(6669:JASDAQ) シーシーエス 2012年7月期業績レポート

2012/10/03

今回のポイント
・12/7期は前期比0.3%の減収、同18.3%の経常増益。不採算事業からの撤退に加え、円高の影響もあり売上が小幅減少したものの、事業の選択と集中を進めた事で利益率が改善。営業利益が同18.3%増加した。 

・13/7期は前期比6.7%の増収、同65.9%の経常増益予想。国内工業用、海外工業用共に前期比6%強の増収を見込んでおり、美術館・博物館照明事業やメディカル事業を中心に新規事業の売上も増加する見込み。1株当たり2,000円の期末配当を予定。

・12/7期に事業の再構築が一巡した事を受けて、今後は攻めの経営に転じる。成長軌道への回帰に向け先ず必要な事は、08/7期をピークに伸び悩んでいるトップラインの引き上げだ。13/7期については、国内外で想定通りの売上を確保できるか否かがポイントとなる。

会社概要
画像処理用LED照明のリーディングカンパニー。いち早くLED(発光ダイオード)に着目し、自動検査の際の光源として使われる画像処理用LED照明を様々な業界の生産現場に提供してきた。目視検査に代わる画像処理による自動検査技術は、現在、電子・半導体業界、三品(食品・医薬品・化粧品)業界、自動車業界など幅広く浸透しており、同社は国内で42%、海外で17%のシェアを有する(いずれも同社推定)。グループは、CCS America Inc.(米国)、CCS Asia PTE.LTD.(シンガポール)、CCS Europe N.V.(ベルギー)、及びCCS-ELUX LIGHTING ENGINEERING PVT.LTD.(インド)の連結子会社4社。
社名の「シーシーエス(CCS)」は「Creative Customer Satisfaction」の頭文字をとったもので、「”顧客満足の創造”を企業活動の原動力としたい」と言う思いが込められている。

【事業概要】

事業はLED照明事業の単一セグメント。同事業は工業用照明(画像処理用LED照明)分野と同分野で培った技術・ノウハウを活かした新規事業に分かれ、工業用照明分野では電子半導体、太陽電池、二次電池、自動車、三品(食品、医薬品、化粧品)業界等を顧客とし、UV(紫外線)硬化等に使われるUV照射器向け製品等も手掛ける。また、新規事業では、美術館・博物館照明分野、メディカル分野、アグリバイオ分野等の開拓に取り組んでいる。地域別売上高は、日本68.6%、北米8.2%、欧州13.5%、アジア9.7%。

【沿革】

1992年5月、FA(ファクトリー・オートメーション)機器の設計・開発を目的に米田前社長が個人で創業。翌93年にシーシーエス(株)として法人組織に改組した。その後、検査用画像処理装置の光源としてのLEDの優位性に注目し、画像処理用LED照明の開発に特化。94年1月に同社第1号製品「超高輝度LEDフラット照明機器(LFLシリーズ)の開発に成功し、販売を開始した。以後、目視検査から画像処理による自動検査へシフトする顧客ニーズを捉え、電子半導体、自動車、三品業界等を中心に事業が拡大。海外へも積極的に展開し、99年の米国子会社設立を皮切りに、04年11月にかけて、中国(駐在員事務所)、シンガポール、欧州に子会社を設立(この他、11年5月にインドに現地法人を設立)。この間の04年6月にJASDAQ上場を果たした。

05年4月には植物研究用LED照明ユニット「ISシリーズ」を開発し、同年6月には植物育成実験プラント(千葉県)が本稼動。栽培した野菜の販売やレストラン・カフェの運営に進出した他、08年12月には植物育成プラント事業を手掛ける(株)フェアリーエンジェル(10年9月に(株)フェアリープラントテクノロジーに商号変更)を子会社化し同事業を本格化した。しかし、同事業は先行投資負担が重く、またリーマンショックによる画像処理用LED照明の売上の落ち込みが重なった事もあり、09/7期、10/7期と2期連続で営業損失を計上。10/7期には早期退職優遇制度の実施などリストラを余儀なくされた。

早期の経営建て直しを目指し、10年9月に野菜の販売やレストラン・カフェの運営から撤退。12年には、3月に新規事業の一環として取り組んでいたコンシューマー向け事業(100W電球やデスクスタンド等)から撤退した他、4月には植物育成プラント事業からも撤退した(7月に(株)フェアリープラントテクノロジーを解散)。今後は、国内でのシェアアップ(ピーク時の50%回復が目標)とアジアを中心にした海外展開の強化で工業用照明事業の成長軌道への回帰を目指すと共に、07年11月に山口大学と共同開発した自然光LED照明の応用製品等、これまでに培ってきた技術やノウハウを活かす事ができる事業領域へ展開し、新規事業を育成していく考え。

【ハード、ソフト、及びパッケージング(デバイス開発)に強み】

同社の画像処理用LED照明は機構設計、放熱、実装等のコア技術(多くの特許を取得)をベースに開発・生産され、標準品及びカスタム品を合わせた製品ラインアップは4,400種類以上にのぼる。また、これまで蓄積してきた約40,000件の撮像ノウハウを駆使して、見えないものを見えるようにする「ライティング技術」(光の当て方:ライティングソリューション)を提案できる点も同社の強み。ハード面でのコア技術とソフト面での「ライティング技術」、更にはLEDパッケージング(デバイス開発)における独自の技術とノウハウを組み合わせる事で比較優位を確立し、最適なライティングを実現している。
太陽光に限りなく近い波長を実現した自然光LED (後述)はこの強みを結集したもので、美術館・博物館照明分野、メディカル分野、目視・顕微鏡分野、商業分野へと事業領域の拡大を進めている。

1993年創業以来の画像処理用LED照明専門メーカーとしての実績

同社は、エリア実験室及びライン実験室を完備し、数百種類・数千台に及ぶ無料貸出機を準備する事で顧客の研究開発をサポートしている。ワーク撮像数は約40,000件を数え、カスタム照明の設計・開発・製作の実績も約4,000種類に達する。

太陽光に限りなく近い波長を実現した自然光LED

07年11月、同社は山口大学との共同研究の下、「平均演色評価数(Ra)98」と言う最高レベルの演色性(太陽光のもとで見た時の色の見え方の差、Raの数値が高いほど太陽光に近い)を有する「自然光LED」の開発に成功した。これまでも、LED以外で自然光を謳った製品はあったが、長寿命・低消費電力のLEDを使った製品は同社が初めて。

光の種類別スペクトル分布図例
太陽光に近い光を再現する「自然光LED」。
色の再現性を標準化・数値化した平均演色評価数において、「自然光LED」は業界最高クラスの”Ra98″(相関色温度:5000K)を達成。
「平均演色評価数 Ra98」とは、JIS規格で定義された色を平均98まで再現できる光である。

自然光LEDの演色性の高さや目に優しいという特長を活かして、顕微鏡用や目視検査用、或いは医療用(より正確な観察が可能)、化粧品売り場、生花店、ブランドショップなど店舗用(太陽光の下での色味を確認できる)、更には美術館、博物館(芸術品や重要文化財等の作品を傷めない、本来の色味を鑑賞できる)等での利用を想定しており、自然光LEDのマーケット創出に取り組んでいる。

成長戦略
成長軌道への回帰へ向け、「3つの基本方針」と方針毎の「3つの重要戦略」を掲げている。

(1)経営基盤の強化

筋肉質でスリムな高収益体質へ体質改善を図るべく、収益力と財務内容の強化に取り組んでいく。12/7期までに不採算事業からの撤退と新規事業の建直しに目処を付けており、今後は、引き続きコスト削減に努めると共に在庫圧縮や売掛・買掛金サイトの改善で資金効率を高め、有利子負債を削減し自己資本比率の向上を図っていく。

(2)工業用照明事業の強化と新規事業の堅実拡大
国内工業用照明

シェア50%への回復を目指す。このため、取引先の開発部門との関係を強化し、ニーズにあった製品開発を進めると共に、取引先との接点になる営業マンの育成・強化にも取り組む。また、新規開拓余地の大きいラインセンサ用LED照明では、ラインナップの拡充を図ると共にラインセンサ検査装置の専門メーカーへの営業を強化する。
この他、今後の市場拡大が期待できるUV照射器や顕微鏡向けにおいて、新製品の投入や検査・測定アプリの開発を進め目視事業領域の拡大を図る。

海外工業用照明

シェア25%を目指し、国内企業の海外生産シフトへの現地対応を強化すると共に、ワールドワイドでの提携戦略を進める。海外でのシェアアップには、現地のニーズに合った製品の開発が不可欠であり、特に中国市場向けでは価格訴求力を念頭に置いた2ndブランドの構築を視野に入れて事業を進める。また、生産のスピードアップとコスト競争力強化を図るべく、現地調達・現地生産に加え、業務提携を推進する他、戦力の海外シフトも進める(国内営業経験者の現地への派遣)。

新規事業

組織をスリム化し、継続的に利益の獲得を見込める分野に限定して事業化に取り組んでいく。当面の注力分野は美術館・博物館照明事業やメディカル事業だが、小規模でも利益の見込める事業を集積していく。

(3)開発力の強化と革新

「取引先の開発部門とのパイプの開拓・拡大」、「現場重視の製品企画機能の組織化・強化」、及び「技術シーズを取引先に提案する応用技術開発機能の新設」の3点をポイントとして挙げている。”コア技術の育成強化”と”ものづくり原点回帰”を徹底し、「市場ニーズを先読みした業界をリードする製品開発に取り組んでいく」としている。

2012年7月期決算
前期比0.3%の減収、同18.3%の経常増益

売上高は前期比0.3%減の5,296百万円。不採算事業からの撤退の影響で連結売上高が減少したものの、LED照明事業は円高の影響を吸収して売上高が同1.5%増加した。
利益面では、円高の影響等で売上総利益率が低下したものの、経費削減と不採算事業からの撤退で販管費が減少。営業利益は269百万円と同18.3%増加した。当期純損失となったのは、コンシューマー向け事業からの撤退に伴う事業構造改善費用36百万円や植物育成プラント事業からの撤退に伴う関係会社整理損346百万円など特別損失383百万円を計上したため。

12年3月
新規事業として取り組んでいたコンシューマー向け事業から撤退。

12年4月
植物育成プラント事業から撤退(7月に子会社を清算)。

LED照明事業の売上高が5,242百万円前期比1.5%増加した。欧州経済危機の長期化や新興国経済の成長率鈍化で海外工業用が1,650百万円と同7.9%減少したものの、東日本大震災からの回復で国内工業用が3,483百万円と同5.2%増加。新規事業も自然光LEDの美術館・博物館向け展開等で売上が増加した。

尚、既に説明した通り、11/7期上期(10年9月)に野菜事業及びレストラン・カフェ事業から撤退し、12/7期下期(12年4月)には植物育成プラント事業からも撤退。LED照明事業においても、新規事業として製品開発を進めていたコンシューマー向け事業(100W電球やデスクスタンド等)から撤退した(12年3月)。

国内工業用

投資が一巡する中、中韓メーカーの攻勢や価格競争が激化した太陽電池向けが減少したものの、電子半導体、二次電池、三品、UV照射器・ラインセンサ領域等で売上が増加。自動車は横ばいにとどまったが、次世代自動車研究開発向け試作案件が増加傾向にある。

尚、新製品として、5月にラインセンサ用LED照明「LND2シリーズ」を、7月にスリット光LED照明「LSシリーズ」を、それぞれ投入した。
ラインセンサ用LED照明「LND2シリーズ」は蛍光灯の置換え需要に対応した製品で、フィルムや液晶等の検査に適している他、蛍光灯に比べてライフサイクルコストの大幅な削減も可能。一方、スリット光LED照明「LSシリーズ」は独自の光学系技術によりレーザー光に近い光を実現した。LED照明業界では最も細い1.2mm幅の照射が可能な事から、3D測定や高精度検査等の新たな市場を開拓していく考え。

海外工業事業

主要顧客への営業強化が成果を上げた北米での売上が433百万円と前期比20.6%増加したものの、経済危機やユーロ安の進行で欧州の売上が712百万円と同19.5%減少。韓国・台湾メーカーの液晶関連設備投資の抑制でアジアでの売上も504百万円と同7.9%減少した。尚、円高が91百万円の減収要因となっており、内訳は欧州64百万円、北米21百万円、アジア5百万円。

新規事業

演色性の高さを評価され、自然光LEDが山口県立美術館で採用された(2012年4月)他、製品開発の完了を受けてメディカル分野へ本格参入した(2012年4月)。利益面では、比較優位を有する事業領域に特化するべくコンシューマー向け製品の開発を中止した事が利益率の改善につながった。尚、美術館・博物館用の標準照明として開発したスポットLED照明「MUSEUM COB SPOT LIGHT」(平均演色評価数Ra:96)の販売を13/7期入りした8月に開始した。

・「自然光LED」搭載スポットライト
・Ra:96(平均演色評価数)
・配光ムラ、色ムラがなく美しく優しい光を実現。

短期から長期にシフトしつつ有利子負債の削減を進めた事や植物育成プラント事業から撤退した事等で期末総資産が5,494百万円と前期末比685百万円減少。自己資本比率は34.6%と同0.7ポイント改善した。

CFの面では、尻上がりに売上が増加した事で期末にかけて運転資金が増加したため、営業CFがマイナスとなった。設備投資の増加で投資CFのマイナス幅も拡大し、前期は169百万円の黒字だったフリーCFが116百万円のマイナスとなった。

2013年7月期業績予想
前期比6.7%の増収、同65.9%の経常増益予想

国内工業用、海外工業用共に前期比6%強の増収を見込んでいる。このうち国内では既存取引先の深堀りに加え、UV照射器・ラインセンサ領域を中心に新規開拓を進める。一方、海外では生産をシフトした日本企業への現地での対応を強化すると共に、現地企業の需要の取り込みを図る。この他、実績の出始めた美術館・博物館照明事業や4月に製品開発が完了したメディカル事業を中心に新規事業の売上も増加する見込み。
利益面では、売上総利益率の想定が保守的である他、増収による変動費や海外営業の強化等で販管費の増加を見込んでいるものの、増収効果で吸収して営業利益が400百万円と同48.7%増加する見込み。
配当は1株当たり2,000円の期末配当を予定している。

今後の注目点
12/7期に事業の再構築が完了した事を受けて、今後は攻めの経営に転じる。米田前社長からバトンを受けた各務社長の下、「変革と挑戦」を全社スローガンに掲げ、高品質・高付加価値な照明製品や光応用製品の開発はもちろん、ライティングノウハウを活用した「ライティングソリューション」を展開する事で、「光を科学し、社会に貢献する」という企業理念を実現していく考え。
企業理念の実現はもちろん、成長軌道へ回帰するためにも先ず必要な事は、08/7期をピークに伸び悩んでいるトップラインの引き上げだ。このため、13/7期については、国内外で想定通りの売上を確保できるか否かがポイントとなる。
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