(3031:東証マザーズ) ラクーン 2014年4月期第1四半期業績レポート

2013/09/11

今回のポイント

・14/4期第1四半期は、前年同期比3.5%の増収、同16.6%の経常増益。売上面は、「送料おトク便」対応企業の増加や「スーパーデリバリー」のTOPページをリニューアルした効果などから「スーパーデリバリー」の商品売上高が同2.3%の増加したことや、営業力を強化している売掛債権保証事業で、新規契約件数や保証残高が増加したことなどが寄与した。利益面は、収益性の高い売掛債権保証事業の増加により、売上総利益率が上昇したものの、前期に減損計上した「e-CRM」機能に関連し、今後利用しない一部ソフトウエアの耐久年数を短縮化したことにより減価償却費が増加した。

・14/4期は、会社予想の上限ベースで、前期比8.3%の増収、同25.0%の経常増益を計画。EC事業は、良質な「会員小売店」と「出展企業」の獲得を推進するとともに、客単価や稼働率の向上を図ることで商品売上を増加させる。また、「売掛債権保証事業」は、積極的に保証残高を拡大させることで保証料収入の増加を目指す。
期末の配当金の予想は、現時点で未定。

・今期の重点的な施策の効果に加え、創業20周年記念の「ポイントキャンペーン」の効果により、第2四半期以降の「スーパーデリバリー」の商品売上高が再度成長性を取り戻すのか注目される。

会社概要
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、全国の中小規模小売店(以下、会員小売店)に販売している。

また、2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化、これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組開始し。更に、2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。

<事業内容>
(1)「EC事業」

「スーパーデリバリー」は、ファッション・雑貨向けの企業間取引(BtoB)サイトである。商品を販売する企業(以下、出展企業)が、「スーパーデリバリー」サイト上に出展、ショッピングモールのように並び、会員小売店と注文から出荷までのやり取りの他、商品についての問い合わせ対応を2社間で直接行い、商品代金の決済に関して同社を介して行う仕組みになっている。「スーパーデリバリー」を利用することにより、出展企業は、地方・中小小売店との取引上ネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することが出来る。また、出展企業が許可した会員小売店にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能になっている。
一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入が可能になる。同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、運営負担が少ない。債権回収リスクは同社が負うことになるが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしている。小売店は月額2,000円の小売店会費を負担し、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担する。したがって会員小売店数、出展企業数が増加することが同社の売上総利益増につながる。また、会員小売店にとって商品の購入は「仕入」となるため、継続した取引となり、購入率、客単価がBtoCよりも高くなる。
加えて、「スーパーデリバリー」では「送料おトク便」に対応している企業であれば、複数企業からの仕入れでもまとめて1回分の送料600円(税抜)で仕入れが可能。更に、商品代金が20,000円(税抜)以上で送料無料となるなど、「スーパーデリバリー」の活用により仕入れの幅が圧倒的に広がる。

また、「Paid」は、掛売りの請求書発行から代金回収まで全て代行するサービス。「Paid」を利用することで、バイヤーは全ての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは、登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。

(2)「売掛債権保証事業」

「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「売掛債権保証事業」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証した売掛債権が支払い不能になった場合に、同社が予め設定した保証額を支払うサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みの必要はない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現。審査依頼から2営業目程度で回答がくる。その他、新規取引先は1社単位で期間を限定して利用でき、個人事業主など他社が引き受けない企業調査会社の情報がない企業でも対応し、支払期日に入金がなければ履行請求可能と支払遅延にも対応できるなど利便性が高い。

2014年4月期第1四半期決算(連結)
前年同期比3.5%の増収、同16.6%の経常増益

売上高は前年同期比3.5%増の24億46百万円。「送料おトク便」対応企業の増加や「スーパーデリバリー」のTOPページをリニューアルした効果などから「スーパーデリバリー」の商品売上高が同2.3%の増加したことや、営業力を強化している売掛債権保証事業で、新規契約件数や保証残高が増加したことなどが寄与した。
営業利益は同14.9%増の38百万円。収益性の高い売掛債権保証事業の増加により売上総利益率が、16.8%から17.2%へ上昇。前期に減損計上した「e-CRM」機能に関連し、今後利用しない一部ソフトウエアの耐久年数を短縮化したことにより減価償却費が増加したことなどから、売上高販管費率が15.3%から15.6%へ上昇した。経常利益は有利子負債の減少による営業外費用の減少により同16.6%増となった。一方、四半期純利益は今期中に繰越欠損金の解消が見込まれ、税効果会計の適用上、税負担が正常化されることから法人税等調整額10百万円を計上したことにより同9.9%の減益となった。

EC事業  売上高23億61百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益20百万円(同-11.9%減)

主力の「スーパーデリバリー」の商品売上高は、22億3百円(前年同期比2.3%増)。ログイン前のTOPページに掲載されている商材の写真をふんだんに盛り込み、「スーパーデリバリー」の品揃えが一目で伝わるようにTOPページをリニューアルした。当第1四半期末の「スーパーデリバリー」の経営指標は、会員小売店数37,570店舗(前期末比1,030店舗増)、出展企業数952社(前期末比9社減)、商材掲載数383,771点(前期末比14,052点増)となった。また、当第1四半期末の「送料おトク便」対応出展企業は239社(サービス開始時206社)となった。小口注文の増加で会員小売店の客単価は減少したものの、おトク便対応企業1社が取引する会員小売店数は増加しており、おトク便対応企業1社当たりの販売額は増加した。また、「Paid」は、加盟企業とPaidメンバーの新規獲得、既存利用者のフォロー、企業間取引や卸売サイトの運営会社等と「Paidカート提携サービス」導入の業務提携などに注力するとともに、サイトのリニューアルも行った。

売掛債権保証事業 売上高85百円(前年同期比44.3%増)、セグメント利益12百万円(同45.5%増)

営業力強化による保証残高の拡大を受け、売上は急拡大した。平成25年5月より名古屋支店を開設し、営業活動は、東京・大阪・名古屋の3拠点となった。前期に見直した商品内容の改定と相まって、新規契約件数は順調に増加。当第1四半期末の保証残高は、40億55百万円(前期末比9.9%増)となった。

(2)財政状態

当第1四半期末の総資産は前期末比1億77百円減の26億60百万円。季節要因による取引の減少から売上債権、仕入債務が減少。有利子負債も27百万円減少した。当第1四半期末の自己資本比率は、50.4%に上昇し財務体質が向上。

2014年4月期業績予想
前期比8.3%の増収、同25.0%の経常増益予想

通期の連結業績予想は、期初の会社計画を据え置き。
EC事業の主力事業である「スーパーデリバリー」は、良質な「会員小売店」と「出展企業」の獲得を推進するとともに、客単価や稼働率の向上を図ることで商品売上を増加させる。また、サイトを運営する同社側の自動化、効率化を推進し低コスト化を図る。また、「Paid」は、引き続き知名度向上及び加盟企業とPaidメンバーの獲得に注力するとともに、「Paidカート連携サービス」導入のための業務提携を企業間取引や卸売サイトの運営会社に対して積極的に行う。更に、「売掛債権保証事業」は、中小企業金融円滑法が終了し、今後企業の売掛債権保証ニーズが高まると予想される環境下、積極的に保証残高を拡大させることで保証料収入の増加を目指すとともに、審査精度の向上に努める方針。順調な利益の計上により繰越欠損金が概ね解消されつつあることから、2014/4期末以降、税負担が正常化する見込み。なお、期末の配当金予想は、引き続き現時点で未定。

「スーパーデリバリー」は、会員小売店を対象に創業20周年を記念した「ポイントキャンペーン」を期間限定で実施する。2013年9月1日から9月30日までの期間中にキャンペーン対象者が商品を仕入れると、現在付与しているポイント獲得ランクに関わらずポイントの獲得率が仕入金額に対し2%となるもの。このキャンペーンにより、ポイント制度の認知向上や購入頻度の低かった会員小売店の仕入意欲の喚起に繋げたい考え。

今後の注目点
同社は今期に主力の「スーパーデリバリー」の販売拡大策として、①商品が探しやすくなるよう自社サイトの検索機能を改善・強化する、②組織を変更し、営業とMDを一本化し、会員小売店が買いたい商品を充実させる、③管理画面をシンプル化することで、自社サイトのユーザビリティの向上を図る、④獲得する会員小売店のターゲット変更(若干上位に設定)を行い、審査基準の見直しと登録周りのマーケティングを強化する、などの施策を計画している。当第1四半期の「スーパーデリバリー」は、会員小売店数や商材掲載数の着実な増加が確認された。反面、「スーパーデリバリー」の商品売上高は、前年同期比+2.3%の増加と過去の成長率と比べ物足りなさを感じる。今期の重点的な施策の効果に加え、創業20周年記念の「ポイントキャンペーン」の効果により、第2四半期以降の「スーパーデリバリー」の商品売上高が再度成長性を取り戻すのか注目される。
更に、売掛債権保証の収益性は魅力的である。中小企業金融円滑法の終了で、今後企業の売掛債権保証ニーズが高まると予想される中、積極的な先行投資が花開き保証料収入が大幅に増加するのかにも引き続き注目していきたい。
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