(3031:東証マザーズ) ラクーン 2013年4月期第1四半期業績レポート

2012/10/10

今回のポイント
・13/4期第1四半期決算は、売上高2,364百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益33百万円(同19.3%増)、経常利益32万円(同21.9%増)、四半期純利益22百万円(同7.2%増)となった。売上高の増加に伴い利益も増加した。・主力のEC事業では「スーパーデリバリー」では会員小売店と出展企業の「マッチング力の向上」などに注力、これにより売上高は堅調に推移し2,153百万円(前年同期比10.0%増)となった。経費面では新規事業の「Paid」向けに先行投資が発生したが、それ以外の経費を抑えて増益を達成した。

・13/4期通期の予想は、売上高10,300百万円(同13.2%増)、営業利益170百万円(同21.4%増)、経常利益160百万円(同20.3%増)、当期純利益120百万円(同10.1%増)を見込んでおり、期初予想を変えていない。引き続き良質な出展企業、会員小売店を確保していけば、この目標は達成可能だろう。

会社概要
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というeマーケットプレイス(Webサイト)運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、全国の中小規模小売店(以下、会員小売店)に販売している。

さらに2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化、これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組開始し、さらに2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。

<事業内容>
1.「EC事業」 :スーパーデリバリーによる今までの中心事業

「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨の商品を全国の中小規模小売店(以下、会員小売店)向けに卸販売する企業間取引(BtoB)サイトである。商品を販売する企業(以下、出展企業)が、「スーパーデリバリー」サイト上に出展、ショッピングモールのように並び、会員小売店と注文から出荷までのやり取りの他、商品についての問い合わせ対応を2社間で直接行い、商品代金の決済に関して同社を介して行う仕組みになっている。「スーパーデリバリー」を利用することにより、出展企業は、地方・中小小売店との取引上ネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することが出来る。また、出展企業が許可した会員小売店にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能になっている。

一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入が可能になる。同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、運営負担が少ない。債権回収リスクは同社が負うことになるが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしている。小売店は月額2,000円の小売店会費を負担し、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担する。したがって会員小売店数、出展企業数が増加することが同社の売上総利益増につながる。また、会員小売店にとって商品の購入は「仕入」となるため、継続した取引となり、購入率、客単価がBtoCよりも高くなる。

2.「売掛債権保証事業」 :一昨年度第3四半期からの新事業

「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「売掛債権保証事業」は、企業の取引先に対する売掛債権を保証することで保証料を徴収し、保証した売掛債権が支払い不能になった場合に予め設定した保証額を支払う。なお、同サービスは、EC事業の「スーパーデリバリー」に対してもサービス提供を行っている。企業は、同サービスを利用により、与信リスクの排除が可能になると同時に、与信のアウトソーシングと債権回収業務を削減することが可能になる。

2013年4月期第1四半期決算(連結)

2013年4月期第1四半期の損益計算書(連結)の状況は上表のようになった。

「利便性・専門性・先進性を追求した今までにない企業間取引のインフラを創造する」ことをグループビジョンとして掲げ、EC事業と売掛債権保証事業の事業規模の拡大に努めた。その結果、当第1四半期の連結売上高は2,364百万円(前年同期比10.4%増)となった。

利益面においては、新規事業である「Paid」と売掛債権保証事業において、人員を増やした影響により人件費が増加したが、それ以外の販売費及び一般管理費を抑制したことで全般的に低水準で推移した。また、平成24年10月に予定している本社移転に伴う費用の一部として本社移転費用4 百万円を特別損失に計上した。この結果、各利益は上記のような結果となった。

セグメント別状況は以下のようであった。

(EC事業)

EC事業においては、主力事業である「スーパーデリバリー」において、引き続き質の高い会員小売店及び出展企業を獲得した上で、客単価や稼働率の向上を図り、両者の継続した取引を拡大することで商品売上高を増加させることに取り組んでいる。さらに今期は、会員小売店と出展企業の「マッチング力の向上」に取り組んでおり、これにより、商品売上高は2,153百万円(前年同期比10.0%増)となった。

具体的な取り組みとしては、前期に会員小売店の属性ごとにサイトをパーソナライズ化したが、その会員小売店の属性ごとにMD(マーチャンダイザー)を設置し、小売店目線の強化に取り組んでいる。各MDは売上分析や市場調査を行い「スーパーデリバリー」に足りない企業やブランドの顕在化を図っている。その上で新規出展企業の獲得を行うことで、会員小売店が必要とする商品の充実化を図っている。

また、出展企業から会員小売店へ取引のオファーが出来るようなった。従来、会員小売店と出展企業の取引開始のきっかけは、会員小売店から出展企業に対して行う取引申請のみであったが、新機能により出展企業から会員小売店の開拓が出来るようになったことで、取引開始のきっかけが一方通行から双方向となり、出展企業と会員小売店のマッチング機会が増加することが期待出来る。

さらに、出展企業向けの出展プランの追加を図り、複数の出展プランを用意することで、従来獲得出来なかった出展企業の獲得を可能にした。この他、サイトのスマートフォンへの対応も平成24年6月に実施した。従来のパソコン用サイトの主要な機能をスマートフォンに最適化した形で提供することで、会員小売店はスムーズかつ機動的に商品仕入れが出来る環境となった。

なお、当第1四半期における「スーパーデリバリー」の経営指標は会員小売店数33,649店舗(前期末比744店舗増)、出展企業数1,035社(前期末比38社増)、商材掲載数343,391点(前期末比23,061点増)となった。

一方、「Paid」においては、引き続き知名度の向上及び加盟企業とPaidメンバーの獲得に注力している。また、企業間取引や卸売サイトの運営会社等と「Paidカート連携サービス」導入の業務提携にも注力している。

この結果、EC事業の売上高は2,304百万円(前年同期比9.8%増)、セグメント利益は22百万円(前年同期比14.1%増)となった。

(売掛債権事業)

売掛債権保証事業においては、前期に引き続き人員の増加による営業力強化とリスティング広告の増加によるマーケティング活動の強化に取り組んだ。その結果、保証残高は2,516百万円(前期末比2.2%増)となり、売掛債権保証事業の売上高は87百万円(前年同期比28.3%増)、セグメント利益は8百万円(前年同期比2.6%増)となった。

前連結会計年度末と比較した各科目の増減は以下のようになった。

流動資産:170百万円減少して2,101百万円となった。減少の主要因は売掛金が158百万円減少したこと。

固定資産:43百万円増加して400百万円となった。増加の主な要因は本社移転に伴う敷金が32百万円発生したこと、ソフトウエアおよびとソフトウエア仮勘定が合計で14百万円増加したことによる。

流動負債:100百万円減少して1,055百万円になった。減少の主要因は買掛金が68百万円減少したこと及び一年内返済予定の長期借入金が返済により19百万円減少したこと、消費税の納付によりその他(未払消費税)が14百万円減少したことによる。

固定負債:30百万円減少して215百万円となったが、主な要因は長期借入金が返済により27百万円減少したことによる。

純資産: 3百万円増加して1,231百万円となったが、増加の主な要因は四半期純利益22百万円の計上による利益剰余金の増加によるもの。

2013年4月期予想
<業績予想>

会社側では、上記のような2013年4月期の業績を下表のように予想しており、期初予想と変えていない。

今後の注目ポイント
今期も2ケタの増収・増益を見込んでいる同社だが、好調なスタートを切ったようだ。
EC事業は、会員小売店の属性ごとにMD(マーチャンダイザー)を設置するなどきめの細かい施策が功を奏したほか、スマートフォンへの対応も開始し、会員小売店数、出展企業数、商材数などが順調に拡大している。
前期より開始した「Paid」事業は、知名度向上のための積極的な広告宣伝活動やスタッフの増強など、先行投資的段階にあるため、本格的な収益への貢献はまだもう少し先になると思われるが、本格稼働となれば同社の成長スピードは一段と加速することも予想されるため、その進捗スピードに注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
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