(株)との共同開発によるクラウド型「顧客情報システム」が活躍することになろう。中国、アセアン地域への展開に向け、プロダクトのローカライゼーション(言語対応、税制対応、通貨対応など)も進めていく。

(4)プロジェクトマネジメント及び品質管理の強化

前期に不採算プロジェクトが複数発生したことも踏まえ、同項目を基本戦略に加えた。各プロジェクトにおける運用・品質管理を強化するためにPMO(Project Management Office)組織を設置し、プロジェクトを計画的に遂行させることで、赤字プロジェクトの撲滅を図る。管理スキルを向上させるためプロジェクトマネージャーの育成にも注力していく。

(5)経営統合に伴う効率的な事業運営体制の実現

管理体制統合による効率的事業運営の実現を目指し、本社業務の集約、拠点統合などを行っていく。経営統合の場合、企業文化、組織風土の違いが効率的な事業運営の妨げとなるケースが多い。同社では企業文化、組織風土を意識的に早期融合させることで、流通系IT企業としての強固な基盤を構築していく計画である。それが相乗効果による生産性の向上、売上高の増加に結び付くと考えている。

2014年3月期業績予想
<業績予想に変更無し。今年度は現実的な計画>

2014年3月期は、売上高28,000百万円、営業利益1,330百万円(共に前期比較は省略)を予想する。新政権成立後、日本経済の復調を期待する声も高まってはいるものの、新規IT投資が回復するところまでは至っていない。加えて少子高齢化による人口減少という問題も抱えており、今後も日本企業、とくに流通業は海外進出を活発化していく公算が高い。同社は中期計画で掲げた5つの基本戦略を軸に企業成長の具現化に取り組んでいく。配当は1株当たり4,000円(中間配当2,000円、期末配当2,000円)の予定。なお、2013年9月30日を基準日として、同社株式1株につき200株の割合をもって株式分割を行う旨開示されている。そのため、期末配当2,000円は分割後の発行済株式数で再計算すると10円となる点には留意を要する。
同社は2013年4月1日を効力発生日として(株)ヴィクサスを吸収合併し、商号を(株)ヴィンクスに変更した。但し、大阪証券取引所は、この合併において同社が実質的な存続会社でないと認められることから、「合併等による実質的存続性の喪失」に係る猶予期間に入る旨が公表されている。この点について即座に上場廃止になるのではと懸念する向きもあろうが、猶予期間は2017年3月31日までとなっており、それまでは上場が引き続き維持され、株式の売買もこれまで通り可能となっている。企業活動にも一切の支障はない。加えて、猶予期間最終日までに証券取引所が定める上場審査基準に準じた基準に適合すると認められた場合には、猶予期間は解除されることとなっている。

今後の注目点
今期は「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」が経営ビジョンに掲げられているが、当該第1四半期においては経営統合により強化された競争力のもと、中期経営計画における5つの基本戦略を着実に実践することで、安定的収益確立への第一歩を踏み出すことに成功した。とは言え、まだ新たな取り組みはまだ始まったばかりである。今後は経営統合のポジティブインパクト具現化に期待したいところ。小売業を中心に中国・アセアン地域に日本企業が本格展開する流れが止まることはないと考えられるため、その時にIT部門のアウトソーサーとして存在価値を高めていくことに期待したい。既に流通小売業の中国・アセアン地域への展開をIT面から支援するシステム運用・管理サービスが本格稼動しており、海外に進出している日系企業から一定の高い評価を得ている。また、日系企業の海外進出支援の実績が国内ITベンダーとしての存在感を高める結果にも繋がり、国内での受注拡大に寄与しているようで、成長のための事業基盤は着実に構築されつつある。
株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
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