(4573:JASDAQ) アールテック・ウエノ 2014年3月期第1四半期業績レポート

2013/09/04

今回のポイント

・2014年3月期第1四半期の売上高は前年同期比105.6%増の1,519百万円、営業利益は前年同期の6百万円から457百万円に拡大した。アミティーザの米国向け納入価格の変更があったことに加え、国内及び北米での販売も好調に推移したことが全体業績の牽引役となった。

・2014年3月期は、前期比16.6%増収、同63.8%営業増益を予想(期初会社計画は7月16日に増額修正)。北米において同社が受託製造している慢性特発性便秘症治療薬や便秘型過敏性腸症候群治療薬の販売が拡大することに加え、国内でのアミティーザ販売が通年寄与してくることが増収を支える。期初会社計画は、北米向けアミティーザについて、スキャンポ社と販売提携先の武田薬品工業(株)との契約に基づく納入価格が変更されたこと、期初段階では未定としていたオピオイド誘発性便秘症の売上利益についても現段階での売上予測を織り込んだこと、を背景に増額修正された。研究開発費は前期比0.2%増の1,282百万円を計画。網膜色素変性の第3相臨床試験及びドライアイ治療薬の第1/2相臨床試験が本格的に始まるものの、その他のパイプラインとのバランスを取ることで、研究開発費の過剰な拡大を抑制する。一株配当は年20円を計画。(2013年7月1日付1株を200株に分割)

・中期的な経営計画として「2016年3月期までにROE(自己資本利益率)10%以上達成」を掲げ、収益と研究開発費のバランスを取りながら効率的な経営を行っていくことを期初に計画。将来的な売上拡大ばかりに目を向けるのではなく、研究開発費という目先のコスト負担にも目を配ることで、足下の収益性改善も実現し、ROE上昇に繋げていくことを目論む。今後3年間についてはレスキュラとアミティーザをベースにしっかりとした財務基盤を維持し、安定配当という形で株主還元も実現させつつ、中期経営計画の達成確度を高めていく。その上で網膜色素変性治療薬の上市、ドライアイ治療薬のライセンスアウトを実現することで更なる企業価値向上を図るバランス感覚は高く評価したい。

会社概要
眼科、皮膚科に分野を特化し、医薬品の研究開発・販売に取り組む創薬ベンチャー。新規医薬品の研究開発事業、医薬品の製造・販売事業、医薬品開発支援及び受託製造サービス事業の3事業が主。具体的には、緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ」の製造・販売と慢性特発性便秘症及び便秘型過敏性腸症候群治療薬「アミティーザ」の受託製造により収益を確保しつつ、眼科領域及び皮膚科領域の局所疾患をターゲットとした新薬の開発に取り組んでいる。「レスキュラ」については、94年の発売以来、世界45カ国で50万人以上の患者に処方されている。
医師目線の経営(Physician-Oriented Company)、自社工場を有すること、既に収益源を確保していること、などが他創薬ベンチャーとの大きな違いになっている。
2013年3月期の売上構成比は、レスキュラの製造・販売が39.8%、アミティーザの受託製造が56.9%、医薬品の研究開発支援サービスが3.3%。
2014年3月期第1四半期決算

2014年3月期第1四半期は、前年同期比105.6%増収となり、営業利益も大幅な増益となった。2013年7月16日に公表した修正会社計画(売上高5,308百万円、営業利益1,285百万円)に対する達成率は、売上高28.6%、営業利益35.6%と好調に推移した。アミティーザの米国向け納入価格の変更があったことに加え、国内及び北米での販売も好調に推移したことが全体業績の牽引役となった。
収益面でも増収効果の寄与により、売上高営業利益率が前年同期0.8%から30.1%に上昇した。研究開発費は前年同期比19.1%増の330百万円となった。
なお、前述の通り、7月16日に2014年3月期中間期及び通期会社計画の増額修正を発表している。通期売上高は、従来計画4,991百万円を5,308百万円に、営業利益のそれは971百万円から1,285百万円に引き上げられた。同社が受託製造している北米向けアミティーザについて、スキャンポ社と販売提携先の武田薬品工業(株)との契約に基づく納入価格が変更されたこと、期初段階では未定としていたオピオイド誘発性便秘症の売上利益についても現段階での売上予測を織り込んだこと、が増額修正の主要因となっている。

レスキュラ

レスキュラは前年同期比89.3%増の449百万円で着地した。販売先との共同プロモーションに注力してきたことが実を結び始めてきた日本市場の売上高が前期比48.8%増の347百万円に伸長したほか、スキャンポ社が米国でレスキュラ点眼薬の添付文書の記載内容を変更して再上市したことを受け、北米市場で101百万円の売上高を計上した(前年同期実績なし)。
日本国内で展開した主なプロモーション施策は次の通り。
1) 緑内障の早期発見を目指して眼科医を対象に眼底読影勉強会を開催
2) 製品説明会等を通じたレスキュラの販売促進活動
3) 学会セミナーの開催や講演会記録集等の作成により製品特性等の情報提供を活発的に行う

アミティーザ

一方、アミティーザは、前年同期比114.6%増の1,063百万円となった。北米市場において販売提携先である武田薬品工業からの受託数量が増加したことに加え、納入価格が変更されたこともあり、前年同期比87.1%増の927百万円と伸長した。日本市場では、2012年7月5日にはスキャンポ社が日本において慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)治療薬の製造販売承認を取得したことに伴い、前3Qから出荷を開始している。当第1四半期の日本市場における売上高は136百万円(前年同期実績なし)。なお、スキャンポ社は英国やスイスにおいても慢性特発性便秘症治療薬として販売承認を取得していることから、今後販売地域の拡大が期待される。米国においても非癌性疼痛患者を対象とした非癌性オピオイド誘発性便秘症治療薬を新たな適応として追加新薬承認を取得しており、今後の売上増が期待される。

(3)研究開発の状況について

2014年3月期第1四半期における研究開発費は330百万円(前年同期比53百万円増)となった。当該四半期においては、国内で網膜色素変性の第3相臨床試験、米国でドライアイの第1・2相臨床試験が予定通りに進捗したとのことである。領域別の研究開発活動の進捗状況は以下の通り。

<眼疾患領域>
1)網膜色素変性(UF-021):ウノプロストン点眼液
網膜色素変性は両眼に発症する遺伝性の網膜疾患で、進行性の夜盲と視野狭窄をきたし、末期には高度の視力低下、失明に至ることもある疾患である。現在は全国38医療機関で180症例を目標とした第3相臨床試験を開始している。

2)重症ドライアイ(RU-101):遺伝子組換え人血清アルブミン
ドライアイは涙液層や眼表面の障害を特徴とする慢性で他因性の眼疾患である。同社では結膜上皮細胞を用いた実験において血清アルブミンが涙液成分の1つであるムチンの産生を増強することを確認している。現在は米国において第1/2相を合わせた臨床試験を開始している。

3)糖尿病白内障(RTU-007)
糖尿病白内障は、糖尿病が原因で発症する白内障で、水晶体が混濁する疾患である。同社は糖尿病患者の体内で増加する酵素を阻害する物質について、化合物の最適化を行っている。2013年3月期は薬理試験を実施。

<皮膚疾患領域>
1)男性型脱毛症(RK-023)
男性型脱毛症は壮年性脱毛症とも呼ばれ、思春期以降に男性ホルモンの影響を受け、頭頂部から前頭部に限局して、太く長い毛が再生せずに細く短い軟毛に置き換わり、最終的には毛包が萎縮して毛髪数が減少し、段階的に薄毛・脱毛が進行する疾患である。既に前期第2相臨床試験を完了しており、安全性に関してはRK-023使用とプラセボ(当該薬剤が含まれていない製剤)使用で差異はみられなかった。有効性についてはプラセボ使用群に対してRK-023使用群では外観写真評価での改善及びフォトトリコグラム(拡大写真による解析)により成長期毛数の減少抑制の可能性がみられた。2013年3月期において非臨床の長期安全性試験が終了した。

2)睫毛貧毛症(RK-023)
睫毛貧毛症は、睫毛(まつげ)が貧弱で短い、まばら、色が薄い等の理由から、眼にほこりなどの異物や異常な光が入ることを防ぐ機能が十分に発揮できない疾患である。2013年3月期で第1相臨床試験が終了した。眼圧降下や充血などの眼科的所見は認められなかった。

3)アトピー性皮膚炎(RTU-1096)
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質により皮膚のバリアー機能が低下し、様々な刺激が加わることでかゆみを伴う慢性の湿疹、皮膚炎を生じ、症状の悪化と改善を繰り返す疾患である。同社では炎症に関連して血液、組織中で活性の増加がみられる酵素を特異的に阻害する化合物を開発し、2013年3月期において薬理試験の一部が終了した。

<神経疾患領域>
1)糖尿病神経障害(RTU-1096)
糖尿病神経障害は糖尿病3大合併症の1つで、血糖値が高い状態が続くと足や手などの末梢神経におこる障害。違和感やしびれ、痛み等の症状が現れる疾患である。同社では糖尿病患者の体内で増加する酵素を特異的に阻害する化合物を開発し、2013年3月期において薬理試験の一部が終了した。

2013年6月末の総資産は9,915百万円と、前期末比4百万円減少した。現預金が591百万円増加したものの、売上債権が622百万円減少した。これは前期末において北米でのレスキュラ出荷が始まったことから一時的に売掛金が膨らんだことによるものである。網膜色素変性の治験開始に伴う支払増加により増加していた未払金は今四半期末では減少している。剰余金の配当が289百万円あったものの、四半期利益の計上352百万円、その他有価証券評価差額金の増加53百万円により、純資産は前期末比118百万円増の8,309百万円となった。自己資本比率は83.5%(前期実績82.3%)。

2014年3月期業績予想
拡大期入りが鮮明に

2014年3月期は、前期比16.6%増収、同63.8%営業増益を予想。期初会社計画は7月16日に増額修正されている。修正理由は前述の通り。慢性特発性便秘症治療薬や便秘型過敏性腸症候群治療薬の受託製造が拡大する北米に加え、国内でのアミティーザ販売が通年寄与してくることも増収を支える。これまで下降トレンドにある国内のレスキュラ販売についても、特性を活かしたマーケティング活動や新たなプロモーション活動の実施を背景に、処方箋数を維持していく計画。但し、北米市場は前期に初期出荷があった反動もあり、今期は減収に転じる公算が高い。

収益面では、売上高営業利益率の改善に伴う増益幅拡大を見込む。研究開発費は前期比0.2%増の1,282百万円を計画。網膜色素変性の第3相臨床試験及びドライアイ治療薬の第1/2相臨床試験が本格的に始まるものの、その他のパイプラインとのバランスを取ることで、研究開発費の過剰な拡大を抑制する。一株配当は年20円を計画。(2013年7月1日付1株を200株に分割)

今後の中長期成長戦略
同社は中期的な経営計画として「2016年3月期までにROE(自己資本利益率)10%以上達成」を掲げている。更にマイルストーンとして2014年3月期のROE7.2%をターゲットに、収益と研究開発費のバランスを取りながら効率的な経営を行っていく計画。2012年3月には8.9%あったROEは2013年3月期に6.9%まで低下した。その要因はROE3分解(収益性、効率性、財務レバレッジ)のうち収益性(売上高純利益率)でほぼ説明することが可能である。故に収益と研究開発費とのバランスを重視することで、改めて収益性の改善を図り、ROE上昇に繋げていくことになろう。
今後3年間についてはレスキュラとアミティーザをベースにしっかりとした財務基盤を維持し、安定配当という形で株主還元も実現させつつ、中期経営計画の達成確度を高めていく。その上で網膜色素変性治療薬の上市、ドライアイ治療薬のライセンスアウトを実現することで更なる企業価値向上を図っていく。もちろんその先に繋がっていく次なる成長エンジンの開発にも取り組んでいる。 

現段階で実現可能性の高い創薬についての現状は以下の通り。
1つ目は網膜色素変性治療薬ウノプロストン点眼液(UF-021)である。中心部網膜感度を改善することにより、網膜感度悪化を遅延させ、その結果視力の悪化を遅らせる世界初の治療薬である。日本国内の患者数は3万人(視覚障害原因の第3位)に過ぎないものの、世界中には100万人の患者がいると言われている。本疾患に対する有効な治療法は確立されていないため、同社製品の早期開発、販売に寄せられる期待は大きい。想定される年間売上は20億円程度が見込まれる。
2013年3月から第3相臨床試験が開始されている。これは同社の第2相臨床試験で有効性を示してメガファーマにライセンスアウトするという基本戦略からは外れることになるが、1)第3相臨床試験での成功確率を上げることにより開発リスクを軽減、2)第3相臨床試験を有効性、安全性の2段階に分け、有効性の段階で成功しなければ開発を中止、3)国からの開発費支援制度を活用、といった施策に取り組むことでリスク低減を図る。今後3年間にかかる研究開発費は十数億円を計画。
オーファンドラッグはこれまで市場性が小さく、売上規模が大きくならないというのが定説となっていた。しかしながら、近年では競合商品がないこと、全世界が市場となることで、独占的販売が可能となり、薬価の安定、申請から承認までの期間が短い、などの特徴に注目するメガファーマも少なくない。

次に遺伝子組換え人血清アルブミン(RU-101)によるドライアイ治療薬の開発に寄せられる期待も大きい。ドライアイは、涙液層や眼表面の障害を特徴とする慢性で多因性の症状が多くみられる。パソコンなどで目を酷使する機会が多い現代、国内の患者数は2,200万人とも言われている。同社開発コード「RU-101」は、遺伝子組換え人血清アルブミンを有効成分(原料)とするものであるが、2010年8月に田辺三菱製薬との契約が解除され原料供給がストップしたため、開発を中断していた。しかし、2011年10月にデンマークのNovozymes社との契約を締結し、原料供給を受けることができるようになったため、開発を再開している。
アルブミンは、生体にとって重要なタンパクで安全性が高く、重症ドライアイに有効とみられている。但し、献血アルブミン製剤では感染症の危険性が完全には除外できないという問題を抱えていたが、人のアルブミンを産生する遺伝子を酵母に組み込み、酵母で人アルブミンを生成した「遺伝子組換え人血清アルブミン製剤」であれば感染症の心配は無くなる。
2013年5月に米国で第1/2相臨床試験を開始。新薬臨床試験開始(IND)申請が4月26日に承認され、5月20日には第1/2相臨床試験ステージ1において米国で症例登録が開始されている。順調に行けば、2014年中に安全性・有効性データの取得をし、2015年にはライセンスアウト収入が見込め、2020年3月期頃に収益寄与してくる可能性がある。ドライアイの市場規模は全世界で約1,500億円と今後も年率10%の成長が見込まれる市場であることから、同治療薬に対する期待値は非常に高い。

その他にも研究開発パイプラインには多くの創薬がラインアップしており、今後の動向に注目したい。

今後の注目点
当面のキャッシュカウであるアミティーザについては日本での販売が計画通りに開始するなど、引き続き堅調に推移している。これまでは減収基調にあったレスキュラについても日本国内での処方箋数減少幅の縮小、北米での販売開始によりボトムアウトが鮮明となりつつある。これだけでも創薬ベンチャーとは思えない堅固な財務基盤を評価すべきだろう。加えて、網膜色素変性治療薬の上市、ドライアイ治療薬のライセンスアウトといった次なるキャッシュカウの存在価値が一段と高まっている。企業価値拡大期待の上昇は素直にバリュエーション拡大に結び付けたい。将来に対する夢物語だけではなく、収益と研究開発のバランスを取ることでROEを向上させていくという堅実な経営戦略にも目を向けるべきだろう。
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