(2136:JASDAQ) ヒップ 2014年3月期第1四半期業績レポート

2013/09/11

今回のポイント

・SMO事業(後述)を手掛ける(株)コスメックスの子会社化に伴い今期より導入した連結決算は、売上高が10億38百万円(前年同期の非連結売上高10億14百万円)、経常損失36百万円(同47百万円の利益)。人材面での先行投資が負担となり損失計上となったものの、計画に沿った着地。主力のアウトソーシング事業では、高水準だった前年同期と同水準の売上高を維持した。

・通期予想は売上高44億99百万円、営業利益1億80百万。新卒及び中途採用を強化して稼働人員の増加を図ると共に引き続き適正レートの確保に努めていく。営業利益には、(株)コスメックスにかかるのれん償却費13百万円強が織り込まれており、のれん償却前営業利益は前期の非連結決算との比較で約20%の増益。配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

・アウトソーシング事業では、主要顧客であるメーカーからのニーズが堅調に推移しており、引き続き良好な事業環境が続いている。このため、新卒の早期戦力化と中途採用による即戦力の補充が2Q以降の課題。一方、SMO事業はCRC(治験コーディネーター)の増員と受注拡大が課題。中期的には両社のシナジーによる医療関連アウトソーシング事業の拡大が期待される。

会社概要
技術者派遣(アウトソーシング事業)を中心に、SMO事業を育成中。主力の技術者派遣では、輸送機器、エレクトロニクス、情報通信・精密機器、機械、情報処理・ソフトウェア等の分野において、企画から開発、設計、試作までの製品開発フェーズに特化した特定労働者派遣を行っている。本社のある横浜を中心に全国に拠点展開しており、大学院、大学、高等専門学校等を卒業した理系出身者を社員として採用し、教育を施した上で、顧客企業の設計・開発部門に技術エンジニアとして派遣する。開発業務を受託し自社内で対応する請負業務も手掛けており、全社員が生涯技術者として設計開発の革新に貢献している。

一方、SMO事業は、13年2月に(株)コスメックスの全株式を取得し参入。(株)コスメックスの子会社化は今後の成長が見込まれる医療、介護、健康増進等、ヘルスケア分野への事業の展開を念頭に置いたもので、(株)コスメックスが有する優良な顧客資産と営業力を活かし、同分野周辺の業務を拡大させていく考え。尚、SMOとは、医薬品の開発過程で臨床試験を実施する医療機関に対して支援を行う機関の事。SMOサービスは、SMO(同社)、製薬会社、医療機関との三者契約となっており、SMOは臨床試験に際して医療施設にサービスを提供するが、その対価は製薬会社から受け取る。実際の業務は、同社のCRC(Clinical Research Coordinator、治験コーディネーター)が医療機関に赴き、被験者の人権擁護、治験の円滑な進行、事務業務(症例報告書の作成支援)等に携わる事で臨床試験の担当医師をバックアップする。

2014年3月期第1四半期決算
先行投資が負担となり44百万円の営業損失ながら計画に沿った着地

13年2月4日にSMO事業を手掛ける(株)コスメックスの全株式を取得し連結子会社化したため、14/3期より連結決算へ移行した。

連結売上高は10億38百万円(前年同期の非連結売上高10億14百万円)。内訳は、アウトソーシング事業を手掛ける同社が稼働人員の進捗は前年を下回るものの、新卒技術者の稼働による技術料金の低下を適正レート確保の推進により、前年同期と同水準を維持し、稼働時間も増加した事で前年同期並みの売上を計上。SMO事業を手掛ける(株)コスメックスが26百万円の売上を計上した。
一方、営業損益は44百万円の損失。新卒採用の再開に伴う人員増(4月に新卒45名が入社)で人件費や教育費が増加し、同社個別の営業損益が14百万円の損失となった事に加え、第2四半期以降に開始する案件への対応や今後の事業拡大に向けたCRCの前倒し採用による採用費、人件費、及び教育費等の増加で(株)コスメックスも26百万円の営業損失となった。

第1四半期末の総資産は前期末比1億58百万円減の29億84百万円。損益の悪化や配当金及び法人税等の支払い等の季節的な要因によるCFの悪化で現預金が減少した。自己資本比率は44.5%。
(3)(株)コスメックスの概要
代表者 代表取締役 林 一郎
所在地 東京都新宿区西新宿3-2-11 新宿三井ビルディング二号館16階
設立年月日 平成12年1月12日
主な事業の内容 SMO事業(治験施設実施支援機関:臨床試験における医療機関の業務支援)
資本金 23,842,200円
従業員 18名

(株)コスメックスは皮膚領域に特化したSMOとして、専門性の高い治験(新薬開発を目的とした臨床試験)支援サービスを提供しており、小施設多症例を実現できる医療施設との連携強化に取り組んでいる。
拠点は、東京都内に、本社(新宿区)、代官山事務所(渋谷区)、千束事務所(大田区)、新宿事務所(新宿区)、西新宿事務所(新宿区)の5拠点、大阪に1拠点(梅田事務所、大阪市)を展開しており、契約医療施設は首都圏及び関西圏の約40施設。13年3月末現在、16人のCRCを擁するが、事業の拡大に合わせて順次CRCの増員を図っている。

※プロトコールとは、治験を実施にするにあたって、治験を実施する医療機関と治験を依頼する製薬メーカーが遵守しなければならない要件事項をまとめた実施計画書。実施する治験の背景や根拠及び目的に加え、統計学的な考察も含めて、治験のデザイン、方法、組織について記されている。尚、新薬開発ための臨床試験を「治験」と言い、「臨床試験」は人(患者や健康な人)を対象とした治療を兼ねた試験でより範囲が広い(新薬開発だけを目的にしたものではない)。

※症例とは、治験の主要な化学目的を満たすために必要な患者数。

2014年3月期業績予想
連結業績は売上高44億99百万円、営業利益1億80百万円

アウトソーシング事業は主要顧客であるメーカーからのニーズも引き続き堅調に推移しており、新卒及び中途採用の強化により稼働人員の増加を図ると共に、引き続き適正レートの確保に努めていく考え。連結営業利益は(株)コスメックスにかかるのれん償却13百万円を吸収して1億80百万円と前期の非連結営業利益を8.8%上回る見込み。経常利益及び当期純利益が減少するのは、雇用調整助成基金の受給額の減少を織り込んだため。

尚、(株)コスメックスは第1四半期に営業損失となったものの、通期ではCRCの採用・教育費の増加を吸収して利益を確保できる見込み。14/3期予想は、売上高2億24百万円、営業利益18百万円、経常利益18百万円、当期純利益11百万円。また、(株)コスメックスの子会社化に伴い「のれん」が1億32百万円発生しており、これを10年間で償却していく。

配当は1株当たり12円の期末配当を予定。

新卒採用に伴う上期の稼働率低下を反映して、通期の稼働率も2.2ポイントの低下を見込む。一方、技術料金は新卒の稼働が低下要因となるが、適正レートの確保に向けた取り組みの成果を踏まえて1時間当たり5円の増加を見込む。この他、稼働時間は前期並みを想定しており、期末技術者数は新卒採用の効果を踏まえて33人の増加を想定している。

今後の注目点
アウトソーシング事業では、主要顧客であるメーカーからのニーズが堅調に推移しており、引き続き良好な事業環境が続いている。このため、新卒の早期戦力化と中途採用による即戦力の補充が第2四半期以降の課題である。一方、(株)コスメックスが手掛けるSMO事業はCRCの増員と受注拡大が課題。(株)コスメックスは第1四半期にCRCの前倒し採用で営業損失を計上したものの、通期ベースでは利益体質が定着しており(11カ月決算となった前13/3期は売上高2億20百万円、営業利益46百万円を計上)、通期での利益確保に不安はない。
また、中期的には(株)コスメックスとのシナジーが課題だ。今後の成長が見込まれる医療、介護、健康増進等のヘルスケア分野での人材サービスが軌道に乗れば、同社の潜在成長力や投資対象としての魅力が高まろう。
株式会社インベストメントブリッジ
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