(3788:東証マザーズ) GMOクラウド 2012年12月期上期業績レポート

2012/09/27

今回のポイント
 
・12/12期上期は前年同期比4.6%の増収、同9.5%の経常増益。新興国への展開や欧米での代理店開拓が進みセキュリティサービス事業の売上が増加した他、Webソリューションを中心にソリューションサービス事業の売上も増加。ホスティングサービス事業ではクラウドサービスの販売が進んだ。

・7月23日に業績予想および配当予想の上方修正を行い、通期予想は前期比5.2%の増収、同26.8%の経常増益。売上が増加するセキュリティサービス事業やソリューションサービス事業に加え、クラウドサービスの寄与と既存サービスの効率化で売上が横ばいながら、ホスティングサービス事業の利益も増加する見込み。配当は1株当たり1,800円の期末配当を予定。

・ここ数年は先行投資が利益を圧迫していたが、セキュリティ事業のグローバル展開が順調に進む中、クラウドサービスが軌道に乗りつつある等、投資の成果が現れてきた。今12/12期は3期ぶりの増益が見込まれるが、来13/12期は更なる飛躍が期待できよう。

 
会社概要
 

GMOインターネットグループが展開するWebインフラ事業の中核企業。クラウドサービスおよびセキュリティサービスを二本柱とし、ベルギーの電子認証局で連結子会社のGlobalSign NV社など子会社15社(うち連結子会社13社)と共に安心・安全なインターネット環境をワールドワイドで提供している。

 
【事業内容】

事業セグメントは、ホスティングサービス事業、セキュリティサービス事業、およびソリューションサービス事業に分かれ、11/12期の売上構成比(連結消去前)は、それぞれ73.2%、20.2%、6.6%。

 
ホスティングサービス事業

同社の他、GMO CLOUD AMERICA INC.(米国)、(株)アット・ワイエムシー、GMOクラウドWEST(株)が事業を手掛け、1台のサーバーを1顧客が占有する「専用ホスティングサービス」、1台のサーバーを仮想化(複数台のコンピュータであるかのように論理的に分割)し、その論理的な領域を1顧客が占有する「仮想専用ホスティングサービス(VPS)」、1台のサーバーを複数の顧客が共用するエントリータイプの「共用ホスティングサービス」、および同業者向けの「OEMホスティングサービス」の4サービスを提供。また、「専用ホスティングサービス」には、専任コンサルタントが提案を行い、運用・管理一次代行、監視サービスを行う「マネージドホスティングサービス」が含まれる。

 
セキュリティサービス事業

GlobalSign NV(ベルギー)が認証する「グローバルサイン」ブランドのSSLサーバ証明書(電子証明書)をGMOグローバルサイン(株)、GMO GlobalSign Ltd.(英国)、GMO GlobalSign, Inc.(米国)、環璽信息科技(上海)有限公司(中国)、GMO GlobalSign Pte. Ltd.(シンガポール)、GMO GLOBALSIGN INC.(フィリピン)および今夏設立したGMO GlobalSign Certificate Services Private Limited(インド)を通じて発行する電子認証サービスを提供している他、(株)トリトンが他ブランドによる電子認証サービス事業を展開している。

 
ソリューションサービス事業

09年11月に子会社化したコミュニケーションテレコム(株)がホームページ制作支援等のウェブコンサルティングサービス、情報通信機器の導入コンサルティング、FAX/電話/携帯電話等の販売、およびウェブ店舗販売支援等のオフィスコンサルティングサービス等を提供している他、ホームページを作成するHome Page Storeや電子ブックサービス等の提供およびGMOスピード翻訳(株)が手掛けるスピード翻訳サービスを提供している。

 
【沿革】

1993年12月、青山社長が(有)アイルを設立。スノーボード等の販売を手掛けていたが、インターネット通販への展開をきっかけにホスティングサービス事業に参入。1997年5月には株式会社に改組すると共にホスティング事業に特化した。

2001年5月にグローバルメディアオンライン(現GMOインターネット(株))と資本提携。03年4月には日本ジオトラスト(株)(現 連結子会社GMOグローバルサイン(株))を設立し、インターネットセキュリティサービスに参入した。当初は、米国ジオトラスト社(当時、電子認証局として世界第2位)の販売代理店として事業を開始したが、米国ジオトラスト社が電子認証局トップの米国ベリサイン社に買収された事もあり(06年9月)、06年10月にベルギーの電子認証局GlobalSign NVを子会社化。07年1月よりGMO GlobalSign Ltd.(英国)が欧州で「グローバルサイン」ブランドのサーバ証明書の提供を開始し、07年7月より日本、米国、中国へ本格展開。また、この間の05年9月に商号をGMOホスティング&セキュリティ(株)に変更し、05年12月に東証マザーズに株式を上場した。

インターネット資産に対する企業の考え方が「所有」から「利用」へと大きく変化する中、ホスティングサービス各社は企業ニーズに応えるべくクラウドサービスへの傾斜を強めている。同社もホスティングサービスで培った技術やノウハウを活かしクラウドサービスに経営資源を集中していく考えで、11年4月には社名をGMOクラウド(株)に変更すると共に、クラウドサービスを立ち上げ、パブリッククラウド「GMOクラウドPublic」および包括的クラウドソリューション「IQcloud」の提供を開始した。
尚、現在、GMOインターネット(株)(東証一部:9449)が議決権の51.2%を保有している。

 
 

ストックビジネスならではの強みで18期連続の増収を続けており、利益面では、セキュリティサービスのグローバル展開(07/12期)やクラウドサービスの本格稼動(11/12期)等の大きな投資が負担となったものの、12/12期はクラウドサービスが軌道に乗り、3期ぶりの増益に転じる見込み。続く13/12期は更なる飛躍が期待されている。

 
【強みと成長戦略】

クラウドコンピューティングに対するニーズが急拡大する中、15年にわたるホスティングサービスの提供で培ってきた技術・ノウハウ、そして約13万のユーザーが同社の強み。

ホスティングサービス事業においては、急速な成長が見込まれるクラウドサービスで確固たる地位を築くべく、他社に先駆けた新しいサービスの提供を進めると共に、手軽に利用できる低価格サービスのラインナップも拡充する。一方、セキュリティサービス事業では、電子認証サービス「グローバルサイン」のブランド認知度を向上させ、更なる世界シェアの拡大を目指す。また、ソリューションサービス事業においては、利便性を追求したスピード翻訳サービスと、ホスティングサービス事業とのシナジーが期待できるホームページ制作サービスを中心に、中小企業向けの各種支援サービスの拡充に取り組む。

 
 
2012年12月期上期決算
 
 
前年同期比4.6%の増収、同9.5%の経常増益

売上高は前年同期比4.6%増の4,689百万円。グローバル展開と国内市場の深耕でセキュリティサービス事業の売上が1,041百万円と同15.0%増加した他、ホームページ制作を中心にソリューションサービス事業の売上も402百万円と同48.6%増加。一方、主力のホスティングサービス事業は売上が3,317百万円と同1.8%減少したものの、前期よりサービスを開始したパブリッククラウドサービスの販売が順調に進んだ。
利益面では、増収効果に加え、順調な販売を受けてパブリッククラウドサービスの初期コストの回収が想定以上に進んだ事や、ブランド統合によりホスティングサービスのシステムおよびオペレーションの合理化が進んだ事等で営業利益率が改善。営業利益は493百万円と同14.7%増加した。ただ、為替差損益の悪化(14百万円→△4百万円)や特別損益の悪化で四半期純利益は265百万円と同1.1%増加した(前年同期は固定資産売却益など85百万円を特別利益に計上)。

 
 
ホスティングサービス事業

クラウドサービスにおいて、サービス・スペックの強化に取り組み、日本と米国(サンノゼ)の2拠点からデータセンターを選択できるマルチロケーションサービスの提供を開始し、8月には新たにマレーシアロケーションの提供を開始した。また、クラウドセミナー開催等による積極的な啓蒙活動にも取り組んだ。
一方、ホスティングサービスでは、主力ブランドの「iSLE」を「GMOクラウド」ブランドへ統合し、開発、マーケティング、および運用の効率化を進めると共に機能を強化した(マルチドメイン対応、超高速ストレージ採用等)。また、GMOクラウドVPSの提供を開始した他、GMOクラウド専用サーバーをリニューアルする等積極的なサービス拡充を図った。

尚、調査会社によると、クラウドサービスの11年の市場規模は前年比45.9%増の662億円。ベンダーの増加およびサービス内容の拡充がドライバーとなっており、サービスタイプ別では、PaaS、IaaS、SaaSが急成長した模様。また、16年には市場規模が11年比5.2倍の3,412億円に拡大するとみている。

 
 
セキュリティサービス事業

販路拡大に向けた海外パートナーとの提携を進めた結果、海外拠点(英米)における販売が順調に拡大した他、周辺地域に向けたアプローチも進展。北米エネルギー企画委員会(NAESB)の指定認証局の認定も取得した。また、利便性の高い商材の開発を行った結果、ワンクリックSSLがNTTスマートコネクト社に、SSLマネージドサービスがYahoo!JAPAN社に、それぞれ採用された。SSLサーバ証明書発行枚数は31,565枚(前年同期比18.3%増)。内訳は、日本7,970枚、海外23,595枚。販売代理店数は4,119社(前年同期比27.4%増)。内訳は、日本725社、海外3,394社。尚、SSLサーバ証明書国内市場におけるルート認証局のシェアNo.1を獲得した他、12年上半期のルート認証局別純増数でもNo.1を獲得し、順調な「グローバルサイン」ブランドの認知度向上およびシェア拡大を示した。
この他、利便性の高い商材として、スマートデバイス(携帯電話・スマートフォン等)向け端末認証サービスの提供を開始した。

 
 
ソリューションサービス事業

Web制作サービスにおいて、HP、スマートフォン、FB、アプリケーション等、トータル的なWebサービスの提供を開始した。また、スピード翻訳サービスにおいては、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」や語学学習ポータルサイト「SPACE ALC」、@nifty翻訳を始めとした大手ポータルサイトとの提携や、ジョインテックスカンパニー社との提携により翻訳ワンストップサービスの提供を開始した。

 
 
 
2012年12月期業績予想
 
 
前期比5.2%の増収、同26.8%の経常増益予想

通期の業績予想については修正予想に変更は無かった(上期の決算発表に先立つ7月23日に、上期および通期の業績予想を上方修正している)。

売上高は前期比5.2%増の95億円。新興国への展開や欧米での大型代理店開拓の進展でセキュリティサービス事業の売上が増加する他、ソリューションサービス事業の売上も伸びる。一方、ホスティングサービス事業については、既存サービスの減少をクラウドで補い、ほぼ前期並みの売上を確保できる見込み。
利益面では、売上が増加するセキュリティサービス事業やソリューションサービス事業に加え、クラウドの寄与と既存サービスの効率化でホスティングサービス事業の利益も増加。連結営業利益は10億円と同31.9%の増加が見込まれる。

配当は1株当たり1,800円の期末配当を予定。同社は配当性向35%を目処に配当を実施しており、業績予想の上方修正に伴い、配当も期初予想の1,500円から300円引き上げた。

 
 
 
今後の注目点
主力のホスティングサービスにおいて、クラウドサービスの顧客獲得が順調に進んでおり、既存サービスの生産性改善でも成果があがっている。また、セキュリティサービスでは代理店網が世界各地で広がりを見せており、ソリューションサービスでは、Web制作サービス、スピード翻訳サービス共に軌道に乗ってきた。この結果、ここ数年は先行投資が利益を圧迫していたが、今12/12期は3期ぶりの増益が見込まれる。来13/12期は更なる飛躍が期待できよう。
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